Re:DJ道   作:Lycka

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#11 "可愛い"は正義!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「んふふ〜、ねぇ天音ちゃん天音ちゃん」

 

「な、なんですか」

 

「こっち向いて?出来れば写真撮らせてくれない?勿論、お代はいくらでも支払うよ!?」

 

「別に要らないですけど......」

 

 

 

 

 

何故このような状況になったのか。どうして我が妹が質問攻めに合っているのだろうか。本来、そのポジションにいるのは俺だったはず。いや、全然違うんだけどね。まぁそれは置いておくにしても、我が家にまで上がり込んで何の用事かと思えば、まさか本当に天音に会いたいだけだったとは。この先輩、中々に侮れない。

 

 

 

 

「好きな食べ物は!?どんな曲を聴いたりするのかな!?も、もしかして私達の曲が好きだったりするのかな!?」フンス

 

「お兄......」

 

「すまん、家に上げた俺が間違ってた」

 

「絢斗君!天音ちゃんの昔の写真プリーズ!!言い値で買い取らせてもらうから!!」グイッ

 

「衣舞紀達も連れてくるべきだったか......」

 

 

 

 

 

こうなってしまった原因は、今から遡ること数時間前。

 

 

 

 

 

 

 

~陽葉学園~

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

「はぁ......やっと終わった」グッタリ

 

「お疲れ様。授業の途中ウトウトしてなかった?」

 

「まぁな。というか何で響子が知ってるんだよ」

 

「見てたからに決まってるでしょ」

 

 

 

おかしい、俺より響子の方が席は前の方のはずなのに。何故俺の事を見ていたのかは聞かないでおこう。変に話が拗れて絵空や由香達にバレると面倒臭いからな。

 

 

 

「今日の予定は?」

 

「ごめん、家の用事があるから先に帰るね」

 

「りょーかい。んじゃ一人でのんびり帰りますか」

 

 

 

昨日は結局夜までフォトンのメンバー達とご飯行ってたからな。帰ろうと思って立とうとしても止められるし。トイレのついでにこっそり帰ろうとしても阻まれてしまった。それからは隣に咲姫がピッタリと張り付いて見張られたし。結局食べ終わってから1時間後くらいに解散だ。帰って風呂入って時計見たら22時過ぎてた時は終わったと思ったね。まぁ1日はほぼ終わってるんだけどね。......全然上手くねぇな。

 

 

 

 

「今日は親父も居ないし、帰ってからものんびり過ごせそうで安心だな」

 

 

 

 

独り言で呟いたこの言葉が見事にフラグを回収してしまうことになるとは。今にして思えば、親父の部分のフラグ回収をしなかっただけ良しとするべきか。いつだって暑苦しい中年親父より、今時の可愛らしいJKと話したいものだろう。

 

 

 

「あれ?絢斗君みっけ!」

 

「本当だ。乙和の事だから見間違いか何かかと思ったのに」

 

「先輩方お二人も今から帰りですか?」

 

「うん、絢斗君も一緒にどうかな?」

 

 

 

"一人で帰りたいのでゴメンなさい"とは言うに言い切れず、昨日知り合ったばかりの乙和先輩とノア先輩と帰路を共にすることにした。だって仕方ないじゃん、断ろうとすると乙和先輩が涙目の上目遣いとかいう卑怯なスキル発動するんだぜ?男子高校生なら負けて当たり前だろう。あ、二人を名前呼びしてるのは俺が勝手に呼んでるわけではなく、先輩二人にお願いされたからなので悪しからず。

 

 

 

 

「今日はフォトンの方は大丈夫だったんですか?」

 

「昨日と今日の二日間はオフの予定だからね」

 

「私はこれからスイーツを食べに行く事を提案します!」

 

「スイーツかぁ......乙和にしては良い提案ね」

 

 

 

如何にもJKらしい提案だが、スイーツならピキピキメンツと幾度となく経験している。本当に女の子って凄いよな。デザートは別腹という魔法の言葉があるらしく、ご飯をお腹いっぱい食べた後でもスイーツなら美味しそうに頬張るんだもん。俺も甘い物は嫌いじゃないが、流石に腹一杯メシ食った直後は勘弁してほしい。

 

 

 

 

「というわけで、やってきましたクレープ屋さん!」

 

「へぇ、こんなところにクレープ屋なんかあったんですね」

 

「乙和って変にこういうところ詳しいよね」

 

「別に変じゃないでしょ!」

 

 

 

 

少し入り組んだ細道にポツンとある"クレープ"の看板。廃れているようにしか見えないが、案外と売れ行きが良いのか何品か売り切れてしまっていた。店主の名札を付けているオバさんがこちらを睨む様に見てくるので、咄嗟に目を逸らしてしまった。

 

 

 

「ん〜、私何味にしよっかなぁ?」

 

「種類が多いから余計に悩むわね」

 

「......さっきからすっげぇ睨んでくるからそれどころじゃないんだが」

 

 

 

二人がメニューと睨めっこしながら楽しく何頼むか話している最中、俺はというと店主のオバさんと睨めっこをしていた。まぁオバさんが一方的に見てきてるだけなんだけど。早いとこ俺も食べるクレープ決めないと気まずい。

 

 

 

「決めた!やっぱり王道のイチゴ味にする!」

 

「じゃあ私はミックスベリーにしようかな」

 

「俺もイチゴ味で──」

 

「......」

 

「じゃあミックスベリーで──」

 

「......」

 

 

 

早く注文したいのだが、俺の時だけオバさんが無言で首を振り続けるのは何故なのか。残るは練乳アイス味と抹茶味......そしてオクラ納豆味。明らかに一つだけ異色を放つフレーバーがあるのはスルーだ。

 

 

 

「練乳アイ──」

 

「......」

 

「まっt──」

 

「......」

 

「......オクラ納豆味でお願いします」

 

「......あいよ」

 

 

 

 

もう最後まで言わせてくれないのね。売れないから半強制的に買わされてしまった感が半端ない。オクラ納豆味なんか食べたら、クレープという概念がゲシュタルト崩壊しそうで怖い。

 

 

 

注文してからはパパッと事が進み、数十秒ほどで全員分のクレープが完成してしまった。先輩二人のクレープは普通に美味しそうなのに、俺の分だけ明らかにドロドロなのは見間違いか。

 

 

 

「絢斗君......案外度胸あるんだね」

 

「これには色々と理由がありまして」

 

「絢斗君ってもしかしてゲテモノ好き?」

 

「断じて違います」

 

 

 

既に変な勘違いをさせてしまっている。料理上手な母さんの元ですくすくと育ってきた俺は、生まれてこの方ゲテモノ料理等は勿論口にしたことはない。そもそもオクラ納豆はゲテモノ料理では無いと思うけど。まぁそれにしても普通クレープと掛け合わさる事はないであろう一品なのは間違いない。

 

 

 

「ん〜、やっぱクレープは美味しい!」

 

「乙和はクレープばっかじゃん」

 

「好きだから良いの!」

 

「ふぅ.......よし、覚悟は出来た」

 

 

 

 

─いざ、実食─(逝ってきます)

 

 

 

 

 

 

「......」モグモグ

 

「どう?オクラ納豆の味する?」

 

「そりゃオクラ納豆味なんだからするに決まってるでしょ」

 

「う......美味い」

 

 

 

 

というか、コレは完全にデザートじゃなくて食卓に並ぶ系の味だ。俺自身オクラも納豆も嫌いじゃないし、むしろ健康や栄養面でも優秀なこの二つはウチの食卓に並ぶことも少なくない。いつもは白ご飯と合わせて食べてるだけで、今回はそれがクレープに変わっているだけだ。うん、普通にオクラ納豆の味がして美味しい。でもおかしいね。デザート食べにきたはずなのに、いつの間にか晩飯になってた。

 

 

 

「じゃあ一口ちょーだい!」

 

「良いですけど伸びますよ?」

 

「大丈夫!たぶん!」

 

「服とか汚れても知らないですからね」アーン

 

「んっ......本当だ美味しい!!」モキュモキュ

 

 

 

 

何だろう、やっぱり乙和先輩には凄く妹属性を感じる。味はオクラ納豆(アレ)だが、美味しそうにもきゅもきゅしてるところを見ていると味とかどうでもよくなってくる。だがしかし、妹属性とは言え舌でぺろりとクリームを舐めとる仕草を見ていると艶やかさも持ち合わせている様子。......いかんいかん、変な方向に思考がシフトしてるぞ俺。頭をオクラ納豆にやられてしまったのかもしれない。

 

 

 

「じゃあ私も一口」パクッ

 

「あっ、そこ一番中身詰まってるところですけど......」

 

「ん〜っ!!」

 

「ほら言わんこっちゃない。ちょっと止まってて下さい」

 

 

 

 

死角からノア先輩がクレープにパクついたが、残念ながら一番中身が詰まっているところを引き当ててしまい糸が伸びに伸びてしまっていた。持っていたティッシュで拭き取り、ようやく落ち着いた様子。ノア先輩も同じく舌で唇を舐めていたが、こちらは乙和先輩と違い"美しい"という言葉が似合いそうだ。まぁ味はオクラ納豆なんですけどね。

 

 

 

「案外イケるかも」

 

「でしょ!」

 

「何で乙和が自慢げにしてるのよ」

 

「だってここ私のオススメだから!」

 

 

 

 

それからは近くのベンチに座って、三人で楽しく駄弁りながらクレープを食べていた。その中でフォトンの話題を少ししてもらい、成り立ちや各々の想いなんかも話してくれた。やはりと言うべきか、途中から話が脱線して変な方向に進んだのは最早お約束だろう。

 

 

 

 

 

そして陽も落ちつつある時間となり、帰宅しようとした時。

 

 

 

 

 

「ねぇ絢斗君」

 

「なんですか」

 

「さっき妹がいるって言ってたよね?」

 

「いますよ。絶賛反抗期の妹が一人」

 

「......可愛い?」ズイッ

 

 

 

 

予想はしてたがこんなにも早いとは。ノア先輩は可愛いものに目がないらしく、最近は咲姫にお熱らしい。まぁお兄ちゃんの贔屓目無しでも天音は可愛らしいと思うが、アイツが果たして心を開いてくれるかどうか。咲姫の場合は"共感覚"という共通の話題や咲姫自身の性格もあって良い感じだったが......この先輩ちょっと怪しいからな。今でも興奮気味だし天音が怖がらないかだけが心配だな。

 

 

 

「俺には毒舌ですけど、まぁ可愛らしいですね」

 

「い、今から会いに行っても良いかな!?」

 

「今からか......天音がOK出せば俺は良いですけど」

 

「あ、じゃあ私も行きたい!」

 

「んじゃ今から聞くので待ってて下さい」

 

 

 

携帯から天音に電話を掛ける。履歴には応答なしが連続しているが、時々出てくれるし何回か掛ければ大丈夫だろう。その代わりに俺が怒られそうだけど。

 

 

 

『......なに?』

 

「お、久し振りに出てくれたな」

 

『用事無いなら切るけど』

 

「待て待て、お前に会いたいって人がいるんだが」

 

『......どんな人?』

 

 

 

少し前なら問答無用で嫌と言っていたのに、この変化はやはり響子のお陰なのだろうか。咲姫にも懐いてたしアイツのお陰かもしれないな。まぁどちらにせよ天音が頑張って進むのなら、お兄ちゃんとして支えてあげるのが俺のやるべき事だろう。

 

 

 

「んー、一人は小柄で妹っぽい可愛い感じの先輩」

 

『あんまりイメージ出来ない』

 

「もう一人は可愛いを探究してる......変態?」

 

『余計に分かんなくなったし、変態なら嫌だよ』

 

 

 

視界の端で少し顔を赤くしている乙和先輩と、俺の肩に向かってパンチしてくるノア先輩。いや、パンチと言えば可愛らしく聞こえるが結構痛いのよコレ。謝ります、変態って紹介したのは謝るのでパンチの構えは解いて下さいお願いします。

 

 

 

「どうだ?」

 

『......でもなぁ』

 

「一回だけでも良い。嫌だと思ったら俺が追い出すから」 

 

『......お兄がそこまで言うなら』

 

「よし、んじゃこれから帰るから準備して待ってろ」ピッ

 

 

 

どうやら俺の会話で何となく察したらしく、嬉しかったのかガッツポーズをするノア先輩。乙和先輩はというと、俺と同じタイミングで電話が終わったらしく携帯をポケットへしまった。気付かないうちに誰かから電話でも掛かってきたのだろう。

 

 

 

「乙和先輩は何か用事でもあったんですか?」

 

「ん?衣舞紀に電話してただけだよ」

 

「それは何故?」

 

「衣舞紀も一緒にどうかなって思って。でも忙しいからパスだって」

 

 

 

誘うのは別に良いので、今度からは俺に許可を取ってからにして頂きたい。まぁ俺というか天音になんだけどね。さっきからノア先輩は興奮気味で一人で盛り上がってるし。本当に大丈夫なのだろうか。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「天音ちゃんは中等部だよね?」

 

「そ、そうですけど」

 

「はぁ〜!!何でこんなに可愛いのに早く教えてくれなかったの絢斗君!!」

 

「いや、教えるも何も昨日会ったばっかじゃないですか」

 

 

 

 

という長い回想を経て今に至る。今も天音が俺を盾にして身を隠しているが、それですらノア先輩には可愛く映ってしまうので困りものだ。乙和先輩は出来る限り刺激しないように会話してくれてるのが見て取れる。

 

 

 

 

「ずっと絢斗君に隠れてるけど、天音ちゃんはお兄ちゃんのことが好きなのかな?」

 

「違います」キッパリ

 

「......間接的に俺がダメージ受けるのでその質問はやめましょう」

 

「じゃあ私からのお願い聞いてもらっても良いかな!?」

 

「出来ることなら良いですけど」

 

 

「別に嫌なら断っても良いんだぞ」

「いや、でも断ったら何されるか分かんないし」

「それ絶対本人の前では言うなよ」

 

 

 

天音にも危険人物扱いされてるノア先輩。可愛いものに目がない、とは聞いてたがこれほどまでとは思わなかったからな。二重人格とまで錯覚するレベルだから仕方ないと言えば仕方ないか。

 

 

 

「天音ちゃんの制服姿が見たい!」

 

「それくらいなら......まぁ別に」

 

「やったー!!乙和、出来るだけ写真撮って後から送って!」

 

「はいはい、分かったから大人しくしてて」

 

 

 

先程までとはまるで立場が逆転したように見える先輩二人。こうして見ると姉妹みたいだなとか思ってボーッと眺めていると、三人から逆に視線を集めていることに気付く。何か顔に変なモノでも付いてるのか。それともボーッとしてた顔がマヌケだったとか。それなら早く言って欲しい。

 

 

 

「ん?」

 

「絢斗君?」

 

「どうしましたノア先輩」

 

「分かるよね?」

 

「いや、何のことやら──」

 

 

 

言い切る前に、天音からのフルスイングのビンタがモロに入る。

 

 

 

「お兄は部屋から出て行って!!」

 

「へぶしっ!?」ピューン

 

「......絢斗君って案外抜けてるところあるよね」

 

「出来ればビンタより先に言葉で伝えて欲しかったです......」

 

 

 

 

 

それから数分間、俺はドアの前で正座してずっと待っていた。赤く腫れた頬を手で優しく撫でながら、中から聞こえるノア先輩の叫び声とも思える声を聞きながら。完全に忘れられてるのでは?と思い立ち上がろうとした瞬間、ドアが勢い良く開いて額にマッハでぶつかってくる。もうやだ、お家にいるのにお家に帰りたい気分だ。

 

 

 

 

「あ、絢斗君ッ!!」

 

「いってぇ......なんすか急に」

 

「今度一日天音ちゃんを借りても良いかな!?」

 

「ん〜......」

 

「......」フルフル

 

「駄目みたいですよ」

 

「がはっ!!」バタッ

 

 

 

 

福島ノアに 999ダメージ!

 

......返事が無い。ただのしかばねのようだ。

 

 

 

 

「まぁウチに遊びにくるくらいなら大丈夫だと思いますよ」

 

「......まぁそれくらいなら」

 

「本当に!?ありがと天音ちゃん!!あぁ天音ちゃんのほっぺ柔らかいなぁ。髪の毛もサラサラだし良い匂いするし可愛いし!あとあと、目がくりっとしてて可愛いし鼻もシュッとしてて可愛いし口も可愛いし眉毛も可愛いしまつげも──」スリスリ

 

「回復はえぇなマジで」

 

「ほら!天音ちゃんに迷惑かけすぎ!じゃあ私達も帰るね!」

 

 

 

天音に頬擦りするノア先輩を無理やり引き離して、引きずるようにして玄関へ向かう乙和先輩。この二人の上下関係があやふやでハッキリしないのは何故だろう。まぁ同い年だし上下もクソもないか。同じグループの仲間だし友達だし。こりゃピキピキも気が抜けないかもしれないな。

 

 

 

「それじゃお邪魔しました!また今度遊びにくるね!」

 

「その時は衣舞紀も連れてきてくれると助かります」

 

「うん、咲姫ちゃんも連れてフォトン全員でお邪魔するね」

 

「天音ちゃーん!!絶対また今度遊ぼうねぇ!!ぜーったいだからね〜!!」ズルズル

 

 

 

 

天音に向けて熱い想いをぶちまけながら、乙和先輩に引きずられて帰るノア先輩。当の天音はまたしても俺の背中に隠れているが、案外気を許しているのか最後に手を振って送り出していたのが伺えた。

 

 

 

 

 

 

~夕食後~

 

 

 

 

「ふぅ〜、今日も美味かった」

 

「お粗末様。今日咲姫ちゃんのお友達が遊びに来たんでしょ?」

 

「お友達っていうか同じグループメンバーだけどな」

 

「お母さんも会いたかったなぁ〜」

 

「仕方ないだろ。入れ違いで帰ったんだから」

 

 

 

乙和先輩とノア先輩が帰ってから数十分後、母さん達が帰宅して夕飯の準備を始めてくれた。今は夕食後の珈琲のお時間だ。脳筋親父はと言うとすぐにお風呂に向かって走って行った。というか居座られると面倒くさいのでお風呂へと追いやった。これでリビングの平穏が保たれる。

 

 

 

「どうだった?可愛いかった?」

 

「何で真っ先にそんな事聞くんだよ」

 

「天音は?」

 

「ん〜......色々と変な人だったよ」

 

 

 

やはり天音から見ても結局ノア先輩は変な人扱いなのか。いやまぁ言いたい事は十分過ぎるほど分かるんだけどね。だって、あの人変だもん。可愛いものに対する執念というか執着というか、とにかく変なのは確かな事だ。まぁだからと言って嫌だった訳でもなさそうだったけどな。

 

 

 

「でも嫌じゃなかったんだろ?」

 

「まぁそれは......うん」

 

「あらあら。今度お礼言っておかないといけないわね」

 

「母さんはややこしくなるから引っ込んでてくれると助かるんだけどな」

 

 

 

 

咲姫の時といいピキピキメンツの時といい、母さんが絡むと面倒くさくなる事の方が多かった印象が強い。天音のお眼鏡にかなっていることもあって、多分母さんも気に入ってくれるのは間違いないと思うが。唯一心配なのは既に天音ガチ勢になりつつあるノア先輩と母さんが結託しないかどうかだな。

 

 

 

「そういや気になってたんだけど、二人はお前から見てどんな風に見えたんだ?」

 

「どんな風に?」

 

「共感覚的な意味合いとか」

 

「ちょっと待って、お母さん当てて見せるから」ムッ

 

「いやそういうゲームしてるんじゃないんだけど」

 

 

 

 

額に手を当て唸りながら考える母親、を見て少し笑顔になった天音と俺。母さんはこうやって場を和ませるのは上手だ。それに比べて親父は周りの雰囲気をぶち壊すのが得意ときてる。時折会話の中に混ざる寒いオヤジギャグのセンスも皆無だし、なんなら筋肉で会話してるのが平常運転まであるからな。本当に母さんと親父が夫婦なのか怪しく思った事が何回あったか。

 

 

 

「ノアさんはちょっとアレだったけど......乙和さんは優しそうで良い人だったよ」

 

「ノア先輩......南無三」

 

「でもノアちゃんも良い子だったんでしょう?」

 

 

 

ノア先輩があまりに可哀想だから、俺の携帯の中にある秘蔵の天音コレクションを一枚だけ送っておこう。ちゃんと悪用厳禁ってだけ書いとくか。あの人マジで額縁とかに飾りそうだからな。

 

 

「グイグイくるのはやめて欲しいけど......でも暖かい色だったよ。まるでお兄──」

 

「ん?」

 

「な、何でもないからこっち見ないで変態!」

 

「母さん、俺は今から親父を殴りにいこうと思う」グッ

 

「腹いせにお父さんを殴るのはやめなさい」

 

 

 

じゃあ殴るのはやめにして、親父に"天音が嫌いって言ってた"と伝えておこう。そんな事言われたら親父にとって、過呼吸起こして病院に搬送されるレベルだろう。だが妹よ、百歩譲ってお兄ちゃんに毒吐くのは許しても変態呼ばわりはやめてもらおうか。ノア先輩と一緒にしないでほしい。別に俺はシスコンではない。

 

 

 

 

まぁでも母さんじゃないが、あの二人にはちゃんと後でお礼言っとかないといけないな。天音に良くしてくれる人が増えるのは良い事だからな。周りから見れば完全に浮いてしまっている天音に対して、普通に接してくれたり好意を持ってくれたりするのは俺達にとっちゃ珍しいことだ。避けられたり無視されたり、果てにはイジメに発展したりするケースも少なくないと思うし。お兄ちゃんとしては辛いが、俺に懐かない分は他の人に任せるしかないだろう。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

「今日はありがとうございました。天音も楽しかったと思います」

 

「いえいえ、こちらこそノアが迷惑かけてごめんね」

 

「......ごめんね絢斗君。天音ちゃんが可愛すぎてつい」

 

「まだ隠せてないですけど、まぁそれは別に良いです」

 

 

 

 

 

「お二人は天音をどう思いましたか?」

 

「天音ちゃんは凄く良い子だと思うよ」

 

「ちょっと引っ込み思案なところもキュートだね」

 

「.......変な子とか思ったりしないんですね」

 

 

 

 

 

 

「どうして?」

 

「詳しくは言えませんけど、ああいう難しい子って避けられたりするじゃないですか」

 

「ん〜、まぁ普通はそうかもしれないね」

 

「じゃあなんで──」

 

「絢斗君、お姉さんから一つヒントをあげるよ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

───可愛いは正義なんだよ!!───

 

 

 

 

 

 

「お兄聞いてる?」

 

「ん?おう、勿論聞いてたぞ」

 

「お母さんも二人とメル友になっちゃおうかな〜」

 

「頼むからやめてくれ。というかメル友って今日日聞かねぇけどな」

 

 

 

 

 

 

すみませんノア先輩、全ッ然ヒントになってないです。最後にキリッとした顔で何を言うかと思えばあれだからな。乙和先輩も呆れたような顔してたし。もう本当、フォトンのメンバーと出会ってから数日しか経ってないのに疲れた。今日は早く風呂入って寝るとしますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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