AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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自由落下から始まる王道的パターン

『ぎにゃぁぁぁぁあぁああああ!!お、お嬢おおおお!!』

上空4000mからの自由落下している、4人と一匹は、一人を除いて、落下地点に用意してあった緩衝材のような薄い水膜を幾重にも通って湖に投げ出された。

その一人である龍嗣は、重力を司るスキル『躯重量(グラビト)』で反重力を形成し、ゆっくりと近くの地面に降り立った。

 

「きゃ!」

「わっ!」

 

「あっ」

 

ボチャンと着水する三人――眼下の三人は水膜で勢いが衰えていたため三人は無傷ですんでいるみたいだ、しかし、幼く端正な顔の少女と一緒にいた三毛猫はそうともいかない。慌てて、その少女が水面に引っ張り上げる

「……大丈夫?」

『じ、じぬかぼおぼた』

まだ呂律が回らないながらも無事を確認し、ほっとする少女。他のふたり、長い髪の昭和を思わせる少女とヤンキーもしくは問題児をそのまま体現した少年は、あれよあれよと罵詈雑言を吐き捨てていた。

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ、場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ、石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「……石は流石にないわ、つか、動けないし」

少し引き気味な表情をする龍嗣

「俺は問題ない」

「おいおい・・・」

この中で一番まともな反応だと自負する龍嗣――龍嗣は、二人を見ると、服がずぶ濡れだった。

「(乾かしてやるか)」

龍嗣は人差し指を空中でくるりと回し、

湿度を司るスキル『温湿口火(ドライアウト)』と、火を司るスキル『間違いなく放火(エキジビションマッチ)』を使って、三人の服と一匹を速攻で乾かした。

 

「……?」

「あ、乾いた」

「わぉ、こりゃスゲェや」

突如乾いたことを少し驚いている三人――そんな中、金髪の少年がこっちを見ていった

「今の、お前がやったのか?」

「ん?そうだけど」

なんの偏屈もない返事をすると

「あら、そう。ならお礼を言っておくわ、ありがとう」

昭和お嬢様が言った

「…ありがと」

続いて猫をかかえている少女も言った。

 

「此処……どこだろう?」

「さあな、まあ世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

龍嗣でもこの場所は知らないことは明白だ

「まず、間違いないと思うけど、一応確認しておくけど、もしかしてお前たちにも変な手紙が?」

「そうだけど、まず"オマエ"って呼び方を訂正して――私は久遠寺飛鳥よ、以後は気をつけて、それで、そこの猫をかかえている貴方は?」

「……春日部耀、以下同文」

「そう、よろしく春日部さん、そして野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介ありがとよ、見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です、粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法用量を守った上で適切な態度で接してくれよお嬢様」

「そう、取扱説明書をくれて考えてあげるわ、十六夜君――それで、貴方は?」

「そうだぜ、最初のコミュニケーションは重要だぜ?」

十六夜と久遠寺がそう言ってくる

「俺は、九十九龍嗣、特に言うことはないよ」

素っ気なさそうな態度で言う龍嗣

 

心からケラケラと笑う逆廻十六夜

傲慢そうに顔を十六夜から背ける久遠飛鳥

我関せず無関心を装う春日部耀

空を眺めながら、何が起こるのかワクワクしている九十九龍嗣

 

龍嗣はこの時、物陰から何かが覗いているのがわかった

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ、この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とか言うものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

十六夜が苛立たしげに言う

「そうだな~説明があってもいいもんな~」

龍嗣が遠目を見ながら言う

「なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「……この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかとも思うけど」

「同意」

耀の言葉に付け加えるように言う龍嗣

「そんで、十六夜だっけ?後ろにいる、ってか、隠れているつもりのやつにでも聞くか?逃げるかもしれないけど?」

「逃げたら追う、そして捕まえる」

「ハハッ、わかってるじゃん、ってか、気づいてたよな?お二人さんも」

「あら、あなたも?」

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

「これはこれは、っと、ま、穏便に捕まえてくるよ」

そういうと、三人の目の前から――龍嗣の姿は消えた。

 

「きゃっ」

物陰に隠れていた十五、六歳に見えるウサミミ少女は、その突如の出現に驚いた。

「――かくれんぼはちゃんと隠れなよ、うさぎさん?」

龍嗣は『腑罪証明(アリバイブロック)』を使って隣に立っていたのだ

「さてと、ちょっと来てくれるかな、うさぎさん?」

「…これは!?」

龍嗣がその言葉を発した途端、急に誘導されるように体が動かなくなる。龍嗣は誘導のスキル『右手をご覧ください(リーディングライト)』を使ったのだ。

「ちょ、話せばわかりますよぉ!何とかしてくださいよ!」

「却下」

そういうって、三人の目の前にたたせて、龍嗣もそこに立つ。十六夜の目は笑ってない、耀、飛鳥、十六夜の三人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気のこもった冷ややかな視線をそのウサミミ少女に向ける。それにやや怯む

「や、やだなあ御三人様、そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギが死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます、そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここはひとつ穏便にお話を聞いていただけたら嬉しいでございますョ?」

「断る」

「却下」

「お断りします」

「全力で却下」

「あっは、取りつくシマもないですね♪」

降参ポーズをとる黒ウサギ

 

「なぁ、春日部さんだっけ?このウサミミ本物かな?」

「やってみればわかるさ」

「そうだね、引っ張ってみればわかる、エイ」

「フギャ!」

黒いウサ耳を根っこから鷲掴みし、力強く引っ張った

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはどういう了見ですか?」

「こういう了見」

「好奇心のなせる業」

「意味がわかりません!自由にも程があります!」

「おい、久遠寺さんも十六夜も引っ張ってみるよ?」

「OK,本物か?」

「じゃあ私も」

「ちょ、ちょっと待――!!」

十六夜が右から、飛鳥が左に力いっぱい引っ張って、絶叫が近隣に木霊した

 

 

「――あ、あり得ない、あり得ないのですよ、まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

「いいからさっさと進めろ」

半ば本気の涙を瞳に浮かばせている黒ウサギ。龍嗣含める4人は岸辺に座り込み、彼女の話を『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けている。

「それでは、いいですか、御三人様定例文でいいますよ?言いますよ?さあ、言います! ようこそ"箱庭の世界"へ!我々は御三人様にギフトを与えられた者たちだけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」

「ギフトゲーム?なんだそりゃ?」

龍嗣が黒ウサギに問う

「既に気づいていらっしゃるでしょうが、御三人様は皆、普通の人間ではございません!その特異な力は修羅神仏から悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます、『ギフトゲーム』はその"恩恵"を用いて競い合うためのゲーム、そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できるために造られたステージなのでございます」

それから、久遠寺さんが質問する

「まず、初歩的な質問からいいかしら?貴女のいう"我々"とは貴女を含めた誰かなの?」

「YES、異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するに当たって、数多とある"コミュニティー"に必ず属していただきます♪」

「いやだね」

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの主催者が提示した商品をゲットできるというとってもシンプルな構造になっています」

「・・・・・・主催者って誰?」

「さまざまですね、暇を持て余した修羅神仏が人を試す試練として開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するための独自開発するグループもございます。特徴としては、前者は自由参加が多いですが、主催者が修羅神仏なだけあって凶悪且つ難解なものが多く、命の危険はあるでしょう、しかし見返りは大きいです、主催者しだいですが、新たにギフトを手に入れることも夢ではありません、後者は――」

「チップが必要なんだろ?それも負けたらアウトゲーム」

龍嗣がためらいもなく言った。

「えぇ、そうです・・・なぜ、それを?」

「少し考えただけさ」

というのは嘘であって、黒ウサギの説明が心底聞くのがめんどくさくなって答を知るスキル『模範記憶(マニュアルメモリ)』を使ったのだ。

「結構俗物ね・・・チップはなにを?」

久遠寺が呟く

「さまざまですね、金品・土地・利権・名誉・人間――そして、ギフトをかけ合うことも可能です」

「そうなると才能も手に入れられるが、負けたら失うってワケか」

「そうですので、あしからず」

納得する龍嗣と愛嬌たっぷりの黒い影を見せる黒ウサギ

「そう、ゲームそのものはどうやったらはじめられるの?」

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOKです!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」

それから、いくつかの質問が飛び交い――最後に十六夜が黒ウサギに問うた

 

「・・・・・・どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

「そんなことはどうでもいい、腹のそこからどうでもいいぜ黒ウサギ」

十六夜が何が言いたいのか龍嗣にはある程度わかっていた、少しうっすらと笑みを浮かべ

「ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃない、世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねぇ、――俺が聞きたいのはたった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

十六夜は視線を巨大な天幕によって覆われた都市に向ける、龍嗣も視線を向け

 

 

 

「この世界は…面白いか?」

龍嗣含めた三人は無言で返事を待つと

 

「――YES、『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯、箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保障いたします♪」

 

龍嗣の聞きたかった言葉が返ってきた。

その言葉に、かつてないワクワクを覚えたのであった。

 

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