4月から開始した玉手箱カフェは、レベルの高い料理に安定の玉手箱価格ということで非常に好評であり、見事に半年先まで予約でいっぱいになった。なお半年先までしか予約できないシステムのせいで『半年先まで予約でいっぱい』になっているだけで、もしこの制限が無ければ3年後とか4年後まで予約でいっぱいだった可能性がある。
店内の空間にゆとりはあるから、もう少し詰めろという客からの指摘もあるけど、ぎゅうぎゅう詰めにしたくないから仕方ない。あと消毒用のアルコールを一桁間違えて注文して、20リットルの箱に入ったアルコールが50箱届いたから、たぶん再来年ぐらいまで持つ。それまでは火事にならないよう、冷蔵室に保管するしかないね。
「……客単価3000円ほどで、1日の来客数は1000人前後。予約されている料理を作って並べるだけで、1日に300万円の売上を吐き出すとかヤバイですわ」
コメント:配信でそんなことを言う方がヤバイですわ
コメント:あれはちゃんと作っている味だよね
コメント:摩季ちゃんあのカレー作って負けたのか……
コメント:特盛食いきれんかった
コメント:ちゃんと特盛のご飯の量500gって書いてあっただろ
コメント:2号店待ち状態
「あと他社から不当廉売による独占禁止法違反の訴えがありましたが、玉手箱の経営は至って健全ですわ。流石に安すぎるという文句には怒りますわよ」
コメント:草
コメント:実際安いんだよなあ
コメント:2周年記念ライブの売上額と利益額まできっちり公表する姫はヤバイ
コメント:ライブはいつも収支報告してるぞ
コメント:大儲けしていることを隠さなくなってきたな
コメント:他の玉手箱ライバーは普通なのに、姫だけ異質過ぎる
コメント:普通(奇跡のバーゲンセール状態)
2周年記念ライブが終わってから、チャンネル登録数が急激に伸びたのは一瞬だけ地上波で私の名前が放送されたからだろう。地上波って凄い。今のところ進出する気はないけど。怪異を見るような目で見られるだけだし。
あとは転売屋に対するお気持ち表明をした時の、高クオリティなMADが投稿され、そのせいで伸びているのもある。
「今まで転売屋を、利用していた面はありましたわ。特に倉庫代がかかる大きなグッズの買い占めとかはよくやってくれましたし、その点はありがたかったぐらいですわ。ですが今回、玉手箱は転売屋に対して……」
本来なら、長々と語っていた文言は、ファンかアンチか対立厨か分からない1人の人間によって簡潔に纏められた。
「転売屋はよくやってくれましたわ。ですがもう用済みですわ」
……ボイスロイドのように、発声を繋ぎ合わせた簡潔な文言を繰り返し言うだけのMADは、何故か超伸びてニッコニッコ動画のデイリー1位にもなった。大体あってる、完全一致などのタグがついており、コメントは賛否両論だった。燃えているじゃないか。
そしてこれを機に、私の声を繋ぎ合わせて歌にする動画が流行の兆しを見せる。何だかんだ言って、2年以上ほぼ毎日配信しているんだから素材は豊富だ。中には完璧な調教をしていて、実際の私よりも上手に歌わせている人とかもいる。もう誰でもボイスロイドになれる時代、人気のあるVtuberは玩具にされやすいね。
あ、客単価が高い理由としては300円につきスタンプ1個という玉手箱カフェ特有の制度のせいだろうね。3000円でスタンプ10個となり、缶バッチと交換可能。スタンプ20個でアクリルスタンド、スタンプ30個でタペストリーと交換可能です。
1回の来店でスタンプが10個までしか押されない仕様なので、タペストリーが欲しいなら3回来店して下さい。壮絶な半年後の予約競争に勝って下さい。スタンプの数を細工しても、来店履歴が全部残っているので丸わかりです。
履歴が全部残るのは、大体D子さんのせい。D子さんは本職のSEと比べられたら劣るだろうし、カンニングしながらだけど、予約システムとかをちゃんと作ってくれている。
……まあ、2号店までは出店しても良いかな。それ以降は様子を見ながら、予約でいっぱいという状態を維持しつつ拡張路線に入るしかない。今のところ、玉手箱の用意できるキャパが少なすぎることに不満が出ている状態だしね。でも1年後のことを考えると拡張したくないジレンマ。
「玉手箱カフェの予約の時間帯には余裕を持っていますけど、次の予約時間に被さるような居座り行為は止めて欲しいですわ。基本的には何時から何時までと表示されている時間内で飲食を終えて欲しいですわね」
コメント:45分あったら十分
コメント:居座り客他箱のスパイ説
コメント:予約制は色んな意味で正解だわな
コメント:はーい
コメント:特盛2杯でも10分あれば行ける
コメント:特盛2杯ニキはカレーを飲み物だと思ってそう
コメント:話題になってないけどたらこパスタオススメ
コメント:タペストリーほすぃ
最後に軽く注意だけして、配信を終える。ファンが多くなったことで、ゲーム配信を求める層がいれば、社長業の配信を求める層もいる。今まで起きてなかったことが不思議なぐらいだけど、ファン同士で私の今後の方向性についての言い争いが起き始めているのは少々不味い。こればかりは、私自身の力で打開しないと駄目だから何とかしないと。