AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
――"アンダーウッド"・東南の高原とアラサノ樹海・境界線
夕焼けで朱色に染まる高原には、旋風が砂塵を巻き上げて竜巻いている他に、紅い雷が幻獣ペリュドンの群れを圧倒していた。
そして、その雷の中心にいるのは、白い龍角に紅い痣を持った巫女服の少女。その瞳は、紅より紅い。
ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!
空中を縦横無尽に動いて、ペリュドンを一匹残らず撃滅していく。
何処にいてもいなくても、そのありえない威力に一匹残らず転落していく。
「――今だ!!」
雷で自然に弓矢の射程圏内に入ったペリュドンを春日部の合図で一斉に真下の樹海からの弓矢で羽を射る。
「仕留めた!!」
「大猟だ!!」
「いや、まだだ!!」
樹海からは狩人達の歓声と警戒の声だが、墜落したいくつかのペリュドンは、翼を射られただけで、すぐに起きて鋭い角の切っ先を向ける。だが――
「今よ、メルン!!足場を崩して!!」
「はい!!」
一瞬ぬかるんだ足場に動きを奪われる。そして、二射目で絶命する。それから、丘陵から駆けつけた燿は、狩りの成功を確認し、肩の力を抜く。
「――飛鳥、無事?」
「えぇ、春日部さんもお疲れ様」
と飛鳥と燿で話していると
「燿、飛鳥――無事かしら?」
空中から降りてくる人影がひとつ――彼女の名前はアンス、コミュニティー桜出雲のメンバーであの白い巨龍が人型に変身したものだ。とはいうものの、打ち解けるのに時間はかからずこうやって共同戦線を組んでいたのである。
「それにしても、これで、狩猟祭も上位かな?」
「さぁ、とはいうものの角付きのけものは高得点だしね、まぁ、期待していいと思うわ」
と三人は自信ありげに頷きあう。
「まぁ、ペリュドンは、体も大きいし角もある大量得点ゲットね」
「ふふ、そうね、半分はアンスだけど、それでも高得点ね」
「でも、ギフトの使用回数も使い切ったし、そろそろ戻る?」
と話していると、その中から元気な声を上げて、二人に近づくものがいた。
「うわあ、常連さん達ってばすごいですね!こんなに豊猟なら、収穫祭も盛り上げること間違いなしです!」
鉤尻尾をユラユラと揺らす"六本傷"の猫娘、キャロロ=ガンダック。彼女もまた胸当てと狩猟をつけて参加している。
「ペリュドンは、獰猛な上に群れで活動していましたからね、私たちだけじゃ厳しかったところです、それをこんなあっさりかることができるなんて、やっぱり定連さん達はすごいですね!!」
黄色い歓声を受けて喜ぶ三人。ちなみに、上空では、相変わらず雷鳴が轟いており、それがペリュドンに命中していき、刻々と獲物が増えていっている。
「でも、このペリュドン食べられるの?」
「えぇ、鹿肉に近いからね、焼いたり、燻製にしたりできるわ」
とアンスが言う。
「そうなんですよ!!今晩の開催式では、それはそれは美味しく香ばしい姿焼きでずらりと並ぶこと間違いないです!!」
とはしゃぐキャロロ
「それにしても、巨龍との戦いで収穫祭に使われる筈だった食材の半数がダメになったと思ったら蘇るなんて、この狩猟祭の成果も合わせたら、収穫祭の大成功につながります――定連さんたちにはとびっきり美味しいのをご馳走しますね!!」
と嬉しそうなキャロロ。
「そっか、今日の開催式は食べ放題だものね」
「春日部さん、涎が垂れてはしたないわよ?」
と口元を拭う燿。そんな中――
「どうやら、騎士様も容赦ないみたいわね――飛鳥、少し待ってなさい」
「えっ?」
そういうと、空に飛んでいくアンス。そして、その直後、彼女を中心とした空が暗くなる。同時に、バチバチと雷鳴がとどろいていく。その様子を耀は、地上から見上げる。
「(目をつぶっている…)」
いくら、強いといえど、さすがに目を瞑った状態では、ペドリュンの滑腔の的だ。耀が言うまでもなく、ペリュドンが襲い掛かる。そして、彼女が一気に目を見開くと
キュィィンッ!!ズドオォオオォォンッ!!
彼女を中心として無数の雷の槍が現れ、瞬く間に周囲にいたペリュドンを圧倒していく。
「うっそ……」
唖然とする飛鳥と耀を後目に魔獣とペリュドン合わせて百数体が地面に落ちていく。そんな中、高台から、陽の光を背負うようにして仮面の騎士フェイス・レスが現れた。
「……貴方達も参加していたのですね」
「それは、こちらの台詞よ、仮面の騎士様、貴女はこの手の野蛮なゲームには参加しないものだと思っていたわ」
「えぇ、当初はなかったのですが、人並みのつきアイツというものがありますので」
軽くため息をするフェイス・レス。そんな彼女をまじまじと見る飛鳥。
「…何か?」
「い、いえ別に」
慌てて否定するが、それがかえって肯定になってしまう
「あいやーすごいですね、私たちの収穫量の五倍――は」
と言いかけると
ズドンッ!!ドドドドドドドドドドドッ
ものすごく何かがたたきつけられる音と共に、その場に先ほどアンスが撃ち落した魔獣とペリュドンが落ちてきた。
「前言撤回、私たちと同じくらいね」
「どこから、どうみても、同じじゃないでしょ、これ」
少ししてやられたといった顔をする飛鳥。そういうと、フェイス・レスは自分の分のギフトカードを取り出して、狩った獲物たちを収納し、高台に消えていった。
「あら、もっと悔しがると思ったんだけど、意外にあっさりといったところね」
降りてくるアンス
「あなた、中々酷いわね」
「まぁ、そういうもんよ」
そう言葉を交わす飛鳥とアンスであった。