AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
――アンダーウッド、収穫祭本陣営。
黒ウサギやそのほかの、SUN SYNCRONOUS ORBT in VAMPIRE KING参加者は、一同混乱の渦に包まれていた。
「ど、どういうことでございますの!?」
「おい、黒ウサギ、どういうことなんだ!?」
「全く、全然わからないのでございます――本来、太陽の主権は最も多くの神仏が宿っているため、"黄道の十二宮"と"赤道の十二辰"の天体分割法を用いて24個に分け、主権を分散しているはずです、主権のいずれか一つでも持っていれば、箱庭の大天幕を開くことが可能なのですが――」
「そういうのは、いい――これは、本来あり得るのかってことだ」
十六夜はこういいたいのだ、なぜこの場――吸血鬼の古城に小規模ながらも太陽が存在したのかということだ。
「なぁ――これって、ゲームどころじゃないんじゃないのか?」
「審議決議をもう一度行なえと?」
「いや、そんな甘っちょろいこと言ってられないんじゃないのか?――いや、待てよ・・・」
「十六夜さん?」
「なぁ、太陽の主権を持つ人物で共通のことってあるのか?」
「共通のこと・・・しいて言えば、巨龍を召喚することが可能ですね」
「巨龍――」
十六夜が考えていると、何かをひらめいたように
「黒ウサギ――審議決議どうするんだ?」
「いえ、滞りなく行うのですが・・・」
「待て、多分、無理だろう――主権を持つことは確定している」
「なんですって!?」
「どういうことですか十六夜さん!?」
飛鳥と黒ウサギが声を上げた。
「あぁ、さっきも言ったろ、巨龍召喚――あれを満たしているからだよ」
「・・・もしかして!?」
飛鳥と十六夜と黒ウサギが一斉に上空を見上げると同時に
ズガアァァァァァンッ!!
光と闇の巨龍がぶつかり合っていた。
「もしかして、あの白い龍は!?」
「ってことになるな、クソが――いや、俺らのお仲間はとんでもない"人間"みたいだな」
「――はい、知る限りでは大問題中の大問題児でございます」
ノーネームの三人は、かたずを飲んでそれを見守るしかなかった。数刻後、辺り一帯を全て巻き込んで、消滅させた。
一夜明けて――アンダーウッド 吸血鬼の古城・城下町
「――さてと…対魔王戦、どうする?」
「あぁ、対魔王を謳うなら、持久戦の備えを常備していないといけねぇからな、そうでなくてもこの箱庭じゃあ、何時どんなアクシデントで孤立するかわからねぇからな、水珠や水樹のような水を確保できるギフトは必須だぜ」
「まぁ、確かに――ほらよ」
「ありがと」
龍嗣の水を司るスキル『
それから、龍嗣とアーシャは、ガロロさんからもらった干し肉やドライフルーツなどの保存食を調味していく。
「ほいよ、ガロロさん、こんな感じでどうですか?」
「おう、味見ってか」
スープを渡す龍嗣。それを味見するガロロ
「おう、いいんじゃね?」
「んじゃあ、配っちゃいますね」
「あ、じゃあ手伝うわ」
「おう、サンキュー」
ツクヨミが手伝ってくれる。それから、一通りの食事が済んだのを見計らい、ガロロは、主要メンバーを呼び出した。
「さて、今後の活動だが――まずは意見を募りたい、誰か案はあるのか?」
「うん」
「あぁ」
龍嗣と耀が声をあげる。それを見て、ガロロは首肯して耀に促した。
「私は――全員でここに残って、ゲームの謎解きに挑むべきだと思う」
「……ほう?残って戦うべきか、そんで、そっちは?」
龍嗣に降ってくるガロロ
「俺に関してがだ、俺は単独でこれから動きたい――これから今すぐにでもな」
「・・・なぜだ?」
「それはな――」
龍嗣は理由を話し始めた。
「そもそも、耀とあんたらは、俺と違ってペナルティーを一〇日後に受けることになる――が、審議決議が行われている今なら、双方の戦闘行動が禁止されているからな、この廃墟や城の探索が今なら安全にできる――だが、これには問題が存在する」
「なんだ、兄ちゃん?」
「子供達の同意さ――」
そういうと、龍嗣はキリノの方を見ると
「ご、ご心配いただきありがとうございます、しかし、我々も"アンダーウッド"に住む同士の一人、ましてや眠ったままんお大精霊の窮地をほうってはおけません」
「――サンクス」
「おし、わかった――」
ガロロが言葉を紡ごうとしたとき
「それと、もう一つ理由がある」
「なんだい、兄ちゃん?」
「まずは、現状なんだが――俺の推測だと、黄金の竪琴が奪い返された際に"バロールの死眼"が盗み出された可能性がある――あくまで、可能性だがな、それとだ――どうも、妙だと思わないか?」
「何がだ――兄ちゃん?」
「あぁ、もし、この規模のコミュニティーを襲うなら、もう一つのゲームもあっていいだろう」
「……言われてみりゃ、そうだな」
アーシャがいう。
「ということはだ――下手すりゃ、ここ以外にも魔王が現れている可能性がある」
『っ!?』
その場にいた面々の顔がひきつる
「とはいえ、北にはサラマンドラと鬼姫もいるし、最悪――白夜叉もいるから問題ないだろうがな」
そう見解を告げるシン。
「とはいえだ――ガロロさん、ひとつだけ恐ろしいことを聞いていいですか?」
「おう、俺が分かることなら何でもいいぜ?」
「――現状の"階層支配者"である、サラマンドラと鬼姫、それにサウザンドアイズが――壊滅したらどうなります?」
「あぁ、そのときは、上位権限である全権階層支配者を決める必要があるな、それに加え全権階層支配者は、暫定四桁の地位と相応のギフト――太陽の主権を一つ与えられ、階層支配者を選定する権利を得る――それがどうかしたのか?」
「これで、決定だ――耀、ハーメルンとの戦い、目的は誰だったか覚えているか?」
「火龍誕生祭の妨害?」
「――違うな、白夜叉だよ」
「まさか!?」
「あぁ、そうだ――現状、そこの三つが魔王に襲われている、このことが意味するのはただ一つ、魔王を統率している輩がいるってことだ、これは、はっきり言って異常事態だ、下手すりゃ
「なぁ、兄ちゃん――はっきり言ってくれ、今箱庭はどうなっているだ?」
「あぁ、はっきり言おう、知る限りじゃ、これは、"異常事態"だ」
「おいおい、言ってくれるね」
「下手すりゃ、ボーナスゲームパレードよりタチが悪いな――だが、そこまで深く考えなくていい」
「龍嗣、深く考えなくていいって、どういうこと?」
「こっちも何も対策をうたなかったわけじゃない」
「えっ?」
「もし、魔王を統率する組織を仮に魔王連盟と例えよう――そいつらは、いやがおうでも"この俺と戦わなければならない"、なぜなら、万が一の為に白夜叉から、これを作ってもらったのさ」
そう言うと一枚の紙をギフトカードから取り出す。
「兄ちゃん、俺も初めて見る書類だが、そりゃなんだ?」
「"階層支配者"が著しく行動不能になったときの――権限委譲に関係する取り決めだ」
「龍嗣見せて」
「おう」
そういうと、その文章を読む耀
「つまり、白夜叉になんかあったら――龍嗣が代わりの階層支配者ってこと?」
「あぁ、そういうことだ――だから、あいつらは"この俺と戦わなければならない"ってことさ」
そう不敵に笑う龍嗣。それを見て、耀はこういった
「まさか、龍嗣――あって間もない頃、魔王連盟と戦ったでしょ」
「ッ!?」
その耀の言葉に驚く言葉
「(まさか、見抜かれていたなんてな――)」
沈黙があたり包む。
「――あぁ、そのとおりだ、俺は一回、魔王連盟と戦ったことがある」
「やっぱり、龍嗣――勝算はあるの?」
「負けたと思わなければ負けじゃない、そして君が勝ったと思わなきゃ価値が無い――それだけさ」
「中々なことをいうもんだな兄ちゃん」
「どうも」
ガロロさんにはやされる龍嗣
「ねぇ、話は戻るけど――ガロロさんは、色々なことを知っているでしょ、だから、私にも教えて欲しい、魔王と戦うためのノウハウや必要な知識を――」
そういうと、真剣な眼差しでガロロを見る耀だが、返ってきたのは、龍嗣とガロロの厳しい表情だった
「ダメだな、耀――その考えはマズイ」
「おい、兄ちゃん、あんた新参なんだよな?」
「あぁ、だが、はっきり言えるのは――その考えはまずいことがわかる」
「なら、兄ちゃん、言ってみろよ」
「おう、耀――よく聞け、そもそも魔王のゲームを勝ち残るための定石は『如何にして魔王と戦わないか』ってことさ」
「わかってるじゃねぇか、兄ちゃん」
「えっ!?」
驚く耀
「そもそもだ、魔王のゲーム――クリア条件とゲーム終了条件が提示される"魔王を倒すことでゲームクリア"、"魔王を無力化することでゲームクリア"ってことだ――そして、一つクリアするだけで、参加者側の勝利になるさ――まぁ、いろいろあるが、参加者側が有利な状況になるということはわかるな?」
「うん」
「相手は、修羅神仏だ――俺みたいな人間ならいざ知らず、耀みたいな奴が大悪魔や神霊クラスは、はっきり言ってまともに戦おうだなんて、バカとしか言えん」
「龍嗣、私はバカじゃないもん」
「いうな、んなことはわかってるさ――それでだ、耀、俺はここを離れる、あとは任せるぞ」
「おい、兄ちゃん!どこに行くってんだ!」
「あぁ、そりゃ簡単だ――少しゲームをクリアしに行ってくるさ」
そういうと、それだけを告げ――