輝きたくて   作:インスタント脳味噌汁大好き

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年末恒例行事

3DのVtuberが人気を博している中、2DのVtuberは3DのVtuberと比較すると伸び悩む時期が多いというか、そういう時期がこれから何度も襲い来る。爆発的に増えたVtuberの中で、伸びようと思ったらそれなりの特徴や強みがないと難しい。

 

特徴や強みのあるVtuberも、時勢に遅れると視聴者がまず来ないし、継続してきてくれる人は限りなく少ない。声がそのまま乗るのが嫌なVtuberはボイチェンを使ったりしているけど、機械感が強いと本当に人が来ない。

 

初期の頃のアーカイブを見直すけど、この頃は1時間の配信でコメント数が12とかだったんだよね。なおコメントの半分は「こんばんは」とか「ちわす」という挨拶の模様。この頃はVtuberの数そのものが少なかった上に世界初のVtuberを名乗ったからか人が増えて行ったけど、もう少し遅れていたらそのまま撃沈していた未来は十分にあった。

 

それが企業勢となり、いつの間にか登録数は8万人近い。上を見ればキリはないけど、下を見てもキリはない。そんな位置にいる私が引いた魂の中で、最も輝いていた鶴見さんは、とうとう10万人を達成した。

 

鶴見さんの強みは、圧倒的なトーク力だ。あとオタク文化への理解度の高さと、ニッコニッコ動画文化の熟知と、圧倒的な行動力にゲームへの執念深さと上達度の早さ。現実では21歳という若さでコミュ力つよつよとか、マジで逸材としか言いようがないんだよなあ。

 

そして上手い具合に、10万人突破と同時に3Dモデルの準備が出来る。もちろん、これを同時に行うわけにはいかないので10万人突破記念枠をやって貰った後で、いや10万人記念枠のラストで3Dモデル公開放送の告知をして貰おう。ぶっちゃけ3Dモデルを依頼して作って貰うのは馬鹿高かったし、出来は良いけど玉手箱のトラッキング技術がイマイチなので若干軟体生物っぽくなる。

 

ただ3Dモデルを作ってくれた人が中々に優れていたようで、普段の配信でもゲームが軽ければ使えるようだ。マイ〇ラとか、そういう配信で使えるのは強みかな。

 

「オーナーもわるよのお」

「うるさい。それよりも趣味で始めたというアビスレーンの案件が来てるんだけど。見た感じ、ガチャ配信で良いみたいだよ。ガチャのお金も1万円分出る」

「マジっすか。確率とかも弄られます?」

「そこを弄ったら意味ないでしょ。出来れば神引きしてね」

「シーバルさんに祈祷しておくわ」

「応援ボイス届けさせようか?ご利益ありそうだし」

 

で、3Dのモデルで配信するに当たってテストは必要なので本社に鶴見さんを呼び出す。ついでにB子さんとC子さんにカメラの用意をさせて、当日にどう撮るかと画面の切り替えについて指導。明日、10万人突破記念にふり返り配信をしてくれるそうなので、スパチャは稼いだ上で3日後の3D配信に望めるかな。

 

「にしても一気に伸びたねえ。VtuberPU〇Gさいつよ決定戦優勝おめでと」

「……なんでオーナーは出なかったんですか」

「鶴見さんに勝ってもらいたかったし。大会の規模的にさいつよ決定戦優勝ブーストで+10000ぐらいは見込めたからね。10万人届くかなーって」

「むー!次の世界白マリオ〇ート杯にはオーナーも出て下さいよ!」

「あ、その話だけど玉手箱のマリ〇カートの大会をやるよ。だからそっちには参加して欲しくないかなー」

「……えっ。白さんが開催するんですよ?全員参加出来ますし、規模はめちゃめちゃデカいですよ?」

「めちゃめちゃデカいのが問題なの。しかも通話ありでしょ?……地獄が見えるようだよ」

 

来月、というか年末にはVtuber全員でマリオカートすると白さんが言っているけど、玉手箱は玉手箱でマリオカート杯を開催する予定だし、もうあらかじめラインの方に投下しちゃおう。明らかな後出しだけど、後出しだからこそ意味がある。

 

……白さんは恐らく、参加してくるVtuberの選別をしない。PU〇Gは制限なしでもまだ良かった。1戦だけだし、各個人個人の画面だけで完結していたからだ。しかしマリ〇カートになると運が絡むし……例えば12人の内、上位4人までを勝ち抜けとして、大規模だと何戦も予選、本戦をする必要がある。

 

そもそもまだ、一般層にVtuberが浸透してない中での大規模コラボとか嫌な予感しかしない。それならまだ、玉手箱の年末行事としてマリカ杯を2D3Dより1年早く開催したい。上手く行けば、2D3Dと玉手箱の合同開催も目論むことが出来る。2D3Dとのコラボが増えているのも、将来的に仲良くしたいからだ。

 

最後に倒す敵と書いて、友と読む存在が2D3Dだし。……玉手箱全員参加なら14人でのマリオカート杯になるし、何とか7人7人に分けての予選と、8人での本戦で上手く回せるかな。

 

ラインに投下した、玉手箱のマ〇オカート杯について、白さんの大会と被せるような形になった意図について疑問を抱く人もいた。だけど「これから100人近く、下手したら100人以上が参加を表明して、その大半が無名だとしたら、参加する価値はあるか」と「自社コンテンツにしてしまった方が良い」という意見に反対する人はいなかったし、全員こちら側に参加してくれるそうなので上手く行くと良いな。

 

……んー、白さんの大会よりも1日早く開催してしまえば良いか。少数の利を生かして、一足早く大会を成功させてしまおう。


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