輝きたくて   作:インスタント脳味噌汁大好き

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ゲーマーコラボ

「今宵の挑戦者は貴様か。世界初のVtuber、華山亜季!」

「うぇえっと、はい。華山亜季です」

「……なんというか、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

 

コメント:【悲報】姫、非姫化

コメント:ガチ陰キャが会話できるわけないだろ!いい加減にしろ!

コメント:デッキが貧弱過ぎる

コメント:なんか今日の相手めっちゃ弱そう

コメント:こう見えてオールジャンル糞つよVtuber

 

今日はいよいよゲーミングクラブとのコラボの日。残念ながら放送するチャンネルは向こうのチャンネルだけど、向こうの方がチャンネル登録数は多いし、こちらが挑戦者だから仕方ない。

 

「ふむ、そうだな……我が勝った場合は、我々の絵を描いて貰おうか。配信で」

「じゃあ私が勝ったら……私の言うことを一つ、なんでも聞いて?」

「よかろう」

 

コメント:この子緊張すると標準語になるんです

コメント:ん?今なんでもって

コメント:崇禅寺が負けるわけないだろ

コメント:この子絵上手いの?

コメント:↑まあまあ上手い

 

ゲーミングクラブとのコラボでは、代表の崇禅寺 海斗(そうぜんじ かいと)さんと1対1のスプ〇トゥーン対戦をする。そして基本的に、ゲーミングクラブとのコラボでは何かが賭けられる。

 

この賭けで、挑戦者側は大きく賭けても基本的には断られない。一方で相手側は、断られない程度の依頼をしてくる感じ。このVtuberグループ、本当にゲーマーが集まっているというか、ゲームが強い。だから人気が出たんだろうけど……じゃあ何で私は人気出ないんだろ?

 

「さあ、殺し合いの時間だ!」

「……手加減してね?」

「するわけなかろう」

 

コメント:姫のツイッター「ガチバトル希望」

コメント:この子喋れないタイプなのか

コメント:さっきから崇禅寺1人しか喋ってねえ

コメント:なんだこの空気

コメント:あれ?今日の放送はソロ配信なのかな?

 

1対1、短い時間の中で相手を何回倒せるか。その数で競うこととなり、武器を変えての5回勝負だから先に3回勝利した方の勝ちとなる。このゲーム、一応前の世界ではひたすらオンライン対戦をしていたから得意な方だけど、相手もかなりの強者。

 

無言になり、相手の出方を窺いながら接近をしていく。ん、はいここ。

 

「何!?」

「はいじゃあ逃げます」

「な、おい貴様卑怯だぞ!というかその煽りはやめろお!」

 

一回倒した後は、ひたすら逃げで時間を稼ぎ、1試合目は勝利。続く2試合目も同様の手順で勝ったところで、崇禅寺さんがキレる。

 

「逃げ回らずに正々堂々と勝負しろお!」

「してるしてる。最初の会敵で倒せない方が悪い」

「ぐう……貴様それでも配信者か!」

 

コメント:wwwww

コメント:待ちガイルする子だから……

コメント:スマブラでループ利用して1手も相手に手番を渡さない子だから……

コメント:勝利への執念という意味でなら世界1位じゃないかな

コメント:ちょっとチャンネル登録してくる

コメント:3戦で終わりそう

 

そして3試合目。自身の得意武器を選び、ひたすらスナイプしていたらこの試合だけで崇禅寺さんを6回倒してしまった。こちらは1回も倒されず、パーフェクトゲームだったと言っても良い。なお配信的には微妙だった模様。

 

「ぐ、これで何でも言うこと聞かないといけないのか……」

「そうだよー。

あ、放送が短くなってしまったし、告知をしても良いかな」

「好きにしろ」

 

コメント:何でも言うことを聞かないといけない……ゴクリ

コメント:そんな奴の言うこと聞かなくても良いよ

コメント:おお、何の告知だろ

コメント:姫、放送時間を短くするために3戦で終わらせた説

 

「今日から私の公式ホームページにてライバーを募集するよ。起業するから、私の会社からライバーとしてデビューしたい人は応募してね。期限は結構あるよ」

 

コメント:は?

コメント:おおおおお……おおおお?

コメント:待って、この子起業したって言った?

コメント:屑みたいな性格と化け物みたいな行動力の持ち主

 

配信では「なんでも言うことを聞く券」を崇禅寺に発券してもらい、穏便に終わらせる。私のチャンネル登録数は、一気に増えて4811人。でもこんな奴がトップの会社に、果たして応募してくれる人はいるのだろうか。

 

怖くなって眠って起きたら、チャンネル登録数が5000人突破してるう。昨日のコラボのアーカイブが回ったようで、切り取り動画も多くニッコニッコ動画へ投稿されたようだ。1万人を一つの区切りにする人は多いけど、大半はその半分である5000人すら突破することが出来ない。特に個人勢だと、何年やってもチャンネル登録数が1000人をちょっと超えたぐらい、ということがよくある。

 

お待ちかねの応募の方は、既に十人以上の応募がある。流石に相手のチャンネルでああいう広告をするのは不味かったのか、逆にそれが好印象を与えたのか、Twitterでもちょこっと話題になったみたい。ありがたいことだね。

 

さて、この中に未来の大物Vtuberがいるかどうか。それ次第で今後の私の人気は大きく変わるのだから、お祈りタイムだね。


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