「じーびーえぬぅ?それってあのガンプラの?」
「そうだ。ダイキも始めよう!面白いよ。」
自宅。
今日は学校が休みなのでゲームをして過ごそうかと思えば何故か幼馴染であるがユイハが家に来たのだ。
そして昔発売していたガンダムのゲームをやっている時に隣で急に言い出したのだ。
「今の技術は進歩している!原作の世界とほぼ同じ場所で機体に乗って戦えるんだ!自分が作ったガンプラにだよ?ダイキはガンダム好きだし、楽しめるって!」
ユイハは目を輝かせながら俺に対して言ってくる。
GBN。
正式名称はガンプラバトル・ネクサスオンライン。
電脳仮想空間「ディメンション」内でガンプラバトルを中心とするミッションを遊ぶことが出来る世界規模の最新ネトゲだ。
フルダイブ式のMMOでダイバーギアを持っていれば誰でもログインできるので遠距離感での友人とのコミュニケーションツールとしても使われるらしい。
....まぁ正直それなら携帯使えばいいじゃんと思うのだが。
仮想空間に広がる広大なマップで自分の読み込ませたガンプラを使って戦場を駆け抜けることが出来る。
それに前流行っていたGPDのように機体が壊れないのが良いらしい。
自分もG-tuberなる人の転載された実況も見たりするし、見る分にも面白そうとは思う。
だが。
「....でもあれネトゲじゃん。いちいち話さないといけないのがクソ怠いわ。このゲームみたいに了解ですとかすみませんでしたとか粘り勝ちですねとか定型文を送るのとは訳が違うだろ?それにガンプラを俺は作ったことないし。」
「そこがいいとこなんだ!不安なら暫くどっちも一緒にやってやるからさ!やろ!」
ユイハは嫌そうな顔をするダイキに詰め寄る。
確かに経験者が知り合いならまぁ入門しやすくはあるだろう。
だが、しかし休みの日は好きにしたいのだ。
誰かよくわからん馬の骨と会話するのは正直疲れる。
そして俺には彼女の誘いを断る最強の武器を持っていたのだ。
「でも俺、ダイバーギア持ってないからさ、なんか使用済みとか嫌だし、誘ってくれたところ悪いけど諦めてくれ。」
そう言って俺は画面に視線を戻す。
覚醒ゲージが溜まったんで半覚した。
やっぱ昔のだけあってやっている人はほぼいない。
ガンダムゲームやるならそれこそGBNをやれば良いしな。
あっ、やば。誤射してもうた。
相方ごめん。
すると隣のユイハが笑いだす。
「フフフ....フッフッフ。4日後、お前は何の日か覚えてるか?」
「わからん。フッ!...ンンッ!!」
隣のユイハの言葉を適当に流しつつ、力んでしまう。
今の他の機体なら当たってないだろ。
機体がデカいんじゃボケ。
もっと肉抜きしてから出直してこい。
ちょこまかと動き回る俺のジ・O。
だが、無情にも相手のバズに当たって敗北した。
「あっ....もう二度とやらんわこんなクソゲー。」
コントローラーを投げ出す。
すると隣から視線を感じる。
「......」
「.....続けて、どうぞ?」
俺がそう言うと彼女は溜息を吐く。
そして部屋の外に出ると再度紙袋を持って入ってきた。
それは電機屋のロゴが入っている。
....おい、これってまさか。
「ほら。4日後誕生日だろ?そう言うと思ってプレゼント。」
彼女は俺の目の前に紙袋を置く。
俺は恐る恐る紙袋に手を付ける。
おい....まさかこれって。
「ダイバー...ギア。」
「そっ!さっきのゲームはクソゲーなんでしょ?じゃ、こっちのゲームしよう。」
GBNにおいてガンプラを読み込むのとプレイするのに必要...だったかな。
GBNには必須な機器だろう。
しかし何がまずいのかと言えば、プレゼントでもらった。
ということは押し入れで埃被せておくわけにはいかないのである。
正直幼馴染からのプレゼントとはいえ、もらったものを無為に扱うのは気が引ける。
「ん?なにしてる?早くガンプラ買いに行くよ。ほら立った!立った!」
この女、分かってて送りつけてきやがったな。
まんまと策に嵌ってしまった。
ユイハをジト目で睨み続けるが、彼女はどこ吹く風。
そりゃそうだ。
もうこの時点で彼女が俺をGBNとやらに引きずり込むことには成功したのだ。
....まぁ、続けるとは言ってないし、適当に付き合って徐々にフェードアウトしていく感じでええやろ。
やってきたのは近場のガンダムベース。
やはり人が多く居て、皆が思い思いのガンダムを見ていた。
ん?ここってコーヒー飲むスペースもあるのか。
そこに居ようかな。
ここまで来るのに少し疲れた。
「じゃ!どれにしようか!?ダイキはどの作品が好きなんだっけ?好きな機体とかある?」
ユイハはニコニコで聞いてくる。
どの作品と言われても....
改めて言われても返答に困る。
正直こういうゲームってよく分からんし、好きな機体でもボロクソにやられまくったらやる気が失せるのも事実だろう。
ま、正直言えばフェードアウトする気だからそんな高い奴は御免被りたいが。
「なんかお勧めとかないの?これが強い~とかこれが初心者お勧め~とかさ。」
そう言うと彼女は棚を見回して暫く物色すると、一つのガンプラを手に取る。
「これとかどうだ?インフィニットジャスティスガンダム!完成度が高ければファトゥムは問題なく運用できるし、中距離、近距離の択が多いし、機動力も高い。アンカーもあって敵を引き寄せれるし、シールドの強度もかなり高い部類の機体でSEED特有のPS装甲によって物理攻撃に対する.....」
「なんか分からんけど良いわ。アスラン、クソコテだし。」
長々と語るユイハ。
しかし彼女は俺の言葉を聞くと説明を止めて、詰め寄ってくる。
「は、は?アスランがクソコテ?た、確かにクソコテみたいなことしてたりするけど、でも戦闘とかカッコいいじゃないか!」
「え?カッコいいかぁ?トゥトゥヘアーがぁ?ヤバいだろ。それにそこそこ値段するし。」
正直某動画サイトのアスラン蝉が頭から離れない。
しかし彼女は諦めずにこちらに箱を突きつけてくる。
「と、とりあえずこれにして気に喰わないなら変えるでいいから!隠者乗ろ?プレイヤーネームもアスラン関連にして一緒にやろ?ねっ!ねっ!」
「隠者好きじゃないんだよ...。ほら、獅電とかないの?希望の花したいわ。」
メイン機体じゃない分、安そうだし。
俺の言葉を聞くと彼女は笑う。
「あ~、オルガ?あの機体はプレミアムだから通販になるね。」
「は?オルガの機体が?作中オルガまともに乗ってないのにぃ?」
「いやまぁ....そう言う気持ちも分かるけど......」
マジか....知らんかったわ。
はえ~オルガの機体って通販じゃないと買えなかったりするのか。
まぁ確かに一度総選挙で一位になったガンダムの王だもんな。
そりゃそうか。
俺が一人納得していると、ユイハはこちらに手を合わせる。
「じゃあアスランの機体なら何でもいいから!お願い!!」
そこまで言われてもなぁ.....。
まぁどうせフェードアウトするつもりなら彼女の要望に沿う機体でも良いか。
そう思い、携帯でアスランの機体を調べながら店内を眺めていると、一つ見覚えのある機体を見つけた。
「“イージスガンダム”か....。」
それは家にあるゲームでも度々使っている機体だ。
可変機体で結構使っていて楽しかった覚えがある。
「...まぁこれならいいぞ。」
そう言ってイージスを見せると、彼女はどこか苦笑いを浮かべた。
「あっ....可変機か.......。」
「なんだよ。まずかったか。」
反応が芳しくなかったので再度尋ねると彼女は困ったように頬を掻いて口を開く。
「あー可変機は完成度高くないと変形に支障が出たり、時間が普通よりかかったりするし何気に作るの難しいから初心者向きではないかなって.....」
「お前なぁ....人がせっかくそちらが提示した条件の中で乗りたい機体選んだって言うのに。」
そう言うと彼女が慌てて俺の持っている箱を引っ手繰る。
「だ、大丈夫だ!私が一緒に作るから!完璧にヌルヌル変形できるようにするから!!よし!買いに行こう!気が変わらないうちにレジに行くぞっ!」
そう言って彼女はレジへと行くように促す。
どんだけ俺にアスランに乗って欲しいのか。
意味が分からない。
まぁだが、幼馴染が喜んでいる姿を見るとまぁいいかと思う自分も居た。
イージスを購入し、プラモ製作スペースへ。
適当に掴んで入れたのが運の尽き。
どうやらMGだったらしく、財布の5千円が消えてしまった。
これは手痛い出費だ。
項垂れる俺とは対照的にユイハは楽しそうに箱を開ける。
箱にはパーツが所せましと並んでいた。
気を取り直して説明書をパラパラとめくるとやはり予想通り複雑な行程だ。
わからん。
俺はジト目でユイハを見る。
「お前これ本当に作れるのか?....買わせるだけ買わせて無理とかありえないからな。」
俺がそう言うと彼女は笑う。
「何言ってんの出来るに決まっているだろう?なんなら私は自分の機体は改造だってしてるんだぞ?見ろ。」
そう言って彼女は携帯をこちらに見せてくる。
そこにはなんかゴテゴテした見たこともないようなガンダムが写っていた。
なんだこのガンダム....こんなのどっかの作品にあったか?
心なしSEEDの機体に似ているけど.....。
てかこれ多分.....。
「他のガンプラ同士で混ぜてるだろ。」
「おっ、よくわかったな。これはストライクルージュとアカツキをミキシングした私の愛機、ストライクルージュモーネ!PS装甲とヤタノカガミのハイブリットだ!」
ストライクルージュとアカツキ。
どれも確かSEEDのキャラであるカガリの機体だ。
その二つを混ぜ合わせたのだろう。
あのキャラが好きなのだろうか?
てかこれ滅茶苦茶凄いじゃん。
コイツ天才なんじゃね?
そりゃ説明書通りに作るだけなら楽勝だわ。
なんたって自分で改造してるくらいなんだから。
「なるほど、ビルドの腕は確かなようだな....。俺はガンプラ作るのは初めてだから!頼んだぞ!」
「まぁ今回は一緒にやるけど、次から一人で作れるようにしっかり教えていくからな。」
ユイハはそう言って工具箱を机の上に置く。
「...えっ、俺の機体ユイハが作ってくれるんじゃないの?」
そう言うと彼女は呆れた顔をする。
「“一緒に”作るって言っただろ?いつも私がお前のプラモを見てやれるわけでもないし、それに自分で作らないと愛着湧かないだろう。」
いや....愛着どころか僕そもそもこのゲームずっとやる気ないんですが。
しかし目の前で言うと今度こそ怒りそうなので、俺は黙って頷く。
はぁ....面倒くさいな。
そうやって態々道具を持って来たユイハの工具を借りて、ニッパーを手にパーツを切り分けてガンプラを作り始めた。
「そこ、バリが残っている。そういうのが可動域を狭める原因になるんだよ?可変機とか致命的なんだから。」
「あーい。」
切り分けて組み立てたりするたびに、隣からゲート処理をしろだの口を挟んでくる。
いちいち何種類かのやすりで削って傷を目立たなくしたり、正直集中力が居る作業だ。
まぁ組むこと自体は嫌いではないが、それでも面倒な物は面倒なのだ。
まぁマーカーによるリタッチなどはユイハにやってもらってるのだが。
....やっぱあんな機体作ってるだけあって上手いな。
俺あんな綺麗に塗れる自信ないわ.....。
...いかんいかん、何次の事を考えているのか。
プレゼントで自宅用のダイバーギアをもらったし、ある程度話合わせるためにやるだけだ。
てか正直、ダイバーギアくれるなら同じくらいの値段でもっと別の物が欲しかったのだが、まぁプレゼントなんだから文句は言うまい。
とりあえずやるだけ。
続けるとは言ってないって奴だ。
だから別にそこまでマジになる必要ないんだよなぁ。
「...まぁ初めてならこんなもんで良いんじゃない?結構良い筋してるよ。」
「そりゃ経験者が隣で教えてくれてたら誰でも出来るだろ。」
出来上がったイージスを見て、ユイハは満足げに頷くと俺の肩を叩く。
確かにイージスの出来は良い。
立っているイージスも心なしか誇らしげに見えるほどだ。
「へぇ~良いガンプラね!中々上手いわ!!」
急に背後から女性の声が聞こえてびくっとしてしまう。
後ろを見るとカチューシャを付けて店のロゴがプリントされたエプロンを着た女性がイージスを覗き込んでいた。
「あ...ど、どうも。」
急に面識のない大人の女性に話しかけられてどもってしまう。
すると隣の視線が痛い。
しょうがないだろ、初対面なんだから。
心の中でそう言い訳している間にもアスハとその女性は話を始める。
「雨村さんも、ガンプラ指導?」
「えぇ。まだ組み慣れてない子がいるみたいだから。それにしても見ない子ね、アスハちゃんの友達?」
そう言って俺に尋ねる雨村。
聞かれたので答えようとしたら、なぜか隣のアスハが答える。
「幼馴染です。GBNを始めたいらしいのでガンプラ作りを教えてたんです。ガンプラも、初心者なんで。」
嘘だよ、俺そんなこと一回も言ってないゾ。
どっちかって言ったら退路を断たれて無理やりここに連れてきたのが正しい気がするんだが....。
「へぇ~ガンプラも初心者なんだ。それでこの出来は凄いよ!良いビルダーになるね。」
「いや隣で経験者に教えてもらいながら長時間作ってたんでこのくらいは....。」
外は茜色に染まって夕焼け小焼け。
朝早くに家を出たにも関わらず、既に夕方になっていた。
かなりの時間がかかっていたのだ。
「まぁでも、教えてもやっぱり苦手な子も居るし、誇っても良いと思うよ!」
雨村さんは俺の言葉を聞いても尚褒める。
...アレか?
なんか服屋で店員さんが似合ってますよ~とか言う奴なのだろうか?
少なくとも隣で教えてもらってたのだから俺自身というよりはアスハが凄いという奴だろう。
「それじゃやっぱりGBNに登録したりする?」
「どうする?」
隣でアスハが聞いてくる。
正直、ここまで来たのだから登録くらいはしときたい。
「登録します。」
「分かった。じゃあこっちにおいで。」
雨村さんがそう言ってどこかに歩みを進める。
するとアスハも立ち上がった。
「ほらっ、何ボッーとしてるの。行くよ。」
「お、おう。」
彼女に促されるままに、立ち上がり後に続く。
イージスを手に取って。
あれ?これ名前自分で決めて良いのか.....
どうせネトゲだし、適当でいいか。
じゃあ面倒だし、野獣先輩で。
<他の人が不快に思われるワード・表現が含まれています。>
あれ?登録できないぞ。
流石に淫夢はダメなのか。
じゃあどうしようかな。
なんかアスラン関連にしろとか言われたしな。
これ付けなかったらうるさいんだろうな。
....どうせアイツに合わせて始めてるだけだし、すぐやめるならここはアイツの要望に従っておくか。
でもそのまま真面目に考えるのは少し癪だし......
<サクラン・ズラ
本当にこれでよろしいですか?>
ヨシ!
ユーザー情報を登録した後に訪れたのはコックピットのようなデザインの椅子が並んだ部屋。
多くの人がVRを付けている。
なんか壮観だなぁ。
「じゃあダイバーギアに機体を置いてVR付ければ出来るから。お先!」
そう言って彼女はVRを付ける
VRかぁ.....。
付けるのは家でぎゃ〇がんやって以来か。
正直ぎゃ〇がんの時よりもモチベは低いが、やるか。
<Log in data confirm...Are you ready?Dive start now!>
VRを目にかける。
すると機械音と共に一瞬見えている世界が光に包まれたかと思えば、目の前にはどこかサイバーチックな電脳風景。
そして目の前にはゲートが見えてきた。
主人公の名前は宇津場大樹です。
うつばだいき→うつき だいば→ウッキー!台バンとかいう酷い名前です。
なんかエクバネタとか色々使っていけたらいいなと思います。