シャドウ・ボーダー珍道中   作:糞眼鏡ごっこガチ勢

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新年一発目がこれとかアホですかね?
アホでした。


インド編〜さぁ、人理奪還を始めよう〜

パツシィはかつて、彼に言った──

 

『強いだけの歴史に負けるな』と。

 

強いだけの歴史……それを超えなければならない呪いと共に歩んできた。

 

しかしインド異聞帯。

 

神たるアルジュナが支配し、転輪を繰り返しては滅びに向かって直進する世界。

あらゆる味方となるサーヴァントも存在せず、ペペロンチーノの行方も知れない上、敵側サーヴァントもアルジュナのみという極めて絶望的な状況でカルデアは必死に抗った。

 

が──

 

遂に膝をつく事になった。

彼らを守るべく立ち塞がった"彼"も、さしもの神を超えた神の前に苦戦していた。

盾はひび割れ、主人は戦力外。もはやこれまでか。

 

「……終わらせよう」

 

アルジュナはその力を最大限まで尖らせる。

それは世界を砕く一撃、それを更に極めたもの。帰滅を裁定せし廻剣。

 

「先、輩……っ」

「く、そ……まだ、まだ……!」

 

まだだ。このままでは終われないともはや残骸の如き肉体で立ち上がる。そして立香はマシュに声をかけた。

 

「マシュ……君がデミ・サーヴァントになったのはこういう状況だったっけ? あの日、ほら」

「この状況で何を……?」

「──言いたいこと、わかってくれるかな。"ドクター"」

 

そして同じように傷つきながらも立ち上がった"彼"は、真後ろの生きるために突き進んできたその男に正気を問う。

 

「本気か?」

「できるさ。マシュに出来て、俺にできないわけがない」

 

立香は不敵に笑う。お前の運命であるこの俺を、人類最後のマスターを舐めるなよ──シンプルにわかりやすい"宣戦布告"。

それを見て"彼"は同じように不敵に笑い。

 

「いいだろう──ならば藤丸立香。

 

私を喰らって新生しろ。

 

ただ僅かでも隙を見せた時、その亡骸は我が殻になると知れ」

 

「上等だ。一度倒した相手に負けるものかよ。俺は人類最後のマスターだ。人王ゲーティアの運命だ、理解者だ。なら今度も──

 

"勝つ"のは俺だ。

 

お前を倒して進んだ道が、こんなところで終わるはずがない」

 

人の歴史は、あくまで人のものなのだから。

 

 

そしてマシュの目の前で。

 

 

「果たすべき、人類史の奪還を目指し」「我ら、今ここに一つとならん」

 

炎が、弾けた。

 

共鳴する感情は未来へ進み続ける前進の闘志。 共により良き未来を求めた、求める存在だからこそ。そしてなによりもお互いにお互いを認め合う宿敵にして運命の相手だからこそ。

 

二つに混ざった声が、炎の中から響く。

 

「さぁ──人理奪還を始めよう」

 

炎が弾け中から現れるは、神話的な衣装に身を包み、長髪になった藤丸立香とでも言うべき存在。"彼"でもなく立香でもないもの。

カルデアの者と藤丸立香の融合体。彼らであって彼らではない、新生した命。

 

「先輩……!」

「何……」

 

絶大な正義(プラス)大義(プラス)の重ね掛けが出鱈目な新生を実現させ、更なる進化に導いていく。どちらの意識も存在し、片方が隙を見せた瞬間に食い千切らんと互いに闘志を燃やし、それでこそだと互いに力を限界を超えて引き出す。普通そんなことはできないのだが、認め合った獣と人は()()()()()()()()()()()というあまりにも馬鹿らしい理由で全ての法則を超越し、二重三重に限界を突破する。

共に方向は違えど同じ光を掲げ、生を疾走した存在。決して諦めない、諦観を欠如させて突き進む究極の戦士たち。互いに睨み合いながら、それでこそと認めて力を引き出すだけで神をも超える神すら戦慄する出力を生み出す。

 

双眸を開く"それ"は、混ざった声でアルジュナを見据えて高らかに宣言する。

 

「神たる者よ。きっとお前は不浄を、悪を許せなかったのだろうな。その中でも己を」

「……お前は……」

「わかるとも。俺/私も、そうだった。だからこそお前の願いは尊いのだろう。この異聞帯も清らかな願いで生まれたのだろう。

 

──故に必ず粉砕する。俺/私は彼らを、マシュを守るためにこの聖戦を勝ち抜く。その暁に正しき未来を取り戻す。そしてお前たちに報いるため、強いだけの世界には決してさせない。来るがいい、英雄アルジュナ。お前の勝ち(価値)を、俺/私の手で焼却する!

 

故に勝つのは己だと。

背に守るべき誰かがいるならば、己は無敵だと。

 

「……来い、新たなる人よ……!」

「応とも、誰にモノを言っているッ!!」

 

白すぎる神と、混沌の存在は遂に激突した。

 

 

 

 

「ナニコレ」

 

唐突にそんな夢を見た藤丸立香だった。

確かに彼は、インド異聞帯に向かうために休憩中だが、しかしこれは……

 

「バグキャラじゃねーか」

 

回想を終えて立香は再び呟いた。

そもそもゲーティアかどうかもわかんないんだよ一応。カルデアの者の正体とかさ。というか急に融合するな馬鹿。人間とサーヴァントがポンポン融合するんじゃない。いやもうなんかもうほんとおかしいよなお前。トンチキかよ。俺だったけど。

 

「……ガチャ回そ」

 

あんな無限にガッツとバフをかけまくってデバフやバフや格の違いを無かったことにするバグキャラをすぐに忘れよう。

今は爆死でもなんでもいい、とにかく気分を変えねばならない。

そうしなければ精神の均衡が取れなかった立香は召喚ルームへと入り、なけなしの聖晶石で『星5きてー早くきてー』と祈りながら回す。

 

そして現れたのは──

 

「……え? 俺?」

「俺/私を呼んだのは……そうか、お前か」

 

髪が長く、神話的な衣装に身を包んだ藤丸立香。

サーヴァントじゃないはずなのにどうして来たんだお前。

 

「まあ、なんだ……よろしく? 俺」

「あ、うん……よろしく? ぐーティア」

「待て。俺/私をその……そういう名前で呼ばないでくれないか」

 

困惑した顔も自分だった。

やばい、困る……立香はマシュに泣き付きたかった。




登場人物

・ぐーティア
ぐだ男とカルデアの者が融合した姿。
わかんない? カグゼライドって調べてみよう!
光は常に最高だ!

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