「京都旅行の最中ですが、雑談配信ですわよ!」
コメント:こんばんワニノコ
コメント:今日は何したん?
コメント:お寺行った?
コメント:観光客多い?
同じ部屋で、摩耶さんと雨鳥の三人で雑談配信をするけど声が混ざらないようにそれぞれ距離を離しています。1個のマイクを3人で使ってもよかったんだけど、身体が重なるとアバターが動かなくなるからね……。
「今日は宇治を中心に、色々と探索したよ。今は今日泊まるところで休憩中かな」
「京都来て思ったけど、京都っておっぱい大きい子が多いよね?地元民っぽい子の胸が全員大きかったんだけど」
コメント:摩耶っさん……
コメント:京都の女の子のバストサイズは大きいというデータがあった気がする
コメント:宇治かあ
コメント:となると抹茶ソフトとか食べたのかな
「そこの抹茶ソフトコメントの方、大当たりですわ。ついでに抹茶どら焼きや茶そばも食べましたわ」
コメント:まあ宇治に行ったら食べるよね
コメント:感想とお土産はよ
コメント《1000円》:卒業旅行代
コメント:茶そばは食べてみたいなあ
「姫、食事の感想も良いけど、一つ突っ込みたかったところに突っ込んでも良い?」
「何でしょう?」
「何で姫はそんなに荷物少ないの?逆に摩耶はめっちゃ多いし」
「お嬢様たるもの、遠出する際に持ち運ぶ荷物は最小限にしますわ。
何かあれば、現地調達すれば良いのですわ」
コメント:荷物の差か
コメント:姫のトランクには着替えしか入ってなさそう
コメント:移動は新幹線?
コメント:現地調達派か
「私も現地調達派だよ。そこら辺の熊を狩って、食料と皮にして……」
「摩耶のトランクどーん!」
「御開帳ですわ!」
「あー!見るなー!」
コメント:草
コメント:一番荷物が多かった摩耶のカバンには何が……?
コメント:電気マッサージ器とか入ってそう
コメント:銃とか出てきそう
コメント:もしくは死体?
配信が始まると、荷物の量の差について雨鳥さんが触れ、摩耶さんのトランクを開けるという流れに。どう考えても大きいし、私も気になるから何が出て来るかと思ったら、モバイルバッテリーがうじゃうじゃ。あと可愛いぬいぐるみもあるね。化粧道具も多いし、女子力の差も感じた。
「え、なにこのぬいぐるみめっちゃ可愛い」
「イルカさんですわね。抱き枕?」
「殺す」
コメント:マジトーンの「殺す」助かる
コメント:めっちゃ生活音入るの草
コメント:イルカのぬいぐるみ送ったろ
コメント:摩耶っさんが一番化粧の量多いのは意外
そこから雨鳥さんと摩耶さんがドタバタするけど、2人ともなるべく音が入るように、なおかつ騒音騒ぎにならないよう配慮してやっているので傍から見ると笑いがこみ上げて来そう。
一段落したら、今日だけじゃないのかもしれないけど観光客が多いことに触れて、外国人も多かった話とかをする。実際、どこに行っても人だらけで、ちょっと人込みを歩くだけでもインドア派の私は疲れていた。
……この観光客が、2年後には消え失せることになるんだよね。2020年の年始、いや、2019年の年末から騒がれ始めるコロナ騒動は、Vtuberにとっても大きな出来事であり、大きな追い風にもなる。
コロナが流行し、自粛生活を強いられ、家の中にいる時間が日本全国で多くなったからこそ、Vtuber達は2020年に大きな飛躍をする。バブルのようにチャンネル登録数は軒並み増え、金盾ライバーや金盾まであと一歩というようなVtuberが量産され、コンテンツとして大きく成長した。
もしも、もしもこのコロナ騒動を防ぐ手立てを私が握っているのだとしたら、どうするのが正解なのかは分からない。実は私は、Vtuberになる前に一度仮想通貨を購入している。その仮想通貨が史実通りに成長するのであれば、僅か5年で、資産が1万倍になるはずだった。
10万円分の仮想通貨が、10億円の仮想通貨になるはずだった。Vtuberになろうと決心したその前、ギャンブルなどでは稼げないと判断した私は、それでも未来知識でお金を稼ごうとした。ただ、こちらは大きく失敗した。伸びるはずだった仮想通貨の価値が暴落し、私の10万円は塵と消えた。
一方で、本来であれば全然伸びないはずの仮想通貨の価値がぐんぐんと伸び、ギャンブルで稼げないのはこういうことかと私は痛感している。いや、仮想通貨がギャンブルだと私は思わないけど、あの悪魔にとってはギャンブルだったということでしょ。
もし私がコロナ流行を予言して、マスクの買い占めとかをすれば、世界にコロナは流行らないのだろうか。それともマスクの値段が高騰せず、結果的に私自身は赤字になるということになるのだろうか。まあでも、マスクの買い占めだけでコロナの騒動を防ぐことが出来るなら、それは良いことなのかもしれない。
「茶そばは普通でしたわ。茶の風味のある蕎麦でしたわね」
「えー?美味しかったでしょー?
というか姫の語彙力ぅ……」
「でも実際、茶そばはそんな感じだったわね。
あ、この茶そばを運んできてくれた女性の人のバストは100近かったよ。間違いない」
コメント:どこの茶そば屋?
コメント:そこは別の事情で人気でそう
コメント:この3人はどこへ行ってもブレねえな
コメント:楽しそうで良かった
とりあえず明日一日京都のお寺巡りをしながら、世界平和について考えてみようか。