AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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終幕:吸血鬼狂宴祭とエキストラステージ

――吸血鬼の古城・黄道の玉座

 

「要するに、大天幕が開くまでに巨龍の心臓を撃てばいいんだよね?」

「……はっ?」

レティシアが視線をあげる。同時に、据わった瞳でレティシアを睨み

「レティシアは間違っていない、今は一分でも一秒でもゲームをクリアしなきゃいけなかった、地上で死に物狂いで戦っている飛鳥たちのためにも………そして、それはなされた、だから、此処からは全て自己責任だ」

レティシアは、一転して蒼白になり、玉座の間に居る全員に訴えた。

「だ、誰か耀を止めろ!!あの子は本気だ!!本気で……巨龍と戦うつもりだ!!」

玉座に繋がれているにもかからず今にも飛び出しそうなレティシアだが――

 

 

「勝てないことも戦わない理由にはならない――だろ?」

『ッ!?』

その場にいた耀と十六夜以外の面々が突如した声に警戒する。そして、レティシアの前に九十九龍嗣が現れた。

「――龍嗣」

「さてと、ある程度理解はした」

「理解…だと?」

レティシアが何を言ってるかさっぱりわからないという表情をする。

「あぁ、ここでだ――レティシア、ひとつだけ確認していいか?」

「なんだ?」

「あの巨龍は"龍"として認識していいんだな?」

「そうだ、知らなかったのか?」

「いや、確認だよ」

というと龍嗣は、刀を精製するスキル『見囮刀(ソードルックス)』、命中のスキル『狙数増(ゲットターゲット)』、一振りで二回斬るスキル『二重走(ツインランナー)』、斬ったら爆発するスキル『大爆傷(ダイナマイトスマイル)』、追加攻撃のスキル『二の腕三の剣(アドホックアタック)』、居合のスキル『健脚の抜き足(レッグウォーカー)』、どんな物体でも剣化するスキル『剣化両成胚(ノットセレクション)』、滅多切りのスキル『定滅多標的(メタジャンクション)』、魔法を司るスキル『ある魔法の一生(マジカルライフ)』、概念を斬るスキル『基本概念の大綱《ミーニングネットワーク》』などを使うと、手元に一本の禍々しく装飾の施された血の滴る剣が現れた。

 

「そ…それは……」

レティシアが本能的にその場から逃げ出そうとする。

「おい、龍嗣――それはまさか、バルムンクか?」

「あぁ、北欧神話、伝承にでてくるドラゴン、巨人の種族であるとともにドラゴンへと姿を変えた者ファーヴニルを倒した剣さ」

「……つまり、龍殺しの剣ってわけか?」

「そういうことだ」

薄紅と銀が混ざったような刃。

「さてと、十六夜、耀――本気なんだな?」

「あぁ」

「うん」

「そうか、なら協力してやるよ」

「龍嗣!!お前何を言っている!?」

「巨龍の心臓をこのバルムンクで貫くのさ――自暴自棄のメイドにはピッタリだ」

「馬鹿なッ!?――」

言葉を続けようとするレティシアだが

「あまり、我らのマスターを侮ってもらっては困るぞ、箱庭の騎士」

「――この気配は…!?」

「「!?」」

背筋に流れた恐ろしいぐらい冷たい威圧感及び神気に圧倒される十六夜と耀。耀に至っては額から冷や汗が流れる。

 

 

「――」

二人の前に現れたのは、一人は見知ったツクヨミと、もう一人は前髪パッツンの黒髪ロングストレートに様々な色で構成された豪奢な和服に身を包み、頭には日輪を表す髪飾りをした少女――アマテラスだ

「嘘だろ!?なぜ、まさかお主!?」

「ゲームで手に入れた、それだけさ、天幕が開く云々より、吸血鬼の大天敵である日輪がいる時点で、勝利は確定したのさ」

「おい、まて!龍嗣、アマテラスってまさか、あの――」

「あぁ、日本神話に出てくる――正真正銘の太陽の神様さ」

「なっ!?」

「嘘っ!?」

「嘘じゃねぇよ、本物だ――」

そしてレティシアを見つめて

「――レティシア、俺たちは巨龍を倒して、お前を完膚なきまでに救ってやるからな」

精一杯の笑顔でいう龍嗣。色々な意味で色々なことを悟るレティシアであった。

 

 

吸血鬼の古城・最端の崖――

 

「さてと、俺は飛べるからいいとして、十六夜、お前はどうする?」

「勿論、春日部に運んでもらうさ」

「それがいい」

短く言葉を交わす三人。

「なら、決まりだな、俺たちが道を作る――十六夜、フィナーレは任せたぞ」

「おう」

そういうと、耀が十六夜を抱えて飛び出していく。龍嗣たちも飛び出し、巨龍の眼前に出る。

「さてと…止めますか」

「あぁ、この後ろにはアンダーウッドだ……ったく、俺も人間みたいになってきたな」」

「龍嗣は元々人間でしょ」

「まぁな」

後方からアンスもくる。

 

「迎え撃つぞ!!」

「「おう!!」」

『ギギャゴオオォオオオォォンッ!!』

眼前の巨龍は、減速せずに突っ込んでくる。

 

 

ギィッィンッ!!バキィィンッ!!

龍嗣の能力、波動を司るスキル『大把乱(グリップカオス)』や強い力を司るスキル『強い語り手(ストロングストーリー)』等で作った障壁で、龍の動きを阻害する

『グギャァァンッ!?』

暴走しながらも戸惑う巨龍。

「飛鳥――!!」

「行きなさい!!ディーンッ!!」

『DEEEEEEEeeeEEEEEEEEEEEEEEEEEEN!!』

巨龍の顎を掴み、大地がめくれ上がるほど踏み込みでぶつかり合う。巨龍が一気呵成にディーンを押し込んでいくが――

 

「甘い――!!」

アンスが龍の顎を押さえつける。同時に龍嗣は、カウンターのスキル『節明責任(アカウンタビリティ)』と打撃を浸透させるスキル『痛信内臓(キルミーブロー)』と強い力を司るスキル『強い語り手(ストロングストーリー)』と速度を司るスキル『自我速度(マイスピード)』で巨龍を吹き飛ばす。と同時に、アンダーウッドを絶えず取り巻いていた暗雲が、大天幕の開放と共に太陽の日差しを受けて霧散していく。

 

「――開いた!!」

巨躯の体が透過していき、心臓に刻まれた神々しい極光が浮き彫りになる。その一瞬を待っていたかのように十六夜を抱えた白銀の流星が走り出す。と同時に、龍嗣も走り出す。

「「見つけたぞ……十三番目の太陽――!!」」

十六夜が両手に抑えた光の柱を束ねる。龍嗣も魔剣バルムンクを構える。と同時に、その大天幕にも関わらず周囲が漆黒いや夜に包まれていく

「(おいおい、自分でも作っておいてだが――これはとんでもない暴れん坊だな)」

今にも暴発しそうな力の集合体だ。

「んじゃあ――思いっきり暴れろ!!」

言うと同時に、剣が振り下ろされ、白銀と漆黒の光が巨龍の心臓を打ち抜いた。

 

 

 

 

そう――それで全てが終わるかに思えたが――

 

キィイイィィンッ・・・!

「この反応は!?」

耳を劈く音と共に、白夜叉からなにやら"恩恵(ギフト)"で通信が届いた。そこにはこう書かれていた

 

<東にて"拝火教(ゾロアスター)"の魔龍の分隊が出現、至急対応されたし>

 

 

「"拝火教(ゾロアスター)"の魔龍アジ=ダカーハだと!?」

龍嗣は通信をみて声をあげる。と同時に、ツクヨミとアマテラスがやってくる。

「どうした?」

「東でアジ=ダカーハが現れたらしい」

「アジ=ダカーハだと!?」

「知ってるのか、アマテラス」

「あぁ、魔龍アジ=ダカーハ――"拝火教(ゾロアスター)"の魔龍であることは知っていると思うが、本体が二百年前に解放されて以来、分身体と呼べる群れを構築して無作為に暴れ続けている、しかも本体は叩けば叩くほど分身を増やす上い第一世代は全て神霊級、一匹で神郡を築く魔王だ、それに加え強力な不死性を持っている」

アマテラスの説明を受ける。

「どうする?」

「無論――行くぞ」

そういうと、黒ウサギ達がレティシアの解放に歓喜している中、龍嗣達はその場から消えた。

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