ツグミさんにプレゼントするスチームのクソゲーは、草をプレゼントすることにした。正式な名前はGrass Simulatorで、評価は主に不評と賛否両論を行ったり来たり。地味にニッコニッコ動画で人気のゲームでもあり、クソゲー過ぎて逆に面白いという声もあるけど、実態はただの虚無ゲーである。
まあ1本ぐらいは実況出来るゲームにしないと、ツグミさんの償い配信なのに視聴者も地獄を見るからね。残り2本の内1本は、鶴見さんが7円のゲームを送り付けていた。ついでに私のところにもギフトで来た。玉手箱全員分買ったらしいけど、テロ活動はやめて。
そんなこんなで炎上は無事に去った状態で、パワ〇ロを使った玉手箱ライバーの甲子園を開催する。1回戦は各々の配信チャンネルで行って、2回戦以降は玉手箱の公式チャンネルという形。地味にまだ玉手箱の公式チャンネルのチャンネル登録数、11万人しかいないからね。この機会に認知してもらわないと。
「……1回戦でシーバルさんとの対決ですか。お互いに不運ですわね」
「いや?俺は何としてでも姫と戦いたかったぞ?」
コメント:1回戦が事実上の決勝戦だな
コメント:恐らくチームの総合力では1位と2位の対決
コメント《1000円》:姫頑張れー
コメント:よりにもよって推し2人が1回戦から対決してる件
そして始まった1回戦の第1試合で、優勝候補の私とシーバルさんが激突することに。今回は高校の監督になるモードで3年間プレイし、作ったチームで試合をするけど、私は2年目に投手で天才型の大当たりを引いている。一方、シーバルさんは初期能力が強い選手こそ来なかったものの、3年間で特殊能力取得の成功率が95%と恐ろしい強運を発揮している。間違いなく総合力はトップ。
どうなるかなーと、試合を観戦しながらお互いに解説していく。序盤、順調に点を取って喜んでいた内はよかったけど、7回表になると8対0と少々一方的な試合展開になって若干の塩試合に。8回表の私のチームの攻撃が終わって、9対0はちょっと見ていてつまらない試合。
「これは勝ちましたわね。お風呂に入ってきますわ」
「いや、そんなフラグでこの試合は覆らないでしょう。しかし2年生エースなのに恐ろしく強いですね」
「1年目から甲子園で活躍させましたしね。あ、少し離席します」
「いってらっしゃい」
コメント:お?フラグか?
コメント:流石にここから逆転は……
コメント:一方的な試合展開になったなあ
コメント:ここからの逆転は無理だな
8回裏を迎えて、ピッチャーを3年生の守護神に交代する。2年生エースと比べても能力値は遜色なく、より特殊能力が多い絶対的守護神です。9点差あってこの状況で、負けるわけがない。
そんな風に慢心して少し離席していたら、連打を浴びて1失点していた。まあたかが1失点だと思っていたら、更なる連打を浴びてあっという間に点差が詰まって来る。
「おかしいですわ!ちょっ」
「10連打ァ!」
「ふぁー」
コメント:ふぁー
コメント:8点目
コメント:魔物使われた?
コメント《5000円》:姫、初戦負けだったけど楽しかったよ
「まだ負けてませんわ!ピッチャー交代ですわ!」
「え、残り2人の投手は弱くなかった?」
コメント:あっ
コメント:あっ
コメント:もうみんな察してて笑う
コメント:あっ
「あっ」
「ナイスだ田村ァ!
これで同点!」
ラスト、最後の投手を使って抑えようとしたものの、抑えきれずに8回裏、突如として13失点をした私のチームは初戦負けとなる。スコアボードを見ると、何度見ても8回裏に「13」の数字があるんですけどおかしくないですか?
「いやあ、ナイスゲームだったよ。11対13と、結果だけ見れば見事な乱打戦」
「ありがとうございます、鶴見さん」
「うん。じゃあ勝者として、何か一言だけお願い」
「ええと、この調子で勝ち上がりたいですね。あと1試合目からスケジュール崩しちゃってごめんなさい」
「13失点……13失点」
「姫も最終回は惜しかったねー。再逆転した後の、再々逆転を期待しちゃったよ。
それじゃあ次の試合、みこっちゃんと青蓮寺にーは準備してね」
司会進行役を務めている鶴見さんから連絡が入り、配信枠を閉じるように言われて正気に戻った私は「お疲れ様でしたー」と棒読みで言って配信を切る。うーん、シーバルさんのチャンネル登録をしていて私のチャンネル登録をしてなかった人が、一気にチャンネル登録をしてくれたかのようなチャンネル登録数の増え方だ。優勝は出来なかったけど、これはこれで美味しい。
結局玉手箱の甲子園は、シーバルさんが決勝で伏兵の加藤さんに負けて準優勝。2期生同士の決勝戦ということでわりと盛り上がったし、全試合に見どころがあったようなので切り取り動画も大量に上がった。一時、ニッコニッコ動画のカテゴリランキングを独占もしていたし、全体的にチャンネル登録数が大きく増加したので良い結果で終わったかな。
ついでに加藤さんが初めて3桁万円を超えるスパチャを稼いでいて、配信終了後、改めておめでとうをディスコードの通話で伝えると加藤さんは声が震えていたという。まあ男性ライバーだと1回の配信で3桁万円のスパチャを貰うことなんて、ほとんどないから仕方ない。
優勝賞品である『玉手箱運営が出来る範囲で一つ願い事を聞く券』をプレゼントすると、少し悩んだ末、加藤さんはオリジナルソングを要求して来た。うんまあ、出来る範囲で運営が一つ言うことを聞く券だし、良い使い方だからプレゼントした側にとっても嬉しい。とりあえず明日、このことは配信で発表しておこうかな。