Re:DJ道   作:Lycka

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☆10 たく丸様 ☆9 ルリア03様
いきなりの高評価ありがとうございます!

お気に入り登録して頂いた方も嬉しい限りです。
モチベ上がったので少し早めの投稿が出来ました。

Let"s Dance With D4DJ!!
(アニメOP良いですよね)




#2 親が凄いと子供の肩身狭くなるよな

 

 

 

 

 

~喫茶バイナル~

 

 

 

 

カランカラン

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

 

 

陽葉学園から歩きで数十分といったところ。俺達4人が辿り着いたのは"喫茶バイナル"という昔から行きつけの喫茶店だ。割引してくれる時もあるし、サービスも充実しているのでオススメだ。

 

 

 

「あら、絢斗君じゃない」

 

「今日はコイツらも一緒ですけどね」

 

「お好きな席へどうぞ」

 

 

 

 

対応してくれたのは、知り合いであるこの喫茶店の店員の愛莉さん。いつも愛想良く振る舞っている綺麗な人だ。取り敢えず4人が座れるテーブル席へ腰を下ろし、メニューを開いて各々選んでいく。俺はメニュー見なくても覚えてるし、何ならいつも頼むやつ決まってるからメニュー要らないけどな。

 

 

 

「あれ、マスターは?」

 

「今は丁度買い出しに行ってるの」

 

「そうなんですね。あ、俺はいつもので」

 

「はいはい、それで他のみんなは?」

 

 

 

それから一人ずつ注文を取り、愛梨さんはカウンターへ向かい準備を始める。マスターいないのなら少し時間かかりそうだな。

 

 

 

「愛莉さん忙しそうだね」

 

「絢斗も手伝ってきたら?」

 

「そういう絵空が一番多くメニュー頼んでたろ」

 

「女の子は甘いモノで出来てるのよ♪」

 

 

 

ナニソレ聞いたことないんですけど。舐めたりすると甘かったりするんですかね。いや、これ口に出したら確実に変態扱いされるから絶対言わないけど。

 

 

 

「あ、そういえば次のライブどうするんだ」

 

「アタシはいつでもいけるけど、響子次第なんじゃない?」

 

「早めに言ってくれるとありがたいんだけどねぇ」

 

「そうだよね!やっぱり身体作りの時間も必要だし!」

 

 

 

頼むから由香は身体作りより先にVJの方を考えて欲しい。いや待てよ......由香の身体作りが始まるという事は、由香がトレーニングする→それに付き合わされる形で俺もトレーニングするという最悪の方程式が成り立ってしまう。

 

 

 

「由香はそれより先にVJの仕事があるだろ」

 

「ん?それは普段からやってるから問題無いよ」

 

「あら〜?もしかして絢斗は由香のトレーニングが嫌なのかしら?」

 

「何故バレたし」

 

「私にかかればお見通しよ♪」

 

 

 

毎回このパターンで結局トレーニングだ。何か良い手は無いのか。天音を連れて行く訳にもいかないし......そうだ、問題の人物である絵空を連れて行けば良いんだ。それで万事解決、何の問題も無くなるってもんだ。

 

 

 

「だったら絵空もトレーニングするか」ニヤリ

 

「本当!?絵空も一緒にトレーニングしてくれるの?」ガシッ

 

「ちょっとそれは考えさせて欲しいんだけどぉ......」

 

「やろうよ!ね?三人で仲良くね?」

 

「俺は既に決まってんのか」

 

 

 

この状態になった由香は誰にも止められない。手、というか腕をガッチリホールドして目をキラキラ輝かせている由香に困惑気味の絵空。隣でちゃっかりケーキを頬張るしのぶ。うんうん、いつも通りで安心するぜ。

 

 

 

「響子ちゃんは?」

 

「天音と一緒に何処か行きました」

 

「久しぶりに天音ちゃんとも会いたいわね」

 

「だったら今度連れて来ますよ」

 

「お願いね」

 

 

 

 

それから愛莉さんも混ざってワイワイと楽しい時間を過ごした。でも女の子って凄いのな。デザートをあんなにも食べて平気とか信じられん。俺ならケーキ一つで充分なのに。あ、ケーキをハムスターみたいに食べてるしのぶは可愛かったぞ。しのぶに負けず劣らずで由香と絵空もデザート食べてたけど。

 

 

 

そして、楽しい時間も過ぎ去り解散となった。三人が喫茶店を出て家に帰っていくが、俺一人だけは喫茶店に残っていた。

 

 

 

「......ったく、しのぶは最初から奢るつもりだったけど二人分増えるとは思わなかったぞ」

 

「今回のはツケにしとくわよ」

 

「いえいえ、愛莉さんにはお世話になってるんでそのくらいはさせて下さい」

 

「ふふ、相変わらず律儀なのね」

 

「それが俺のセールスポイントですから」

 

 

 

本当にこの人には幼い頃からお世話になってるからなぁ。まぁこの人に限らず他にも沢山いるんだけどね。

 

 

 

「黒那さんは元気?」

 

「そっちも相変わらずです。というか会ってないんですか?」

 

「最近は会ってないわね」

 

 

 

愛莉さんが最近会えてない黒那(くろな)という人物。他人事みたいに言ってるが、俺と天音の実の母親の事なのだ。今日の朝ご飯作ってくれたり弁当作ってくれた人な。この通り愛莉さんと母さんは知り合いで、昔は一緒に仕事をしていた仲らしい。俺も一緒に仕事してるところを見たのは数回くらいかな。

 

 

 

「もうすっかり専業主婦と化してますよ」

 

「何言ってるのよ、まだまだ現役バリバリじゃない」

 

「現役バリバリって今日日聞かねぇな......」

 

「知る人ぞ知る有名人って感じでカッコいいわよ」

 

 

 

仕事というのも少し特殊なモノであり、愛莉さんが言うように母さんは"知る人ぞ知る"有名人だったりする。DJ界隈で一時期名を馳せ、名声を欲しいままにしたDJの二人組がいたという。その名も"DJクロ"と"DJシロ"という者だ。

 

 

 

お察しの通り、"DJクロ"が俺の母さんである藤咲黒那その人である。自分の名前が()()だから"DJクロ"とかいうクッソ安直な名付けなのはスルーして欲しい。普通のDJとは違い、その二人組は一切表舞台に立つ事はなく必ず裏で活動していた為に"知る人ぞ知る"という言葉がしっくりくるのだ。今のところ母さんの正体を知ってるのは家族である俺や天音、愛莉さんや昔の仕事仲間、そして山手一家くらいかな。

 

 

 

「小さい頃は家にいる事があまり無かったくらいですからね」

 

「その関係で私が良く家にお邪魔してたわね」

 

「ウチの両親がホントすみません」

 

「良いのよ、小さい頃の絢斗君と天音ちゃんは可愛かったから」

 

 

 

親が家を開けている間の子守として愛莉さんが色々とお世話をしてくれていたのだ。だから俺や天音は愛莉さんに頭が上がらない。なのに親ときたら......今度愛莉さんの爪の垢でも煎じてガブ飲みさせてやろう。

 

 

 

「天音は今でも可愛らしいですけどね」

 

「あら、絢斗君も充分可愛らしいわよ?」

 

「それ母さんにも時々言われます」

 

「また機会があれば是非お邪魔させて貰うわね」

 

「分かりました、母さんにでも伝えときますよ」

 

 

 

そう言って、残り少なかった珈琲を飲み干して帰る支度を始める。結構長居してしまったらしく、窓から外を覗くとほんのりと街灯が夜道を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

~自宅~

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえり」

 

「ん?天音は?」

 

「響子ちゃんの家で夕飯ご馳走になるって」

 

 

 

珍しくお気に入りの靴が無いと思ったらそういう事か。でもアイツあの靴履いて行ったって事は一回帰ったな。幼馴染の家に行くのにわざわざ気合い入れて行く必要もなかろうに。ともなれば天音が帰ってくるのは9時頃になるか。

 

 

 

「ご飯はまだもう少しかかるわよ」

 

「んじゃ部屋で時間潰してる」

 

「出来たら呼ぶわね」

 

「りょーかい」

 

 

 

鞄を持って俺と天音の部屋がある2階へ上がる。幼い頃から"あやとのへや"と分かりやすく掛けてある部屋が俺の部屋だ。天音も同様に"あまねのへや"と掛けてあるが俺と違うのは所々に星やハート、その他キラキラした物が付いているか否か。この前も似た様なのを貼り付けてたし、ああいうのが好きなのだろうか。

 

 

 

「ご飯っつってもさっき食べたしなぁ」

 

 

 

喫茶店のケーキ一つと珈琲一杯で男が何言ってんだって話だけど。こう見えて俺はそこまで大食い出来る人間じゃないんだ。由香とのトレーニング後とかはガッツリお肉とか食べるけど。

 

 

ガタガタ

 

 

「......あんな音立てて母さんは何作ってんだよ」

 

 

 

1階から何やら音がする。料理上手な母さんが今更失敗するわけもない。ご飯作ってる合間に何かやってるとしか考えられんが。まぁ俺には関係のない事だ。それより課題出てたから早めに終わらせとくか。マジで数学は滅ぶべきだと思う。

 

 

ピロン

 

 

「ん?響子から?」

 

 

 

通知音が鳴ったので確認すると響子からのメール。わざわざメールするなら電話一本で済ませりゃ良いのに。

 

 

 

 

"絢斗のお父さんがさっきウチに来てたよ"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待て待て待て待て。親父が何故に響子の家に?天音のお迎え?いやいやいや、天音が親父と一緒に帰ってくるとか地球に生命が誕生する確率くらいありえないから。

 

 

 

「そんな事考えてる場合じゃねぇ!!」ガタッ

 

 

 

兎にも角にも、そんな事を悠長に考えている暇など無かった。最優先にやるべき事がある。それはドアの封鎖。これがどういう意味を持っているのかはすぐに分かる。

 

 

 

 

「クソ!取り敢えず封鎖しとかねぇと──」ガチャ

 

「よぉ絢斗!!元気にしてたか!?見ての通り父さんは元気いっぱいマッスルボンバーだぞ!!」

 

「がはっ!!」

 

 

 

ほんの数秒間に合わずといったところ。勢い良く開かれたドアに身体ごと持っていかれる。

 

 

 

「んー?おーい、絢斗どこにいるんだ?」

 

「マジで毎回こーなるのかよ......」イテテ

 

「おお、何だそんなところに居たのか」

 

「そんなところにじゃねぇよ!何で毎回毎回ドア蹴破る勢いで開けるんだよ!」

 

「はっはっは!」

 

「笑って誤魔化すな!」

 

 

 

親父が帰ってくる時は決まってこのパターンだ。だから毎回帰ってくる時は先に教えろって言ってんのに。さては母さんもグルだな?

 

 

 

「それよりご飯が出来たらしいぞ」

 

「分かったから先に降りて待っててくれ」

 

「それより天音は何処にいるんだ?」

 

「は?響子の家だけど......」

 

 

 

さっき行ってきたのに何で知らないんだよ。まぁ天音が教えてるとは思えないし、もしかするとバレるの嫌で隠れてたのかもな。

 

 

 

「もしかして親父、天音に避けられてるんじゃね?」

 

「.......マジ?」

 

「ぷぷー、親父のくせにだっせぇの!!」

 

 

 

その言葉を皮切りに俺は身動きが取れなくなってしまった。原因は、俺に現在進行形で関節技を決めている親父。

 

 

 

「ちょ、タンマ!!マジでくるしぃ!!」

 

「お前も言うようになったな絢斗ォ!!」

 

 

ガチャン

 

 

 

「二人共何をやってるのかしら」

 

 

 

 

母さんが入ってから部屋の温度が下がった気がするのは何故だろう。ウチの家内カーストの頂点は母さんらしい。今時母親の方が強い家庭って珍しいのでは?

 

 

 

その後、俺は無事解放されて親父は逆に母さんに連れて行かれてしまった。

 

 

 

 

 

~リビング~

 

 

 

「頂きます」

 

 

 

 

今日の晩御飯は母さんの得意料理の一つである肉じゃが。これまた絶妙な味付けに完璧な盛り付け。最早お店で出てきてもおかしくないレベルにまで昇華されていると言っても過言ではない。

 

 

 

「やっぱ母さんの肉じゃがは美味しいな」

 

「ありがと」

 

「んー!んー!」

 

 

 

因みに親父はさっきの罰として両手両足をガムテープで固定して、尚且つ口をロープで縛られている。腹減ってる人を拘束して食卓に座らせるとか鬼畜なのか俺の母さんは。しかもあの筋肉バカの親父をだ。絶対に怒らせない様にしよう。

 

 

 

「貴方もそろそろ反省したかしら」

 

「ッ!!」

 

「だったら仕方ないわね」

 

 

 

ようやく解放された親父。というかまだ親父の事何にも言ってなかったな。

 

 

 

 

親父の名前は藤咲士郎(しろう)。筋肉モリモリの中年親父だ。だがしかし、悲惨な事にこの筋肉バカがあろうことか"DJシロ"その人なのだ。先程も話したように、DJクロとDJシロは二人でコンビを組んでおり、DJ界では知る人ぞ知る有名人。それがまさかの俺の両親。本当に勘弁してくれ。

 

 

 

 

「うん、母さんの料理は世界一だな!」

 

「さっきまで拘束されてたとは思えねぇな」モグモグ

 

「絢斗、由香ちゃんはどうなんだ?」

 

「由香?相変わらず身体作りばっかだよ」

 

 

 

見ての通り聞いての通り、親父は筋肉バカなので由香とは気が合うのだ。筋肉バカと言ってもある程度細身の筋肉バカなんだけどな。由香も由香で親父を気に入ってる節があるし。というか由香はクロとシロのファンって言ってたっけ。いや、それを言うならピキピキは全員ファンだったな。

 

 

「今度父さんも一緒にトレーニングしてみるか」

 

「それはマジでやめてくれ」

 

「何だ嫌なのか?」

 

「当然だろ」

 

 

 

何が悲しくて親と一緒に鬼のようなトレーニングしなきゃならないんだよ。由香に伝えたら喜んでokしそうだから絶対に言えないな。後で親父に由香の家に行かないように釘刺しとかないとな。

 

 

 

「ただいま」

 

「天音が帰ってきたみたいね」

 

「おお!それなら俺が出迎えに─」

 

「貴方はここで大人しくしてて」ニッコリ

 

「はい」

 

 

 

悲しきかな......これが力ではどうにも出来ない権力というものだろう。我が家では結構普通の光景だから嫌になる。

 

 

 

「お兄」

 

「ん?」

 

「響子さんから」

 

 

 

そう言って渡されたのはUSB。ライブのセトリや曲の内容の相談なんかをする時に使っているモノだ。でもアイツから何も聞いてないんだけどな。

 

 

 

「響子さんから聞いてないの?」

 

「全く」

 

「メールしたって言ってたよ」

 

「あ」

 

 

 

急いでポケットにある携帯を確認してみると、やはり親父の連絡から数分後に1件。内容は予想通り、曲の相談をしたいので一度聴いてみてくれとのこと。既に天音には聴かせてあるらしい。親父とのやり取りのせいで気付かなかったな。

 

 

 

「すまん、ありがとな」

 

「ん」

 

「あ、天音?父さん帰ってきてるんだが......」

 

 

 

リビングを出て部屋に戻ろうとしていた天音に恐る恐る声を掛ける親父。最近は二人ではなく、親父一人が主体となって仕事をしている関係であまり帰れていないのが現状だ。

 

 

 

「......お帰りお父さん」

 

「......へ?」

 

 

 

この日は珍しく天音からお帰りの一言が貰えた親父であった。要するに天音の数少ないデレだな。いつもなら部屋に篭りっきりだから顔を見れるかすら怪しいのに。今にも泣き出しそうな親父を見て少し笑いを堪える。

 

 

 

「お風呂先に入ってて良いわよ」

 

「分かった」

 

「天音!?父さんが背中でも流してやろうか!?」

 

「......死ねば良いのに」

 

 

 

こうやって調子に乗るのが悪い癖だ。しかもさっきのように聞こえるか聞こえないかくらいの声のボリュームではなく、蔑んだ目ではっきりと聞こえるようにだ。まぁ中学生の娘と一緒にお風呂は流石にヤバい。

 

 

 

「母さん」

 

「おかわり?」

 

「いや、親父が息してないんだけど」

 

「後で庭にでも埋めときましょう」

 

 

 

 

因みに、天音の精神攻撃Lv.5をモロに喰らって死にかけの親父だが、絶対音感の持ち主でもある。そして、その親父を庭に埋めると言った母さんは共感覚の持ち主。そのハイブリッドが娘である天音という構図だ。残念ながら、俺には親父の"運動神経が良い"というちっぽけな部分しか引き継がれなかった。何故こうなった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「〜♪」

 

 

「んー、いかにも響子っぽい感じだな」

 

 

 

晩御飯を終え、お風呂も済ませて後は寝るだけになったところでUSBの存在を思い出したので寝る前に聴いてみる。やはり響子が作っただけあってピーキーな内容に仕上がっている。しのぶ辺りが聴くとまた尖り過ぎとか言われるんだろうな。

 

 

〜♪

 

 

「ん?着信?」

 

 

 

見計らったかのようなタイミングで響子から着信。丁度良いので思ったこと伝えときますかね。

 

 

 

『もしもし』

 

「どした」

 

『曲は聴いてくれた?』

 

「丁度さっき聴いたところ」

 

 

 

新曲は流石に無かったものの、既存のピキピキの曲を新たに作り替えていたので新鮮味は確かにあった。でも何かいつもよりちょっと足りない気がするのは何故だろう。

 

 

 

「いつもとちょっと違う気がするんだが」

 

『あー......』

 

「何か問題でもあるのか?」

 

『それ天音ちゃんにも言われた』

 

「天音にも?」

 

 

 

響子曰く、いつも通り天音からは絶賛だったようだ。しかしながら、それに加えて天音からは"響子さんの色が足りてない"とも言われた様子。これは共感覚持ち特有の表現だな。それを俺が何となくで感じられているのは、多分きっと長い間聴き続けているからだろう。

 

 

 

『やっぱ天音ちゃんにはお見通しだね』

 

「どういう意味なんだ?」

 

『次はしのぶに任せてみようと思ってたから』

 

「ほーん、それで物足りなく感じたのか」

 

 

 

リミコンも近いしのぶに任せるのは少し重荷にならないかだけ心配だな。まぁ余裕とか言って軽く仕上げてきそうなんだけど。ピキピキの方向性に俺が口を出して良い訳がないので、そこら辺はリーダーである響子の判断を信じるべきだな。俺が出来るのは簡単なアドバイス程度だし。

 

 

 

『夜遅くにごめん』

 

「今更何言ってんだ。というか俺の親父の方が迷惑かけてなかったか心配だ」

 

『久し振りに会えて良かったよ』

 

「親父来てた間は天音何してたんだ?」

 

『私の部屋でPC弄ってた』

 

 

 

やっぱアイツ隠れてやがったな。まぁ偶々そーなってただけかもしれんが。

 

 

 

『私達と別れた後は喫茶店?』

 

「愛莉さんとこ行ってきた」

 

『愛莉さん何か言ってた?』

 

「天音に会いたいって言ってたな」

 

 

 

バイナルには響子と二人で行くことも多いからな。天音はあんまり一人で外出ないし、俺と二人で来るの嫌がりそうだから響子も誘って三人で行くか。

 

 

 

「今度一緒に行くか」

 

『二人で?』

 

「それも良いんだが、愛莉さんに天音連れて来るって約束したから三人じゃ駄目か?」

 

 

 

正直な話、響子が居てくれないとアイツ絶対来なさそう。ケーキとかで釣っても靡かないからなぁ。まぁ響子の名前出すと態度が一変するんだけど。

 

 

 

『まぁ別に良いよ』

 

「......もしかして怒ってます?」

 

『全然』

 

 

 

駄目だ、これは怒ってるなコイツ。でも何で怒ったのかさっぱり分からん。今までの会話の何処にそんな要素があったのか。天音といい響子といい、相変わらず女の子は訳が分からんな。

 

 

 

「んなら今週土日に二人で遊びにでも行くか?」

 

『......』

 

 

 

遂には口を閉ざしてしまいました。機嫌悪くなった時の天音より扱いづらいんだが。

 

 

 

「駄目か?」

 

『......ハンバーガー奢りなら許す』

 

「ポテトでも何でも付けてくれて良いから」

 

 

 

案外可愛らしいじゃねぇか。というかこんな状況でもハンバーガーって。そんなに好きなんですかねハンバーガー。いや、ジャンクフードの中では俺も好きな部類に入るけども。

 

 

 

『じゃあそういう事で』

 

「明日も一緒に行くか?」

 

『良いの?』

 

「その方が天音も喜ぶからな」

 

 

 

俺の事は一切会話に入れてくれないんだけどな。まぁアイツが響子と話してる時は楽しそうだからそれだけで充分かな。妹思いの良いお兄ちゃんしてるだろ全く。それなのにあの妹ときたら。千葉の兄妹を見習えとは言わんが、もう少しお兄ちゃんに優しくしてくれても良いと思うの。

 

 

 

「んじゃ切るぞ」

 

『おやすみ』

 

「ん、おやすみな」

 

 

 

そうして響子との通話は終了。時計を見ると結構話していた事に気付かされる。夜も遅くもう少しで日が回りそうだ。早いとこ寝ないと天音にまた叱られてしまう。

 

 

 

「タイマー早めにセットしとくか」

 

 

 

 

早めにセットしたところで起きられた実績があんまり無いんだけどね。明日はちょっと頑張ってみようと心に決めて、俺はそっと瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

Next→

 

 





肉じゃが被りは、アニメ6話より先に考えてたので私の所為ではありません。

地球に生命が誕生する確率は10の4万乗分の1です。
プールの中に腕時計の部品を投げ入れて、水の流れだけで時計が完成する確率なんだとか。

親父ィ......成仏してクレメンス。
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