紗夜ちゃん、日菜ちゃん誕生日おめでとう。
今回は最終回であり、後日談になります。
自分なりに頑張ってみました。
それではどうぞ。
午前中の授業が全て終わり、昼休みを迎えた羽丘女子学園。
2年A組の教室にて。
「あー……どうしよー……」
日菜が頭を抱えながら悩んでいた。
「ヒナ、いい加減に諦めなって♪」
「なんでリサちーはそんなに楽しそうなの!?」
「それはまぁ、ヒナが恋愛関係で悩んでるのが珍しかったから♪」
「うぅ~……っ!」
現に今も真っ赤な表情をしてる日菜にリサが楽しそうに言った。
「さっきの授業でも、先生からの問題を答える時の日菜ちゃん、答えはしおくんだーって言ってたもんね~?」
「っ!? い、言わないで~~っ!!?」
追い打ちをかける瑠菜の言葉を聞いて、思い出して恥ずかしくなったのか、その場で悶えだした日菜。
それは先程の英語の授業の時……
『それじゃあ、この問題を……氷川!』
『……』
『? おーい、氷川?』
『え? あ、はい……』
『お前なら簡単だと思うが……この問題を翻訳してみろ』
なんか日菜がいつもと違う気がした教師は、とりあえず問題を日菜に解かせてみる事に。
天才だし、この問題も彼女にとっては簡単だろうと教師やクラスメイト達も思っていたのだが……
『それじゃあ氷川、この問題の翻訳は?』
『あ、あたしの趣味はアロマオイル作りなんだ。し、汐里くんの趣味はなんですか?』
『全然違うし、つーか、汐里くんって誰だよ。お前どうした?』
全く違う解答をして、恥ずかしい思いを体験してしまったのである。
「うぅ~……」
「おや。3人揃ってどうしたんだい?」
「あ、
未だに日菜が悶えてると、クラスメイトの
「日菜、どうしたんだい? いつもの君らしくないが……」
「それがね~? 薫ちゃん。実はかくかくしかじかで~……」
瑠菜が薫にしか分からないやり取りで話す。
それを聞いた薫は、驚いた表情をしつつ、日菜を見た後、瑠菜の話に相槌を打ちながら続きを聞いていた。
一方でリサは……
「……(話が薫に伝わってる辺り、瑠菜って凄いな。確か薫も悠里と瑠菜の幼馴染みなんだっけ?)」
2人のやり取りを頷きながら思った。
「なるほど、ね……フフ、そうか……」
「え? どうしたの?」
瑠菜の話を聞き終わり、何かに納得する薫。それを見て、どうしたのと言うリサ。
「いや、日菜。1つ私からのアドバイスだ。先ずは自分のペースでいいから、汐里と話してみるといい」
「あたしのペースで?」
「ああ。汐里は悠里と同じで、気遣い上手だからね。幼馴染みである私が保証するよ」
薫は日菜にそう言うと、教室から出て行った。
「とりあえず友希那ちゃんも誘って、外に行こうよ~」
「じゃあアタシ、友希那のクラスに行って呼んで来るね☆」
先にいつもの場所に行っててと瑠菜と日菜に言って、リサは教室を出て友希那を呼びに行くのであった。
とりあえず、お弁当をと日菜は鞄を開けるのだが……
「あ……」
「日菜ちゃん、どうしたの~?」
「……お弁当、家に置いてきちゃったみたい……」
うっかり家に置いてきてしまった事を瑠菜に呟くのであった。
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「……」
「ヒナ、元気だしなって~……アタシのおかず分けてあげるからさ?」
「わたしのも分けてあげるよ~」
友希那とリサと合流した2人は、中庭で悠里達が来るのを待っていた。
「リサ。日菜のこの様子はどういう事?」
1人だけ状況が読み込めてない友希那がリサに訊ねる。
「あー、日菜ね? 昨日の七夕祭りの時に好きな人ができたんだって」
「……そうなの?」
「アタシと瑠菜も今朝知ったんだ。なんか悠里の双子の弟なんだって。友希那は悠里に弟がいるって知ってた?」
「……正直なところ、初耳ね」
そう答える友希那だが、心当たりはあった。
もう随分と昔だが、悠里が少しでも両親の負担を減らす為、『自分も家事を手伝わないといけないかも』みたいな事を言ってた気がする。
「日菜」
「あれ? おねーちゃ……ん?」
聞き覚えのある声がしたので、日菜は振り向く。
そこには何故か藍音学院の制服を着た紗夜?の姿があった。
「あれ~? 何してるの? しおくん~」
「ちぇっー、ルーちゃんは引っかからないか。残念☆」
「し、ししし……汐里くん!?」
瑠菜が首を傾げながらもその正体を見抜く。
ウイッグを外したその人物は、悠里の双子の弟の汐里だった。
汐里だと分かった日菜は思わず変な声を上げる。
「…だからルーちゃんにはバレるって言ったじゃんか。紗夜ちゃん、汐里がごめんね?」
「いえ、私は気にしてないので」
すると今度は悠里と紗夜がやって来た。
「おねーちゃん! なんでここに?」
「お弁当よ。今朝忘れていったでしょ」
忘れたお弁当を日菜に渡しながら紗夜が疑問に答える。
「…羽丘女子学園に行く途中で、紗夜ちゃんと会ってさ? 日菜ちゃんがお弁当を忘れたから届けに行くって言ってたから、一緒に来たんだ」
「それで……その、悠里さんが、お昼ご飯がまだなら、一緒に食べないかって誘われまして……」
悠里と紗夜が経緯を話す。
「……(もしかして悠里、紗夜が日菜にお弁当を渡したら帰っちゃうって思ったのかな?)」
リサがそう思いながら悠里に視線を向けると、彼女の思っている事が分かったのか、そうだよとばかりに軽く頷いた。
「あ。そうだ……はい、ルーちゃん。約束のクッキー持って来たよ」
「わ~い♪ ゆうくんの手作りクッキーだ~♪」
「これが友希那ちゃん、こっちがリサちゃん、それでこれが紗夜ちゃんのだよ」
「「「あ、ありがとう(ございます)……」」」
瑠菜にクッキーを渡した後、友希那とリサ、紗夜にも渡した悠里。
それぞれ違うラッピングをしており、瑠菜を除いた彼女達3人は顔を赤くしながら、お礼を言った。
ちなみに瑠菜はニコニコしながら3人を見ていたが。
「おにーちゃん、僕のジュースってどこ?」
「…汐里、休み時間に飲んでたじゃん」
「あ! そうだった。忘れてたよー……てへぺろ☆」
「……汐里くんのその表情、なんかるるるんっ♪ ってする……なんていうか、好き」
汐里の仕草を直視したせいか、顔が崩れるくらいにやける日菜。
「ヒナがあんな表情するの……アタシ、慣れないんだけど」
「私も」
「私は少しだけ慣れましたが、あの表情の日菜は初めて見ました。今井さんも湊さんも慣れた方がいいかと……」
紗夜が友希那とリサにそう言うが、あの表情をしてる日菜に慣れろというのが難しい相談だなと2人は思った。
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「日菜ちゃん達の学校って広いんだねー♪」
「そ、そうかな……?」
校内を歩く汐里と日菜。
悠里と瑠菜の頼みで校内にある自動販売機まで向かっているのである。
「……(し、汐里くんと二人きり……薫くんはあたしのペースで話してみたらって言ってたけど……)」
日菜は汐里に何を話せばいいか悩んでいた。
まずは自分のペースで話してみるといいと薫に言われたが、話題が見つからない。
「おにーちゃんが言ってたんだけど、日菜ちゃんってアイドルなのー?」
「うん、正確にはアイドルバンドなんだ」
「アイドルバンド……って事は何か楽器やってるの?」
「あたしはギターやってるんだ♪」
すごいねーと言う汐里。あれ? さっきまで恥ずかしくて汐里と話せなかったのに、自然と話せてると日菜は思った。
「練習とか大変なの?」
「へ?」
汐里にバンドの練習というか、仕事の事を訊かれて驚いた表情になる日菜。
「あ、あたしかぁ~、普通だよ普通。仕事がそんなに難しくないっていうか……」
「そうなんだ? 日菜ちゃん
「え?」
汐里の口から『頑張ってる』という言葉を聞いて驚く日菜。
「どうかしたの?」
「あ、えっと……あたしさ、他人から頑張ってるなんて言われるの滅多にないからさ……ちょっと驚いちゃって」
「そーなの? あ、でも僕もあんまり言われた事ないな……」
うーんと首を傾げる汐里。
でも家族のみんなや瑠菜達には頑張ってるって言われた事あるよと付け足す。
「でもでも! 日菜ちゃんは頑張ってると思うよ! 僕が保証するよ!」
「あっ……えと、その、ありが……とう……」
「どういたしまして♪」
顔を俯きながら、汐里に言う日菜。
今の自分は絶対に顔が真っ赤な筈だ。間違いない……
そんなやり取りをしてる内に目的地の自動販売機に着いた。
「わあー♪ 当たりが出る自販機だー♪」
自動販売機を見てはしゃぐ汐里。
羽丘女子学園にある自動販売機は、運が良いと当たりで好きなジュースがもう1本貰えるのだ。
日菜も週に1回程度は当たった事がある。
「日菜ちゃんはどれにするのー?」
「あたしは……じゃあー……これにしよっと♪」
お金を入れてボタンを押してジュースが取り出し口から出てくる。すると、スロットゲームが始まった。
『7777』が出れば、当たりである。
そして見事に『7777』が揃い、30秒以内に好きなジュースを選んでくださいと表示された。
「日菜ちゃんすごーい♪ 当たりがでたよ♪ もう1本どれにするの?」
「じゃあこれ♪ おねーちゃんが好きなやつにしよーっと♪」
そして2人で人数分のジュースを買って、悠里達がいる場所に戻ったのだが……
「…何? このジュースの数……」
「あははー♪」
悠里の呟きにあははーと笑う汐里。
6人分のジュースを買ってきた筈が、何故かその倍……12本のジュースが置かれていた。
「おにーちゃん、凄いでしょ?」
「…凄いけど……1人2本かぁ。1本は帰りに飲もうかな……」
「しおくんと日菜ちゃんが当たりが出る自販機をやると、当たる確率が倍になるんだね~。わたしこれ貰うね~?」
のほほんと言いながら瑠菜はジュースを手に取る。
「…てか汐里? 日菜ちゃんにクッキー渡したの?」
「あ! そうだった!」
悠里にそう言われ、うっかり忘れるところだったよと言わんばかりに、鞄から水色のラッピングされた袋を取り出す汐里。
「はい、日菜ちゃん♪ これあげる♪」
「あ、ありがとう……その、開けてもいい?」
「いーよ♪ 口に合うか分からないけど、僕的にるるるんっ♪ って感じだよ」
袋を開けると、中には星型のクッキーや何故か
「……」
「? 日菜?」
そして何故かハート型のクッキーを見たまま固まる日菜。紗夜が声をかけるが反応がない。
一体どうしたのかと思い、紗夜が覗いてみると……
『可愛くて、おねーちゃん思いで、大事な大事な僕の友達の優しい日菜ちゃんへ♪』
チョコレート文字でそう書かれていた。
「……はうっ」
「日菜!?」
そして顔を真っ赤にしながら日菜は倒れてしまうのであった。
ちなみに目を覚ますまでの間、汐里が付き添ってあげたのは余談である。
読んでいただきありがとうございます。
これにて、この作品は本当に完結になります。
本日はありがとうございました。