AnotherStory―4番目の813スキル 作:有栖川アリシア
――"アンダーウッド"地下都市・収穫祭露店通り
飛鳥・耀・アンス・ガロロの4人は、獲物の収集所に荷物を置いて、アンダーウッドの地下都市に足を運んでいた。
「おう、お疲れ、みんな」
「あっ、龍嗣」
露店通りを歩いていると龍嗣とアマテラスとツクヨミに出会った。
「おつかれ、そっちは?」
「ん、観光ってところさ、あれ以来参加制限が一層厳しくなってね、暇だよ」
と腕を頭の後ろで組みながらいう龍嗣
「そっちもそっちで大変なんだね」
「まぁな」
耀に同情される。
「にしても、さっきの結果どうだった?」
「2位だったわ、あの仮面と引き分け」
「5割対5割だったってところか」
「えぇ、億劫そうな割にはしっかりとやってたわ」
龍嗣とアンスが言葉を交わす。
「"クイーン・ハロウィン"の寵愛者…フェイス・レスねぇ」
「別段悔しがることもねぇだろ、きっちり結果をだしたし、アイツは格が違うんだよ」
耀の言葉と結果にフォローを入れるガロロ。その横で焼き鳥を買う龍嗣とツクヨミ。
「まぁ、よくやったよおんしらは、そもそも、話によると制限つきじゃったんじゃろ?」
「えぇ、私はメルンとの連携に限定、春日部さんはグリフォン系のギフト限定よ、ディーンは修理中だとしても、本当なら何倍もの豊猟だったはずよ」
と不満そうにガロロのほうを見るが
「あながち間違っちゃいないな――」
「何が間違ってないっていうのよ?」
龍嗣の言葉に不満そうにいう飛鳥
「そもそも、俺らは曲がりなりにもコミュニティの主力だ、それがポンポンと手の内を晒したら、本気で俺らをつぶしてくる魔王共に手の内を晒すことになる、つまり、本拠の防御力も見切られることになり、コミュニティーの損失だ」
そういって、龍嗣は買ったばかりの焼き鳥にありつく。それに手を伸ばすアンスとアマテラスと耀
「それに、ガロロさんや"龍角の鷲獅子"には悪いが、今回のあれはいわゆる遊びだ、ボランティアだ、あんなところでは、二三割の力で結果を出すのが当然ってのが筋だろ?」
「まぁ、そうね――」
「ま、俺だって本気を出せば"
と平然と言ってのける龍嗣に唖然とする面々。
「それに加え、あんたらがポンポンポンポンと本気出されたら、耐久できるギフトが無くなるわ」
「「ゔっ・・・」」
そういわれ、黙る飛鳥と耀
「ま、本命のヒッポカンプの騎手で、叩き潰せばいいんだよ、それまで気でもやしないな」
「わかってるわよ、そういうことわ」
そういいながら、飛鳥もツクヨミの焼き鳥に手を伸ばして食べる。
「んじゃあ、俺は開会式の準備があるから、行くわ、何にせよ、狩猟祭ではよく頑張ったよ、"六本傷"の露店に来てくれたら、埋め合わせはするから、それでかんべんしてくれよ」
というと、その場から立ち去るガロロ。
「ほれ、そこいら辺で上手い林檎パイがあったから、買ってきたぞ」
アマテラスとアイテールが林檎のパイをもって戻ってきた。
「「サンキューアマテラス!!」」
「ありがとう」
「ありがとね」
そういうと、それに手を伸ばす。
「うんまーい」
ちょうどいい酸味と甘みが口の中に広がっていく感触を楽しむ。
「そういや、耀――例のヘッドホンは?」
「ん、まだだよ」
「あっさりだな、その様子だと、十六夜からとがめられなかったみたいだな」
「うん、拍子抜けするくらいに許してくれた、あのヘッドホン――市販のものじゃなくて、友達の作品だった」
「友達の作品、んって…まさかな?」
「なんかあるの?」
「いんや、気のせいだろ――」
「まぁ、それならいいけど」
そういって、強引に話をそらす龍嗣
「あのヘッドホンはお父さんの持ち物として保管して、お詫びはほかにする、十六夜には収穫祭で手に入れたものをプレゼントするって約束したし」
「そうなのか」
「だから尚更、狩猟祭では優勝したかったのに、ガロロさんは空気の読めない人だ」
「まぁ、勝負というのは時の運じゃな――っと」
露点の方を見つめる耀
「どうした、耀?」
「いや、あれ何かなと思って」
「ん?」
そういうと龍嗣は、耀に指さされた方を見ると、そこには小さな群体精霊がいた。それが高速で飛鳥のおでこに突っ込んでいる
「あっ・・・」
気付いた時にはすでに遅く、
「きゃ!?」
「ぴゃあ!?」
「あ、飛鳥!?」
パイを放り投げ、慌てて飛鳥に駆け寄る耀。龍嗣はそのパイを空中で停止させ、飛鳥に駆け寄る。
見れば、不意を突かれたショックと衝撃で頭を押さえ前のめりになってる飛鳥。それから、身の危険を察知した精霊は、シルクで編まれた赤紫の服を正して立ち上がる。そして、飛鳥に向かって第二第三の精霊が向かってくるが
「おっと――」
龍嗣は、風を司るスキル『
「んじゃあ、そのままいってらっしゃい~」
龍嗣は、指をくるくると回し、突っ込んできた四体目の群体精霊もどきと共に、風圧で吹き飛ばした。
「ひと段落と、大丈夫か飛鳥?」
「う、うん、大丈夫」
でこを抑えながら言う飛鳥。そんな中、龍嗣の直感が何かを感じたのか
「大丈夫そうだな、俺はちょっと見てくるものがあるから、少しこの場を離れるよ、皆行くぞ」
『おー!』
龍嗣は、そういうと、アマテラスたちを引き連れてその場を去った。
直後、飛鳥と耀はサウザントアイズの女性店員に捕まったのは言うまでもないことだった。
少し色々と屋台を見回っていると
「なんか、騒がしいな――十六夜が暴れたか?」
「さぁ、どうする?ってか、場所わかってんでしょ?」
「まぁな」
ツクヨミに言われて答える龍嗣は、騒ぎの元と誰が騒いでいるのか、千里眼のスキル『
「(最下層で、耀が問題起こしたか――っと、めんどくさいゲスト介入の前に行きましょうかね)みんな、いくぞ」
そういうと、近くの崖から飛び降り一気騒ぎが起きているほうに向かっていった。
「よ、耀様!!がんばって!!」
「おう、お嬢ちゃん頑張れ!」
「だらしねぇぞ料理人!!もう二皿しか残ってねぇぞ!!」
「うおぉおおおお!!」
立食会場は異様な盛り上がりを見せていた。六本傷の名物料理をあきらめて年長組を招集しようと背中を向けていたリリは、冷めた声を聞いた。
「……フン、なんだこのバカ騒ぎは"
「連中はアレですよ、巨龍を倒して持て囃されている猿の一人です」
「あぁ、例の小僧のコミュニティーか……なるほど、普段から残飯を漁っていそうな、貧相な身形だ、碌に食事を与えられていないのだろう」
「"
「あぁ、所詮――いかなる功績を積み上げたとしても、"名無し"の旗に降り注ぐ栄光などありはしないのだから――」
と心にないことを言われる。リリは、その場で叫ぼうとしたとき
「あとは、任せな」
「えっ?」
そこに、頼もしい仲間がいた。リリの瞳に、綺麗な白い髪が映った。次の瞬間
「おい――そこの鳥男」
「…なんだ、貴様は?」
「俺か?俺は、そこの連れの仲間だが――さっき俺の仲間を侮辱してくれたな、てめぇちょっと面下げろよ」
と飄々とした表情で言う龍嗣。そうすると、男の取り巻きが一歩前に出てきた
「なるほど、君が誰かはよく分かった……でも君は、この御方が誰かわかっていますか?この御方は"二翼"の長にして、幻獣・ヒッポグリフのグリフィス様ですよ?」
「へぇ、人化の術ねぇ、だったら、姿をみせてみろよヒッポグリフの?焼いて丸焼きにして食ってやるからさ」
「ふざけるな貴様!!先ほどの放言のツケ、どう払うつもりだ!?」
と取り巻きAがいい
「分をわきまえろ、グリフィス様は、次期"龍角を持つ鷲獅子"連盟の長になられる御方――南の"階層支配者"だぞ!!"ノーネーム"に下げる頭はないわッ!!」
龍嗣とのやり取りがヒートアップする。
「おいおい、予測で言葉をしゃべるんじゃねぇよ、寝言は寝てからいえ――ちなみに、サラ・ドレイクの文句は無し"な」
「なに―――っ!?」
一手先を読み、催眠のスキル『
「こりゃ、滑稽だな、大方、曲解理解しているのが見え据えているな、どうだ、次期連盟議長殿、言いたいことが言えない気分は――ヒヒッ」
「貴様――!?」
取り巻き達が攻撃しようとしてくるが
「"そこを動くな"」
催眠のスキル『
「あぁ、そうだ、名乗るのを忘れていたな」
龍嗣は、リリを後ろに下がらせる。すると、龍嗣を周囲に天候が荒ぶり始める。何かを察知したのか、目の前にいるグリフィスと男の取り巻き以外が逃げ出す。
「俺の名前は、九十九龍嗣――」
そういうと、後ろにいたアマテラスとツクヨミとアイテールが神格をほんの少し開放し始める。
「桜出雲のリーダーで、ノーネームのメンバーだ――んで、まだやるかい?」
「ふん…私はまだ――」
まだ、言いたいことがありそうなグリフィス。そんな中だった。
「訂正しろ」
「えっ!?」
声がして不意に後ろを向く龍嗣。見ればそこには、光翼馬を模したレッグアーマーを装着した耀だった。それから、龍嗣は取り巻きの男をわざとように向けて攻撃させる。すると、すぐに男の取り巻きが200m上空に連れ去られる。
「(ありゃ、こりゃ過剰防衛になるな――)」
とめんどくさそうなことを考えていると。思いっきり取り巻きが自由落下を始める
『ひ、光り輝く旋風……鷲獅子と、光翼馬のギフトだと!?』
蒼白になってより後退りをしはじめる男の取り巻き。そんな中、グリフィスは
「そういえば、もう一匹バカな真似をして誇りを手折った者がいたな」
「……」
「有翼幻獣にとって、翼は空の支配者としての象徴、王鳥である鷲ならば尚更のこと――奴は元気にしているか?"名無し"の猿を助けるために、鷲獅子のツバサを失い――愚かで陳腐な姿となった、我が愚弟は!?」
愕然とする耀。
「――おいおい、お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「思い上がるなよ、猿が――このグリフィス=グライフこそ、第三幻獣種――"
雄叫びと共に稲妻と旋風が吹き乱れる。
「おいおい、それで威嚇したつもりか?俺の目の前には、ただの鷲鳥としか見えないがな――馬肉」
「なっ!?」
そして、彼が突っ込んで来ようとしたとき。
「はい、一旦そこまでにしておきや―――」
再び色々な意味で予想が外れる龍嗣。そこには、この場を絶対的におさめられる第三者がそこにいた。