AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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アンダーウッドと太陽

数日後――七七五九一七五外門"アンダーウッド大瀑布"フィルボルグ丘陵

 

「おぉ~」

龍嗣は、その壮大な光景に息を呑んだ。冷たく水分を多めに含んだ風が頬を撫でる。眼下には、樹の根が網目模様に張り巡らされた地下都市と清涼としたしぶきの舞う水舞台。巨躯の水樹から溢れ出した水は、幹を通して都市へと落下し、水晶で彩られた水路を通過して街中と勢いよく駆け巡っている。大樹の根は、地下都市を覆うように網目模様で伸びており、その隙間を縫うようにして作られた水路は、加工された翠色の水晶でできていた。

 

「なっかなか綺麗だな」

「えぇ、そりゃ箱庭屈指の景観だもの」

そういうツクヨミ。龍嗣の肩の上には小さいアンス。

『グギュガ~』

「お~よしよし」

時たま、頭を撫でてやる。

「まさに水と水晶の都だな~」

水の都の中を歩いていくと、上空を何十羽といった鹿角を持った鳥が飛んでいく

 

「(ありゃ、ペリュドンか)」

ペリュドンとは、人間を殺す動物で、元アトランティスにいた化物だ。

「何かの前触れじゃなけりゃいいんだがな――」

そう言いながら、色々と周囲を見ながら歩いていく龍嗣とツクヨミ。傍からみればデートだ。そんな中――

「あ、そうだ――龍嗣、美味しいもの買ってきてあげるから、ここ座ってて」

「ん、あぁ、ほれよ」

硬貨をいくらか渡し、美味しいものを買い物に出るツクヨミ。龍嗣は、近くの椅子に腰掛けると

「ちょいと、兄ちゃん、いいか?」

「えぇ、どうぞ」

年配の獣人――乱れた毛並みを持つ猫耳の老人が椅子に座ってくるので、スペースを開ける龍嗣。それから、ツクヨミを待っていると

「お前さん、どこの所属のもんだ?」

「俺は、桜出雲ってところですよ、おじさんは?」

「おじさんっていうのは、よしてくれや、俺にゃ"六本傷"のガロロ=ガンダックって名前があるんだ」

「失礼、じゃあ、ガロロさんでいいかな?」

「おう、ちなみに、兄ちゃんは?」

「九十九龍嗣さ」

「へぇ~人間か?」

「まぁね」

龍嗣は、目の前のその大物を知っていた。そう、目の前にいるのは、"六本傷"頭首・ガロロ大老だ。彼は、今回の祭りの主祭である"龍角を持つ鷲獅子"連盟の創始者の一人だ。

「おまえさん、何に出場するか決まったか?」

「ん、えぇ、ヒッポカンプには出ようかなって感じですよ」

「ほぉ~勝算は?」

「ありますよ」

そう言いながら、ガロロ大老と言葉を交わしていると、食べ物を持ったツクヨミが戻ってきた。

「龍嗣~」

「おう」

ゆっくりと立ち上がる。

「彼女か?」

「まぁ、そんなところですよ」

「そうか、お幸せにな」

「えぇ」

そういうと、龍嗣はツクヨミのところに向かった。

 

「へぇ、この白牛の焼きたてチーズ美味しいな」

「でしょ~」

熱々のチーズを口にいれながら通りを歩く龍嗣。とは言っても、無駄に歩いているわけでもなく、とある場所に向かって歩いていた。それは――アンダーウッドの最上部に位置する広場だ。これから、新入りを迎えに行くためだ。

 

広場に行ってみると――そこに、一人の少女がいた。前髪パッツンの黒髪ロングストレートに様々な色で構成された豪奢な和服に身を包み、頭には日輪を表す髪飾りをした少女。

 

太陽を神格化した神――アマテラスだ。

「うっそ、アマテラス!?」

「久しいな、ツクヨミ」

日輪と月光が邂逅する。

「そんな――外の世界に飛ばされたんじゃ!?」

「えぇ、まぁ、飛ばされましたけど――彼が見つけてくれたのですよ」

そういうと、龍嗣の方をみるアマテラス。

「まぁな――久しぶりだな、アマテラス、バカンスは終わったか?」

「えぇ、懐かし旧友たちと言葉をいくつか交わしてきましたわ」

「おう、そりゃよかった」

「本当に、ありがとうございますね」

「いいさ、同じコミュニティだしな」

「まぁ、そうですね」

と言葉を交わす。そう――龍嗣は、太陽神の一つをコミュニティに引き込んだのであった。

 

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