AnotherStory―4番目の813スキル   作:有栖川アリシア

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サウザンドアイズ・1

数刻の後

「・・・・・・・。ああもう、好きにしてください」

丸一日振り回され続けて疲弊した黒ウサギは言い返す気力も残っていないが

「それにしても、先に帰るって言ってた龍嗣さん達はどちらにいかれたんでしょう」

周りを見渡してみると

 

「お~い、黒ウサギ~」

どこから取り出したかあるいは、手に入れたのかわからない巨大な袋、目いっぱい入るまで何かを入れた当の本人がやってきた

「りゅ、龍嗣さん!?そんなに大量にどこで手に入れたんですか!?」

「どこでってなぁ~ま、手ごろなゲームやって雪だるま方式でやったらこうなった」

どう考えても人が持てる大きさではないのは明白だった。その多量の荷物に驚いている三人

「・・・・・・龍嗣くん、その隣の子はどちら?」

「ん?ツクヨミ、俺が手に入れた仲間さ」

「手に入れた仲間?」

「まぁ、彼女も勝負に勝って手に入れた」

「へぇ~箱庭って凄いのね」

そう驚く久遠さん

「あぁ~黒ウサギ、おい黒ウサギ」

「なんでしょう?二回呼ばなくてもわかってますよ」

「知ってるわ、あえてだよ、この荷物全部食料系と後は雑貨系なんだけどさ――邪魔だから、持って帰っててくれないか?」

「・・・えぇ~と」

困った顔をする黒ウサギ――予定外のことだったみたいだ

 

「どうしましょうね・・・」

「まぁ、いいや――その様子だとこれからどこか行くんだろ?ついていくよ」

「えぇ、これからギフト鑑定に――あ、ジン坊ちゃんは先にお帰りください、ギフトゲームが明日なら"サウザンドアイズ"に皆さんのギフト鑑定もお願いしないと、この水樹の事もありますし」

「"サウザンドアイズ"?コミュニティの名前か?」

十六夜が黒ウサギに聞いた

「YES、"サウザンドアイズ"は特殊な"瞳"のギフトを持つもの達の郡体コミュニティで超巨大な商業コミュニティです、幸いこの近くに支店がありますし」

「へぇ~ギフト鑑定ってのは?」

「勿論、ギフトの秘めたちからや起源などを鑑定する事です、自分の力の正しい形を把握していた方が引き出せる力はより大きくなります。みなさんも自分の力の出処は気になるでしょう?」

特に拒否することもない龍嗣――それから、6人と一匹は"サウザンドアイズ"に向かった。

 

「桜か――いつぶりだろうな?」

「けど、真夏になっても咲き続けるはずがないもの」

「いや、まだ初夏に入ったばかりだぞ、気合の入ったサクラが残っていてもおかしくないだろ」

「……?今は秋だったと思うけど」

十六夜、飛鳥、耀の三人の季節が違う

「なぁ、ひとつ聞くけどさ――西暦1992年3月19日なんか事件あった?」

龍嗣が3人に問うと

「こっちは、でっかい地震があったぜ」

「そうね、特になにもなかったわ――しいて言えば、どこかの社長が逮捕されてたかな」

「……特になにもなかった、社長も逮捕されてなければ、地震もなかった」

「そっか――ってことは、俺たちは全員別々の世界から来てるってことだ」

「おい、それだけで、なんでわかるのさ?」

十六夜が説明を求めてくる

「1992年3月19日――俺が、都市をまるごと滅ぼしているからさ」

「―――おいおい、滅ぼしたってホントかよ?」

「あぁ、ホントだ」

十六夜の質問に返答する龍嗣――話を聞いていた飛鳥と耀とツクヨミと黒ウサギは絶句している。

「けど、仮に都市が滅ぼされても、徹底した情報統制下だったら、隠蔽できるだろ?」

「まぁな――けど、記憶が正しけりゃテレビ放送局で生放送している時間に滅ぼしたからな」

「おめぇ、なかなかの外道だな」

「まぁ、あのころは少し荒ぶってただけさ」

そう話しながらいると――店に着いた。商店の旗には、蒼い生地に互が向かい合う二人の女神像が記されている。あれが"サウザンドアイズ"の旗みたいだ。

 

「まっ」

日が暮れて看板を下げる割烹着の女性店員に黒ウサギは滑り込みでストップをかけた

「待った無しですお客様、うちは時間外営業はやっていません」

さすがは話で聞いた超大手の商業コミュニティー、押し入る客の拒み方にも隙がない。

「なんて商売ッ気の無い店かしら」

「全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるならどうぞ他所へ、あなた方は今後一切の出入りを禁じます」

「これだけで出禁とかお客様舐めすぎでございますよ!?」

キャーキャーとわめく黒ウサギに

「なるほど、"箱庭の貴族"であるウサギのお客様をむげにするのは失礼ですね、コミュニティーの名前をよろしいでしょうか?」

「・・・うっ」

なにか理由があるのか言い返せない黒ウサギ

 

そんな中、

「黒ウサギ――下がってなさい」

龍嗣の後ろから堂々とした態度でツクヨミが黒ウサギを見かねて現れた

「ちょいと、そこの店員さん」

「はい、なんでしょうか――ッ!!あ、あなたは!?」

「そういうこと、桜出雲のツクヨミだけど――入 り た い ん だ け ど、いいかしら?」

何かしらの関わりがあるのだろうこのコミュニティと。そして、そういうと諦めたように

「わかりました、白夜叉様をお呼び――」

サッ!!

突然白夜叉と聞いた途端、龍嗣の後ろに隠れるツクヨミと

 

「いぃいぃぃぃぃぃやほぉぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!ツクヨミ!!」

黒ウサギは店内から爆走してくる着物風というか着物の服を着た真っ白い髪の少女に抱きつかれ、もしくはフライングボディーアタックされ、クルクルクルクル~とまるで漫画のように空中四回転半ひねりして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

「きゃー――ー……!!」

ボチャンという水に落ちる音と遠くなる悲鳴

十六夜たちは目を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えるとツクヨミも痛そうな頭をかかえる

「・・・・・・おい、店員、この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

真剣な表情で言葉を交わす十六夜と女性店員――黒ウサギを強襲してきた白い髪の押さない少女は、黒ウサギの胸に顔を埋めてなすりつけていた。

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろう!フフ、フホホフホホ!!やっぱりウサギは触り心地が違うの!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

セクハラである、まさにセクハラである

「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

白夜叉と呼ばれる少女を無理やり引き剥がし、頭を使って店に向かって投げつける。そして先程の黒ウサギの如く、縦回転した少女を十六夜が

「てい!」

「ゴハッ!」

足で受け止めたと同時に、龍嗣に回してくる

「はぁ・・・」

飛んできたのを受け止めてやる

「お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

抱きかかえられたままで言う白夜叉

「十六夜様だぜ、以後よろしく和装ロリ」

ヤハハハハハ~と笑いながら自己紹介する十六夜

「ほれ」

龍嗣は、ゆっくりとおろしてやると

「おんしは、やさしいのぉ」

「どうも――それで、あんたはこの店の人かい?」

少し笑顔をする龍嗣

「おお、そうだとも、この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよ、仕事の依頼ならそうじゃの、そこにいるその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

「オーナー、それでは売り上げが伸びません、ボスが怒ります」

冷ややかな声で女性店員がいう

「うう・・・まさか私までぬれることになるなんて」

「因果応報だな」

「・・・・・そうね」

『お嬢と旦那の言う通りや』

悲しげに服を絞る黒ウサギ

「――はぁ、ほらよ」

湿度を司るスキル『温湿口火(ドライアウト)』で黒ウサギの服を乾燥させてやる

それから、白夜叉がにやりと笑った

「ほぉ、お前たちが黒ウサギの新しい同士か、異世界の人間が私の元に来たという事は…・…遂に黒ウサギが私のペットに」

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ、どこまで本気かわからないか白夜叉は笑って店に招く

「まあいい、話があるなら店内できこう」

「よろしいのですか?彼らは旗も持たない"ノーネーム"のはず、規定では」

「"ノーネーム"だとわかっていながらの対応、性悪店員に対するわびだ、身元は私が保証するし、ボスににらまれても私が責任をとる、入れてやれ」

すねるような顔の女性店員

「生憎と店は閉めてしまったのでな、私の私室で勘弁してくれ」

六人と一匹は和風の中庭を進み、縁側で足を止めた。障子を開けて招かれた場所は香の様なものが焚かれていた。個室というにはやや広い和室の上座に腰を下ろす白夜叉

「もう一度自己紹介しておこうかの、私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている"サウザンドアイズ"幹部の白夜叉だ、この黒ウサギとは少々縁があってな、コミュニティ崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

「へぇ~」

納得する龍嗣、それから外門について説明がなされ

「して、黒ウサギ――その水樹、一体誰がどのようなゲームで勝ったのか?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「いえいえ、この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?では神格もちか?」

「いえ、黒ウサギはそう思えません、神格なら一目見ればわかるはずですし」

「む、それもそうか、しかし、神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず…蛇と人では、どんぐりの背比べだぞ――しかし、黒ウサギ、なぜツクヨミがおるのじゃ、それも新たに連れてきた仲間になついているようじゃが?」

「えぇ――彼女は、こちらにいる龍嗣さんが打ち倒して、手に入れました」

「手に入れた――ということは、隷属させたのか?」

「みたいです」

「なんと!?」

驚く白夜叉――

「それにしても、白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ、もう何百年前の話だがの」

小さな胸をはり、豪快に笑う白夜叉

「へぇ、じゃあお前はあの蛇より強いのか?」

「ふふん、当然、私は東側の"階層支配者(フロアマスター)だぞ、この東側の四桁以下にあるコミュニティーでは並ぶものがいない、最強のホストだからの」

「最強ねぇ~」

龍嗣がにやりと笑う、最強という言葉に十六夜、飛鳥、耀の三人は一斉に瞳を輝かせる。

ギュッ…

後ろから龍嗣の裾を引っ張ってくるツクヨミ

「そう・・・・・・ふふ、ではつまり、貴女のゲームをクリアできれば、私たちのコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

「無論そうなるの」

「そりゃ景気のいい話だ、探す手間が省けた」

三人はむき出しの闘争心、そんな中――

 

シャリシャリシャリ~

我関せずと店で手に入れた斑梨にかぶりついている龍嗣とツクヨミ

「ぬけめない奴らじゃな、依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょっと、御三人様!?ってか、龍嗣さんとツクヨミさんくつろぎすぎです」

ハリセンで叩かれる龍嗣

「よいよ黒ウサギ、私も遊び相手には常に飢えている」

「ノリが良いわね、そういうの好きよ」

「ふふ、そうか――しかし、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」

「なんだ?」

白夜叉は着物の裾から"サウザンドアイズ"の旗印――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言

「おんしらが望むのは、"挑戦"か――もしくは"決闘"か?」

刹那――龍嗣の視界が流転した。

 

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