【ドイツ産】SSSレート喰種だけど質問ある?【パツキン巨乳】 作:ちゅーに菌
今回安価は本当にお休みです。
100年以上前にドイツの片田舎から始まった私の物語は5歳頃に覚えた純粋な食欲と、元来の組織への帰属意識の薄さから始まった。
そもそも人々を見てもただ単に繁殖地とだけしか見ることがなく、血の繋がった家族の顔すら知らなかった私が、"人間を必要以上に獲ってはならない"等と抜かす下らないコロニーを破壊したのは当然と言えるだろう。
私はまず殺した大人たちを喰らった。人間ほど美味ではないが、悪食な私はその味も癖があって美味に感じ、人間も喰種も等しく食することにした原点でもあるだろうな。
それから私は人間にも喰種にも忌み嫌われて追われるようになったが、その一切を殺し喰らう内にそれらも次第に落ち着き、逃げられることの方が多くなる。それほどまでに私は生まれつきただ異常に強く、十代前半で既に半赫者へと至っていたのが恐怖だったのだろう。
そのうちにドイツCCGが設立され、私がSSレートに指定されもしたが、そのようなことを言っていられない事態が起こる。
忘れもしない1914年頃から始まった第一次世界大戦だ。
ドイツは外国との負け戦の為に内部の喰種へ意識を向けている暇が無くなったのだ。それを好機に私は更なる喰種及び人間狩りを行い、少なくともドイツでの記録上では最初の赫者へと至る。
その頃には何故か一部の快楽的あるいは殺戮的な喰種たちや、破滅的で狂気的な人間たちから半ば崇拝され、私を頂点とするカルト団体"
その後の第二次世界大戦においてドイツ――いや、ナチスドイツがほぼ一国にも関わらず、他国と対等以上に戦争が出来ていたのは、何処の国よりも熱心かつ狂気的に喰種を徴用していたからだよ。何せ、あそこには幾らでも喰種に喰わせられる人種が居り、人間のトップも喰種の人種単位としての優秀な能力を高く評価していたため互いに極めて協力的な関係を結べていた。
いやぁ……今思い出しても愉しかったなぁ……あの頃は。
喰種親衛隊"
歴史が証明し、人間が御した最凶最悪の喰種指揮官。世界を変えるまでには及ばなかったが、ヨーロッパを恐怖のどん底に陥れるぐらいは出来ただろうな。クククッ……だからこそ
ちなみに記念の軍服はまだ保管しているぞ? 嬉しくて沢山貰ったので十何着かぐらいな。赫子の袖が可愛らしくて機能性もあってよい。
はてさて、時代と必要に応じて純粋悪足るこの私すらが人間の正義となるのならば……そういう意味での喰種と人間の線引きは一体どこにあるのだろうな? 結局、変わらんさ。喰種も人間も
それから中国に渡り、いつものように無差別捕食を繰り返していると红龔工などと呼ばれるようになったが……まあ、君が産まれる前の話だろうし、この辺りはどうでもいいな。そこは飛ばして日本に来てからの話をするか。
大型タンカーでバナナと一緒に日本に来た私は早速、喰種の魔境だという東京に来て――小さな子供の喰種に刺された。意識をどこにも向けずに油断していたことが理由の八割だが、それでも私に傷を付けるとは実に愉快。チビちゃんの将来性を感じて子育てをすることにしたのは当然の帰結と言えよう。
うんうん、そうだ。私は子を持つ母なのだ。
まあ……本当の日本に来た理由は、"隻眼の王"という大層強い喰種が、日本にいるらしいという噂を耳にしたため、喰らい殺しに来たのだが……私がヨーロッパや中国で暴れ回っている内に崩御したか身を隠したらしくてな。つまり私は不完全燃焼のまま、またそんな半喰種が現れないかなーと思いつつなんとなく日本にいるのだ。かなしみ。
はてさて、そして何の因果かこうして君は倒れ、私はここにいて無駄話をすることで、君が命を賭した時間稼ぎは大成功したと言えよう。よかったなぁ……24区で私に会いながら部隊のほぼ全てが生き残るなど快挙だぞぅ? 君たちの……いや、君の悪運の強さは大したものだ。
と……まあ、少し脱線したが、私の身の上話はこんなものだ。少しは暇潰しになったか?
喰種捜査官の――"
◇◆◇◆◇◆
「話していると少し喉が渇いたな」
地に倒れ伏し、最早腕を動かす体力もない女性――真戸微の隣で、肉々しいRc細胞壁に背を預け、膝を立てて座り、聞いてもいないことをペラペラと語った真性の怪物はそう溢した。
丸手斎を班長に
最も実力のあった微を殿に隊は撤退出来た筈であろう。尤もレッドプールに始めから隊の追撃をする気があったのかは甚だ疑問が残るが。
「ふっ……私はお前のスポーツドリンクか……」
微は小さく嗤いつつ大きな溜め息を吐く。実際のところその通りだろう。
通常の喰種とは異なりマスクをしておらず、代わりに軍帽を深目に被りながら黒い軍服を纏い、艶やかな金髪をした異質な喰種であるレッドプールは一切の手傷を負っていない。
同期で比べても頭ひとつ抜けて優秀な喰種捜査官の微が、自身のクインケが砕け散り、五体を投げ出して動けなくなるまで交戦したにも関わらずだ。そうなると、未練はある筈だがいっそのこと笑えてすら来てしまうらしい。
しかし、そんな彼女を余所にレッドプールは何かを考え込むように動きを止め、すぐに動き出して口を開いた。
「……ああ、勘違いさせたな。コーヒーを飲みたくなっただけだ。私は少食なのでな」
そう言ってレッドプールは大袈裟に肩を竦めた。その言葉に微は鼻を鳴らし、それを返事と捉えたレッドプールは口を開く。
「考えても見ろ。有史以来どれほど人間の暴君が大食漢だったのかを。権力の傘の下に人間がどれほどの人間を喰らって来た? それを一体何度繰り返し、血で血を洗い続けた? きっと私が生きている内に殺した人間の数など、その一人にだって及んではいないぞ? 所詮、私なぞ少食で浅慮の個人に過ぎん」
「………………」
微は閉口する。少なくともレッドプールという喰種は悪戯に殺戮行動を繰り返すのではなく、喰種らしからぬ教養を持ちながら確固たる信念の果てに殺戮行動を起こしていることに気づいたからだ。
伊達に100年以上CCGの追撃をものともしていない喰種ではないのだろう。
「君らが悪魔と、化け物と、何よりも喰種と呼ぶものは誰一人として人間ほど恐ろしく残酷な者はいない。最も異端な私ですらそう思うのだからね」
そして、同時にこの喰種と話し続けるのは危険だとも警鐘を鳴らす。この喰種は価値観までをも犯そうとするのだ。当人は自覚しているのかしていないのか、カルト教徒が集まった理由のひとつにレッドプールの言葉に感化されたのだろうとも考えられる。
「そもそもCCGが正義を振りかざして喰種を駆逐することもまた人の深い深い業だ。まず、君らが決めた名のグールとはアラビアの悪魔。それを踏まえて君は聖書を読んだことはあるかね? 新約聖書がいいが、ユダヤ教典でもコーランでも何でもいい。新約聖書においてイエス・キリストは悪霊を祓う術を与えたが、悪魔を否定することはしていない。悪魔は祓うが、退治はしないのだ。悪魔の存在の否定は、その存在を許した神の全能性の否定になるからね。自由意思を持つものは悪魔にも聖なるものにもなれる……にも関わらず、対話も何もせず、人としても扱わず、ただ獣のように駆逐する貴様らはそもそも在り方から神に反しているのだ。そんなものどもにとやかく言われる所以など何処にもないよ」
例えに聖書を用いる辺り、やはりヨーロッパ系の喰種なのだろう。レッドプールの微を見ているのか、そうでないのか不明な独白はまだ止まらない。どうやら好戦的で殺戮的に加えて演説や話し好きな手合いらしい。
「傲っているのはどちらだ。私か? いいや、私は身の丈に合った振る舞いをし続けているだけだよ。悪魔は悪魔らしく、君らが名付けた喰種という悪魔のようにね。私は昔からずっと変わらんさ。革新だ、正義だ、新しい世だ等と……時代の毎に変わるのは君ら人間たちだ。そうやって振り回そうとする方が……烏滸がましいとは思わないかね?」
「そうやって……これまで自分の行いを正当化してきたのか……」
「正当化……? ふふっ……いやいや、むしろ逆だよ。私は常に悪。純然たる悪だ。そうでなければ君のような強き者が少しでも躊躇してしまうだろう? そんなの私が面白くない。いつだって最高に最悪な殺し合いをしたいじゃないか。殺したり殺されたりしたいじゃないか」
"ちなみにヨーロッパでは神を持ち出して煽ると直ぐに誰もを怒らせ易く、ナチス時代はユダヤ教徒を炙り出すのにも使えたからな。日本は無神論者が多過ぎてつまらん"等とレッドプールは笑みを浮かべながら続けて話す。
自他問わず生死に執着しない超越した喰種。心身共に余りに完成した殺戮の個。その姿は喰種からすれば本当に赫者などではなく覚者なのかもしれない。
「…………そう言う割にはよく喋る……」
「まあ、そうだが……だってもう君は二度と戦えない身体じゃないか?」
そう言ってレッドプールは冷めた目で地に伏す微の腰部に目を止めた。そこには血が滲み、明らかに浅くはない傷が刻まれていることがわかるであろう。
実際に微はレッドプールによって致命的な一撃をその場所に受けたために下半身の感覚が全くない。レッドプールがここで彼女を殺そうとそうでなかろうと彼女は既に詰んでいたのだ。
そして、微がいつもお守りとして持っていた家族の写真を手に取り、小さく溜め息を吐く。その姿は酷く人間らしく見えた。
「それに君は母親だ。同じく子を持つ身の
「黙れ……どこまで愚弄すれば気が済む……!」
「まあ、そうだろう。だが、この場において私は君の神だ。生かすも殺すも私の自由。そして、生をチラつかされた君は自害も出来ない。ほら……私は神様だろう? 神など所詮――」
「おいっ、お前! ソイツを喰わないんだな? なら俺たちにくれよ!」
そこまで言ったところで、微と戦闘が終わってから話し込んでいたため遠巻きで眺めていた数体の喰種が現れ、レッドプールの言葉を遮る。
それを見た微はこの喰種らに喰われると確信する。何せレッドプールは自身は殺さないと言ったが、他に殺させないとは言っていない。レッドプールは言葉の穴を突く悪魔のような喰種であることは、短い間でも多少なりと理解していたからだ。
相変わらず笑みを浮かべているレッドプールは何が面白いのか笑みを増すと、喰種たちに声を掛ける。
「ああ、いいぞ。私は彼女を殺さないからな。君らに喰われるのもまた天命だろう」
「ありがてぇ! もう暫くなんも食べてねぇんだ! 恩に着るぜ!」
「それはどうも」
そんな少しの会話後、薄汚れた風貌の喰種たちは微を取り囲む。
微は赫子を喰種たちの足の間から絶えず笑みを続けるレッドプールを眺めた。そして、喰い殺されることを否応にも受け入れ、最期に家族の安否と様々な後悔、そして思い出を駆け巡らせながら目を瞑る。
その直後、微へ向けて四方八方から喰種が突き立ち、その血肉を存分に抉り穿った――。
――レッドプールの赫子が、数体の喰種たちを。
彼女の肩部の羽赫及び肩甲骨下部の甲赫が捻れるように融合し、鱗赫に近い形状と化した二本の赫子は、軍服の袖を通って伸び、袖口から出た直後に一本が数百本もの触手のように枝分かれし、目のない蛇のような形状を取ったそれらが喰種たちの全身を貫いていた。
瞬時に身体中を穴だらけにされた喰種たちは何が起きたのか理解すらしていない表情で皆絶命している。そんな骸を触手に付いた口のようなものが開き、グシャグシャと音を立てて咀嚼する音が暫く響き渡り、みるみる内に体積を減らす。
赫子でモノを喰う。どれほど貪食な生涯と、食に対する異様な執着心を持てば、赫子がその性質を持つというのだろうか。
「まあ、そうは言ったが……同時にこの場の神は私だとも言った筈だ」
そういいながらレッドプールは足を崩して立ち上がると微の前まで歩いて来る。そして、随分と小さくなってしまった喰種たちの骸へ更に声を掛ける。
「教養がないのはいい。喰種故に致し方ない。食欲を満たしたい衝動も構わない。喰種の本能なのだから。しかし、無礼だということだけは頂けないな。まあ、それ故にこうして頂いてしまった訳だが……」
そんな事を言って肩を竦めた頃には喰種たちの姿は、地面にぶちまけられた人数分にしては僅かな量の血とボロの衣服を残し全て消滅していた。
「さて……」
「うぁ……ぐっ!?」
レッドプールの枝分かれした赫子の一本が微の腰部の傷に宛がわれる。そして、赫子の口が開き中から舌のようなものが内側から傷口を掻き乱す痛みに微は声を上げる。
しかし、直ぐにそれは終わり、気づけば破れた衣服から覗く傷口は跡形もなく治癒されていた。
「足は治してやらん。私と君の出会いの"記念と呪い"だからね」
「ふざけたことを……これ以上私に何をする気だ……?」
すると更にレッドプールは微を両腕で抱える。それはお姫様抱っこ等と呼ばれるものであり、そのままレッドプールは何処かへ歩き出す。
しかし、微には抵抗する力も動かせる足もなく、それにされるがまま運ばれるしかないであろう。微の問いにレッドプールはさも当たり前のような様子で小首を傾げながらポツリと呟く。
「……? 迷子の友人を家に返すことに理由が必要か?」
「なに……?」
微はあまりにも突拍子のないレッドプールの言葉に思わず呆けた声を上げる。しかし、それを疑問と受け取ったのか、彼女は更に言葉を続けた。
「不思議か? だが、友人とは、出会いとは、元より数奇なものだろう? なんだったか……ああ、一期一会、もしくは袖振り合うも多生の縁だ。ククッ……人間は言葉と思想だけは良いものをよく作る」
"まあ、とりあえず……ハトの本部にでも連れて行くか"等とレッドプールは呟きながら一際良い笑み浮かべ、目と口の端を三日月のように歪めた。
「とにかく……君と私はもう友人だ。真戸微。何せ、ここまで楽しめたのは久方ぶりだからな。近頃は
殺戮者であり、快楽主義者であり、破滅的でありながら義理固く、純粋なまでに己の意思にただ真っ直ぐな悪魔。それこそがレッドプールという喰種。
いつしか微は彼女へと向けていた敵意が薄まり、憎悪や恨みのようで、畏怖や敬愛のようでありながらそのどれでもない不思議な感情に駆られる。
「もしまた私と戦いたければ……"呪い"を解きたくば私を探すといい。そうしたらその足を綺麗に治してやろう。それ以上を望むのならそれもまた考えよう」
少なくとも既に微はレッドプールをただの駆逐対象のSSSレート喰種として見ることは出来なくなっていた。
「私としては……君とまた死合いたいものだ。なぁ……? 真戸微」
足の傷が記念なのならば、それこそ彼女が言った"呪い"なのかも知れない。
これは今よりも少し昔、気紛れな喰種と喰種捜査官の最初のお話。
◆◇◆◇◆◇
「つらたん」
あなたの目の前でゲームのコントローラ片手に、TV越しの机で突っ伏している芋ジャージ姿の女性喰種――ヴィルヘルミナはとても情けない言葉を吐いていた。
少し前の安価で決まったアトリエシリーズ全作品プレイ及び何故かそれに自身で勝手に付け足した実況動画を投稿すると言うことが、想像の倍以上に苦戦しているらしい。
「これやべーわ……頭ん中が一日中
そこはヴィルヘルミナ自身が勝手に付け足した部分である。完全自業自得以外の何物でもない。
「まあ、手足は足りてるんだけどさ……」
『カエッテコレタヨ! ハッハッハイキ(ゼツメイ)』
『イイダロオマエセイジンノヒダロ(イミフメイ)』
『コンナモノ!!(コナモノ!!)』
『イヤダイヤダ! オヤサイナンカタベタクナイ!』
『カワイソウニ.キンニクガタリナイカラソンナコトヲイウンダネ…』
リビングに隣接する和室を見れば、ヴィルヘルミナが何処からか運び込んで来た五台のPCが並び、その全てに彼女の似姿をした赫包かつ赫子の化け物である人型実体が座り込んでおり、うわ言のような言葉を呟きながらそれぞれ動画編集をしていた。
地獄みたいな光景である。しかし、二週間もすると流石にあなたは慣れた。悲しい適応であることは想像に難しくない。
実際、30分超えの動画時間の淫夢実況動画を1日に少なくとも3~4本投稿するという人智を超越した動画投稿速度を維持しており、スレ住民や視聴者から心配されているが、彼女に言わせればまだまだ序の口とのことである。
「ん……なんだ気が利くじゃないか」
『アリガトナス!』
『イイゾ~コレ』
『ウレシイダルルォ!?』
『クォクォア…』
『チガウダロォ?』
"実はドMなだけじゃないんだろうか?"等とあなたは大変失礼なことを思いつつ、疲れを労うために彼女の為に購入した最高級の珈琲を赫子の分も含めて六つのコップに淹れてそれぞれに手渡す。
「うん……そうだな。少し気分転換に夫婦っぽいことするか」
そう言って彼女は立ち上がり、芋ジャージのファスナーを全開にし、下着すら着ていない裸体を露にするとあなたをそっと胸に抱き寄せる。
そして、一切臆することのない真剣で純粋な眼差しでそのまま一言だけ言い放った。
「抱かせろ」
『ハクシン』
あなたは相変わらず子供のような夫婦知識に加え、男らし過ぎる言葉に彼女元来の不器用さを覚えつつ、そこもまた可愛らしいと思いながら言われるがままに寝室に向かうのであった。
~前日談~
パツキン巨乳「芥子~! 淫夢実況あげるからゲーミングミドルタワーPC六台ちょーだい!」
芥子「は……?(ニチャァ…?)」
~本編と関係ないので読まないで大丈夫なところ~
風邪で一週間近くぶっ倒れて仕事も休んでいたので、感想を全く返せませんでしたが、順次返していくので申し訳ありません。いつも沢山のご感想ありがとうございます。投稿の励みになります。
次回は多分……ちょこちょことしかプレイ出来ていないライザのアトリエ2を終わらせたり、"ああっ女神さまっ(黒)"の方で出したいキャラが増えたりしたので少し遅れるかも知れません……(最新の活動報告のアレを見つつ)