「あー、あー。音量大丈夫?大丈夫。よかった。
こんばんは。Vtuber高校麻雀部の夜霧桜花です」
玉手箱とVtuber高校の初のコラボ配信が始まり、まずは夜霧さんが放送を始める。彼女が麻雀の部屋を作って、そこに私が参加して、通話に参加という流れ。向こうのチャンネルでの配信になるけど、Vtuber高校の視聴者層と玉手箱の視聴者層は結構違うからこのコラボは先のことを考えなければ美味しいコラボだ。
向こうもチャンネル登録数は4万7千人で、5万人を突破したらVtuber高校では3D化という話ではあったけど、既に彼女は3D化が決定している模様。
そして3Dに移行する際、私は前の世界の知識として彼女達が一時配信を中断するということも知っている。時期的に考えると、そろそろ3D化に伴う配信中断期間に入るだろう。何故中断期間に入るのかはVtuber高校の運営しか知らないので分からないです。
さて、夜霧さんが今日の流れを説明しているうちに彼女が今後どういう動きをするのか説明しよう。夜霧さんは今でこそVtuber高校の4番手だけど、前の世界では1年後にVtuber高校のトップとなりチャンネル登録数15万人を達成する。身内感が強く、閉鎖的な雰囲気が漂う中での15万人達成はかなり凄いことで、またファン層にガチ恋勢も多くスパチャも多かった。
そんな彼女は、チャイナマネーを求めて中国進出を目論む運営と真っ向から対立したようで、運営と口論をしたことを配信内で言及。その後、Twitterでもお気持ちを吐露した。
そのTwitterでの投稿は数時間後に削除され、運営Twitterから彼女の活動自粛を発表。そのことについてTwitterで言及をした、箱内の真ん中ぐらいにいた
そして、一月半後にこの3人と契約解除した旨を運営側が発表した。まあ、ここまでならVtuber界隈だとわりとどこにでもある不幸話なんだけど、彼女らはここから奇跡の復活を遂げる。その奇跡の復活の後、自滅するんだけどね。
そういえば2D3Dの面子にも一度引退してから復活したことで大人気になったVtuberがいるし、やっぱり凡人が人気になるためには一度死んで復活する救世主ムーブぐらいしないと厳しいのかな。
「では今日のコラボ相手の発表ですが、なんと玉手箱の華山さんが来てくれました!わー!拍手ー!」
「はじめましての方ははじめまして。Vtuberの華山亜季ですわ」
まだ2D姿の夜霧さんの隣に表示される私の絵は、何か絵柄が違っていて合ってないなあと思う。この後は雑談をしながら麻雀をするわけだけど、向こうが話を回してくれるお蔭で凄く助かる。
「華山さんは、好きな役は何ですか?」
「好きな役ですか。初めて上がったのは三槓子ですが……出来ることなら、四槓子というのも目指してみたいですし、好きな役は四槓子にしますわ」
「四槓子ですか!私は麻雀歴長いんですが、四槓子は1回しか上がったことがありませんね。他人が上がっているのも1回しか見たことがないです」
話をしながら、夜霧さんの放送を見てコメントを見ていると中々にスピードが速い。初の箱外コラボだったようで、私に興味を持っている方も多かった。同時視聴者数は、6000人と流石のアクティブ率の高さだし私のチャンネル登録数も一気に800人ほど増えている。
コラボというのはチャンネル登録数を増やす1番の手段だし、ずっとコラボをしている配信者もいるぐらい有効な手段だ。にしても向こうは綺麗に染めてるな。初心者なら全ツッパで良いだろうし、取れ高のために振り込んであげよう。
……東1で振り込むなら、今後全部振り込んで存在感を残すか。
「ロン!1発です!裏は……乗らず。でも三倍満!」
「振り込むと思いましたわ……」
コメント:やった!
コメント:おおおおお
コメント:3倍満だ!
コメント:これ向こうも張ってたのかなあ
コメント:姫、初の振り込みが三倍満
コメント:この子可愛いなあ
夜霧さんの配信のコメントを見てると、どこか視聴者層が違うということがひしひしと伝わってくる。もうすぐこの子もチャンネル登録数が5万人を超えるだろうし、3D化したらこちらも3Dにならない限りコラボは難しいだろうね。
その後は入って来たスナイプ勢のレベルが高かったのもあり、私が振り込みマシンとなり、全対局で差し込んでおいた。トビ無しで良かったというか、もの凄いマイナス点だね。そして点棒が激しく動いた今対局で、勝ったのは夜霧さん。接待とはこうやるのだよ。
コメント:あれ?
コメント:この子今までの対局全部一発で振り込んでない?
コメント:まさか、ねえ?
コメント:姫、接待モードに入ってる?
コメント:ガチ初心者でも全部一発で振り込むとかそんなことある?
コメント欄も気づいたようで、不穏な空気が漂う中コラボ配信は終了。麻雀で全部1位を取るのは難しいけど、全部4位を取るのは簡単なのだよ。こうした方が、視聴者にインパクトは与えられる。Vtuberとして存在感を示していくには、こういうこともしていかないといけない。
コラボ配信が終わった次の夜霧さんの配信では、コラボ配信での私の牌譜を見ていたけど案の定驚いていた。まあ全部綺麗に高めへ振り込んでいたから、わざとしかあり得ないのだけど……これがVtuber、華山亜季の姿だ。