放課後、今日は一人でガンプラベースに来ている。
今日もユイハはコンクールに向けての練習が忙しいらしい。
だからこそ、帰宅部で時間が有り余っている俺は一人でガンプラベースにやってきていた。
「...こうしてみると、この膨大な中で自分に合う機体探すなんか無理ゲーだよなぁ。」
ダイキは販売スペースのプラモを眺めて独り言ちる。
「そうだね、だからみんな好きな作品の好きな機体を選ぶんだよ。自分が好きな機体を自分で動かせばすごく楽しいしね。」
急に声がしたので驚いて振り返る。
そこには初めてプラモ作った日にも会ったこのプラモ店の店員、雨村さんが居た。
「び、びっくりしたぁ...こんにちわ。」
「こんにちわ、ウツバ君。今日も一人?」
彼女は言外にユイハと一緒ではないのかと聞いてくる。
「アイツはコンクールの練習で忙しいですよ。そんで俺は暇なんで一人で来たんです。」
俺がそう言うと彼女は納得した表情を見せる。
「なるほど、ユイハちゃん吹奏楽部に所属しているって言ってたしね。そりゃそうか。...それで、何か新しいガンプラでも買うの?」
笑顔で雨村さんが聞いてくる。
...まぁ店員さんからすれば買ってもらえればそりゃ嬉しいわな。
だが、生憎お財布事情的にそういうわけにはいかない。
「いえ、金ないんでただの冷やかしですよ。なんか良いのないかなーって。」
「そっか!...それならGガンダム系列が良いよ!私もライジング使っているし、教えようと思えばそこそこ教えられると思う。」
そう言って詰め寄る雨村さん。
俺はそんな彼女に聞き返す。
「えっ、雨村さんもGBNやってるんですか?」
俺が聞くと彼女は口元に手を当てて笑う。
「あら?私がGBNしてたらおかしい?」
「...い、いやそういう意味じゃないですけど。」
しかし考えてみればそりゃプラモ作れてガンダム好きならGBNやってても何らおかしくない。
逆にやっていない人の方が少数派だろう。
「ふふっ、冗談。まぁなんか聞きたいことがあったらいつでも呼び止めてくれて良いからね。」
そう言って彼女は別の客の接客を始める。
...買えない物見てもしょうがないな。
もうGBNに行こう。
そう言って販売スペースを出ようとしたときに、一つの機体が目に付いた。
ガンダムエピオン。
格闘武器しか持っていない機体。
それに何故か目線を引き寄せられたのだ。
◇
GBNのミッションカウンター。
相も変わらずそこに突っ立っている。
そう言えば数日前はここでこうしているとあのとんでもない男が話しかけてきたんだったか。
いや、やめよう。
あの男のことを考えると、あの時のミッションを思い出してしまう。
頭を振って妄執を払うと、ミッションを適当に眺める。
速くDランクに上がりたいな。
このゲームの醍醐味と言えばフォース戦だ。
...まぁ正直ユイハは俺をフォースの人に紹介するつもりらしいし、その時点でDランクであれば無理やり入れようとして来るに違いない。
そう言う意味では上がりたくないとも言える。
なんていうか複雑だった。
「えぅ...あの.......」
第一、あの日は厄日と言っても過言ではないだろう。
初心者、しかも分別の付かない猿を初心者が介護する。
その時点でも無理がある。
「そっ...そのっ..あのっ......」
それ以上に、なんか機体が引っかかると思えばあれはAGE1スパロー。
昔話題になった動画でAGE1を使っている男性が奇声を上げる動画が話題になっていた。
それをRPしているのだろう。
あんな地雷に相棒認定された方の気持ちに誰かになって欲しい。
あの時台バンしなかった自分を褒めたい物だ。
「あ、あ、あのっ!ダイキ!!?」
「うおっ!?....あっ、リア。」
急に後ろから声を張り上げられてびくっとする。
後ろを見ると、リアが俺の裾を握っていた。
彼女はオドオドとした様子で俺を上目遣いで見つめていた。
「...も、もしかして、ずっと呼んでた?」
そう聞くと彼女はこくりと頷く。
...どうやら考え事に夢中になって周りに意識が向いていなかったようだ。
前に話した時から彼女が人見知りで大人しい気質であることはなんとなく分かっていた。
だからこそ少し罪悪感が湧く。
大人しく人見知りな彼女であれば顔見知りでも声を掛けるのは勇気がいるに決まっている。
「悪いな、気づかなくて。」
「そ、そんなっ....そんなこと、ない!わ、私、もっと大きな声出せるように...頑張る!」
「そ、そうか.....。」
どうやら怒ってはいないようだ。
てかこうなってんのもあの男のことを考えていたからだ。
てことはこれも全部あの男のせいだ。
アイツめ.....先墜ちして叩かれろ!
「それで、今日はどうしたんだ?久しぶりだけど....。」
俺が聞くと、リアは興奮した様子で腕をブンブンと前に振る。
「そ、そのっ!私...自分のガンプラ、出来たんです!だ、だから...一緒にミッションやろうと思って....でもこの3日間くらい居なくて....」
「おっ、マジか。よかったな。.....ん?」
すると彼女の言葉が引っかかる。
3日間....?
少なくとも俺はあれから3日間GBNにはログインしていない。
機体の修理もあるが、学生の本分は学業であるし、ガンプラ以外にも積みゲー消化だったりとやることはある。
どうやらその間に彼女はログインして俺を探し続けたのだろう。
うわぁ、すっごい罪悪感が.......。
「...あー、本当にマジでごめん。用事あって.......」
「い、いやあ、謝らないでください!い、いつもGBNに入れないのが当然だし、...わ、私が勝手にやったことだから......」
そう言って俺に笑顔を見せる。
うわ....いや、これは本当にキツイな。
せっかく女の子が俺みたいなボッチソロをミッションに誘おうと探している間、俺はギャルゲやっていたなんて。
しかもそれで笑顔で気にするなと言われているのだ。
罪悪感で押しつぶされそうだった。
「あら、見つかったのね。よかったわ。」
なんか口調と声質で違和感を感じる。
そこで振り返ると、そこには筋骨隆々とした身体をぴっちりとしたスーツに包んだ褐色肌紫髪の男。
しかし話している言葉は女の口調の、所謂オカマキャラが鎮座していた。
...誰?
いや、GBNについて調べた時にどっかで顔を見た気がしたのだが、思い出せないのだ。
てかこんな特徴的な人思い出せない訳ないんだが....。
俺がたじろぐ中、反面リアは笑顔で答える。
「あっ、ハイ....用事でログインできていなかったみたいで。」
「そう?こんな乙女を何日も待たせるなんて罪な男ねぇ~、...あら、よく見たら最近ちょくちょく見る子じゃなぁい。」
男?は俺に顔を近づけてそう言う。
なんだ...キャラが濃い。
キャラが濃いゾ....。
「ど、どうも。その...最近見る子っていうのはどういう.....」
一応挨拶して気にかかる点を質問する。
いや、ネトゲでオカマキャラをしていても本当にそういう趣味であるかは分からない。
でも見られていたという事実は正直あまりいい気はしなかった。
もしかしたらマジモンでロックオンされていた可能性があるし。
もしそうなら背筋の冷える話だが。
「あぁ、ほらこのゲームって悲しい事に、初心者狩りとか詐欺とか横行してるじゃない?アタシはそういう不埒者に対してちょっーとお仕置きしてるのよ。それに、見ない顔の初心者に色々レクチャーしたりね?」
なるほど。
....ということは。
「...このゲームの運営なんですか?」
俺がそう聞くと、一瞬キョトンとした顔をして笑う。
「いや、確かにそう思ってもおかしくないわね。私はただのお節介。自己満足よ。..でも、私達が好きなGBNを入ったばかりの初心者に嫌いになってもらいたくないじゃない?」
なんというか、まぁ良い人であるという事は分かった。
まぁ正直初心者狩りをする連中なんて注意してその場で守っても、隙を探してイキるような人間性の連中が大半だ。
まぁ俺のやっていたゲームでもそうだったし。
だからこそ、いちいち注意して撲滅できるかは疑問だ。
...だが、少なくとも初心者にとってはこのような人が居てくれるのは安心だろう。
...でもちょっと待てよ。
「でも俺、初心者狩りに絡まれたことあるんですがそれは.....」
そう言うと彼女は笑う。
「そりゃアナタ、カガリンちゃんと一緒だったじゃない。知り合いを案内するって話もしていたし、あの子が居るなら安心だもの。」
それを聞くと、目を見張る。
そしてその男?に食らいついた。
「アンタ!アイツと知り合いなのか!!もしかして...フォースメンバーって!!」
すると彼は答える。
「あぁ勘違いさせたみたいで悪いけど違うわ。まぁ偶に連絡を取り合う程度には知り合いね。アタシはマギーよ。よろしくね。」
そう言って彼女はマイプロフィールを見せてくる。
.....は?
「わ、ワールドランク23位とか、やっっば!アンタトップランカーのプレイヤーじゃん!!」
「あら、照れるわね。」
自分の頬に手を添えるマギー。
通りでなんとなく覚えがあったはずだ。
てかこの人トップランカーなのにこんなところで初心者へのサポートと初心者狩り狩り?してるのか....(困惑)
いや、トップランカーだからこそ初心者に対して気遣えるほどに余裕があるのだろうか?
大抵初心者に厳しい奴は中途半端な連中だってそれ一番言われてるからね。
「お、俺はサクラン・ズラです。よろしくお願いします!!」
頭を下げる。
トップランカーとなれば所謂信者が居てもおかしくない。
長い物には巻かれておいた方が良い。
すると彼女は腕をふわふわとさせながら笑う。
「ちょっとぉ!そういう畏まったのおねえさん困るわぁ。そんな硬くならずにフレンドリーに話しかけて?サクラン君。」
無茶言うなよ....。
トップランカーの人にそんな気軽に話しかけたら殺されそう(偏見)
てか名前がアスランネタしてるのには突っ込んで来ないんだな。
なんか来ないなら来ないで寂しいな。
「それじゃあアタシは野暮用があるからここを離れちゃうけど、なんかあったらいつでもアタシに言いなさい。じゃあね。」
そういってマギーさんは俺にフレンド申請を送る。
マジか.....このゲーム、こんな簡単にトップランカーとフレンドになれるんか。
普通のネトゲとかとは全然違うな。
これGBN神ゲーだろ間違いない。
その事実に震えていると、隣のリアが口を開く。
「じ、じゃあミッション、やろ?」
「お、おお。そうだな。」
小首をかしげてそう言う彼女。
俺は彼女に促されるままにミッションカウンターに向かう。
そう言えば彼女はマギーさんに対しては普通に話せていたな。
...まぁ俺を3日間待っていた間に知り合っているっぽいし、それに良い人なのは分かるから気を許せるのだろう。
そう納得して、彼女に手を引かれるままにミッションカウンターに向かった。
◇
『トリントン基地襲撃作戦:UC』
ジオン軍残党に協力する傭兵として連邦のトリントン基地を襲撃し、ジムなどの連邦の量産機数機を倒すことで連邦に一泡吹かせるミッションだ。
似たような名前のミッションで『トリントン基地防衛作戦:UC』もあるにはあるが、なんでも条件は知らないが、Secret MissionでシャンブロというMAと戦闘する羽目になるらしいので二人ではクリアが難しいと言った理由で却下した。
そう言うわけでコッチのミッションを受けることになったのだ。
『わ、私...こ、後方支援します!す、好きに動いてください!』
彼女は通信でそう言ってくる。
「了解。サクラン・ズラ、イージスガンダム出るぞ!!」
『か、神薙ガンダム・幽尼魂、で..出ます!』
イージスガンダムを発信させる。
そして外に出ると、隣を小さな機影が並走するのが見える。
見るとそれはSDガンダムのユニコーンであった。
ただユニコーンと言うには下半身の形が違い、巫女装束を模したデザインであると分かる。
そしてデストロイモードであるにも関わらず顔だけはフェイスガードで隠蔽している。
ただ見た目的にも作り込まれた機体であることは一目瞭然だ。
「すげぇなありゃ....なんというかこだわりを感じる。」
ぼそりと所感を口にすると、バトルエリアに入る。
するとその瞬間、音声通信が入った。
『連邦に....一泡吹かせる!協力されたし!ダカールは前哨である!!』
そう命令を受信した瞬間、目の前の港湾基地の至る所が爆発し、連邦のMSがポップする。
ジムⅡやネモ、ガンタンクⅡにガンキャノンが見える。
そして空から港湾基地に侵入しようとする俺たちに対して銃口を向ける。
(...怖いのはガンタンクやガンキャノンの射撃だな。)
ダイキがそう考えた瞬間、敵機は引き金を引いた。
飛んでくるビームや実弾武装。
弾幕を形成している。
『わっ!わっ!と、飛んできた!』
動揺する彼女。
彼女は俺が居ない間にチュートリアルなどはやっていたらしい。
しかしそれでもこの量の弾幕を掻い潜ろうとすればそうなるのは必然だ。
俺も、当たらないようにするよりも被害を少なく済ませる方向で行くつもりだ。
「大丈夫だ!飛んできた攻撃をしっかりと見て避けられる攻撃は出来るだけ避けようとすればいい。」
『わ、わかった!が、がんばる!』
少し無理言ったか?
しかしそれでも彼女は健気に頷くとシールドを構える。
ユニコーンのシールドの強度は折紙付きだ。
正直俺の方がやばいかもしれないな。
そう思って機動すると、ビームが掠る。
実弾武装でなければPS装甲はあまり意味がない。
なら,,,!
ビームライフルをネモに向けるとそのまま引き金を引いた。
ビームはネモの肩を撃ち抜く。
そして港湾基地に着陸すると、彼女も背後に着地する音が聞こえる。
『えっ...と、これで!』
彼女を見やると弓のような武装を構えている。
へぇ、あんな武装あるのか。
...いや俺のやっているゲームでも1500コストの機体がああいうの使っていたような気がする。
まぁ、とにかく後方支援が彼女であるなら、前衛は俺の仕事だ。
とにかく前に出なくては。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
裂帛の気合を込めて声を出して、相手に肉迫する。
相手が放つバズーカを横にブーストを吹かして避ける。
そしてそのまま武器の持ち替えをしようとするジムを腕のビームサーベルで両断。
すると少し離れでガンキャノンがこちらに砲口を向ける。
(来るな....、このゲームではどのくらい誘導するんだ?)
ガンキャノンは俺のやっているゲームでは結構誘導するキャラだ。
だからこそ緊張が走る。
すると、視界の隅から何か光が迫り、俺の横を凄い速さで通り過ぎる。
そしてガンキャノンのメインカメラにブチ刺さると爆発した。
『...よしっ!』
どうやら彼女の攻撃のようだ。
あの弓矢のような武器から放ったのだろうか?
なんにせよ結構やる。
「後ろは任せられるな....。よし、ならガン攻めしても問題ないか!!」
俺は前ブーして右肩が壊れているネモに迫る。
するとネモは腰元からサーベルを取り出して突きの構えを取り、こちらに突撃する。
(間合いはあちらの方が上だ。なら....!)
武装スロットを変えてバルカンを放つ。
ただの牽制。
だがこと肉迫しながら撃てるバルカンはこの状況下においては有効に働く。
突撃してくるネモの装甲をバルカンが削っていく。
相手の動きが段々と鈍くなっていく。
「まともにやり合うわけねぇだろ、馬鹿が!」
そのままある程度近づいたらもう片方の手に握ったビームライフルを向けて引き金を引いた。
放たれたビームはネモの機体を焼く。
『お、終わ...り?』
見ると、彼女は彼女でガンタンクを弓で破壊したようだ。
あの武装、貫通するのか。
「あぁ。多分これで終わりなはずだ。」
いや、それにしても本当に動きやすかった。
やはり俺には前ブーするのが向いているし、それに彼女自身前回の奴とは違って丁寧なプレイングだったからこそだろう。
やっぱ相方がまともだとこのゲームクソ楽しいな!
ま、どんなゲームでもそうだろうけど。
『あ、ありがとう!...敵ほぼ任せちゃってごめんなさい....』
「いや、そっちが支援機なら俺が前に出ないといけないしそれが普通だよ。今回は俺の中でもうまく行った方だな。」
謝ってくる彼女に笑ってそう答える。
逆に言えば支援機である彼女が前に出なくても良かったのだ。
良い状況が作れたと言える。
『そ、そうなんだ....ッ!危ない!!!』
「えっ、何が.....ぅぐあっ!!!」
【Secret Success!】
彼女が突然血相変えて叫ぶ。
その直後に敵機接近のアラートが鳴った。
起きた衝撃で身体をぶつけてしまう。
機体の状況を計器から見るに上からビーム兵器で撃たれたようだ。
「どこから攻撃を.....、は?」
空にはとあるMSが空に浮かんでいた。
それはバイアラン・カスタム。
UCのトリントン基地において水泳部相手に無双したMS。
しかし、あんなのが出るなんてミッションにはどこにも....。
そこでさっき出た表記を思い出してハッとする。
シークレットサクセス。
つまりはこれが隠し要素かよ。
知らん間に条件でもクリアしてたのか?
まぁそんなことはどうでもいい!
「NPCが不意打ちしてくんのかよ....。」
イージスを立ち上がらせてサーベルを出す。
すると目の前の機体は変形する。
「俺だって、変形出来んだよ!!」
そう叫ぶと変形して、バイアランを追う。
しかし、スラスターからは煙が出始める。
「...スラスターに攻撃を受けていたか。」
前を飛んでいるバイアランに対してスキュラを撃つ。
しかし曲芸じみた機動で変形解除し、バイアランはそれを回避してこちらにメガ粒子砲を放つ。
「こちらも可変機なんだよねぇ!!」
変形を解いて無理やり勢いを殺して下に落ちる。
だが、バイアランはそれすらも読んでいたのかくるりと身を翻すとビームサーベルを出してこちらに迫る。
まずい...勢いを無理やり殺したせいで、動けない。
こうなったらピョン格を....ダメだ、今からじゃ出来た所で肉迫されているし無意味だ!
「やばいやばいやばい!NPCの強さじゃねぇだろコレぇ!!!ああああ!!!!」
癖で盾しようとしてレバーを上下にガタガタと乱暴に動かす。
しかしことこのゲームではその行動は無駄でしかない。
俺が叫び、バイアランは迫る。
そして奴のサーベルで両断される...と思ったその瞬間。
バイアランの背が爆発する。
スラスターが両方爆発しておりバイアランも体勢を崩して落ちていく。
誰が....もしかして!
見るとリアが弓を構えていた。
『あ、当たった......?』
茫然と呟くリア。
俺はそんな彼女を見て声を張り上げた。
「あ、相方やるよぉォォォ!!!!やりますねぇ!!!!!」
『ひうっ!?な、なに...!』
急に僚機が大声を出したら驚くに決まっている。
しかしテンション上がっている俺にはそこまで思考が追いつかない。
こんなの中々出来ることじゃないよ!!
地面に着地すると不時着した相手に対してブーストを吹かす。
そしてビームサーベルを振り下ろす。
しかし相手もそれを受け止める。
鍔迫り合い。
しかし相手は鍔迫り合いのまま押し切ろうとブーストを吹かす。
だが、スラスターはさっきリアが壊したばっかりだ。
「やっぱNPCだなぁ!!」
そう言ってバルカンを撃つ。
バルカンはバイアランの機体表面に傷をつけていく。
鍔迫り合いをしていた為に、バイアランのバイザー部分がバルカンで割れる。
足のサーベルで!!
「トゥ!ヘアッ!!!」
掛け声を出して相手を蹴り上げる。
サーベルは相手の機体に刺さり、機体を切り裂く。
相手の左足部分を潰した。
気持ち良くなってアスランの真似をしてしまう程に優位を取れている。
相手は右足だけでジャンプしてなんとか後ずさる。
しかし左が使えないことで膝を付いていた。
すると相手の背後ごしに、武器を持ち替えたのかバズーカを構えるリアが見える。
「撃て!!」
バルカンを撃つことで相手をその場にくぎ付けにした。
そしてリアに撃つように言う。
『うっ、うん!えいっ!!』
彼女は頷くとそのままボタンを押す。
バズーカの引き金を引くと弾頭が飛び出し相手目掛けて飛んでいく。
相手は振り向くと腕を向けてメガ粒子砲で到達する前に撃ち落そうとする。
「ッ!潔く死ねよやぁぁああ!!!」
ビームライフルで腕を撃ち抜いた。
無情にも抵抗のつもりで振り上げた右腕はビームライフルで壊される。
そしてそのままバズーカを背面に受けて、バイアランは爆発した。
【Mission Success!】
暫しの静寂。
コックピットにはミッションが成功した旨を伝えるメッセージが表示される。
『私が...やったの?』
「あぁ。リア、君がやったんだ!いや本当にマジですげぇよ。射撃とか俺より上手いじゃん!」
よく考えてみれば彼女の攻撃はメインカメラやスラスターなどMSにおいて急所とも言えるようなところを的確に撃ち抜いていた。
中々出来ることじゃない。
凄いな、もしかしてFPS経験者だったりするのだろうか?
『そ、そんな...私は後ろから撃ってただけだし....。そ、それよりもっ!あ、アナタの方が凄いよ?わ、わたし、あんな目の前でサーベル振り上げられたら...怖くて動けなかったかも.......。』
「そ、そうか?い、いやそんなことないだろ。ハハハ....。」
なんだこれ。
凄い楽しいゾ。
未だかつてなくこのゲームを楽しいと思っている。
これは連携がうまく行ったからだろうか?
なるほど、フォース戦が醍醐味と言われるはずだ。
フォース戦は大抵はチームメイトと連携して相手を倒していく。
だからこそその連携が上手く行けば今のような気持ちを味わえるのだ。
なんでもっと早く始めなかったかなぁ。
いや、ここは誘ってくれたユイハに感謝しないとな。
二人はこのまま先のバトルの感想を述べ合いながら帰投する。
ミッション報酬は基本的な報酬とシークレットのクリアもあってかかなりの物だ。
それに報酬としてギャプランの可変フレームも手に入った。
これで可変機をもう一基作ろうと思えば行けるな。
「いや、本当にありがとう。ここまでスムーズにできたのは君のおかげだ。」
「そ、そんな...え、えへへ........」
彼女は俺が褒めると困ったような表情をした後に照れくさそうに笑う。
いやここまでやりやすいのは中々ないと思う。
比較対象があの脳死チンパンしかいないからアレだが。
「わ、私役に立った?また....一緒にやってくれる?」
彼女は上目遣いで聞いてくる。
俺はそんな彼女に笑顔で答えた。
「おう、なんなら今回リアがMVPなんじゃないか。それに、フレンドなんだから遠慮せずDM飛ばしてこいよ。」
そう言うと彼女は嬉しそうに笑う。
「え、えへへ....うん!」
ここまで相性の良い相方は稀だろう。
大事にしなきゃな。
そう思っていると、一人が駆け寄ってくる。
誰だ?
目を凝らすとげんなりとさせられた。
「....?どうしたの?」
隣でリアが不思議そうに首を傾げる。
そしてそいつはここまでたどり着く。
「はぁ...はぁ....見てたぜぇお前のミッション!流石俺の相棒だ!まさかシークレットまでやっちまうなんて!その横の子はお前のツレか!?なんだ水くせぇじゃん!紹介しろよ~~。」
暑苦しいし、鬱陶しい。
目の前のギャーギャー喚いているのはブリット。
前回の脳死クソチンパンだ。
なんで嗅ぎつけてきやがった。
彼が指さした方向を見ると、ロビーエリアの中央にある巨大なディスプレイ。
そこにはガンプラが戦っている様子が写っている。
ライブモニターは確か大会などがない場合は、その時点でミッションをやっているプレイヤーをランダムに映し出すらしい。
どうやらその抽選に選ばれてしまったようだ。
「ふえっ!だ、誰.....。」
彼女もグイグイ来るタイプはやはり苦手らしく、俺の背後に隠れる。
しかし能天気なのか、目の前の男は手を挙げて自己紹介する。
「よっ!俺はブリット・サルノ!そこのアンタのツレの相棒だ!」
「勝手に相棒にするな。俺はもうお前の介護はしないぞ。」
勝手なことを宣う彼の言葉を否定する。
お前みたいな三流ビルダーの世話はもうごめんだ。
俺にはリアが居るんだ、もうボッチビルダーじゃない!
すると彼はまたヘラヘラと笑う。
「またまたぁ~ツンデレとか可愛いな、だが今はそういうの良いぜ。」
そう言ってウインクし出す。
コイツ、一度一緒にプレイしただけで......
「うぜぇ.....」
本音が口から洩れる。
すると俺と彼を交互に見て、彼女は上目遣いで俺に聞いてくる。
「知り...合い....?」
「いや知らない人」
「相棒だからそれ以上だ!」
俺と彼の言い分は食い違う。
すると彼女は目を回したみたいに困惑する。
「え、えっとぉ....うんん.....?」
ほら見ろ困っているだろうが。
さっさと消えて、どうぞ?
お呼びじゃないってそれ一番言われてるから!
俺が睨みを利かせていると、彼は笑って話を切りだした。
「まぁ楽しませてもらったし、なんか奢るわ。ちょうど俺もBC稼いでるしな。話聞かせてくれよ。」
そういって彼は飲食スペースを指さした。
そんな食い物に釣られるわけ....。
「わぁぁあ....」
隣の彼女の表情が明るい。
....しょうがないな。
「...分かった。でもお前がそこまで稼いでるなんてな。猿みたいに突撃しても稼げるミッションでもあったのか?」
ジャブ程度に嫌味を言うも、彼は気づいていないのか笑って答える。
「あぁっ、違う違う。俺も昨日の今日で結構出来る相方見つけたんだよ。今度紹介するぜ。...あっ、でも勘違いすんなよ。俺の相棒はただ一人、お前がナンバーワンだ....。」
「そのナンバーワン、その結構出来る相方とやらに譲るわ。ほら、気が変わらないうちにさっさと行けよ。おらあくしろよ。リア、俺の知り合いがなんでも奢ってくれるらしい。好きなだけ頼んでいいって。」
「ほ、本当ですかっ?...あ、ありがとうございます。い、良い人ですね!」
そう言って俺は彼を促しつつ、細やかな抵抗をする。
願わくば彼女が彼の財布を食い尽くすことを願って。
「お、おう!ドーンと来な!」
彼は若干冷や汗を掻きつつも、今更撤回できずに胸を叩く。
へっ、ザマぁ見ろ。
俺はただでは起きないんだ。
自分の思い通りになると思わないで欲しい。
...まぁ結局奢ってもらうんだが。
戦闘もそう言う感じで常識的にして欲しい物だ。
てかもう戦わないで、話しててくれないかな?
少なくとも話している間は気の良いイケメンの兄ちゃんなんだから。
俺達3人はそのままカフェスペースへと足を運んでいった.....。
神薙ガンダム・幽尼魂
SDウーンドウォートのフレームにSDユニコーンの装甲などを付けて、巫女風のデザインにしたもの。
最初は神威モードだが、隠された形態があるらしい。