☆9 智如様 大塚竜胆様
新しく評価して頂きありがとうございます!
まさかのモンハンコラボに主大興奮です。
色々とやる気upして書いてたら1万字超えましたが気にしないで下さいな。
~翌日~
「おはよう絢斗」
「ん、おはよーさん」
昨日ぶりの響子と校門でばったり出会って挨拶を交わす。実はこれが今日初めての会話だったりする。今日は珍しく親父と母さん二人で仕事に出掛け、そのせいで朝飯も菓子パンだったので天音とも話していない。案外一人で朝飯済ませるのは久方ぶりだった気がする。やっぱ一人だと結構寂しいもんだな。
「感想は考えてきた?」
「モチのロンよ。それらしい言葉並べてりゃバレんだろ、多分。知らんけど」
「適当にやってるとまた先生に怒られるよ」
「そん時は素直に謝れば大丈夫」
人間諦めが肝心って誰かお偉いさんが言ってたもん。別に諦めてないし、何なら諦める様な案件でもないんだけどね。たかが感想。されど感想。担任や学校にとっちゃ重要視すべきものなのかもしれない。生徒一人一人の音楽性の違いを肯定し、その上でどうすべきかを一緒に考えようとかいう作戦なのだろう。みんな違って、みんな良いって言ってる人もいたっけ。だとすれば、感想を出さないというのも一つの手なのかもしれない。
というふうに、馬鹿な事を一人頭の中で考えている内に教室へ到着。慣れって怖いね。勝手に教室に向かって歩いてるんだもん。
ザワザワ
「何かいつもより騒がしいな」
「何かあったんじゃない?」
「ねぇ昨日の動画見た?」
「見た見た!Photon Maidenの動画綺麗だったよね!」
朝のSHRが始まるまでの過ごし方は人それぞれだ。趣味の合う友達と仲良く話すも良し、一人で読書して考えに耽るのも良し。睡眠が足りない時は机に突っ伏して眠るもアリだな。ソースは俺。夜更かしした次の日は大体寝てたし。何なら担任のゲンコツタイマー付きだから結構オススメ。
「よーしSHR始めるぞ。まずは昨日の課題から─」
俺も響子もギリギリで到着した為すぐに担任が来てSHRが始まる。昨日の感想文を書く課題に始まり、今日の授業のちょっとした変更点、そして数ヶ月後にせまったテストの話等を順序良く伝えていく。テストの話になるとほぼ大半の生徒が嫌な顔をするのは、おおよそ何処の学校に行っても同じ様な光景が見られるだろう。
因みに我が陽葉学園のテストで赤点を取ると、もれなく補習という担当教科の先生による特別レッスンが執り行われる。過去に一度だけ補習を受けた事はある。何故かは知らんがその時は母さんや親父ではなく、ピキピキのメンツに怒られたのは未だに謎だ。
「それじゃあ今日も授業頑張るように」
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
話が終わったジャストタイミングでSHRの終わりを告げるチャイムが学園内に鳴り響く。今日は昨日と違って移動教室少なめだから多少なりとも楽が出来るってもんだ。まぁ俺の苦手、というか嫌いな数学はあるんですけどね。しかも2時間連続で。滅べ、取り敢えず滅んどけ数学は。
「絢斗、しのぶ達に話すのはお昼休みで良い?」
「.......」
「絢斗?」
「あぁ、すまん。ちょっと頭ん中で数学と戦ってた」
ロールプレイングゲームよろしくターン制の戦いを数学と繰り広げていると、SHRが終わってライブについて話に来た響子に気付けなかった。今は俺のターンだから大丈夫。再開したら取り敢えず回復魔法使って体力回復しなきゃな。何の話してんだっけこれ。
「お昼休み?それとも今からでも行ってくる?」
「いんや、別に急ぐこともないしお昼にゆっくり話してみようぜ」
「それならみんなにお昼休みって連絡しとくよ」
「頼む」
それからそれぞれ席に座り、1時間目が始まるまでの時間を潰していた。俺個人として考えるべきはウチで行うライブの練習についてだな。もしかすると母さんもこれから仕事忙しくなるかもだし。そうなれば必然的に俺と天音の二人でフォローしなきゃならないからな。
ピキピキのライブの手伝いをしてるだけなのに、何処かワクワクが止まらない自分がいる事に気付く。これほどまでに、俺にとってピキピキが大きな存在だったという事を嫌でも実感する。これはその内天音に響子関係の事で口出すのも駄目になりそうな気がする。周りから見れば俺だってピキピキメンツにべったりだもんな。
「......は?何でここの答え違うんだよふざけんなし」
この独り言は4時間目の歴史の簡易テストの答え合わせに対するものである。授業前に響子からテストの点数勝負をふっかけられて、勝負に負けた方が昼飯奢りという負けられない戦いだったはずなのに。俺の点数は76点に対して響子が79点。俺の敗因は完璧にこの問2の答えの漢字ミス。まぁ要するに俺の凡ミスにより昼飯奢りの刑に処されてしまった。
「漢字ミスるなんて絢斗にしては珍しいね」
「だろ?だからそこら辺考慮して欲しいな〜なんて思ったりして。チラッ?」
「別にそこの問題間違ってなくても私の勝ちだけどね」
「え、マジですか」
「だってそこ2点問題だよ」
神は俺を見捨ててしまわれた。歴史の授業案外楽しいから好きだったのに嫌いになりそう。というかこんな話に花咲せるより先に中庭に行かなきゃならん。また遅れたら絵空とかに何言われるか。最悪アイツらの分まで奢る羽目になりかねんしな。
兎にも角にも、早めに切り上げて響子と二人で中庭に向かう。テストの話が盛り上がったのもあってか、他の三人は既に集合済み。というか大体俺達二人が最後だな。
「はろ〜絢斗」
「すまん遅くなった」
「アンタらが遅れてくるのはいつものことでしょ」
「ごめんねしのぶ」
「まぁまぁ、それより私達に話っていうのは何かしら」
やはり一番に食い付いてきたのは絵空か。昨日は多分怒ってたっぽいから忘れてるだろうけど、一応母さんに見てもらうって一言だけ伝えてはいるんだけどね。何故か昨日は怒ってたからな。
「響子から聞いてるかも知れんが、1週間後くらいにライブの予定を立ててる」
「1週間か〜。でもしのぶ、リミコンも近くなかったっけ?」
「由香の言う通り、リミコンも近いしのぶにセトリや曲のアレンジを任せっきりにするのは良くないと思って良い案を持ってきた」
「お、珍しく絢斗が積極的ねぇ。何かあったのかしら」
「探りを入れるのはやめたまえ絵空君」
早々に話に移らないと俺が一番乗り気なのがバレてしまう。天音の為とか、母さんに頼まれたからとか理由をこじつける事は出来るがすぐに裏を取られてお終いという未来しか見えない。というか絵空に対してのチョイスであれば、その場の嘘で誤魔化すというのは愚策だろう。そういうのに関しては、この子結構鋭いからね。
「俺の家で母さんに練習見てもらうっていう案だ。因みにもう許可は取ってあるから大丈夫」
「絢斗のお母様に?」
「そ、母さんも乗り気だったしみんなに会えるの嬉しそうにしてたぞ」
まぁこれで母さんが言い出したみたいな雰囲気にしとけば俺が疑われる事は無くなるだろう。すまんな母さん。これも大事な息子の俺の為だと思っておくれ。
「それじゃあ絢斗のお父さんもいるの!?」ズイッ
「近い近い可愛い良い匂いするし可愛いから一旦離れろ由香!!」
「楽しみだなぁ〜♪」
「全く......何であんな親父の事気に入ってんのか」
十中八九筋肉やらトレーニング関連の事なんだろうけどな。由香の憧れのDJシロがあんな中年筋肉親父だなんて可哀想に。時に真実とは残酷なものとはよく言ったものだ。後で親父にボロ出さないように忠告しとこう。
「由香は相変わらずだね」
「遊びに行くんじゃないんだからね」
「そう言うしのぶも何か楽しそうじゃん」
「お?そうなのかしのぶ?」
「ち、違うから!響子も変な事言わないでよ!」
顔を赤くして響子にポカポカと殴りかかるしのぶ。可愛いな。この前響子が挑発してピーマン食べさせようとしてた時も中々だったが、やはりしのぶにはツンデレキャラがお似合いだろう。異論は認めん。
「そこで一つアンケートを取りたいんだが」
「ん?なになにどんなアンケート?」
「その練習の日俺の家泊まるかどうかの─」
「泊まる!」ズズイッ
「ちょ、だから近いって由香。距離感バグってんだよさっきから」
そんなにウチの親父に会うのが楽しみなのだろうか。正直俺には理解し難いのだが、筋肉好きには筋肉好き同士惹かれるものがあるのかもしれない。まぁ俺としちゃ練習しっかりやってくれれば、後のことは親父と筋肉談義しようが一緒にトレーニングしようが構わないけどさ。
「絵空はどうするんだ」
「ok貰えたから大丈夫よ♪」
「さいですか」
先程の数瞬で親にok貰うために電話交渉したらしい絵空は、満面の笑みでそう答えてきた。というか泊まりに関しては母さんと親父には伝えてないんだけど、これは俺の方が大丈夫か心配になってきたな。
いやまぁ昔に家を改築する時に来客用に部屋をいくつか増設したから大丈夫っちゃ大丈夫なんだけど。問題はそこじゃない。一つ屋根の下で男女が一晩過ごす事が重要なポイントだ。まぁ?間違いなんて起こす気はサラサラないんだが?その場合は天音に始まり母さん、そして親父から非難殺到するに違いないしな。最悪親父にその場で処刑されかねんな。
「響子は当然大丈夫だとして」
「泊まるのは久しぶりかな?」
「ん?まぁ確かにそうかもな。天音も喜ぶから一緒に寝てやってくれ」
「分かった」
「......流石は幼馴染って感じの会話ねぇ」
正直なところ、響子に関してだけ言えば何度もお泊りは経験済みなので何も気にしてないからな。他のピキピキメンツは数えるくらいしかないし、そもそもの話先程も言った通り思春期真っ盛りの男女が同じ屋根の下で一晩過ごすのは世間一般的にはよろしくないだろう。
「んで、みんなはこう言ってるけどしのぶはどうする?」
「アタシも泊まっていいの?」
「しのぶが良ければだけどな。別に強制はしないけど」
「泊まる。親御さんにはヨロシク言っといて」
「了解。んじゃ全員泊まりで練習って事で伝えとくぞ」
颯爽と携帯を取り出して家族全員に一斉送信する。これで拒否られた事もないし大丈夫だろう。むしろ藤咲家一同大喜びしそうだけどな。多分母さんも親父も仕事で今すぐには目を通せないだろうからもう少し待ってみるか。
「......おい、響子ちょっと」ツンツン
「ん、どうかした?」
「泊まりがけで練習するなら土日しかないんだけど大丈夫か?」
「土日しかって......あー、良いよ別に」
土日、という二文字で響子も察してくれた様子。俺から約束ふっかけといてこんな形で破るのは少々歯痒い気持ちが込み上げてくる。現に少し落ち込んだ顔をしている響子。埋め合わせだけでもやらないと駄目か。
「いや、約束自体無くすわけじゃないんだ。予定を一週間ずらせば良いだけの話だからな」
「じゃあ来週の土日ってこと?」
「まぁそうなるな」
「ちょっとぉ、さっきから響子と二人で何コソコソ話してるの?」
「練習についてちょっとな。取り敢えず母さん達にはメッセ送っといたから返信あれば連絡する」
「お泊り楽しみだね!」
「遊びに行くんじゃないんだよ」
「しのぶも本当は楽しみなんでしょ?」
「どうかな」
その後は、いつも通りお昼ご飯を食べながらライブについてや練習の話。時には世間話や昨日の出来事など脱線する事もあったがワイワイ楽しく過ごせた。遠目に愛本さんと明石さんが一緒にご飯食べてるのも見えたが、俺達が行っても注目集めるだけだしそっとしておいてあげよう。明石さんには愛本さんにDJについて色々教えてもらわないといけないからな。
~放課後~
「......ん〜」
「お兄お待たせ」
「ちょいと遅かったけど何かあったのか?」
「提出物出してただけ」
「なるへそ」
授業も滞りなく終わり、今日は珍しく天音と二人で下校する流れになった。これにはちゃんとした理由がありまして。逆に理由なくして天音と二人で帰ることなんかありえないくらいだからな。
まぁ理由というのも簡単な話で、お昼休みに母さんや親父、それに天音に送ったお泊り練習の件で話があるとかで二人で一緒に帰ってこいと母さんから連絡があったのだ。もしかするとok貰えないかもしれないと天音は心配そうに言ってたが、俺からすればその可能性は薄いようにも感じられる。駄目なら駄目ってハッキリ言ってくれると思うし。昨日の今日で気持ちが変わったりもしないはずだ。
「お兄、ok貰えなかったらどうしよう」
「大丈夫だって。最悪俺が土下座で頼み込むか天音が親父にお願いでもすりゃok貰えるさ」
「本当に大丈夫かな......」
「お前のその響子やピキピキに対してだけ発動する心配性も相変わらずだな」
お兄ちゃんに任せなさい、という意味を込めて少し頭を撫でてやる。いつもだったらここで罵声を浴びせられて手を振り解かれるが......やはり今はそんなものに気を回している余裕すらないと見て取れる。
「母さんや親父、それに俺を信じろ」
「......お兄」
「どうした」
「恥ずいからやめて」
「お兄ちゃん的にはもうちょっと撫で撫でしてても良いんだが」
「マジでやめて」
しかし流石にそろそろやめておいた方が良さそうだ。今はまだ下校途中で周りには同じ学生や仕事帰りのサラリーマン。お買い物に向かう主婦等様々な人達が行き交う、言わば外の世界というやつだ。罵声浴びせられなかっただけ良しとしよう。
「んじゃ天音ちゃんの可愛いところが見えたところで急ぐとするか」
「ちょ、お兄待ってよ!」
「帰るまで競争な。早く家に着いた方の勝ち」
「運動でお兄に勝てるわけないじゃん!」
別に天音も足遅い部類ではないと思うんだけどな。男の子且つ運動神経が比較的良い俺と比べるのは駄目か。それでも必死に後ろをついて来てるのは褒めてやろう。帰ったら保管してるデザートでもあげるかな。
-藤咲宅-
「ただいま〜」
「......はぁ、やっと着いた」
途中歩いてる時間もあったが急いだお陰でかなり早く到着した。肩で息をする天音に対してピンピンの俺。まぁ最後の方は早歩きで天音の横を補助しながら帰ってたんだけどね。愚痴愚痴言いながらも頑張ってた天音。何処となくしのぶに似てたのは気の所為だろうか。
「ん?お客さん?」
「知らない靴が二つあるね」
「親父のも無い、からと言って居ないわけじゃないんだったな」
昨日の様に不意を突かれないように注意して進もう。本当にお客さんが居るのなら親父もうるさくはしないだろうけど。というかまず親父は居なくても良いんだけどさ。暑苦しいだけだし。
「あら、帰ってたのなら早く入りなさい」
「お母さん誰か来てるの?」
「そうね、二人に会わせたくてお家に呼んじゃったの」
「てことは俺と天音の知り合いか」
余程俺達に早く会わせたいのか、二人共の背中を押してリビングへと向かわせる母さん。だがしかし、先にやらなければならないのは手洗いうがい。母さんを先にリビングに向かわせて、俺と天音は二人洗面所へ歩いて行き順番に済ませる。みんなもちゃんと手洗いうがいしようね。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか」
「お兄失礼だよ」
「ここまでさせといて親父とかいうオチは勘弁願いたい」
「流石にそれは私も嫌だよ」
若干ワクワクしながらも二人でリビングへ向かう。先程も言った通り、俺としちゃ親父以外なら良いんだけどね。昨日みたいに何処に潜んでるか分かったもんじゃないからな。襲いかかってきても対処出来る様に準備しておく必要がありそうだ。
そして、ドアを開けて俺達に会わせたかったお客様とご対面する。
「やぁ絢斗君に天音ちゃん。元気にしてたかい」
「......もしかして姫神さん?」
「随分と久しぶりかな」
「え、マジか」
この人の名前は姫神紗乃。愛莉さんと同じく母さんや親父が仕事で忙しかった頃に面倒を見てくれた人で、俺と天音が顔の上がらなかったり足を向けて寝れなかったりする人物その2だ。というかマジで久しぶりだな。会うの何年振りだろうか。仕事が忙しいって母さんから聞いてからだから1年か2年振りくらいか。それにしても相変わらず綺麗だなこの人は。勿論愛莉さんも綺麗な人なんだけどさ。
「今日は朝早くからお仕事行ってたでしょ?それは紗乃にお呼ばれしたからなのよ」
「一緒に行ってた親父は何処にいったんだよ」
「士郎さんはまだ事務所でお仕事中だよ」
「暇だったからお家に呼んじゃった♪」
「時間も少々余裕があったし久しぶりにと思ってね」
呼んじゃった、とか言って何気に一番ウキウキしてる母さん。親父を置き去りにして自分は家でお茶するとか俺の母さんヤバすぎるな。でも姫神さんが母さんや親父を呼んだって事は、やっぱり何か仕事を頼むのだろうか。それで母さんウキウキしてるのかもな。昔の全盛期の頃の秘蔵映像見てる限りだと、母さんは親父と仕事してる時は凄い生き生きしてたしな。
ともあれウチの親の話は置いといて。知らない靴の一つはお世話になった姫神さんで......もう一つの正体がさっきから俺の事ずっと見つめてきてるんだが。それこそリビングに入った瞬間からずっとだな。
「それで、姫神さんの隣の子はもしかしてお子さんですか」
「絢斗君も面白い冗談を言えるようになったんだね」
「さっきからずっと見られてて恥ずかしいんですけど」
「あぁ、その子はね─」
「黒那さん、私から説明します」
何かを言おうとした母さんを遮って姫神さんは椅子から立ち上がる。同時に隣に座ってた子も姫神さんに習って姿勢良く立ち上がってお辞儀する。何かどっかで見たことあるような気がするんだが。
「この子の名前は出雲咲姫。この子には黒那さんの指導を受けてもらおうと思って連れてきた」
「母さんの指導?」
「そうよ、それで今朝早くから事務所に行ってたの」
「もしかしてPhotonMaidenの出雲咲姫さんですか?」
「はい」
あー、何か今朝教室でそんな事話してた人がいた気がする。てことはPhotonMaidenていうユニットのプロデュースが今の姫神さんの仕事って感じか。それで母さんや親父に仕事を依頼してきたと。段々と話の内容が掴めてきたぞ。
「貴方、不思議な色をしてる」
「不思議な色?」
「この子は私の可愛い息子の絢斗。それにその隣の可愛い女の子が娘の天音」
「貴女は私と同じ色を感じる」
「......姫神さん、もしかして咲姫さんって」
「あぁ、この子も天音ちゃんや黒那さんと同じく共感覚の持ち主だよ」
だから俺や天音の事を色で例えたんだな。というかこの部屋に共感覚持ちが三人いるのはどういう事なのだろうか。まるで共感覚のバーゲンセールじゃないか。でも一口に天音や母さんと同じといっても本当に同じモノなのか。
ここで共感覚についておさらいしておくと、簡単に説明するならば共感覚とは文字や音、それに味や匂いに色や形を感じたりすることの出来る能力みたいなもんだ。複数の共感覚を持つ人がいれば、一つの共感覚しか持たない人だって勿論いる。それぞれ種類は様々で研究が進んだ現代では150種類程が確認されているらしい。天音や母さんは複数の共感覚を持っており、それでいて少し特殊なタイプで人を見ると色が分かったり分からなかったりする。もしかするとこの子もそういったタイプなのかもしれない。
因みに共感覚の英名は
「いつもならこんな事ないのに......どうしてだろう?」
「ふむ、もしかすると同じ共感覚を持った二人と接触した結果かもしれないな」
「言わば共感覚持ち同士の"共鳴"といったところかしら」
「お兄そんなことあり得るの?」
「俺にそんな科学的な事を聞かれてもさっぱりだ」
当の本人が分からないと言っているのに俺に分かるわけないだろう。しかし、実際のところ気になる部分ではあるな。天音だって共感覚は先天的に持って生まれたものの、人を見て色を感じることが出来るようになったのは小学生になってからだ。もしかするとそれ以前にも見えていたかもしれないが、天音の成長がまだ追いついていなかった説もあるしな。まぁこんなSFめいた話は一旦パスだ。
「それで、母さんに指導してもらう件はどんな感じでまとまってるんですか?」
「今すぐに、という話ではないよ。次のPhotonMaidenのMVの撮影に間に合わせる形で黒那さんにはお願いしてるからな」
「MVの撮影?」
「昨日upしたのだが、絢斗君は見ていないのか?」
「私は見たけどね」
「おい、お兄ちゃんを悪者みたいな扱いするな妹よ」
今朝教室が少し騒がしかったのはそのせいだったのか。そこら辺はノーマークだったからな。今度からチェックするようにするか。
「......すまない、少し電話してくる。黒那さん、あとの説明は任せてもよろしいですか?」
「大丈夫よ」
そう言って姫神さんはリビングを出て行く。部屋に残されたのは俺と共感覚持ちの三人。一人は初対面だしどうなってんだよこれ。一先ず母さんの話でも聞くとするか。
「咲姫ちゃんで良いわよね?」
「はい」
「咲姫ちゃんは好きな人とかいるのかしら」
「ぶっ!!ちょ、何聞いてんだよ母さん!?」
「お兄汚い」
お仕事の話をするかと思ったら好きな人の話になっている件について問い正したい。初対面の女の子にする話じゃねぇな。母さんは姫神さんと一緒に事務所で仕事の話聞く時に会ってるから初対面って訳じゃないかもだけどさ。この子の事も考えてあげようぜ。
「いえ、あまり話す事が得意ではないので......」
「出雲さんも母さんの話に無理矢理合わせなくて大丈夫だからな」
「うん」
「咲姫ちゃん、絢斗は照れてるから放っといて良いわよ」
「そうなの?」
「違うからな」
母さんが会話に混ざると一気にやり辛くなるなぁ。親父だと最早話す暇もなく戯れてくるからな。まぁ結局のところ親二人共めんどくさいんだけど。消去法で天音と話すのが一番楽だな。未だにお兄ちゃんに毒舌っぽいのが気になるが。というか天音から見える出雲さんはどのような色をしているのか少し疑問だ。
「天音、出雲さんはどんな感じなんだ」
「んー......よく分かんないけど雪?というか澄んだ空みたいな。とにかく綺麗な白のイメージかな」
「貴女も綺麗な色をしてる」
「天音で良いですよ咲姫さん」
俺やピキピキメンツ以外に天音が普通に話せてるところを見るのはいつ振りだろうか。多分だけど、天音と同じく共感覚を持つ出雲さんだからこそなのだろう。直感的に、本能的に大丈夫だと。この人なら安心するとかそういった類のものなのかもしれない。願わくば今後も天音と良い関係を築いて欲しいものだ。
「お母さんは咲姫ちゃんが天使に見えるかな」
「いや、共感覚関係ないだろそれ」
「だって咲姫ちゃん可愛いんだもの」
「あ、ありがとうございます」
「出雲さんも律儀に合わせなくて良いってば」
少し顔を赤くしてるのは気のせいにしておこう。出雲さん元々肌が白くて綺麗だから尚のこと分かりやすいな。そろそろ姫神さん戻ってきて欲しいんだけど。
「......」ジ-ッ
「どした」
「絢斗君」
「お、おう。いきなり名前呼んでどうした出雲さん」
昼間に由香にも詰め寄られたから分かるけど、何で女の子ってこんなに良い匂いすんの?というか何で最近出会った女の子全員レベル高いんだよ。いやそもそもの話、何故に出会うのが女の子ばかりなのか。この先女の子にしか出会えない呪いにでもかかったのだろうか。早いとこ教会に行って呪い解いてもらうしかないかな。
「咲姫」
「出雲さんの名前?それはさっき聞いたけど」
「違うの。咲姫って呼んで」
そういうことか。最近の女の子は出会ったばかりの男の子を名前呼びするのが普通なのか。絵空や由香は比較的早かったが、しのぶに今ぐらい気を許してもらうのにどれだけ時間が掛かったことか。最初なんて警戒されっぱなしだったからな。
「いや、いきなりはちょっと」
「呼んで」
「はい。咲姫さん」
「さんはいらない」
「......咲姫。これで良いだろ、取り敢えず離れてくれ」
「あっ......ご、ごめんなさい」///
この子案外頑固なところあるんだな。まぁ段々と体ごと近付いてたのには気付いてなかったっぽいけど。またしても顔を赤くして俯く出雲さん、じゃなくて咲姫。その様子を見てニヤニヤしている母さんと天音。こんなところ親父にでも見つかったら一生弄られるに違いない。今日親父居なくてマジでラッキーだった。
「絢斗、咲姫ちゃんを大切にするのよ」
「お兄幸せに」
「おい待て身内。誤解しか生まない言い方はやめろ」
「......そろそろ話し合いは終わったかね」
「ひ、姫神さん?戻ってたなら先に声掛けて下さいよ」
「何やら面白そうだったので見学させてもらったよ」
姫神さんが戻ってきてからは打って変わって仕事の話に戻り、どのような日程で進めて行くのか大まかに決まったとのこと。どうやら先程の電話の相手が親父だったらしく、未だに事務所で打ち合わせをしているということのなので帰ってこないで欲しい。
話が一通り終わると時刻が8時を過ぎてちょっと。姫神さんは相変わらず仕事が残っていると言って事務所へ帰る支度を始める。そしてもう一人の客人であった咲姫はというと、母さんと天音の提案により夕飯をウチで食べることになってしまった。まぁ大半は母さんのゴリ押しに咲姫が根負けしたみたいなもんだけどな。
「本当に良いの?」
「俺に聞かれてもな。咲姫のしたいようにすれば良いんじゃないか」
「私のしたいように?」
「おうよ。DJだって咲姫がやりたいと思ったから始めたんだろ?自分の気持ちに嘘ついてまで隠す必要もないだろ」
それらしい言葉を咲姫に投げかけるが、当の本人である俺が嘘つくことなんてザラにあるんだけどね。だって人間だもん。仕方ないよ。でもほとんどの場合親父とか限定だから許して欲しい。
「......うん、分かった」
「んじゃ手洗って夕飯にするか」
「ふふ、絢斗君は優しいね」
「"女の子には優しく、親父には厳しく"がウチの家訓だからな」
俺が危惧してるのはこの事が変にピキピキメンツに伝わらないかだけだ。愛本さんの件だけでもめんどくさかったのに、今回も同じようになると身が持たない。
神様、頼みますんでややこしいことになりませんように。
Next→
主、モンハンほぼ全シリーズプレイ済
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グルミクまさかのモンハンコラボ
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10連でキリン咲姫&バンギス衣舞紀お迎え
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一人部屋で寂しくガッツポーズ
今回のコラボ報酬滅茶苦茶良いんで、暇あれば一発だけでも殴っときましょうね。