AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

32 / 39
大樹と太陽

――アンダーウッド、収穫祭本陣営。

 

黒ウサギやそのほかの、SUN SYNCRONOUS ORBT in VAMPIRE KING参加者は、一同混乱の渦に包まれていた。

 

「ど、どういうことでございますの!?」

「おい、黒ウサギ、どういうことなんだ!?」

「全く、全然わからないのでございます――本来、太陽の主権は最も多くの神仏が宿っているため、"黄道の十二宮"と"赤道の十二辰"の天体分割法を用いて24個に分け、主権を分散しているはずです、主権のいずれか一つでも持っていれば、箱庭の大天幕を開くことが可能なのですが――」

「そういうのは、いい――これは、本来あり得るのかってことだ」

十六夜はこういいたいのだ、なぜこの場――吸血鬼の古城に小規模ながらも太陽が存在したのかということだ。

「なぁ――これって、ゲームどころじゃないんじゃないのか?」

「審議決議をもう一度行なえと?」

「いや、そんな甘っちょろいこと言ってられないんじゃないのか?――いや、待てよ・・・」

「十六夜さん?」

「なぁ、太陽の主権を持つ人物で共通のことってあるのか?」

「共通のこと・・・しいて言えば、巨龍を召喚することが可能ですね」

「巨龍――」

十六夜が考えていると、何かをひらめいたように

「黒ウサギ――審議決議どうするんだ?」

「いえ、滞りなく行うのですが・・・」

「待て、多分、無理だろう――主権を持つことは確定している」

「なんですって!?」

「どういうことですか十六夜さん!?」

飛鳥と黒ウサギが声を上げた。

「あぁ、さっきも言ったろ、巨龍召喚――あれを満たしているからだよ」

「・・・もしかして!?」

飛鳥と十六夜と黒ウサギが一斉に上空を見上げると同時に

 

ズガアァァァァァンッ!!

光と闇の巨龍がぶつかり合っていた。

「もしかして、あの白い龍は!?」

「ってことになるな、クソが――いや、俺らのお仲間はとんでもない"人間"みたいだな」

「――はい、知る限りでは大問題中の大問題児でございます」

ノーネームの三人は、かたずを飲んでそれを見守るしかなかった。数刻後、辺り一帯を全て巻き込んで、消滅させた。

 

 

一夜明けて――アンダーウッド 吸血鬼の古城・城下町

「――さてと…対魔王戦、どうする?」

「あぁ、対魔王を謳うなら、持久戦の備えを常備していないといけねぇからな、そうでなくてもこの箱庭じゃあ、何時どんなアクシデントで孤立するかわからねぇからな、水珠や水樹のような水を確保できるギフトは必須だぜ」

「まぁ、確かに――ほらよ」

「ありがと」

龍嗣の水を司るスキル『水肢体(ウォーターボディスラム)』で、水を飲む耀とガロロとキリノとツクヨミと子供たち

それから、龍嗣とアーシャは、ガロロさんからもらった干し肉やドライフルーツなどの保存食を調味していく。

「ほいよ、ガロロさん、こんな感じでどうですか?」

「おう、味見ってか」

スープを渡す龍嗣。それを味見するガロロ

「おう、いいんじゃね?」

「んじゃあ、配っちゃいますね」

「あ、じゃあ手伝うわ」

「おう、サンキュー」

ツクヨミが手伝ってくれる。それから、一通りの食事が済んだのを見計らい、ガロロは、主要メンバーを呼び出した。

 

「さて、今後の活動だが――まずは意見を募りたい、誰か案はあるのか?」

「うん」

「あぁ」

龍嗣と耀が声をあげる。それを見て、ガロロは首肯して耀に促した。

「私は――全員でここに残って、ゲームの謎解きに挑むべきだと思う」

「……ほう?残って戦うべきか、そんで、そっちは?」

龍嗣に降ってくるガロロ

「俺に関してがだ、俺は単独でこれから動きたい――これから今すぐにでもな」

「・・・なぜだ?」

「それはな――」

龍嗣は理由を話し始めた。

「そもそも、耀とあんたらは、俺と違ってペナルティーを一〇日後に受けることになる――が、審議決議が行われている今なら、双方の戦闘行動が禁止されているからな、この廃墟や城の探索が今なら安全にできる――だが、これには問題が存在する」

「なんだ、兄ちゃん?」

「子供達の同意さ――」

そういうと、龍嗣はキリノの方を見ると

「ご、ご心配いただきありがとうございます、しかし、我々も"アンダーウッド"に住む同士の一人、ましてや眠ったままんお大精霊の窮地をほうってはおけません」

「――サンクス」

「おし、わかった――」

ガロロが言葉を紡ごうとしたとき

「それと、もう一つ理由がある」

「なんだい、兄ちゃん?」

「まずは、現状なんだが――俺の推測だと、黄金の竪琴が奪い返された際に"バロールの死眼"が盗み出された可能性がある――あくまで、可能性だがな、それとだ――どうも、妙だと思わないか?」

「何がだ――兄ちゃん?」

「あぁ、もし、この規模のコミュニティーを襲うなら、もう一つのゲームもあっていいだろう」

「……言われてみりゃ、そうだな」

アーシャがいう。

「ということはだ――下手すりゃ、ここ以外にも魔王が現れている可能性がある」

『っ!?』

その場にいた面々の顔がひきつる

「とはいえ、北にはサラマンドラと鬼姫もいるし、最悪――白夜叉もいるから問題ないだろうがな」

そう見解を告げるシン。

「とはいえだ――ガロロさん、ひとつだけ恐ろしいことを聞いていいですか?」

「おう、俺が分かることなら何でもいいぜ?」

「――現状の"階層支配者"である、サラマンドラと鬼姫、それにサウザンドアイズが――壊滅したらどうなります?」

「あぁ、そのときは、上位権限である全権階層支配者を決める必要があるな、それに加え全権階層支配者は、暫定四桁の地位と相応のギフト――太陽の主権を一つ与えられ、階層支配者を選定する権利を得る――それがどうかしたのか?」

「これで、決定だ――耀、ハーメルンとの戦い、目的は誰だったか覚えているか?」

「火龍誕生祭の妨害?」

「――違うな、白夜叉だよ」

「まさか!?」

「あぁ、そうだ――現状、そこの三つが魔王に襲われている、このことが意味するのはただ一つ、魔王を統率している輩がいるってことだ、これは、はっきり言って異常事態だ、下手すりゃ人類最終試練(ラスト・エンブリオ)に匹敵することかもしれんな」

「なぁ、兄ちゃん――はっきり言ってくれ、今箱庭はどうなっているだ?」

「あぁ、はっきり言おう、知る限りじゃ、これは、"異常事態"だ」

「おいおい、言ってくれるね」

「下手すりゃ、ボーナスゲームパレードよりタチが悪いな――だが、そこまで深く考えなくていい」

「龍嗣、深く考えなくていいって、どういうこと?」

「こっちも何も対策をうたなかったわけじゃない」

「えっ?」

「もし、魔王を統率する組織を仮に魔王連盟と例えよう――そいつらは、いやがおうでも"この俺と戦わなければならない"、なぜなら、万が一の為に白夜叉から、これを作ってもらったのさ」

そう言うと一枚の紙をギフトカードから取り出す。

「兄ちゃん、俺も初めて見る書類だが、そりゃなんだ?」

「"階層支配者"が著しく行動不能になったときの――権限委譲に関係する取り決めだ」

「龍嗣見せて」

「おう」

そういうと、その文章を読む耀

「つまり、白夜叉になんかあったら――龍嗣が代わりの階層支配者ってこと?」

「あぁ、そういうことだ――だから、あいつらは"この俺と戦わなければならない"ってことさ」

そう不敵に笑う龍嗣。それを見て、耀はこういった

「まさか、龍嗣――あって間もない頃、魔王連盟と戦ったでしょ」

「ッ!?」

その耀の言葉に驚く言葉

「(まさか、見抜かれていたなんてな――)」

沈黙があたり包む。

「――あぁ、そのとおりだ、俺は一回、魔王連盟と戦ったことがある」

「やっぱり、龍嗣――勝算はあるの?」

「負けたと思わなければ負けじゃない、そして君が勝ったと思わなきゃ価値が無い――それだけさ」

「中々なことをいうもんだな兄ちゃん」

「どうも」

ガロロさんにはやされる龍嗣

「ねぇ、話は戻るけど――ガロロさんは、色々なことを知っているでしょ、だから、私にも教えて欲しい、魔王と戦うためのノウハウや必要な知識を――」

そういうと、真剣な眼差しでガロロを見る耀だが、返ってきたのは、龍嗣とガロロの厳しい表情だった

「ダメだな、耀――その考えはマズイ」

「おい、兄ちゃん、あんた新参なんだよな?」

「あぁ、だが、はっきり言えるのは――その考えはまずいことがわかる」

「なら、兄ちゃん、言ってみろよ」

「おう、耀――よく聞け、そもそも魔王のゲームを勝ち残るための定石は『如何にして魔王と戦わないか』ってことさ」

「わかってるじゃねぇか、兄ちゃん」

「えっ!?」

驚く耀

「そもそもだ、魔王のゲーム――クリア条件とゲーム終了条件が提示される"魔王を倒すことでゲームクリア"、"魔王を無力化することでゲームクリア"ってことだ――そして、一つクリアするだけで、参加者側の勝利になるさ――まぁ、いろいろあるが、参加者側が有利な状況になるということはわかるな?」

「うん」

「相手は、修羅神仏だ――俺みたいな人間ならいざ知らず、耀みたいな奴が大悪魔や神霊クラスは、はっきり言ってまともに戦おうだなんて、バカとしか言えん」

「龍嗣、私はバカじゃないもん」

「いうな、んなことはわかってるさ――それでだ、耀、俺はここを離れる、あとは任せるぞ」

「おい、兄ちゃん!どこに行くってんだ!」

「あぁ、そりゃ簡単だ――少しゲームをクリアしに行ってくるさ」

そういうと、それだけを告げ――腑罪証明(アリバイブロック)を使って、そこから転移した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。