AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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終祭・火龍誕生祭

決戦の時になった。

今ここ、火龍誕生祭運営本陣営には、活動できるすべてのコミュニティがいる。

運命のラストゲームが今始まるのであった。

 

少しざわついている衆人いや、病魔に冒されていないプレイヤー達――ここに居るのは全体の一割未満だ。

そんな中――不安を掻き消すように凛然とした声でサンドラが言った。

「今回のゲームの行動方針が決まりました、動ける参加者にはそれぞれ重要な役割を果たしていただきます――ご成長ください――マンドラ兄様、お願いします」

そういうと、そばに控えていたマンドラが軍服をただし、どこからか取り上げた書状を読み上げた

「其の一、三体の悪魔は"サラマンドラ"とジン=ラッセル率いる"ノーネーム"が戦う、其のニ、その他の者は、各所に配置された一三〇枚のステンドグラスの捜索、その三、発見したものは指揮者に指示を仰ぎ、ルールに従って破壊、もしくは保護すること」

「ありがとうございます――以上が参加者側の方針です、では――」

サンドラが言葉を言おうとしたとき、龍嗣が言葉を遮った

「一応、これはどうなるかは、わからないが――プレイヤー全員に言っておく必要がある、ハーメルンの伝承では、ここにはマルクト教会とブンゲローゼン通りがない、彼らが偽物だとしてもこれは再現させられる可能性がある彼らが"魔道書"である以上再現方法はいくらでもあるからな――そうなった場合、まず最初に教会を探してほしい、そこに手がかりがあるはずだ、それと鼠を追え――俺からは以上だ」

「助言ありがとうございます龍嗣さん、皆さん魔王とのラストゲーム、気を引き締めて戦いに望んでください」

 

それから、一斉に動き出す中――龍嗣は誰にも見せない少し暗そうな顔をした。

「(魔道書と召喚式と死神か――いざ、答えがわかると、めんどくさいものだな)」

龍嗣には、ある程度はわかっていた。十六夜のメモに書かれたのを見た時からある程度の考察はできていた。ヴェーザーとラッテンは本物――そして、シュトロムとペストはニセモノだと大体はわかっていたのだ。召喚方法もある程度は判明した。多分、時間軸のクロスポイントでっていうところだろう。

「(仮に、神霊のギフトなら――)」

龍嗣は自分の中で納得はしながらも、頭の片隅にその考えを巡らせながら捜索隊の方に合流したのであった。

 

 

ゲーム再開の合図は、激しい地鳴りと共に――荒っぽく始まった。

 

「――読み通りだったな」

あらかじめ、空中に浮いていた龍嗣は、不敵に笑った"ここまで読み通りか"と 

あの巨大な境界壁はなくなっており、代わりに見たことのない、いや木造の街並みにパステルカラーの建築物のハーメルンの街並みになっていたのだ。

 

「まさか、これがハーメルンの魔道書!?」

ジンの顔が蒼白となり、周りがざわめく

「うろたえるなジン、読み通りだろ?」

「えぇ、まぁ」

「よし、各人、振り分けられたステンドグラスの確保に急げ!!」

マンドラが一喝し叫ぶ

「ジン、指揮は任せたぞ――」

「はい、皆さん!!教会の捜索をお願いします!」

そして、ジンの一声で捜索隊が一斉に動き出した。

それから、捜索隊は細かく分隊されてステンドグラスを探していく。龍嗣もこの入り組んだ街の中を必死こいて探している。

 

「(ここか!)」

龍嗣率いる分隊は、龍嗣が足を止めると同時に足を止めた。視線の先には、街道に書かれたネズミの模様。レンガにもねずみの絵柄が書き記されている。それから、後ろにいたジンに合図を入れ――龍嗣はその先に囮としていや、隠れたJOKERとして向かった

 

「どうですか!?」

ジンが周りに状況を聞くと

「見つけたぞ!ネズミを操る道化が書かれたステンドグラスだ!!」

「それは"偽りの伝承"です!くだいて構いません!」

その言葉通りに――ステンドグラスが割る音がした

「龍嗣さんが足を留めた通り――ここは、ブンゲローゼン通り、一三〇人の子供達が攫われた街道だ」

ジンは、状況を考察するために、地図を広げると

「はーい、其処までです♪」

街道の脇の屋上――ネズミを操るラッテンがそこにいた。そして、彼女は仰々しくお辞儀した後、魔笛を掲げて

「ブンゲローゼン通りへようこそ皆様!神隠しの名所へ訪れた皆様には、素敵な同士討ちを――」

ラッテンが言いかけたとき

ドサドサドサドサ――

何かが地面に落ちる音がした。

「な、何!?」

現れたのは、戦意喪失のスキル『競う本能(ホームシックハウス)』と催眠のスキル『眠気ざまし(ネームケイト・ザ・マシンガン)』で眠らせ戦意喪失させたサラマンドラの火蜥蜴たちだ。

「というわけだ――どっちにしろ、楽しい同士討ちでも考えていたみたいだが、それは無理だ」

ラッテンの一つ後ろの屋根の上には、龍嗣がすまし顔で立っていた。

「チッ!!なら、JOKER投入よ!」

「そう、ならこっちもだ――!!」

「「「「「BRUUUUUUUUUUUUUM!!!」」」」」

嵐の中心のように全身の風穴から大気を吸い上げて放出する陶器の巨兵がかなりの数で現れた

と同時に、龍嗣の隣にツクヨミとレティシアが現れた

「ということだ――舞台に関係ない泥人形には、早々に退場してもらおうかな?」

不敵に笑う龍嗣

「うわお!本物の純潔の吸血鬼に邪神!それに超美少女じゃない!なにこれ、興奮してき――」

ズガァァァン!!バキィィン!!

龍嗣の全力の攻撃がその風を一蹴する

 

「さてと――ジン、お前はステンドグラスの捜索に行け――俺は、こいつを史上最悪のパーティーに招待してから行くわ」

ジンは、龍嗣に頷いて背を向け走り出した。

 

「ネズミ使い――貴方が飛鳥を襲ったのね?」

ツクヨミが問う

「だったらどうするの?邪神さん、その力見せつけてくれるのかしら?」

 

「この前のお礼参り――きっちしとさせてもらうわよ!!レティシア!!」

「あぁ!!」

直後、レティシアの影が無尽の刃へと姿を変えていく――その姿は、龍の顎のようだ。一方のツクヨミは、背中の翼が一六九本のエネルギーで出来た怪物の手が現れ、

ズバァァンッ!!

影と手が、陶器の巨兵に襲いかかり、一発で消える。それを見たように、龍嗣は安心し

「ここは、任せたぞ?」

「あぁ」

「任せなさい」

二人を一瞥し、パーティーの準備にとりかかった。

 

ゴォォオオオオォォン!ピシャァァァン!!

視線の先では、轟と雷鳴が響いていた。

「サンドラ様!前後で挟み込みます!」

「分かった!」

ペストの前方からは"擬似神格・金剛杵"の放つ轟雷が、そして後方からは龍角の放出する紅蓮の炎が黒い風を球体上に纏っているペストに襲いかかるが

 

「いい加減、無意味かどうか分からないの?」

その攻撃を悠々と遮断するペスト。そして、彼女が手首を返すと四本に分かれて竜巻く黒い風が、サンドラを襲う

二人は、ギフトを収めてペストから飛び離れた。先程から幾度なくの繰り返しにサンドラは焦りを浮かび始める

「やっぱり、前回と同じ神格級のギフトが二つ同時に襲いかかってもビクともしない!」

「確かに、タイムオーバーを狙っているのは明白ですが・・・・・・少々妙な力でございますね、レティシア様の話では、生命力を吸い取る類のだと伺っていたのですが」

冷静なサンドラ

「"黒死斑の魔王(ブラック・バーチャー)"、あなたの正体は・・・神霊の類ですね?」

「えっ?」

「そうよ」

「えっ!?」

二人のやりとりにサンドラは驚きながら二人の顔を交互に見る

「十六夜さんから話を聞いたとき、よもやとは思いました、貴女の持つ霊格は"ハーメルンの笛吹き"に記述された"一三〇人の子供の死の功績"ではなく、十四世紀から十七世紀にかけて吹き荒れた黒死病の死者――八〇〇〇万もの死の功績を持つ悪魔ではないか と、ですが貴方は医学の進歩で最終的には神霊にはなりきれなかった――そうですね?」

「・・・・・・」

「だから、貴方は自分に最も近い存在で、恐怖の対象として完成されている形骸を欲した。それが"幻想魔道書郡(グリム・グリモワール)の魔道書に記述された"|黒死斑の死神》"貴女は自分自身を神霊として呼び出すために――」

「黒ウサギ、残念ながらそれは違うぜ」

バサッ!!ブワワワァァァー!!

そこに全身から大気を撒き散らした龍嗣がそこにやってきた

「「龍嗣さん!!」」

「黒ウサギ――彼女は、八〇〇〇万もの死の功績をもつ悪魔郡の代表――そうだろ?」

「どこで、わかったの?」

「どこでって、直感だよ?それに――白夜叉と寒冷期をつなげてあとは、解釈を混ぜれば自然に出てくるさ」

「アインシュタインもびっくりの頭の回路だわ、まぁいいわ、時間稼ぎに教えてあげる――私を召喚したのは、ほかの魔王軍・"幻想魔道書郡"を率いた男よ、けど、当の魔王は、私たちを召喚する儀式の途中っで何者かとのギフトゲームに敗北し、この世を去った、そして、私たちが"主催者権限(ホストマスター)"を得るに至った功績、この功績には私が、いや、すべての人の怨嗟を叶える、特殊ルールを敷ける権利があった、黒死病を世界中に蔓延させた飢餓や諸悪の根源、怠惰な太陽に復讐する権限があるのよ!!」

ペストの表情が一変する。

「太陽に復讐とは・・・・・・さすが魔王、大きく出たものでございます――太陽の主権を持っている白夜叉様を狙った理由はそこにあったわけですか」

「ど、どうする?」

「どうするもなにも、この力が一切通じなければ打つ手が――いや、フィナーレパーティーはこれからだ」

少しにやけた顔つきでいう龍嗣

「「???」」

顔を見合わせるサンドラと黒ウサギ。

 

「龍嗣、あなたが何考えているかわからないけど――白夜叉を手に入れて皆殺しよ」

刹那――黒い風が天を衝き、空中で霧散した闇の奔流がハーメルンの街に降り注ぐ

「先程までの余興とは違うわ――触れただけで、その命に死を運ぶ風よ・・・・・・!」

「なっ」

天からおそう陣風は如何なる力も寄せ付けない。黒ウサギの金剛杵も刹那に霧散される

そんな中、余裕飄々の龍嗣

「・・・龍嗣さん?」

それを見て、二人は顔を見合わせた直後

 

 

「さすが、与える側だな――神霊の御技しかと見せてもらったが――」

ギュオォォォォン!!パシュィィィン!!

「――これまでの対戦相手の技を使うスキル『人生経験談(エキサイティングメモリー)』、いやぁ、魔王の力ってすごいね~」

褐色の光とともに、眼下の街は、サラマンドラの火蜥蜴から、マンドラ、ラッテン、ヴェーザーに至るまで全て"石化"していたのだ。そう、天地に至る全てを褐色の光で包み灰色の星へと変えていく星霊の力を龍嗣は難なく行使したのだ

 

「せ、石化のギフト・・・」

驚くサンドラ、龍嗣の手には、煌々と輝く褐色の光

「・・・・・・龍嗣さんは、星霊のギフトまで――お、恐ろしいのですよ」

「どうも――どうだい?ケルト神話では見るだけで死を与えるみたいだけど――まさにそうだったね~物理的な力は聞かないからね、それにしても反則になると思ったけど、"意外にそんなことはなかった"」

「同士討ち――じゃないものね・・・」

苦虫を食いつぶすような顔をするペスト

「ということだ――こいよ、全力で」

挑発するように笑う龍嗣、その顔は何かを企んでいるようだ

「・・・!!」

ペストの風が四方向から迫ってくる――その直後

バキィィン!!パァンッ!!

十六夜が――それを打ち砕いた。

「遅いぞヒーロー」

「石化騒ぎなんて、趣味が悪いな」

「さぁな――」

「なッ・・・・・・」

そう、龍嗣は何気ない蹴りで、十六夜も蹴りでそれを霧散させたのだ

「ギフトを・・・砕いた?貴方達」

「先に断っておくが――俺は人間だぞ魔王様」

「同じく、少し頑丈なだけさ」

そういうと、同時に二人が飛び込んでいき彼女を蹴りで吹き飛ばす。そして、数多の建造物を粉々にしながら吹き飛ぶペスト。その光景を小さな口をあんぐりと開いたまま、唖然と二人の方をみるサンドラ

「・・・・・・・・・・・・え、えーと、あの二人はギフトを砕いた様に見えたけど」

「黒ウサギも、あの二人については知らぬことだらけでございます」

黒ウサギも改めて目の前の光景のデタラメ加減に舌を巻いている。そして、傷を瞬時に癒して服のほつれを正し、十六夜に微笑みかけるペスト

「そうか・・・なら、こっちも少し無茶しなくちゃな――」

その直後――地面が抉れ始めた

「な・・・なんなんですか!?これは!?」

驚きの連続がサンドラをおそう――目の前には、神格を持った龍嗣がそこに佇んでいるのだ

「毒を制するには毒を――そういうことだ!」

龍嗣は、思いっきり殴りかかりヒットさせ撃ち抜く

 

「おいおい、龍嗣本気かよ」

「あぁ、本気で行くぜぇぇ!!」

「来なさい龍嗣!!星をも砕けない分際では、魔王を倒せないことを教えてあげる!!」

無造作に手を振るペスト

 

ズバァァンッ!!

すると八〇〇〇万の怨嗟の声が衝撃波となって十六夜をおそう

「グッ!!」

軽い吐血する十六夜――龍嗣はクロスカウンターを放つ要領で十六夜の後ろから飛び込み

「星は無理でも、世界ぐらい(・・・・・)はぶっ壊してやる!!」

轟音と共に、龍嗣のリミッターを解除するスキル『人間的得意点(シューマッチポイント)』から大陸砕きのスキル『五大陸満足(パンゲアクラッシュ)』を使いペストを殴りつけると先程の十六夜とは、比べ物にならないほど飛んでいく

 

ガスッ…

「大陸並ね――流石だわ」

そういうと、真っ黒い八〇〇〇万の怨嗟の声が衝撃波となって龍嗣をおそうが

 

パシッ!!シュィィィンッ!!ゴォォォン!!

龍嗣の波動を司るスキル『大把乱(グリップカオス)』によって、それは上空にそらされる

「龍嗣さん!!押さえつけてください!!」

黒ウサギが叫ぶ

「おう!!」

それと同時に―― 一気に距離を詰めようとしたとき

「(ヤバッ!!調整間違えた)」

そして、目の前には立ち上がろうとしているペスト――このままだと確実に抱きつくことになる、速度は収まることもなく

 

ズガァァァンッ!!ダキッ!!

「「///」」

そのまま、地面につっこみペストと龍嗣の二人が抱き合う形でその場に倒れこんだ。

「「「・・・」」」

ズガァァァン!!

どこかしらで何かが吹き飛んだ音がしたが、気にしないでおこう

 

「それでは、今から此処に居る主力――まとめて月までご案内します♪」

黒ウサギの声と同時に、黒ウサギの白黒のギフトカードの輝きと共に急転直下、周囲の光は暗転して星がめぐる、温度は急激に下がり、大気が凍りつく過激な環境が龍嗣を含めた十六夜たちに襲いかかった

 

 

「神殿――思ったより、壮大じゃねぇか」

龍嗣が言う、見渡せば、灰色の荒野、生物など一匹もいない

「チャ…"月界神殿(チャンドラ・マハール)"!軍神ではなく月神の神格を持つギフト……!」

ペストが蒼白となって叫ぶ

「YES!このギフトこそ、我々"月の兎"が招かれた神殿!帝釈天様と月神様より譲り受けた、"月界神殿"でございます!」

そんな中

「月の兎すげぇ!!月の上ってことは…宇宙キタァあァァァァァァァァ!!!」

こんな戦闘にもかかわらず、ただ月の上に来ただけで、テンションが上がる龍嗣

「りゅ、龍嗣さん、お、落ち着いて」

 

「これが、落ち着いていられるか!?宇宙だぜ、宇宙!!夢にも思ってなかったぜ!!」

テンションがいつもより数倍増しで高くなっている龍嗣

そして、ペストに向かっていった

「そういや、ペストさっき――星をも砕けないと言ったな」

「えぇ、それがどうしたの?」

そういうと龍嗣は、人差し指を上に向け高々と宇宙(そら)を指差し

 

「見せてやる――これが星ってものだ!!」

龍嗣は流れ星を司るスキル『隕咳落下(メテオネック)』で、月に流星が激突するコースを作り出していたのだ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!

月の地面が唸りをあげる――全員が指差した方向を見ると光を放ちながら接近してくる物体

 

「な、なんてことなんですかぁぁあ!!!」

絶叫する黒ウサギ

「おいおい、流れ星ってな、規格外すぎるぜ龍嗣」

あの十六夜の額から冷や汗が面白いくらいに流れる

「ちょっと、流星を操るってどんだけよ!?」

飛鳥も絶句している、そして高らかに宣言する龍嗣

 

「さぁ、ペスト――ここにあれが激突する前に、我らを倒してみろ!!そして」

ピカァァァアアアアアアアアン!!

太陽を司るスキル『指害線(サンスロッシング)』で黒死病の弱点である太陽を味方にした。

そして、太陽が月面を照らし始める

「太陽に復讐してみろぉぉぉぉぉ!!」

 

「そ、そんな!?エッ!?」

「それは、こっちのセリフでございます!!」

ペストの悲痛な声と共にと黒ウサギが絶句する。

 

直後

「黒ウサギ!!射程に入ったぞ!!」

龍嗣が叫び

「あっ、はい!!飛鳥さん!!」

「わかったわ!!撃ちなさい!!ディーン!!」

「DEEEEEEeeeEEEEEEEEN!!」

紅い鋼の巨人が怒号を上げてインドラの槍をあの流星に向けて打ち出す、直後雷もまとわずに打ち出された槍は

ズガァァンッ!!

鈍い音と共に石突きの部分から真ん中の部分まで流星の進行方向に突き刺さる

バリバリバリバリバリバリ!!

「受けて見せろ!!黒死斑の魔王(ブラック・バーチャー)!!」

流星の速度と龍嗣の重力を司るスキル『躯重量(グラビト)』による重力加速で速度を増し、雷をまといながらそのとんでもない攻撃が月面に迫り

 

ゴォォォオオオオォォォォォォォォン!!

避ける間もなく被弾し、月面に巨大なクレーターを残した。

「――龍嗣…」

最後に幸せそうな顔をしながら、軍神の槍の圧倒的な熱量で彼女ははぜた。

 

 

 

ゲーム開始から十時間後――ステンドドグラスが全て破壊され、ヴェーザー河を描いたステンドグラスを一斉に掲げると"偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ"の一文が構成され、龍嗣含める参加者達の視界は一斉に砕けたように開けた。

見渡せば、舞台区画の尖塔郡とペンダントランプの灯火、黄昏時を彷彿とさせる街並みがそこにあった

そして、呆然とする参加者の前に恥ずかしそうに頭を掻く白夜叉が霞のごとく現れた

「皆、よく戦ってくれたの、東のフロアマスターから礼と・・・お詫びを告げねばならんの、偉そうにふんぞり返っておりながら、私は終始封印されたままだった、いや、まったくもって申し訳なかったのぉ」

恥じる白夜叉――しかし、非難の声はない。それだけ、白夜叉の人望が高いのだ。そして、サンドラが前に出て両手を広げた

 

「――魔王とのゲームは終わりました、我々の勝利です!!」

ワァァァァァァァァッ!!

ものスゴい歓声があがる。呪いから解放されたり、同士の命が救われたり、魔王の脅威が去ったり、それらを見舞わした白夜叉

「傷ついたものは、すぐに手当を、無事なものは手を貸すのだ、それが終わったら・・・・・・魔王を倒した功績の授与と祝勝会を兼ねた誕生祭の続きだ、覚えのある者はドキドキワクワクソワソワして待っているが良いぞ♪」

期待させるような号令と共に、一層大きな歓声があがった。

 

 

そして、ゲーム開始から四八時間後

 

 

「ふぃ~なんかいいな~」

外では、祝勝会を兼ねた誕生祭に加え盛大に終日宴会が行われていた。

「「おつかれ~」」

龍嗣たちは、ツクヨミと杯を交わしていた。

「どうなのさ?」

「まぁね――上手くいったさ」

「ってことは、また一人、側室が増えたのね?」

「側室・・・まぁ、そういう考えも出来るか」

「そうよ、あそこまでああされてなら、もう襲うしかないでしょ?」

「俺にロリを好む趣向はないから」

「へぇ・・・」

ジト目のツクヨミに少し困った龍嗣であった。

 

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