「皆さん、はじめましてー。世界初のバーチャルライバー、
とうとう来たXdayに、そのVtuberは産声を上げた。しかしながら名前が違うし、しゃべり方も少し違う。これが私のせいなのか、世界が変わったせいなのかは分からない。でも彼女から、Vtuber界隈は広がりを見せて行くのは確かだろう。
彼女は、Vtuber界の頭取と呼ばれるようになるのだろうか。私とは違って、立派な3Dモデルに瞬時に話題となるほどの拡散力。今後、実況動画とかを上げていくんだろうけど……逆立ちしたって敵わないことは理解している。
チャンネル登録数はすぐに1000人を超え、2000人に到達しようとしていた。対する私は、53人。これが配信者としての格の違いか。
彼女がデビューした翌日に、さっそく私は生配信で彼女の存在について触れる。今日はポ〇モンでレート戦を潜りながら、まったり雑談の日だ。来てくれた人数は、13人。最近は、ようやく二桁に乗るようになった。
「Vtuber、増えましたわね。世界白さんの動画、皆さんは御覧になりましたか?」
コメント:見た
コメント:立派な身体だった
コメント:立派(胸)
「彼女を差し置いて、世界初のVtuberを名乗るのは心苦しいのですが……そもそも彼女はバーチャルライバーと言ってましたわね。私はバーチャルユーチューバーなので、すみ分けは出来ているでしょう」
コメント:それって同じってことでは?
コメント:姫はもうちょっとTwitterの更新頻度上げた方が良いよ
コメント:ニッコニッコ動画には動画とか投稿しないの?
「Twitterはあれでも頑張っていますの……。
そうですね、ニッコニッコ動画へは……皆様が面白いと思った部分を切り取って投稿してくださいな」
コメント:ダメだこの姫、働く気が無さすぎる
コメント:でも切り取り動画は良いかも
コメント:もっとしっかりしてれば人気出るのに……
「私は多くの人からの人気が欲しいわけではないですの。こうやって世界の誰かとおしゃべりをしながら、楽しいを共有したかったのですわ」
ほぼ固定面子となった3人のコメントに対応しつつ、レート戦は8割方勝利する。まあポケ〇ンは強いキャラを使っての読み合いじゃんけんに勝つゲームだし、勝って当然のキャラで勝ってもそこまで面白くはない。でも自分が負けるのが嫌だから強いキャラしか使わない。何やこの厨パァ!
本音はひた隠しにしつつ、綺麗な華山亜季を演じるけど、このコメント欄にいる面子には本性見抜かれてそうなんだよな。まあでも、もしかしたらこの中から切り取り師が生まれるかもしれないし、その僅かな可能性に私は賭けるよ。
世界初のVtuberがどんどん順調に登録数を伸ばしていく中、私も微増を繰り返し、年末までにチャンネル登録数が100人を突破した。向こうは1万人を突破しているけど、今の自分にはこの100人が身の丈にあった人数のような気がする。まだ一銭も稼げてないけど、順調順調。
そして年末、私の飛躍への手掛かりが向こうからやって来た。
「華山亜季さんも、世界初のVtuberなんですよね。今度、お互いに世界初を賭けてゲームコラボ、しませんか?」
TwitterのDMに届いたメッセージは、まさかの世界白さんからのコラボの誘い。流石にフットワークが早いというか、何というか……。しかもちゃっかり世界初の座を奪い取ろうとしているし、したたかな子だなあ。
Vtuber界隈の初期は、手を取り合って優しい世界を作ろうとしていた。そうじゃないと、Vtuber界自体が潰れてしまいかねないからだ。だから手を取り合って、支え合う。そこに惹かれた人も、結構な数がいたと思う。
「良いですよ。生配信でゲーム対戦、いたしましょうか」
ゲーム対戦、それならば元ゲーマーの私が負けるわけない。向こうもゲームには自信があるんだろうし、下手すりゃ喋る人とゲームする人が別の可能性すらあるけど、それでも負ける気はしないかな。
対戦するゲームは、運要素もそれなりにあるマリ〇カートに決定。向こうは勝つ気満々だけど……ごめんね?私そのゲーム、負ける気がしないの。
向こうの子がばっちりとコラボの宣伝をしてくれたお蔭で、一気にチャンネル登録数は増える。さっきまで100人だったのが、もう1000人に届きそうってどういうことなの。向こうのアクティブな層がそれだけ多いと言うことだけど、プレッシャーかかるなあ。
……次の配信は、間違いなく視聴中の人間が3桁になる。今後、私を推してくれる人が急増するかもしれないビッグイベントだ。向こうもコラボ自体が2回目なので、注目度は普通に高い。
あ、だめだ。何か緊張してお腹が痛くなってきた。今後のVtuber界すら左右するかもしれないとか思うと、本当に胃が痛いです。もう蓮根みたいに穴が空きまくりそうだよ……。