AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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収穫祭

翌日――収穫祭本陣入口の受付

 

龍嗣の視線の先には、今回の主催者である"龍角を持つ鷲獅子(ドラゴグライフ)"の連盟旗が飾られていた。

「んまぁ、そろそろかな」

龍嗣は、受付の近くの椅子に腰掛けながら座っていた。すると

「あ、龍嗣さん」

「ヤホホホ、お久しぶりです」

ノーネームの黒ウサギとジンと飛鳥と耀とウィルオウィスプのジャック・オ・ランタンとアーシャがやってきた

「お、あんたもここにいたのか」

「ヤホホホ、お久しぶりです、いやはや、注文ありがとうございます、今後共ご贔屓にお願いします」

「おう、こんども火に関しての生活用品発注の時は頼む」

さすが、彼は変わらないと思う龍嗣。そんな中

 

「あれ、十六夜は?」

龍嗣は黒ウサギに問うと

「はい、十六夜様は、ヘッドホンが無くなったのでそれを探すために」

「コミュニティに残ったってわけか」

「はい」

「ふ~ん」

彼なりに思うところがあるのだろうと推測する龍嗣

 

「それで、龍嗣さんは今まで何していたんですか?」

「ん、とりあえず、桜出雲の方で少々動いていただけさ」

「そうですか~」

「んでさ、黒ウサギ、今回の収穫祭の主催者の龍角を持つ鷲獅子(ドラゴグライフ)から、確か招待状が届いたんだよな、それの送り主って誰なんだ?」

「はい、今回、龍角を持つ鷲獅子(ドラゴグライフ)の議長でもあらせられる、サラ=ドルトレイク様からの招待状です」

それを受付の口から聞くと、龍嗣を含めた一同は顔を合わせた

「サラ……ドルトレイク?」

飛鳥が不思議そうに首を傾げる。

「まさか、サラマンドラの」

「ええ、サンドラの姉である、長女のサラ様です、でもまさか南側に来ていたなんて……」

ジンが言いかけると、熱風が大樹の木々を揺らした。龍嗣は発生源の方に視線を向けると

「さ、サラ様!」

「久しいなジン、会える日を待っていた、後ろの"箱庭の貴族"殿とは、初対面かな?」

燃え盛る焔翼を消失させ、樹の幹に舞い降りる、サラ=ドルトレイク。姉妹であるサンドラと同じ赤い髪を長くなびかせる彼女は、健康的な褐色の肌を大胆に露出している。強い意志を感じさせる瞳の頭上には、サンドラよりも長く立派に生え育った二本の龍角が猛々しく並び立っていた。そして、衣装は、踊り子と見間違えるほど軽装なものだった。

「ようこそ、"ノーネーム"と"ウィル・オ・ウィスプ"、それに"桜出雲"も、下層で噂の両コミュニティを招くことができて、私も鼻高々と言ったところだ」

「……噂?」

「ああ、しかし、立ち話も何だ、皆中には入れ、茶のひとつでも淹れよう」

龍嗣たちは、彼女の手招きに預かることになった。

 

「では、改めて自己紹介させてもらおうか、私は"一本角"の頭首を務めるサラ=ドルトレイク、聞いての通り元"サラマンドラ"の一員でもある」

「じゃあ、地下都市にある水晶の水路は?」

「もちろん、私が独自の技術で作った」

その言葉を聞いてか、胸を撫でおろすジン

「それでは、皆のコミュニティの代表者にも自己紹介を求めたいのだが……ジャック、彼女はやはり来ていないのか?」

「はい、ウィラは滅多なことでは領地から離れないので、此処は参謀である私からご挨拶を」

「そうか、北側の下層で最強と謳われる参加者を、是非とも招いてみたかったのだがな」

「……北側、最強?」

耀と飛鳥が声をあげる

「コミュニティ"ウィル・オ・ウィスプ"のリーダーでウィラ=ザ=グニファトス、生死の境界を行き来し、外界の扉にも干渉できる大悪魔、しかし、その実態は余り知られていないのさ、だろ」

龍嗣が言った。

「ああ、そのとおりだ、三年前に私が南側へ移籍して以降、当如露して頭角を見せた、噂によるとマクスウェルの魔王を封印したという話まであるそうだが、もし本当なら、六桁はおろか五桁最上位と言っても過言ではないな」

「ヤホホホ……さて、どうでしたか、そもそも五桁は個人技より組織力を重視致します、強力な同士が一人居たところで長持ちはしませんよ」

笑ってはぐらかすジャック

「ま、ジャックの言うとおり、強力な個人がいても維持できないからなコミュニティがな、いい例がペルセウスだな」

龍嗣が付け加える

「え?」

「ふふ、ごまかすな――最下層の"ノーネーム"が五桁の"ペルセウス"を打ち破ったのはもう有名な話、それに例の"黒死斑の魔王(ブラックパーチャー)"を倒したのもお前たちだろ?」

「そ、それは……」

「あぁ、間違いないな」

龍嗣がいう

「そうか、今の"サラマンドラ"に魔王を倒すほどの力は無いからな、強力な助っ人が手を貸したのだろうと思っていた、故郷を離れた私だが、礼を言わせてくれ、サラマンドラを助けてくれてありがとう」

「い、いえ」

反応に困るジン

 

「それで、そっちは挨拶しないのかい?」

「おっと、失礼――コミュニティ"桜出雲"、現リーダー九十九龍嗣です、よろしく」

「よろしく、それでは、収穫祭の方はどうだ?楽しんでもらえているだろうか?」

「はい、まだ着いたばかりで多くは見ていませんが、前夜祭にも関わらず活気と賑わいがあっていいと思います」

「あぁ、俺はこういうのが好きだから、非常に楽しいぜ」

「それは、何より、ギフトゲームが始まるのは三日目以降だが、それまでにバザーや市場も開かれる、南側の開放的な空気を少しでも愉しんでくれたら嬉しい」

「ええ、そのつもりよ」

「もちろん、そのつもりさ」

笑顔の飛鳥と龍嗣がいった。龍嗣は、時刻を確認すると、会談がそろそろ始まる時刻であった。

そんな中、龍嗣の直感スキル胸騒ぎの海勘(ハートブレイクシーセンス)が、それを告げた。

「おっと、黒ウサギにサラ様、少々用事があるので、これで」

そういうと

「待ってくれ、今宵夕食時にもう一度来て欲しい、十年前に"アンダーウッド"を襲った魔王――巨人族について、相談したいことがある」

「了解」

そういうと、まるで霞のごとくそこから龍嗣の姿が消えた

 

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