月の少年と星に願う短冊   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回は、ちょっとオリジナル要素が入ります。
ご了承ください。

それではどうぞ。


第4話 懐かしい場所

「はぁ、はぁ、はぁ……ううー……こっちに飛んでいったところまでは追えたのに、結局見失っちゃったよー」

「はぁ、はぁ……だから言ったじゃない。鳥を追うなんて無理だって……あら?」

 

鳥に持っていかれた短冊を追う日菜と紗夜。

公園の方まで飛んで行ったところまで追いついたはいいが、結局見失ってしまった……

 

紗夜がそもそも鳥を追う事自体、無理でしょと言いかけた時、公園のベンチに誰かが座ってる事に気づいた。

 

「……」

「悠里さん(くん)?」

「……紗夜ちゃん? それに……日菜ちゃん?」

 

悠里だった。

紗夜と日菜の声に気づいたのか、2人の方に振り向いた。

 

「…何してるの? 息切らしてるけど……」

「あ、いえ、その、これは……」

「ねーねー、悠里くん、短冊をくわえた鳥って見なかった?」

 

何て答えようかと思ってる紗夜をよそに、悠里のところに行き、短冊をくわえた鳥を見なかったかと訊く日菜。

 

「…短冊をくわえた鳥は知らないけど、短冊を落としていった鳥なら知ってるけど」

 

短冊ってこれでしょ?と、拾った短冊を渡しつつ、日菜の質問の答えを斜めに返す悠里。

 

「うん、これだよ!! よかったー!」

「……よく分からないけど……見つかってよかったね」

「うんっ! ……はあーっ……でも、走り回ったから疲れちゃったよ」

 

日菜の言葉を聞いた悠里は、紗夜に走り回ったってどういう事?と訊ねる。

その疑問は尤もだと思った紗夜は、粗方の説明を悠里に話す。

 

その話を聞いた悠里は、休んでいけば?と日菜と紗夜に言い、2人はお言葉に甘えて休んでいく事にした……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

お互いに何を話していいか分からない紗夜と日菜。

そんな時……

 

「……えい」

「「ひゃあっ!?」」

 

缶ジュースを2つ持った悠里が紗夜と日菜の頬に缶ジュースをピタッと押し付けた。

突然襲ってきた冷たさに紗夜と日菜は変な声を上げてしまう。

 

「…一度はやってみたいやつ。そのジュースは僕の奢りなのです」

「もー、嬉しいけど、急にやられるとびっくりするってばー!」

「あ、ありがとうござい……ます……」

 

頬を膨らませてる日菜に対し、紗夜は悠里の前で変な声を上げてしまい顔を真っ赤にしてしまう。

 

「…それにしても、昼間は友希那ちゃんとリサちゃん、夜は紗夜ちゃんと日菜ちゃんが来るなんて、今日は色んな意味で珍しい日……」

「え? リサちーと友希那ちゃんも来てたの?」

「…うん。さっきも言ったけど、昼間……いや、厳密には夕方近くか」

 

日菜の疑問に答える悠里。

彼曰く、ファーストフード店に行った後、この公園で過ごしていたら、友希那とリサが来たとの事。

なんでも、七夕祭りでお互いにはぐれてしまい、小さい頃に迷ったらこの公園に来てたからそうしてたとの事。

所謂、幼馴染みの勘だよと付け足す。

 

「悠里くんは七夕祭り行かないの? リサちーと友希那ちゃんと幼馴染みなんでしょー?」

「ちょっと日菜……」

「……嫌いなんだよ。七夕祭り」

「なんで?」

 

練習終わりの時の悠里を思い出した紗夜は、理由を知らない日菜を止めるが、日菜はなんで?と訊く。

 

「……命日なんだよ。七夕祭り。僕の双子の弟の」

「「え……」」

 

その言葉を聞いて悠里を見る紗夜と日菜。

 

「…別に()()()()()()()()()()……でも、死んだ事には変わりないから……だから七夕祭りは好きじゃないんだ。それでも嫌いになれないんだよ。七夕祭り」

「じゃあなんで……?」

「……嫌いなんて言ったのかって?」

 

日菜の表情を見て解ったのか、悠里が言い当てる。

隣で聞いてた紗夜も、その話だけだと、練習終わりに悠里が言ってた事と矛盾してしまうのだ……

 

「……弟が……汐里(しおり)が、七夕祭りが好きだったから。皮肉にも忘れられないんだよ」

「「…………」」

 

淡々と話す悠里。

 

「日菜ちゃんを見てるとさ、汐里の事を思い出すんだよ」

「あたし?」

 

突然、自分の事を言われポカンとする日菜。

 

「…うん。日菜ちゃんは汐里によく似てる。汐里も日菜ちゃんみたいに、るんって言ったり、天才……かどうかは分からないけど、他人の気持ちとかに聡い子」

「……」

 

それを聞いた日菜は、他人のような気がしなかった。

逆に会ってみたかったな……という気持ちが強かった。

 

「それより日菜ちゃん、短冊。笹の葉に付けなくていいの?」

「えっ……あ、忘れてた……」

 

えへへ……と言いながら悠里の指摘に気づく日菜。

やっぱり忘れてたかと言いつつ、自分もそろそろ商店街に行く予定だったからと付け足す悠里。

 

「えへへ、今日はすごい日だったから、ぎゅいーんって、いい夢を見られそー」

「いい日? 雨に降られるし、鳥に短冊を持って行かれるし、散々だったじゃない」

「そんな事ないよ! 悠里くんだって、ぎゅいーんって、いい夢を見れると思うでしょー?」

 

妹の言葉に紗夜は、どこがいい日なのかと言う。

そして今度は悠里くんもそう思うでしょー?と訊くと……

 

「……はいはい。()()()()()()()()()()()。あのね? 日菜ちゃんはそうかもだけど、紗夜ちゃん的には散々な日なの」

「えー……そういうものなのー?」

「うん。そういうもの」

「……」

 

日菜が明確に言いたい事が解ってるのか、悠里は独自の言い回しをしながら、そう言った。

その時の表情は、妹や弟を窘める姿に紗夜には視えた。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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