AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
「いやっほぅ」
「・・・・・・・あなたたちですか」
「まぁ、そんな邪険な顔をしないでくださいって――白夜叉から聞いてない?」
「オーナーからは何も」
「あらそう」
依然として、彼女の頭は固いなと思うが
「そう、なら質問を変えよう、黒ウサギ、中に入っていったよな?」
「えぇ・・・それがなにか?」
店員が聞き返した直後
「「「黙れこの墮神!!」」」
刹那、店内から竜巻く水流と轟雷と暗黒の槍が色々と突き破って、白夜叉を吹き飛ばしてきた
「「・・・はぁ」」
龍嗣と女性店員の声が合わさった。龍嗣は、飛んできた白夜叉をみて、重力を司るスキル『
ふわっ、ぽすっ
ゆっくりと地面に着地させてやた
「流石じゃなおんし」
「頼んでいる手前、みすみす見過ごしてガスっとはやれませんからね」
皮肉げに言う龍嗣――それから、龍嗣達は、断りを入れて中に入ると、黒ウサギとツクヨミ達の姿の思わず言葉をなくした
「・・・・・・黒ウサギ?」
「ツクヨミ・・・・・・?」
「「どうしたその格好」」
龍嗣と十六夜の声が合わさった。
「あ、龍嗣~おかえり~」
何気なく返事を返すツクヨミヲの着てるのは、少し大胆に胸元が開かれたメイド服だった。
そして、黒ウサギともうひとりいた女性が着ているのはというと、体のラインがはっきりと分かるよう小さめに着付けされた着物を股下でバッサリと切り取った奇形の着物だった。加えて肩から胸までを大胆に開き肌の露出を多くさせていた。そして、極めつけは統一感も何もない花柄レースのガーターソックス。
「はぁ――やりたいことはわかったが、ここまでいくと何も言えないな」
少し片手で顔を覆う龍嗣であった
「そんで、白夜叉があの着物もどきを目的もなしに着させるとは思わないが―― 一応理由を聞いておこうかな?」
「うむ、
「へぇ、さすが十六夜だな、この前の旱魃騒ぎの件か、中々いい目の付け所じゃないか、街中に張り巡らされている水路は、使用量を払える中級コミュニティだけしか使えないのが現状だからな、それに多くの組織が都市外にまで水を汲みに行っているからな、定期降雨もあるが、貯水もそんなにしかできないからな」
龍嗣のまともな意見に面食らう黒ウサギとツクヨミ
「そうですね、北側のように降雪量が多いわけでもなく、南側のように大河が都市部を貫通しているわけでもありませんからね」
「それで、水源開拓をってことね、けどまさか白雪姫が隷属させられるなんてね」
「規格外なだけだった、そして、おまえも人のこと言えんがなツクヨミ」
「あらあら、そう怒らない怒らない」
少しむすっとした表情の白雪姫
「お話はわかりました、しかしそうならそうと言ってくだされば良いものを・・・・・・こんな小僧を介さずとも、我が主神の求めならば喜んで協力いたし――」
「甘いな」
最期の言葉を言いかけようとしたとき、龍嗣の言葉によって遮られた。
「なに!?」
「わからないのか、それでは意味がないことを――上のものが全てを成して甘やかせば、下のものは堕落するのは目に見えているだろう、施設は用意しても、最期のひと押しはやはりしたのものがなせばならない――それに、今回の一件で、最下層から実力のあるコミュニティが現れたことを広く知らしめられるからな、競争心を高める意味合いもあったんだろ、白夜叉」
「まっこと、そのとおりじゃ」
「それで、十六夜の報酬――早く見せてもらおかね?」
「まぁ、慌てるなおんし、焦らずともここにある、ノーネームに渡すのは前代未聞だが、これほどの功績じゃ――ほかのコミュニティも文句はあるまいさ」
そういうと、白夜叉は両手を前に伸ばし、パンパンと小さな手で柏手を打った。すると、一枚の紙が光の中から現れた。
「それでは、ジン=ラッセル、これをおんしに預けるぞ」
「ぼ、僕にですか?」
「うむ、これはコミュニティのリーダーが管理するもの、おんしがその手で受け取るのだ」
ジンは促されるまま、その羊皮紙を受け取る
「こ、これ・・・・・・・まさか・・・・・・!!?」
「どうしましたかジン坊ちゃん?」
ジンの後ろに回り込む黒ウサギ、直後驚いて動かなくった。無理もないだろうなぜなら、羊皮紙には、外門の利権証のことが書かれていたのだ
「が・・・・・・外門の、利権証・・・・・・!!僕らが"地域支配者"!?」
「うむ、外門の利権証じゃ地域で最も力のあるコミュニティに与えられるもの、"フォレス・ガロ"が解体していこう、サウザンドアイズが預かっていたが……いまのおんしらになら、返しても問題ないだろう」
口元を各品がら、少し笑みをふくみながら言う白夜叉。外門利権証とは、箱庭の外門に存在する様々な権益を取得できる特殊な"契約書類"である。これは、外門同士を繋ぐ"境界門"の起動や広報目的のコーディネートなどを一任するものである。
「さすが、十六夜、俺の予想斜め上を行くぜ、これで名無しと声高に罵っている連中も、声をひそめずにはいられないだろうな」
感心の声をあげる龍嗣、ツクヨミも満足気だ。龍嗣の言葉でジンは大きく息を呑み――困惑した視線を黒ウサギに移すと
「黒ウサギ――」
「――……」
全身を震わせながら立ち上がった黒ウサギは、ゆっくりと十六夜の方を向き
ガバッ!!
十六夜の胸の中に飛び込んだ
「凄いのです……!すごいのです!!すごいのです!!すごすぎるのですよ十六夜さんっ!!たった二ヶ月で利権証を取り戻していただけるなんてっ……!!本当に、本当にありがとうございます!!」
ウッキャー♪
と奇声を上げて、くるくると十六夜にぶら下がる黒ウサギ。普通以外のオーバーリアクションに面食らう十六夜。そしてどさくさに紛れ黒ウサギの身体を楽しんでいる。そして、座敷の後方に控えていた飛鳥は
「……やっぱり、私たちの負けなのかしら?」
そうとなりにいるはずの少女に聞いたとき
「春日部さん?」
耀と龍嗣はその場からいなくなっていた。
「見てられないな――」
「……うん」
上空100mのところに龍嗣と耀はいた。そして、上空には神々しいまでに白く輝く巨体に紅い雷を纏った真っ白い純白の龍、龍の顔にはうっすらと紅の線が入っている。二人は、それに乗っていたのだ。
バサッ!!バサッ!!バサッ!!バサッ!!
旋風を吹き荒らしながら、悠々と上空を飛んでいる。この龍の名称はアンセスタードラゴン(名前アンス)、龍嗣が東側のモンスターハンティングで手に入れたあの龍なのだ。なんで大きいかというと、龍嗣の大進化を操るスキル『
眼下にはコミュニティ"サウザンドアイズ"支店
『グギュガオォォォォオオオォォン!!』
二人の後ろに後光が差し込む――そう、龍嗣と耀が乗っているのは、"神話にのみ息衝く最強の生命体"――龍の純血種なのだ
龍の咆哮が聞こえたのか、大人状態のレティシアを含めるコミュニティの面々が外に飛び出してきた。
「龍…これが、龍だと……」
絶句する十六夜、黒ウサギとジンや飛鳥も同様だった。
「よっと」
スタッ!!スタッ!!
そんな中、龍嗣は地面に降り立つ
「りゅ、龍嗣さん――こ、これはどういう事なんですか?」
黒ウサギがものすごく動揺しながら聞いてくる
「これ?あぁ、アンスのことね、見ての通り隷属させたのさ」
「そんな、龍の純血種を――いや、現実起きているのだからこれは、受け止めないといけませんね」
龍嗣の頬を龍の舌が舐める。
「さすが、そんで、白夜叉、どうなんだい?」
「はぁ、わしに説明させるのか、お主も難儀な奴だな」
「あら、そうかい?」
「まぁ、よい――私の自室で話す、来い小僧ども」
「は~い」
そういうと、アンスは龍嗣の背丈と同じくらいに小さくなる。龍嗣は頭をなでてやると嬉しそうに振舞うアンス
それから、一同は白夜叉の自室に向かった。
「んじゃあ、コミュニティ"サラマンドラ"からの報酬、下ろしてもらおうかね」
「ふふ、わかっておる、それにしても、前代未聞じゃな――境界門を使っての為替手続きとは、」
「まぁ、それだけでかいことをやったんだよ、俺らは」
「まぁ、よい」
白夜叉は再び手を合わし柏手を打つと
再びジンと黒ウサギの下に羊皮紙が現れた。
「えっ・・・」
それは、羊皮紙とは呼べるものではなく巻物のようなものだった。
「「(長っ!!)」」
驚く二人――長さ的に言えば、源氏物語の第一巻くらいの長さがあるのだ。
「白夜叉様――どうにかならないんですか?」
「無理じゃ、一応品物は全部コミュニティの倉庫に・・・」
言いかけたとき
「「えっ・・・」」
二人の顔が引きつった。
「それ以外にも、土地の利権証とかもあるからな、重宝するんじゃぞい」
「「はい」」
ジンと龍嗣の声が合わさる。龍嗣の
牧草地+乳牛+肉牛含めた牧場→五件/合計200ha
別荘地3件
生活雑貨1000点
食料系100000点
土地利権証45点
その他利権証15点
その他、武器?みたいなの20点
ざっとこんな感じだ。それが一点ずつ刻銘に記されているのだ。
「「「「「――…」」」」」
全員の空いた口がふさがらない状態。しかし、ドヤ顔の龍嗣と耀
「うむ・・・黒ウサギ、どう見る?」
「は、はい、ものすごい手柄だと思います」
二人の凄さに面食らいながら、黒うさぎが頷いて返す。
「んじゃあ、黒ウサギ、ジン――俺は、桜出雲のほう見に行くわ――宴までにはもどる」
龍嗣が立ち上がる
「はい、わかりました」
「あぁ、白夜叉、桜出雲の方の雑貨とか、食料とか、転送しておいてくれ」
「お安いご用じゃ」
そういうと、白夜叉は柏手を打つ
「サンクス――んじゃ」
龍嗣が去ろうとした時
「……龍嗣」
耀が手を高くこっちに向ける
そして、龍嗣と耀は顔を合わせ
パシッ!!
少し高いところでタッチするのであった。
――桜出雲本館
「ただいま~」
ノーネームに勝るとも劣らないくらい豪華な館に龍嗣とツクヨミは足を踏み入れた。
「おかえりなさい、旦那様」
「おいおい、皮肉のつもりか?」
「あら、所有物が何を言ってるのかしら?」
いきなり喧嘩勃発かと思われたが、これも龍嗣だからこそなせる技だ。そう、目の前にいるのはメイド服をそつなく着こなした、"
「あら、新戦力?」
右肩に乗っている小さいドラゴンに気づくペスト
「あぁ、アンセスタードラゴンのアンスだ」
「へぇ、純血種…さすが、見込んだだけあるわね――あのいきなり送られてきたのもでしょ?」
「そういうこった」
「さすがね――しばらくは問題ないわね」
「そりゃよかった、労働力とかってどうなってる?」
「問題ないわ、ノーネームから来てるし、だからせいぜい招待状を選別するくらいだわ」
「南側からは?」
「えぇ収穫祭のが来てるわよ」
「ん――面白くなりそうだな、んじゃあ――さくっとやっちゃいますか」
「「おぉ~」」
『ピー!』
三人と一匹は、気持ちを一心にするのであった。
それから、黒ウサギたちの宴に合流し、宴も終わった後
「ふぃ~」
カコンッ
そんな音が聞こえる――龍嗣は湯殿にいた。腰まで湯に浸かりながらじんわりと疲れを癒しているのであった。
近くには耀がいた。そして、大人状態の艶やかで美しいレティシアもいた。
「それで、一つ聞いて良いか?」
レティシアが聞いてきた。
「なにがだ?」
「どうして、あの量のギフトが手に入れられたかだ、少々気になってな」
「まっとうな方法でさ、バラすとすれば、ほら北側には龍種討伐のがあるだろ、あれの最上級のを片っ端からやってたらこうなった」
「……規格外じゃな」
「どうも」
頭の上にタオルを置きながら言う
「……龍嗣――その」
「ん?なんだい?」
「ありがと」
耀がそういった。
「何言ってんだ、春日部も充分やってくれたよ」
「……うん」
少し顔が明るくなる耀だった。