輝きたくて   作:インスタント脳味噌汁大好き

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ハードル

「あのーですね、僕たち鳳家としてお料理大会に参加したんですけど、相方が持っているだろうと思っていた料理スキルをお互いに持っておりません!」

「というわけで刺し身を乗っけた海鮮丼でお茶を濁そうとしたら、2000円分しか買えないという。無理じゃん。姫のケチ」

「購入リストはこんな感じ。もう買ったものの名前見ただけで何がしたいのか分かるよね」

「大体海鮮丼。代替海鮮丼」

 

コメント:刺身こんにゃくとかかまぼことか見える

コメント:いけ……いける?

コメント:ハードルが地面にめり込んだ

コメント:1人当たり400~500円で海鮮丼作らないといけないからなあ

コメント:二人とも料理出来ないのか

 

「うん、2人とも準備は良いかな?ここから先は、完成後まであまり料理の解説はしないでね。こっちで勝手に喋るから。

はい、よーいスタート。」

「早いって」

「僕は先に漬けとくから、摩耶は酢飯お願い」

 

コメント:始まった

コメント:料理画面のないお料理番組

コメント:酢飯から作るのか

コメント:ご飯は既に炊いてあるはず。

コメント:手先だけでも見せて欲しい

 

恐らく長丁場となるお料理対決の、最初のA組はイクラやイカなど、比較的安価な海産物とともに、刺身こんにゃくやらかまぼこやらアボカドを買っている。これ、構成をしくじったなあ。買って来た材料の紹介は、後回しにした方が良かったかもしれない。材料だけで、大体何を作るのか予想出来るしね。作る料理自体は発表して貰っているんだけど。

 

「お2人とも、料理が出来ないというわりには立ち止まる回数が少ないですわね」

「おー、確かに言われてみれば包丁の持ち方も様に……様になってます?」

「……怪我人が出ないことを祈りましょう」

 

コメント:地味にお料理ASMR

コメント:何焼いてるんだこれ

コメント:じゅわー言っとる

コメント《2000円》:ミント味のごぼう商品化希望

コメント:やめろぉ!マジでミント味のごぼうが商品化するぞ

コメント:探せばどこかにはありそうだけどな

 

2人とも、口では出来ない出来ない言うだけで、実際は出来るのかなと思ったら、雨鳥さんが包丁の持ち方すら危ういことを指摘して来た。……こういうイベントで怪我をされるとこちらとしても申し訳なくなるから、包丁で指を切ったりしないよう願っておこう。

 

料理は淡々とテンポよく進んで、僅か18分で盛り付けまで完成。料理初心者あるあるだけど、時間配分が分からず、予定よりも早く終わってしまうことがある。……うーん、見た目だけならマグロと焦げた肉が乗ってるな。なお味は普通で何とも言えない模様。

 

「得点が出ました!

鶴見さん8点、シーバルさん16点、シスコンリョナラー9点、涼宮ちゃん12点、そして審査委員長の姫が、11点です!合計56点で、現在単独トップです!単独最下位とも言えますが」

「あれぇ?みんな厳しくない?」

「シーバルさんはどの辺が高評価の決めてだったんですか?」

「いや、普通に美味しかった」

 

コメント:写真アップ来たぞー

コメント:しょうゆ色だあ

コメント:飲兵衛は濃い味好きだから……

コメント:姫が満点以外を出しただと……?

コメント:最初の組だしどうしても点数は低くなるんじゃない?

 

あまり料理の感想を言わなかった鶴見さんや青蓮寺兄は、あまり好きな味じゃなかったんだろうなと推測できる。A組が終わった後は、B組。うちの姉のいるペアが出て来るけど、相方が加藤さんという女声なことと歌が上手いこと以外は常識人の鑑みたいな人だから、料理している姿も見ていて安心できる。

 

……地味に大学生で一人暮らししているから、自炊能力は高いんだよね。とあるゲームのイベントである古戦場の時にはカレーを纏めて作り、料理に時間を取られないようにしているぐらいにはカレー好きだし、カレーへの知識もある。だから加藤さんの配信で、古戦場が近づくと「カレーの季節」だの「カレー古戦場」というコメントが流れる。

 

で、案の定うちの姉がスパイスを調合した粉を調味料として持ち込み、私がその持ち込みを許可するという既定路線なイベントをこなした後、さっさと料理に取り掛かる2人。いやー、真面目な2人だ。

 

「……お料理ガチ勢コンビがガチカレー作ってますね」

「ガチで優勝を狙っていることがよく分かりますわね。先ほどのペアとは違い、包丁を使う姿を見てもハラハラしませんわ」

「地味にカレーと並行してハンバーグも作ってません?」

「私の大好物であるハンバーグカレーを作るようですわね。美味しさは保証しますわよ」

 

コメント:出来レースwwww

コメント:スパイス調合した粉、の中身が気になる

コメント:ささみのカレーかあ

コメント:ささみ安いもんね

コメント:30分で間に合うのか?

コメント:ハンバーグは下ごしらえしてあるなら混ぜて焼くだけじゃない?

 

30分の制限時間を、ほぼ丸々使って調理したB組の摩季と加藤さん。出来上がったハンバーグカレーは、まあそこらの店で出て来ても大丈夫なクオリティーだね。1000円出せるぐらいじゃない?それを雨鳥さんと審査員の6人分作って、なお余っているんだからかなり安く出来るな。

 

B組の得点に、私はもちろん20点を出し、5人合わせた最終得点は97点。これを超える料理が出てきたらそっちに切り替えるけど、たぶんこのままカレーが勝つんじゃないかな。

 

 


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