今回は、ちょっとオリジナル要素が入ります。
ご了承ください。
それではどうぞ。
「はぁ、はぁ、はぁ……ううー……こっちに飛んでいったところまでは追えたのに、結局見失っちゃったよー」
「はぁ、はぁ……だから言ったじゃない。鳥を追うなんて無理だって……あら?」
鳥に持っていかれた短冊を追う日菜と紗夜。
公園の方まで飛んで行ったところまで追いついたはいいが、結局見失ってしまった……
紗夜がそもそも鳥を追う事自体、無理でしょと言いかけた時、公園のベンチに誰かが座ってる事に気づいた。
「……」
「悠里さん(くん)?」
「……紗夜ちゃん? それに……日菜ちゃん?」
悠里だった。
紗夜と日菜の声に気づいたのか、2人の方に振り向いた。
「…何してるの? 息切らしてるけど……」
「あ、いえ、その、これは……」
「ねーねー、悠里くん、短冊をくわえた鳥って見なかった?」
何て答えようかと思ってる紗夜をよそに、悠里のところに行き、短冊をくわえた鳥を見なかったかと訊く日菜。
「…短冊をくわえた鳥は知らないけど、短冊を落としていった鳥なら知ってるけど」
短冊ってこれでしょ?と、拾った短冊を渡しつつ、日菜の質問の答えを斜めに返す悠里。
「うん、これだよ!! よかったー!」
「……よく分からないけど……見つかってよかったね」
「うんっ! ……はあーっ……でも、走り回ったから疲れちゃったよ」
日菜の言葉を聞いた悠里は、紗夜に走り回ったってどういう事?と訊ねる。
その疑問は尤もだと思った紗夜は、粗方の説明を悠里に話す。
その話を聞いた悠里は、休んでいけば?と日菜と紗夜に言い、2人はお言葉に甘えて休んでいく事にした……
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「……」
「……」
「……」
「……」
お互いに何を話していいか分からない紗夜と日菜。
そんな時……
「……えい」
「「ひゃあっ!?」」
缶ジュースを2つ持った悠里が紗夜と日菜の頬に缶ジュースをピタッと押し付けた。
突然襲ってきた冷たさに紗夜と日菜は変な声を上げてしまう。
「…一度はやってみたいやつ。そのジュースは僕の奢りなのです」
「もー、嬉しいけど、急にやられるとびっくりするってばー!」
「あ、ありがとうござい……ます……」
頬を膨らませてる日菜に対し、紗夜は悠里の前で変な声を上げてしまい顔を真っ赤にしてしまう。
「…それにしても、昼間は友希那ちゃんとリサちゃん、夜は紗夜ちゃんと日菜ちゃんが来るなんて、今日は色んな意味で珍しい日……」
「え? リサちーと友希那ちゃんも来てたの?」
「…うん。さっきも言ったけど、昼間……いや、厳密には夕方近くか」
日菜の疑問に答える悠里。
彼曰く、ファーストフード店に行った後、この公園で過ごしていたら、友希那とリサが来たとの事。
なんでも、七夕祭りでお互いにはぐれてしまい、小さい頃に迷ったらこの公園に来てたからそうしてたとの事。
所謂、幼馴染みの勘だよと付け足す。
「悠里くんは七夕祭り行かないの? リサちーと友希那ちゃんと幼馴染みなんでしょー?」
「ちょっと日菜……」
「……嫌いなんだよ。七夕祭り」
「なんで?」
練習終わりの時の悠里を思い出した紗夜は、理由を知らない日菜を止めるが、日菜はなんで?と訊く。
「……命日なんだよ。七夕祭り。僕の双子の弟の」
「「え……」」
その言葉を聞いて悠里を見る紗夜と日菜。
「…別に
「じゃあなんで……?」
「……嫌いなんて言ったのかって?」
日菜の表情を見て解ったのか、悠里が言い当てる。
隣で聞いてた紗夜も、その話だけだと、練習終わりに悠里が言ってた事と矛盾してしまうのだ……
「……弟が……
「「…………」」
淡々と話す悠里。
「日菜ちゃんを見てるとさ、汐里の事を思い出すんだよ」
「あたし?」
突然、自分の事を言われポカンとする日菜。
「…うん。日菜ちゃんは汐里によく似てる。汐里も日菜ちゃんみたいに、るんって言ったり、天才……かどうかは分からないけど、他人の気持ちとかに聡い子」
「……」
それを聞いた日菜は、他人のような気がしなかった。
逆に会ってみたかったな……という気持ちが強かった。
「それより日菜ちゃん、短冊。笹の葉に付けなくていいの?」
「えっ……あ、忘れてた……」
えへへ……と言いながら悠里の指摘に気づく日菜。
やっぱり忘れてたかと言いつつ、自分もそろそろ商店街に行く予定だったからと付け足す悠里。
「えへへ、今日はすごい日だったから、ぎゅいーんって、いい夢を見られそー」
「いい日? 雨に降られるし、鳥に短冊を持って行かれるし、散々だったじゃない」
「そんな事ないよ! 悠里くんだって、ぎゅいーんって、いい夢を見れると思うでしょー?」
妹の言葉に紗夜は、どこがいい日なのかと言う。
そして今度は悠里くんもそう思うでしょー?と訊くと……
「……はいはい。
「えー……そういうものなのー?」
「うん。そういうもの」
「……」
日菜が明確に言いたい事が解ってるのか、悠里は独自の言い回しをしながら、そう言った。
その時の表情は、妹や弟を窘める姿に紗夜には視えた。
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