AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
「いやっほう」
龍嗣は、春日部と一緒に空を飛翔するスキル『
眼下には、飛鳥のギフトである神珍鉄の巨人であるディーンに飛鳥と全身ずぶぬれの十六夜が乗っていた。
「お~い」
眼下の二人に対して声をかける龍嗣
「あら、この声は」
飛鳥が気づくと同時に、龍嗣は地面に降り立った。耀は大の字になって抱きつくようにディーンの頭へ乗る。そして着地するや否や、大きくため息を吐いた。
「十六夜は何か成果あった?」
「上々だな、まあ期待してろよ」
ヤハハと腕を組みながら笑う十六夜――その反応をうかがおうとしていたが、何時も以上に物静かな様子だ
「あらあら、寝ちまったか、まぁ、無理もないな」
「無理もないって、何かあったの?龍嗣君?」
飛鳥が原因を聞いてきた。
「あぁ、あっちで、モンハンやってきたのさ」
「モンスターハンティングのことか?」
「あぁ、その通りさ」
「あっちにそんな面白いものがあったのかよ、クソが俺も案内しろよ」
「ハハハ、悪い悪い」
そういう龍嗣
「そんで、成果はどうだったのよ?」
「十六夜と一緒の上々ってところだ」
「へぇ」
十六夜がこっちを見てくる、少し物々しい雰囲気が漂ったそんな中
「あ、皆様おかえりなさい!」
農園区に通じる道の向こうから声が聞こえた。見るとそこに割烹着が特徴的な狐娘のリリがいた。
「ただいまリリ、農園区の世話は終わったの?」
「はい、まだ植えたばかりとか開拓したばかりとかで簡単な作業しか書かれませんから、今は貯水池から農園区への水路の確認をしていました、田園が整う前に整備しようと思ったので」
見ると彼女の手は泥で随分と汚れていた。
「おやおや、お疲れさん――リリ、両手を前に出してごらん?」
龍嗣がそういうと、言われたとおり手を前に出すと
「ほれよっと」
龍嗣は、水を司るスキル『
「あ、ありがとうございます」
「お疲れ」
そして、満面の笑顔で言う龍嗣
「それにしても、なんだかうれしそうだな」
「はい、こうやってコミュニティのお仕事をするのはとっても楽しいです、お昼ご飯だって美味しく食べられます!」
狐耳を立てながらはにかんで笑うリリ
「まぁ、働いた後のご飯は美味しいって言うしな」
「さすが、わかってる」
十六夜が言う
「それに、私の家は元々、農園を預かる一族でしたから、荒れた農園を見るたびに、私達の世代で土いじりはできないだろうなって、ずっと諦めていましたから」
「そっかぁ~」
空を眺めながら言う龍嗣――そんな中
グゥゥゥゥゥン…5人の腹の虫が声を上げた
「……ぁ、えっと」
「……飛鳥、はしたない」
「ちょ、ちょっと春日部さん」
飛鳥とリリの顔が紅潮する
「腹減ったなぁ~リリ、昼飯何?」
「おにぎりです」
「マジ?なら梅鰹醤油」
「私はしそ昆布」
「……シーチキンマヨネーズ」
「無難に鮭で」
と全力で注文する4人、そして若干首をかしげているリリ
「ん?ってか、春日部、シーチキンマヨって、わかるが――この世界にあるのか?」
「……あ」
その近くでは少し笑っている十六夜
「んじゃあ、飛鳥――少し早めに頼むぜ」
「えぇ、ディーン、速度を上げて」
「DEEEN!!」
少し早く歩くディーンであった。
それから、昼食をとり終え、龍嗣達は大広間に集まっていた。
互いに戦果を報告するためにだ。審査役にはジンとレティシアが着く
「んで、黒ウサギは?」
「先程"サウザンドアイズ"の店に向かったところだ」
「ふぅん、まぁ、黒ウサギのことだ審査基準は聞いているんだろ?」
「えぇ、だから、僕とレティシアさんのだけでも十分です」
「了解、んじゃあ、とっととはじめようぜ」
龍嗣がそういうと、ジンが少し気取った咳払いをして始める。
「では、まずはじめに飛鳥さんですが、牧畜を飼育するために土地の整備と山羊十頭を手に入れたそうです、飼育小屋と土地の準備が調い次第、"ノーネーム"に連れてくる予定です」
「ふふ、子供達も『山羊が来る』『乳がいっぱい来た』『これでチーズも作れる』と喜んでいた、派手な戦果や功績ではないが、コミュニティとしては大きな進展だと思うぞ」
その言葉を聞いて、後ろ髪を掻き揚げる飛鳥
「次に耀の戦果だが……ふふ、これはちょっと凄いぞ、火龍誕生祭に参加していた"ウィル・オ・ウィスプ"がわざわざ耀と再戦するために招待状を送りつけてきたのだ」
少し十六夜の片眉がはねたのを感じる龍嗣
「結果、ゲームに勝利した耀さんは、ジャック・オー・ランタンが製作する、炎を蓄積できる巨大キャンドルホルダーと無償発注したそうです」
「これを地下工房の儀式場に設置すれば、本拠と別館にある"ウィル・オ・ウィスプ"製の備品に炎を同調させることが出来る」
「なので、これを機に、竈・燭台・ランプといった生活必需品を"ウィル・オ・ウィスプ"に発注することになりました。こっちは中々値が張りましたが、先行投資だと思えば悪くありません」
「だな、これで恒久的に炎が使えるってわけか、すげぇな春日部」
「あぁ」
龍嗣と十六夜が喜色と感心を籠めた声をあげる。無理もないだろう、夜の読書が好きな二人にとっては、蝋燭を消費しなくれ済むということはこの上なくありがたいことなのだ。
「うん、頑張った」
得意げな笑みを浮かべる春日部
「いや~意外だな、二人共、金銭を賭けた小規模ゲームの多い七桁で、中々大きい戦果を挙げたみたいじゃねぇか」
「上から目線でご親切に・・・・・・それで十六夜くんと龍嗣君はどんな成果を挙げたのかしら?」
鋭い視線を二人に向ける飛鳥、二人は顔を合わせ席を立ち上がり、一同にそれを促す
「それじゃ、今から受け取りに行きましょうかね」
「・・・・・・受け取りに行く?何処へ?」
「"サウザンドアイズ"にさ、黒ウサギも向かっているなら丁度いい、主要メンバーには全員聞いておいて欲しい話だからな」
含みのある十六夜の言葉
「まぁ、俺の方は、コミュニティサラマンドラから届く"アレ"を取りに行かなくちゃならないんだがな」
「そうだね、待たせると悪いしね」
耀が言った。同時に、一同は一先ず大広間をあとにして、サウザンドアイズに向かった。