Re:DJ道   作:Lycka

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☆9 KURO蓮夜様
新しく評価頂きましてありがとうございます。

まさかのごちうさコラボ。
自分の好きなものとコラボしまくるD4DJ。
運営はもしかしなくとも天才なのだろうか。


#10 1に才能2に筋肉、34飛ばして5に可愛い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

~陽葉学園~

 

 

 

 

「おはよ〜」

「おはよ。昨日のテレビ見た?」

「見たよ。あの女優さん結婚するんだってね」

 

 

 

「クソねみぃ......」フラフラ

 

 

 

 

 

今日は月曜日。昨日一昨日とピキピキメンツをウチに招き入れて練習、という名のお泊まり会イベントをこなして疲労が溜まっている。結局、日曜日もご飯や休憩を除いてフル稼働で練習に付き合わされてしまった。元々が俺の提案だっただけにサボる訳にもいかず、絵空や由香のダンスを見て所々アドバイスしたり響子の手伝いしたりと大変な土日だった。

 

 

 

 

「お?絢斗おはよ〜、何だか眠そうだね」

 

「俺が眠そうなのはお前らが主な原因なの分かってる?」

 

「あら?そんな言い方しても良いのかしら?」

 

 

 

 

今日は珍しく一人で登校してきたにも関わらず、玄関で由香と絵空にバッタリ出会ってしまった。ここ最近の玄関での友人エンカウント率が高いのは気のせいか。学校で俺の友人と呼べる人物なんてごく少数なのにね。ほらそこ、"お前そもそも友達いないだろ"とか口が裂けても言わない。俺は狭く深くの友人関係の持ち主だから。広く浅くだと何か適当っぽい感じするじゃない?しなくない?

 

 

 

 

「というか響子と一緒じゃないんだね」

 

「まぁな。流石に毎日一緒には来ないだろ」

 

「じゃあ響子の代わりに私が一緒に登校してあげる」

 

「勘弁してくれ絵空。俺だって偶には一人でゆっくりしたい時もあるんだ」

 

 

 

 

......だからそこ、"いつも独りの癖によく言うよ"みたいな感じの顔するのやめろ。確かにピキピキメンツと一緒にいる時以外はほぼ1人だけど。何なら家にいても一人だから。この前天音がリビングにいて俺が部屋から降りてきたら"お兄居たんだ"って素で言われたんだからな。俺はそんなに存在感無いですかそうですか。

 

 

 

「さっきの子達も話してたけど、あの女優さん結婚するんだってね!」

 

「どの女優さん?」

 

「絢斗見てないの?」

 

「そういうのあんまり興味無いからな」

 

「絵空は?」

 

「見たのは見たけど、私もあんまりかも」

 

 

 

正直な話、芸能人同士の結婚なんて珍しいものでもないからな。それが人気の女優さんだったとして、俺にとっちゃ何の関係もない話だ。まぁファンの人達からすれば重大な問題かもしれないが。静かにしといてやれよっていうのが俺の素直な気持ちだな。

 

 

 

「じゃあPhotonMaidenの新しい動画は?」

 

「え、新しい動画出てんの?」

 

「昨日upされてたわよ」

 

「やべぇ見てないわ」

 

 

 

まぁ今までのやつも見てないんですけどね。だからメンバーも咲姫以外知らんし、何なら咲姫ですらどんな感じなのか知らないまである。あのゆるふわガールがどんな風にDJをこなすのか見てみたいとは思う。今日帰ってから動画確認するか。

 

 

 

 

「ねぇねぇ絢斗。一つ相談があるんだけど──」

 

「やだ。今日はお家帰って寝るって決めてるんだ」

 

「そんなこと言わずにさ!可愛いカノジョからの頼み事だと思って聞いてよ!」

 

「いつの間に彼女になったんだよ。というか勘違いされるから大声でそんなこと言うな」

 

「もう遅いと思うわよ」

 

 

 

絵空の言う通り、周りの生徒からの視線が痛い。由香も由香であんなだが、やはり可愛いのは確かでさぞかしモテるのだろう。そんな由香にあんな事言わせてる俺は、周りからは"どんな弱みを握ってるんだ"とか思われても仕方ないレベルだ。その内後ろから刺されないか心配になってきたぞ。

 

 

 

「放課後ウチに寄っていかない?」

 

「......もしかしなくともトレーニングか?」

 

「トレーニングはするけど、今日は見てるだけで良いよ。一人じゃ分からないことも多くてさ」

 

「それなら俺じゃなくても絵空で──」

 

「私は放課後用事があるから♪」

 

 

 

コイツ適当な理由付けて逃げるつもりか。この完璧な作られた笑顔は嘘をついてる時のモンだ。伊達に色々と付き合わされてねぇからな。特に絵空に関しては苦労させられる事が多かったくらいだ。何とか由香を味方に付けて絵空も道連れにしなければ。

 

 

 

「絵空は親御さんの手伝いがあるから駄目だってさ」

 

「そうなのよ。だからまたの機会にお願いね♡」

 

「畜生ッ!!最もらしい理由だから難癖すら付けられん!!」

 

「残念でした〜」

 

 

 

嬉しそうにしている絵空を前に、膝から崩れ落ちる俺。客観的に見れば絵空に土下座している風にも見えなくはない。これはさっさと諦めて付き合うしかねぇか。

 

 

 

「んじゃあ仕方ない。俺でよければ付き合うよ」

 

「やった。じゃあ放課後迎えに行くね」

 

「本当に見てるだけで良いんだよな?」

 

「んー、気分によるかな?」

 

「何でさっきと違うこと言ってんだよ」

 

 

 

急に不安になってきたんだが、まぁこうなってしまえば断るのも忍びない。せっかくジムにいくのなら、俺もトレーニングの一つや二つ付き合うのも悪くないか。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

 

授業の終わりを告げる慣れ親しんだチャイムだが、今日ほどこの音を聞きたくなかった日は無いだろう。今朝決まった放課後のトレーニングジムの件、時間が経つにつれて俺の心を支配していきドンドン憂鬱な気分に。土日の疲れが取れてないのに、とかいう理由でサボれたらどれだけ良かったことか。だがしかし、それを理由にするなら由香達の方が余程疲れているはず。しかし弱音を吐かないのが響子達ピキピキの凄いところだ。俺も少しは見習わないといけないかもしれない。

 

 

 

 

「放課後は由香のトレーニングに付き合うんだっけ」

 

「まぁ仕方なく。響子も一緒に来るか?」

 

「天音ちゃんとしのぶと私の三人で曲の相談したいから今日はパス」

 

「あー、そう言えばアイツそんな事言ってたな」

 

 

 

 

まぁウキウキ気分で独り言呟いてたのを聞いただけなんですけどね。これは盗み聞きにならないからセーフ。歯磨きしようと思って洗面所行こうと思ったら、天音が先にいて楽しそうにしてたから様子見てただけです。別に変態じゃありません。

 

 

 

「それじゃあ私は帰るね」

 

「おう、天音の事よろしく頼む」

 

「そっちも頑張ってね」

 

「善処する」

 

 

 

そして響子は帰り支度を済ませて教室を後にする。俺もそろそろ支度するか。とか思ってたらすぐに由香がルンルン気分で迎えに来たので急いで済ませる。

 

 

 

「そういえば絢斗がジム来るのって久しぶりかな?」

 

「んー、1ヶ月くらいは顔出してなかったかもな」

 

「きっとダディたちも喜ぶよ!」

 

「出来れば由香の親御さんには会いたくないんだが......」

 

 

 

嫌いだとかそういう理由では全くないので安心して欲しい。ただ、由香と同じかそれ以上にトレーニングに熱心なのだ。それに俺に対して色々と甘かったり世話焼いてくれたりするのも困る。それと俺の親父と由香の両親で筋肉談義してるのも困る。これ以上親父に筋肉要素を詰め込まないで欲しいのだ。

 

 

 

 

「よし!それじゃあレッツゴー!!」

 

「相変わらず元気なことで」

 

 

 

 

 

 

~トレーニングジム~

 

 

 

 

 

『よっしゃぁ!!もう一本もう一本!!』

 

『うっす!!』

 

『おいおい!筋肉イジメ足りてないんじゃないの!?』

 

 

 

 

「......こっちも相変わらずで安心したよ」

 

「ん?」

 

「いや何でもない」

 

 

 

 

 

ジムの入り口を抜けた瞬間聞こえてくるのがアレだ。まぁみんなあの人達みたいな感じではないんだけどね。静かに一人で黙々とトレーニングしてる人も中にはいるし。友達同士でワイワイ楽しくやってるのもちょくちょく見かける。俺はどれに属するかと言われれば......帰りたいと思いながら泣く泣くトレーニングしてる人達のグループだろうか。多分だけど滅茶苦茶少数派だな。

 

 

 

「んで、今日は何のトレーニングするんだ」

 

「この器具使うんだけど、ちゃんとバランス取れてるか見ててほしいの」

 

「そんなことか。だったらお安い御用だ」

 

「あと客観的にどう見えるか知りたいから絢斗にもやってもらうつもりだよ」

 

「......トレーニングに見映えは関係無いのでは?」

 

 

 

 

俺の言葉を待つ事なく準備を始めてしまった由香。準備が整うまで手持ち無沙汰になってしまった俺は、ジムのドリンクコーナーで飲み物でも取ろうと思い荷物を置いて足早に向かう。

 

 

 

 

「......由香に何飲むか聞いてくれば良かったか」

 

「私はプロテインでお願い」

 

「了解。味はどれに......って、え?」

 

「やっほー絢斗。元気にしてた?」

 

「なんだ衣舞紀か。プロテインなら自分で作ってくれ」

 

 

 

 

いきなりプロテインお願いなんて言われるから誰かと思えば。この人は新島衣舞紀といって、由香に連れられてジムに通う中で自然と仲が良くなった一つ歳上の先輩だ。最初は敬語でよそよそしく話してたが、どうやら衣舞紀はそういうのを嫌うらしく、もっとフレンドリーで良いと言われたので歳上だが敬語は使わなくなった。まぁ簡潔に説明するなら由香と同じくトレーニング好きの美人お姉さんって感じだな。

 

 

 

 

「今日はジェニーの付き添いか何か?」

 

「んまぁそんな感じ。衣舞紀は一人か」

 

「そうよ。良かったら私のトレーニングにも付き合ってくれないかしら」

 

「由香に聞いてくれ。俺にその権限は無いらしいからな」

 

「相変わらず優しいのね」

 

「だろ?もっと褒めてくれても良いんだぞ」

 

 

 

 

 

小さい頃から家族と女の子には優しくしなさいと躾けられてきたからな。男の子には優しくなくても良いらしい。まぁ心配しなくとも男の子で仲良い友達が俺にはいないから。そもそも友達少ないんだけどね。

 

 

 

「絢斗、準備出来たよ......って衣舞紀もいたのね」

 

「時間空いたからトレーニングしようと思ってね」

 

「......待てよ。衣舞紀がいるなら本格的に俺は必要無いのでは?」

 

『駄目』

 

「あ、はい。すみませんでした」

 

 

 

 

二人共笑顔なのに恐怖を感じるのはどうしてだろう。そんなにも俺にキツいトレーニングをさせたいのだろうか。確か衣舞紀も由香と同じくトレーニングとなると鬼コーチに変身するタイプだったな。俺は果たして無事に帰宅できるのか。

 

 

 

 

そんな俺の気持ちなど一ミリも関係無く、由香と衣舞紀が交互にトレーニングしているのを俺は側でボーッと眺めていた。決して鍛え上げた太腿がセクシーだとか、胸元に垂れる汗を拭いてあげても良いとか考えてない。俺はそんな変態では無い。断じて否である。

 

 

 

 

「......ッ!!......これ、結構キツいね!」

 

「でしょ?前から衣舞紀にはオススメしたかったんだよね〜」

 

「......ん?」プルプル

 

「次は絢斗の番だよ!」

 

「すまん、ちょっと電話」

 

 

 

携帯を確認すると親父からの着信だったので、いつもなら拒否するか放っておくかの二択なのだがこの状況下ではグッドタイミングだ。トレーニングを親からの電話という最高の言い訳で回避出来るのだから。正直、親父からの電話は嫌な予感しかしないのだがこの際どうでも良い。

 

 

 

「......もしもし」

 

『もしもし絢斗か!?』

 

「んじゃお疲れ」

 

『待て待て!父さんからの久し振りの電話だぞ?息子として嬉しくはないのか?』

 

「要件は?無いなら切るぞ」

 

『ちょ、本当に待てって!』

 

 

 

 

百歩譲って要件無しの電話でも許してやるから早く切りたい。そしてジュースでも飲みながら時間潰して"ごめん、電話が長引いたわ"って言えば二人も納得するだろう。

 

 

 

『お前に頼みたい事があるんだが』

 

「俺に?嫌だよめんどくさい」

 

『残念だがお前に拒否権は無いぞ。位置情報は送っとくから』

 

「位置情報?というかまだ納得してないんだけど」

 

『時間厳守。着いてからのことは任せてある』

 

「ちょ、おい待て親父!......切りやがったな」

 

 

 

 

さっさと要件だけ伝えりゃ良いのに、最初のはただのかまってちゃんだったのか。電話の通り、親父から位置情報が送られてくるがパッと見は全然分からんな。どこかのビルっぽい事だけは分かるけど、まためんどくさいのに巻き込まれた気がする。

 

 

 

 

「絢斗?」

 

「ん?あぁごめん。俺行かなきゃいけないところあるから帰るな」

 

「それなら衣舞紀も用事が出来たって言ってたよ」

 

「付き合えなくてすまん。また今度時間が合えばな」

 

「うん!約束したからね!」

 

 

 

 

サラッと次の約束をしてしまう辺り、コイツらにはとことん甘いなぁと思う俺である。親父があんな感じで言ってくる時は、大体面倒な案件を押し付けてくるのが相場だ。そんくらいなら由香や衣舞紀達のトレーニングに付き合ってた方がマシなのかもな。まぁつべこべ言わずに目的地に向かいますかね。

 

 

 

「あら?絢斗も帰るの?」

 

「親父から電話で用事。ちょっと行かなきゃいけないところが出来たんでな」

 

「私もいきなり呼び出しよ。今日は休みって言ってたのに」

 

「バイトか?」

 

「残念ハズレ。まぁ絢斗にはまだ秘密かな」

 

 

 

衣舞紀は俺に対して基本的にお姉さんっぽく振舞おうとするのだが、時々イジると照れたり恥ずかしがったりするのが非常に良い。これは所謂ギャップ萌えというやつだろうか。

 

 

 

「んじゃ俺はこっちだから」

 

「私もそっちの道だから途中まで一緒に行こっか」

 

「おう。喉乾いてるから自販機寄っても良いか?」

 

「大丈夫だよ」

 

 

 

衣舞紀の隣を歩いていると、すれ違う人が振り返っているのがよく分かる。そりゃこんな美人が歩いてたら二度見したくなる気持ちも分からんでもない。でも俺の方を見て嫉妬心を燃やすのはやめてほしいものだ。別に衣舞紀は俺の彼女でもなければ家族でもないから。

 

 

 

「ほい、これで良かったか」

 

「ありがと。財布財布っと.....」

 

「今回は奢りにしといてやるよ」

 

「そんなの悪いよ。というかいつも奢ってもらってるし」

 

「俺は人から金は取らない主義なんでな」

 

 

 

但し、親父は例外である。お小遣いが足りない時は親父のへそくりから頂戴してるし。これについては母さんも承認済みだ。親父相手だと母さんか天音を味方につけると圧勝だな。俺と1対1だと大体は肉弾戦になって負けるけど。......いや、全然負けてないから。俺は武力で勝つより頭脳とか戦略で勝つタイプだから。

 

 

 

「おーい、絢斗聞いてる?」

 

「ん?あぁ、トレーニングの話だっけ」

 

「それはもう終わったでしょ。大丈夫?ボーッとしてたけど体調とか悪くないの?」

 

「大丈夫だ、問題無い。ちょっと考え事してただけだから」

 

「だったら良いけど。じゃあ私は先に行くね」

 

「俺はもうちょっと休んでから行くわ」

 

 

 

飲み干した空き缶をゴミ箱に入れて、衣舞紀はジョギングで目的地へと向かっていった。用事とか言ってたが急ぎなのだろうか。それとも単に運動がてらジョギングでもしてるのか。後ろ姿でさえ絵になるなぁとか考えてる内に数分が経過してしまっていた。

 

 

 

 

「......やべ、俺も行かなきゃ親父に何言われるか分かんねぇな」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

ゴミ箱シュートに手間取って、ついつい10投程してしまい更に時間をロスしてしまった。あれ中々決まらないとイライラしてくるよな。まぁ普通に近付いて入れればすぐに終わるんだけど。だがしかし、これは誰しもが通る道なのだ。

 

 

 

「......ここだな」

 

 

 

 

親父から送られてきた位置情報によれば、このビルで間違いないだろう。何の理由があってビルなんかに呼び出されたかはサッパリ分からないが、放っておくと後から倍以上に面倒なことになるからな。

 

 

 

「取り敢えず入ってみるか」ウィーン

 

 

 

自動ドアを抜け、受付らしき場所が見えるが果たして受付に行っても良いのだろうか。そんな風に頭を悩ませていると、ふと後ろから聞き覚えのある声がしたので振り返る。

 

 

 

「おや、絢斗君遅かったね」

 

「姫神さん?何で姫神さんがここに?」

 

「何故と言われても、ここが私の職場だからとしか言えないな」

 

「職場?というと.......PhotonMaidenの事務所があるビルか」

 

「随分と冷静だな。正直もっと驚くかと思ったんだが」

 

 

 

コンビニのレジ袋を持ってやって来た姫神さん。色々と察するに、親父の頼み事はPhotonMaiden関係なのだろう。それにしても、俺に頼むような用事でもないように思えるが。それこそ母さんとか他の仕事仲間に頼むような案件じゃないか。

 

 

 

「これでも驚いてますよ。それで俺に何か用事ですか」

 

「まずはゆっくり話せる場所に行こうか」

 

 

 

それから姫神さんの後ろを付いて行き、すんなりと事務所の個室らしき場所まで到着。途中社員さんにチラチラ見られてしまったが、一般人で部外者の俺をおいそれと中へ通しても良いのだろうか。

 

 

 

「取り敢えず座ってくれ」

 

「なるべく手早くお願いします」

 

「そう警戒しなくても良いよ。用事と言ってもたいした話ではない。君に紹介したい人がいてね」

 

「はぁ、紹介したい人ですか」

 

 

 

何となく先の展開は読めてきたが、もうここにきて拒否するのもアレだしさっさと終わらせて帰ろう。こちとら土日の疲れが取れてないからな。

 

 

 

「入ってきていいぞ」

 

「ん?」

 

『失礼します』

 

「え?」

 

 

 

 

姫神さんの合図で一斉にやってくる美少女軍団。2人ほど顔見知りがいるのだが、ここは安定のスルーといこう。というかさっきまで一緒にいたんだけどね。もう一人は最近知り合った仲で、あとの二人は全然知りません。まぁ普通に考えればメンバーの人なんだろうけどさ。

 

 

 

「紹介しよう。PhotonMaidenの子達だ」

 

「絢斗君、どうしてここにいるの?」

 

「知らん、姫神さんと親父に聞いてくれ」

 

 

 

可愛らしく小首を傾げて聞いてくる咲姫。衣舞紀は驚いた表情を一瞬見せるが、何もなかったかのように振る舞っているし、他の二人は"咲姫ちゃんの知り合い?もしかして彼氏だったりする!?"とか騒いでるし。本当に女の子って恋バナが好きなんだな。

 

 

 

「まずは一人ずつ自己紹介していこうか」

 

「出雲咲姫。絢斗君には先週色々とお世話になった」

 

「言い方を考えような。俺じゃなくて俺の親父と母さんだろ」

 

「新島衣舞紀......って改めて言う必要も無いか。何で絢斗がここにいるのよ」

 

「俺が知りたいくらいだ」

 

 

 

まさか衣舞紀がPhotonMaidenのメンバーだったとは。PhotonMaidenの動画の一つも確認してなかったから、咲姫以外のメンバー知らなかったんだよな。そりゃ道行く人が衣舞紀を二度見するのも無理ないか。大人気グループ、って程でもないにしても全世界に公開されている動画だ。知っている人が周りにいてもおかしくはないからな。

 

 

 

「私は花巻乙和!君って陽葉学園の1年生だよね?」

 

「まぁそんな感じ。そっちはもしかして中等部の子?」

 

「私は2年生で先輩だよ!何で歳下だと思ったのかな!?」

 

「ぷっ......くくっ。乙和歳下に間違えられてるし」クスクス

 

「あーっ!!ノアが馬鹿にしてくる!」

 

 

 

身長が天音と同じくらいだったから、てっきり中等部の子なのかと早とちりしてしまった。しかしまぁ......一部は強烈なまでにたゆんたゆんなのに俺の一個歳上だったとは。第一印象も妹っぽかったからつい敬語を使うのを忘れた。

 

 

 

「私は福島ノア。さて、私は先輩でしょうか後輩でしょうか?」

 

「......先輩?」

 

「正解!やっぱり先輩感が溢れ出ちゃってるからかな?」

 

「ノアもどっちかというと妹っぽいもん!」

 

「何言ってんの乙和。妹っぽいっていうのは咲姫ちゃんみたいな子の事を言うんだよ」

 

 

 

確かにそれは一理あるかもしれない。何というか、庇護欲を掻き立てられるというか守りたい存在というか。そういうのが咲姫にはあるのかもしれない。まぁ花巻先輩?にもそれはあると思うが。

 

 

 

「乙和もノアもその辺りにしときなさい。プロデューサーもいるんだから」

 

「別に構わないぞ。今は仕事中では無いからな」

 

「姫神さん。そろそろ本題を聞かせてもらえませんか」

 

 

 

すっかりと流れに乗ってしまったが、今日ここに俺を呼び出した理由を聞かなければ。どうせ親父が一枚噛んでるんだろうけど、姫神さんもグルの可能性があるからな。案外、親父と姫神さんは仕事での相性は良かったらしい。

 

 

 

「本題も何も、士郎さんから言われたのは顔合わせだけだったからな。もう終わってしまったよ」

 

「......何の為の顔合わせなんだよ」

 

「士郎さん曰く"アイツは友達が少ないから、是非フォトンの子達と仲良くさせてやってくれ!"だそうだ」

 

「あんのクソ親父。帰ったら母さんに言いつけてやるからな」

 

 

 

友達が少ないのは認めても良いが、何でその流れでこの子達と友達にさせようと思ったのか全然理解出来ないな。一度研究機関にでも行って、親父の脳みそを見てもらったほうが良いかもしれない。もしかすると世紀の大発見に繋がるかも。"大発見!?脳の9割が筋肉で出来た人間が存在する!?"という題目で、明日の朝の新聞にでも載るかもな。

 

 

 

「先程から話に出てくる絢斗君の親御さんは、もしかして私達に指導してくれてるDJシロなんですか?」

 

「えぇ!?あのオジサンが君のお父さんなの!?」

 

「どのオジサンの事言ってるか分かんないですけど、筋肉筋肉うるさいオジサンだとすれば正解ですね」

 

「あ〜、確かにあの人のレッスンかなりキツかったよね」

 

 

 

既にPhotonMaiden......長いからフォトンで良いか。フォトンのメンツにレッスン付けてるんだな。親父はあんな感じだが、DJの才能は勿論のことダンスやその他諸々の知識や経験も豊富らしいからな。本当に人間なのかどうかすら怪しいレベル。どうやったらあんなオジサンから天音のような子が産まれるのだろうか。きっと天音には親父の血が1%くらいしか引き継がれてないのだろう。その1%で親父の絶対音感を受け継いだのは流石としか言えないな。

 

 

 

「私はまだ仕事が残ってるから失礼するよ」

 

「プロデューサー、私達はどうすれば良いですか?」

 

「自由にしてくれて構わない。せっかくだし絢斗君と食事でも行って来れば良いさ」

 

「いや、俺は家に帰って食べるんで──」

 

「じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらいます」グイッ

 

「ちょ、衣舞紀!?やめ、やめろぉぉ!!って力強っ!」

 

 

 

 

ガッチリと衣舞紀にホールドされてしまい、何一つ身動きが取れなくなってしまった。そして逆からは咲姫が、後ろからは花巻先輩と福島先輩が背中を押しながら部屋を後にする。警察に連行される犯罪者の如く事務所を歩いていたお陰か、またしても社員さんにチラチラ見られてしまった。というかさっきより暖かい視線が多いのは気のせいか。

 

 

 

「そろそろ離してくれ。さっきも言ったが、俺は家で飯食うから大丈夫だって」

 

「でも絢斗君の分は作ってないらしいよ?」

 

「何で咲姫がそんなこと知ってるんだよ」

 

「さっき教えてくれたから」

 

 

 

咲姫の携帯を確認すると、そこには確かに俺の母さんからの連絡が入っていた。だから何で咲姫が俺の母さんの連絡先知ってるんだよ。というか知ってても夕飯の話なんかするなよマジで。俺のプライバシーはどこにいったのか。

 

 

 

「でも響子とかしのぶも居るから帰る必要性が──」

 

「大丈夫、他のみんなも呼んでおいた」グッ

 

「おいぃぃぃぃ!?何やってんだお前はぁ!」グリグリ

 

「絢斗君くすぐったい......」

 

 

 

可愛らしい笑顔で親指立てながらキメ顔をする咲姫。またしても咲姫の天然ボケが炸裂してしまった。お仕置きも兼ねて頭をグリグリしておくが、女の子相手に本気になる訳にもいかないので軽くで抑えておく。

 

 

 

「そういうことだから、絢斗もそろそろ観念しなさいよ」

 

「ねぇねぇ絢斗君!これから何食べに行こっか!」

 

「そうですね、先輩だったらお子様ランチとかどうですか?」

 

「だからそのイジリはやめてよ!」

 

「絢斗君は乙和の扱い方が上手いね」

 

「褒めても夕飯奢ったりはしませんよ」

 

 

 

 

しかしながら、自然と話の中で居心地の良さを感じている自分がいることに少し驚いてしまう。ピキピキのメンツとはまた違った意味で、この4人にもそういうものがあるのだろうか。若干ながら騒がしくもあるが、これはこれで良いのかもしれないな。

 

 

 

「んじゃ遅くならないうちに行きますか」

 

「よーし!それじゃあレッツゴー!!」

 

「乙和、子供じゃないんだから静かにしてよ」

 

「ノアだって本当は楽しみなクセに」

 

 

「乙和と違って私は()()()()だから」

「それとこれとは別でしょ!」

「そんなのじゃいつまで経っても可愛くなれないね」

「だからそれも別でしょ!!」

 

 

 

 

「......店で怒られないか不安だ」

 

「まぁあの二人も普段は良い子だから」

 

「みんなでご飯、楽しみ」

 

 

 

それから響子やしのぶ達にまたしても問い詰められました。別に俺から誘ったわけでも無いのにな。まぁ咲姫や衣舞紀の援護のお陰で多少は助かったが。これからは、今までよりもっと忙しくなりそうな予感がする。今のうちに神様にでもお願いしておくか。筋肉神とかそういうのじゃなく、普通の良い神様に。

 

 

 

 

 

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タイトルの方向性が行方不明です助けて下さい。
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