AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
――"アンダーウッド"上空・3000m地点。
「不思議か?」
「ああ、俺のように外来の人間にとって、箱庭は最高の宝箱さ」
遥か彼方を見据える十六夜。視線の先には緑地と黄土が混在する地平線。
「空の旅といえば、狭い箱に閉じ込められる息苦しいイメージしかなかったが……こんなにゆったりと開放的に飛べるなら、空の旅も悪くない」
相槌を打つグリー。緩やかな速度で編隊を保ちつつ上昇する攻略組。十六夜は壮大な大地と地平線を感極まるといった表情で見つめ続けている。
――だから、こそ気付けなかった。変隊の真正面に突如現れた漆黒の脅威に。
「――?」
一番最初に気づいたのは、サラだった。視線の先には、どの角度から見ても同じ球体の特異点。
「………ぁ、」
特異点は突如として、姿を変え、蠢くように戦慄き始める。
「ぜ………全員、逃げろおおおおおおおお!!」
後ろに向かって、絶叫のような退避命令。しかし――何もかもが遅かった。幾多数多の雷鳴が轟く上空で、特異点は――その姿を王者を思わせる外套ををなびかせた人影に変わった。そして、雷光が地平線を照らす都度に、煌々とした光を放つ黄金の御髪。その直後――
スタッ!!
「おっと、このような、褐色のお姉さんに手を出すとは――いくら金髪美少女でも流石にこれは許容できないね~」
『ッ!?』
若干、明るそうな声と共に、その場に現れたその"存在"に一同絶句した。サラの視界には白く長い髪の青年が――その攻撃を指一本で止めていた。
「さて――と、休戦期間中にこれは、どういうことなのかな~?」
ズガガッガガガッガガッ!!
一斉に射出される影の槍。だが、龍嗣の空間歪曲のスキル『
「さて――ここで、君を落としていいが、ただ一つ問題がありましてね、それは、彼女が可愛すぎたことです」
「はっ、言ってくれるじゃないか」
と、余裕の言葉を交わしていると
「「「―――ウオオォォオォォォォォッォォォォォォォ!!」」」
龍嗣たちは"アンダーウッド"を強襲する、巨人の大軍勢を捉えた。
「巨人族……!?馬鹿な、この短時間にどうやって、あの距離を移動したんだ!?!?」
「まぁ、何かしら方法はあったって事だが――」
十六夜が行った直後
「「「ウオォォオオォォ?????」」」
「えっ?」
サラは、その光景に驚いた。なぜなら、今までいた巨人の大軍勢が、一気にその場から姿が消えたのだ。
「「「―――ウオオォォオォォォォォッォォォォォォォ!!」」」
現れたのは、更にアンダーウッドの遥か後方。
「一気に、転移した――だと」
とはいえ、一気に元の場所までくるが――
シュパァァンッ!!
「えっ・・・えぇ~……って、一体どうなってるんだ!?」
再び後ろの元の地点まで戻される。
「ん?あぁ、空間歪曲でね、ループ状にした」
「つまり、3歩進んでも3歩下がるってかんじか?」
「いや、俺の場合、ルーチンをくんだから、3歩進んで5歩下がるって感じだ」
「うわ、それ、なんていじめ」
「まぁ、僕は悪くない」
「ははっ、言ってくれるじゃねぇか――んじゃあ、下は任せるぞ、俺は目の前のレティシアもどきをやる」
「あぁ、任せて頂戴、この戦いの残り全て棄権したくなるくらい、悲惨な試合を見せてあげるよ――生まれて初めてだぜ、誰かを手ずからぶちのめしたいと思ったからな」
そういうと、色々と連れて――東南平野に向かった。
――"アンダーウッド"東南平野
「―――ウオオォォオォォォォォッォォォォォォォ!!」
人の倍はありそうな大剣を持ちながらほぼ、無限マラソンを何度も行っている巨人たち――その光景は、見てて滑稽だ。
「いや~にしても、突然だね」
「えぇ、それにしつこいわね」
龍嗣の隣には、アマテラスとツクヨミがいる。
「あぁ、さてとどうしましょうかね?敵は、バロールの死眼を持ってるから、厄介っちゃ厄介だけどね~」
「まぁ、黒ウサギのマハーバーラタの紙片――帝釈天の神槍である"
「そうじゃな――最悪、私の天羽々斬とツクヨミの草薙ノ剣を使っても良いが、使う必要もないじゃろ」
「だな……だが、もっと面白いものを使うか――」
そういうと、龍嗣の手元に、派手に装飾された――実態のもたない一本の槍が現れた。
「――お主、それは?」
「コイツの名前は――
「――
「そういうことさ――それに加え」
同時に、龍嗣のすぐ傍らに綺麗な蒼白い色の槍の形をしたエネルギー体が現れる。
「これは?」
「形状が不安定であるがこれは――
「
「まぁ、そんなところさ」
「それで、どうするのよ?」
「こうするのさ――」
そういうと、龍嗣の周囲の魔力が一点に集中していく。
「滅べ――」
シンは、神になるスキル『
「
その言葉とともに――その場にいた巨人が蒼白い光に包まれて、そこから跡形もなく消滅する
「――おぅ、まさかお主本当に消滅させるとはな……」
少し引き気味のアマテラス。そんな中――シンの気配がゆっくりと変わってきている。先程までの余裕とした雰囲気ではなく、相手を殲滅しようとする"膨大な殺意"がそこにあった。
「アマテラス・ツクヨミ――お前ら二人は、ゲームクリア及び魔眼の破壊を最優先として、動け――俺は蠅どもを潰してから行く」
「お主――」
「龍嗣――」
心配そうな顔をする二人。そんなことを気にせず、龍嗣はその場から消えた