Re:DJ道   作:Lycka

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前回に引き続き日常回でございまする。

感想、評価等お待ちしておりまする。

それでは、ごゆるりとご覧くだされ。


#7 LovelyでCuteな学園Days

 

 

 

 

 

 

『ありがとうございました』

 

「次までに課題終わらせておくように」

 

 

 

 

本日4時間目の授業も何事もなく終わりを迎え、終了の号令と共に各々待ちに待った昼休みが始まる。ある者は購買へ行ってパンを買い、またある者は友達と一緒にワイワイ楽しくお弁当を食べる。俺はどっちかと言うと後者に当てはまるが、時間が無くて弁当作れなかった日は購買だから結局どっちもだな。

 

 

 

 

この日も相変わらずピキピキのメンツとお昼ご飯の予定だったので、終わり次第弁当を持って中庭へと向かう。その足取りが妙に軽いのは、きっとお昼ご飯が待ち遠しいからだと思う。決してピキピキメンツと早く会いたいとかそういうのじゃない。男の子のツンデレって需要ある?というか俺自身そんなキャラじゃねぇしな。男の娘とかなら話は別だけど。

 

 

 

 

「お待たせ......って、絵空どうしたんだ?」

 

「いつものだから気にしないで大丈夫だと思うよ」

 

「ああ、そういうことね」

 

 

 

 

明らかに一人だけうなだれているのが分かる。由香が"いつもの"と言ったが、そんなに頻発するものでもないはずだけどね。こうしてる間にも、絵空は机に突っ伏して"ん〜"とか"あ〜"とか、声にならない声を出してだらしなくしている。

 

 

 

この状態の絵空は俺達からすれば然程貴重なものでもないのだが、多分他の奴らからすると秘蔵映像並みのものだろう。この状態はラブリー欠乏症(命名俺)といい、ラブリーが生きる源の絵空にとってエネルギー不足の状態を指し示す。まぁこの状態の絵空も案外可愛いから俺は好きなんだけどな。

 

 

 

「しのぶはまたゲームしてんのか?」

 

「ん、今日から新イベント始まるからね。アンタもやらないと報酬ゲット出来ないよ」

 

「え、マジ?それを先に言ってくれ。俺もやる」

 

「二人共食べる時は携帯触るのやめなよ」

 

 

 

響子に注意されるが正直今は従えないのが本音。このゲーム、最近になって俺としのぶはやり始めたのだが案外面白くてハマってしまったのだ。それから二人で時間が合えば一緒にゲームしたりと楽しくやっている。前回のイベント順位は僅差でしのぶに負けたから今度こそ勝つんだ。

 

 

 

「おーい!」

 

「そのゲームしのぶと絢斗どっちが強いの?」

 

「ふっ......そんなの言わなくても分かるだろ」

 

「確かにね。アタシが負けるわけないじゃん」

 

「はぁ!?しのぶより俺の方が強いから!」

 

「何言ってんの?アタシの方が強いに決まってるじゃん」

 

「また始まった......」

 

 

 

いやこれだけは譲れない。実はしのぶの方が若干ではあるが先にゲームを始めている。レベルや装備が整っているのは確かにしのぶだが、ゲームとは単にレベルや装備が勝敗を決めるわけではないのだ。PS、所謂プレイヤースキルに関して言えば負けてない。というか別にレベルも装備もそこまで変わったもんじゃないしな。よって俺の勝利。

 

 

「大体アンタのレベル低いじゃん」

「レベル低くても勝てばよかろうなのだよ!」

「はっ、アタシにイベントで勝てたことないクセによく言うよ」

「イベントって言ってもまだ2回だろ!」

「2回だけでも勝ちは勝ちだよ」

 

 

「お〜い、絢斗く〜ん......って、あれ?もしかして取り込み中?」

 

「りんくちゃん?何かあったの?」

 

「うん、絢斗君に渡したい物があったんだけど」

 

「ごめん、もうすぐ終わると思うから座ってて」

 

 

 

 

なんやかんやでしのぶと少し議論を交わした後、気が付けば愛本さんも昼食に混ざっていたので一旦やめにして俺達もお昼ご飯を食べ進める。

 

 

 

 

「それで、愛本さんは今日は何の用事?」

 

「ひつはあやとふんにわたひたいものが」モグモグ

 

「取り敢えず口の中無くなってから話そうな」

 

「......んっ。実は絢斗君に渡したい物があるの!」

 

 

 

ふむ、俺に渡したい物とな。正直皆目検討もつかないのだが、愛本さんの性格を考えればこの先を予想するのはそもそも無理って話だ。まぁ貰えるもんなら貰っておくに越したことはないからな。流石に現金とかなら話は別だけど。傍から見れば俺が現金せびってるみたいで誤解されかねん。

 

 

 

「これあげるね!この前のお礼に!」

 

「......お、おう。ありがとな」

 

「どういたしまして!」

 

「因みに聞くが、これは?」

 

「ん?貝殻だよ?」

 

 

 

可愛らしく首を傾げる愛本さん。いや、見れば貝殻なのは分かるんだけど何故に?この前のお礼ってことは放送室まで案内した時のことか。別にお礼なんて良いのに。そこまでのことしたわけじゃないしな。

 

 

 

「綺麗な貝殻だね」

 

「何処で取ってきたのりんくちゃん?」

 

「前に住んでたところでいーっぱい!」

 

「前に住んでたところ?」

 

「あぁもう、席に居ないと思ったらこんなところに」

 

 

 

 

そこで前に放送室に居た明石さんが登場。どうやら愛本さんとお昼ご飯を食べる約束してたらしいが、愛本さんが勝手にここまで来てたので探していたっぽい。何というか自由気ままというか、それも愛本さんの良いところなのかもしれないが振り回されるのは御免被るといったところか。

 

 

 

それからは新たに明石さんも加えて、まだ聞いたことのない愛本さんの話を沢山してもらった。何でも前に滞在してたのがアフリカの国らしく、ここに来た時にもお弁当を大事そうに抱えていたのだが、向こうでは猿にお弁当を奪われた経験があるのだとか。聞けば聞くほど謎が深まるばかりだったので、途中から聞き流す程度にしておいた。

 

 

 

 

「ふぅ、んじゃそろそろ時間だし教室戻るか」

 

「ごめん、私今日日直だから先に行くね!」

 

「アタシも次の授業発表で当てられてるから」

 

「ん、二人共頑張ってこいよ」

 

 

 

 

由香は日直でしのぶは授業の発表か。確かウチのクラスの5.6時間目は特に何事も無かったはずだから大丈夫だな。

 

 

 

「教室戻りたくないかもぉ」

 

「そういや絵空(ラブリー欠乏症)がいたんだっけ......」

 

「どうするの絢斗」

 

「どうするって言ってもなぁ」

 

 

 

この状態の絵空を教室へ返したところで5.6時間目の授業をまともに受けられるわけもなく、内容が右から左へと受け流されるだけだろう。今回は珍しくお昼休みに発症したのもあって少しめんどくさいな。いつもなら放課後だから、その後すぐにラブリー成分を補充しに行けるのに。

 

 

 

「仕方ない。絵空保健室に連れて行くから響子は先に教室戻ってろ」

 

「分かった」

 

「ほら絵空、保健室に行くぞ」

 

「ん〜、めんどくさい〜」

 

「んなこと言ってもな。中庭にずっと居ると先生に見つかって怒られるぞ」

 

 

 

 

一回昼休み終わってからも駄弁ってたら担任きて怒られた事あるからな。主に俺だけ。だって他の奴ら先に気が付いて逃げてたし。俺だけ教室に帰る支度してたら怒られたんだけどな。まぁ遅くなった俺が一番悪いんだけどね。

 

 

 

「絢斗おんぶして♪」

 

「お前本当は普通に動けるだろ......」

 

「じゃあ私は先に行ってるね」

 

「ん、もし授業遅れたら説明しといてくれると助かる」

 

 

 

 

こうして響子は教室へ向かい、俺と絵空は保健室へと向かった。響子に俺の分の弁当は渡してあるし絵空は今日は購買だったので手持ちはナシだ。問題があるとすれば俺の背中に絵空を背負ってるってことだな。おんぶなんて天音が小さい頃以来してなかったから久し振りだな。にしても女の子って見た目の割には案外軽いのね。少しでも重かったら冗談混じりに言ってやろうかとも思ったが全然そんな事なかったです。柔らかい感触が背中にあるのが凄く気になるが、それは気にしてないフリしておこう。

 

 

 

「絢斗、変なこと考えてるでしょ?」

 

「まぁな。絵空が実は今回演技してる可能性はないのかとか考えてたわ」

 

「もしかしてバレてた?」

 

「知ってるか?本当にラブリー不足の時は、お前異常にお菓子とか甘いもん食べるんだぞ」

 

 

 

まぁこれでも結局は推測の域は出ないんだけどな。これまでのラブリー欠乏症の絵空を見てきて思った事を言っただけだ。今日は購買のパンをちまちま食べてたしな。演技だと思い始めたのも少し前だし。まぁ誰にでも授業をサボりたいと思う気持ちはあるだろう。これで俺も堂々とサボれるってもんだしWin-Winってやつだな。

 

 

 

「ほれ、保健室着いたぞ」

 

「ベッドまで運んで欲しいかなぁ」

 

「はぁ......全く人使いの荒いお嬢様だな」

 

 

 

一応保健室に入る前にノックは3回したが反応は貰えず、絵空を背負っている事も相まって忍びないのだが中へ入らせてもらった。見た感じ保健室の先生が今は不在のようだ。このタイミングで不在なのは少々気掛かりだが良いだろう。さっさと絵空を置いて教室戻らないとな。

 

 

 

「んじゃ教室戻るから」

 

「待ってよ絢斗」

 

「ん?時間も時間だし早く戻りたいんだけど」

 

「一緒に寝ない?」

 

「却下だ。そんなところ先生にでも見つかってみろ。停学やら退学どころの騒ぎじゃなくなるぞ」

 

「ちぇ、絢斗のケチ」

 

 

 

 

何で却下しただけなのに俺がケチ扱い受けなきゃならんのだ。というかそういうの云々より俺のメンタルが持ちそうに無いんで却下だな。ただでさえさっきまでのおんぶで内心ドキドキしてたのに、一緒に寝るとか想像しただけで顔が熱くなるわ。それに絵空だから色々とちょっかいかけてくると思うし。兎にも角にも早く教室戻るんだ。

 

 

 

「また放課後に迎え来てやるから」

 

「じゃあその後も付き合ってもらおうかしら」

 

「買い物でも何でも良いから。取り敢えず大人しくしとけよ」

 

「はーい♪」

 

 

 

 

そして俺は保健室を後にして教室へ向かった......のだが、やっぱり今から戻ってもギリギリか遅れるのは確定してるから5時間目はサボるか。先生に見つからないように屋上にでも行って俺も寝るかな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

「......んぁ、もう終わったのか」

 

 

 

 

屋上でサボってたらサボり仲間が来て楽しく遊んだり、意中の女の子と一緒にラブラブしたりとアニメじみた展開は一切無く5時間目の終わりを迎える。絵空を背負って保健室まで歩いたのが案外効いていたのか、屋上に着いてからはすぐに眠ってしまった。まぁ屋上でサボってる時点で普通の学生ではないかもしれないな。

 

 

 

 

やべぇ、もしかして俺はメチャクチャ青春してるんじゃね?まぁピキピキメンツと一緒にいる時以外は基本ぼっちなんだけどな。悲しきかな、"現実は小説より奇なり"とはよく言ったものだ。アニメだとなんやかんやで友達とか出来るはずなんだけどな。親の能力値が天音に極振りされてる件といい、俺の周りが女の子だらけで友達がほとんどいない件といい、この世界の神様は俺の事を随分と嫌っているらしい。

 

 

 

いや待てよ、むしろ女の子だらけなのは得をしているだけなのでは?という意見も少なからずあるのは認めるが、実際そういう状況になると面倒な事が多くなるのは経験済みだ。修羅場とか目のやり場とか身だしなみとかね。まぁ得をする事が無いわけでもないが。

 

 

 

「......教室戻るか」

 

 

 

 

そんな馬鹿な事を頭の中で考えてる俺に言い聞かせるように独り言を呟きながら教室へ向かった。

 

 

 

「んーっ、もうちょっと......んーっ!!」

 

「......」

 

「はぁ......もうこれで─」

 

「ほい、これで良かったか?」ポチ

 

「あ、絢斗?何でここにいるのよ」

 

 

 

 

教室へ戻る途中で自販機で飲み物を買おうとしてるしのぶに遭遇。どうやら一番上の段のいちごオレを飲みたいらしいが、もう少しのところで手が届かないっぽい。その姿が可愛かったので少し様子を見てたが諦めて下の方のジュースを買おうとしてたので助太刀する。確かここの自販機先週末に中身総入れ替えで上下逆になったんだっけか。

 

 

 

「俺も飲み物欲しくてな。ぶらぶら自販機探してたらしのぶ見つけた」

 

「は、はいこれ。アンタの分」

 

「ん?このいちごオレはしのぶが飲みたかったんじゃないのか?」

 

「別にそんな事ないし」

 

「そうか?だったら貰っとく。んじゃ俺からもこれやるよ」ポチ

 

 

 

しのぶから受け取ったいちごオレと全く同じ物、ではなく一列横のいちごオレを押して購入する。まぁ結局同じ物が出てくるんですけどね。知ってたか、自販機のボタンを両方同時に押すと必ず決まった方の物が出てくるらしいぞ。自販機はそういう制御になってるらしい。実際に試した事無いけど。だって一人で同時押しとか寂し過ぎるだろ。

 

 

 

「あ、ありがとね」

 

「どいたま。それじゃまた放課後」

 

「うん、また放課後」

 

 

 

6時間目始まる前に教室戻って響子にちゃんと先生に伝えたか確認しないとな。伝えてなかったらサボりだと思われるし。いやまぁサボってたのは事実なんだけどな。

 

 

ガラガラ

 

 

「絢斗お帰り」

 

「ん、ちゃんと説明してくれたか?」

 

「勿論。藤咲君は保健室でサボってますってちゃんと言っといたよ」

 

「おい幼馴染。軽い感じで俺のことを売るのやめようか」

 

「冗談だよ。絵空の付き添いで保健室行ってるって説明しといたから」

 

 

 

 

5時間目は確か国語のメンドクサイ先生だった気がするからな。国語科の先生だからなのか、妙に古臭い言葉使って愚痴愚痴言ってくるからな。"貴方には気品の欠片も感じませんわ"とか"私のような大和撫子はあまり居ませんよ"とかな。気品とか生まれてこの方一度も気にした事は無いし、あの40も50も過ぎたオバサンが大和撫子とかちょっと笑える。ほんのちょっとだけな。

 

 

 

 

本来であれば"大和撫子"というのは容姿端麗であり、態度や言葉遣いも綺麗で男性を立てる様な女性の事を指し示す言葉だ。まだ高校生である響子達の方が綺麗に見えるし言葉遣い......に関してはしのぶとかは結構悪かったりするな。でもあれはしのぶ特有の照れ隠しとかだからナシ。素っ気ない感じ出してるけど、響子とか絵空に弄られると照れたりするのは控えめに言って超可愛い。

 

 

 

 

 

 

閑話休題(結論、しのぶは超可愛い)

 

 

 

 

 

 

「絵空の体調どうだった?」

 

「そこそこかな。寝てれば治るだろ」

 

「5時間目はずっと一緒に居たの?」

 

「いんや、絵空保健室に置いて教室戻ろうかと思ったけど怠かったからサボった」

 

「また屋上にでも行ったの?」

 

「ビンゴ。というか何で一発で分かるんだよ」

 

 

 

 

これまでも時々授業サボる時はあったけど、響子達にはサボってる間に時間潰してる場所とかバレてないはずなんだけどな。まぁ場所って一口に言っても屋上か保健室くらいしかないんだが。うろちょろしてると先生に見つかるし、トイレでサボるのはプライド的にNGだし。そもそもサボりにプライドもクソも無かったな。

 

 

 

 

「そういえばさっきりんくちゃん来てたよ」

 

「なして愛本さんがウチのクラスに?」

 

「絢斗って時々訛るよね」

 

「別に普通だろこれぐらい」

 

「せっかくだからって私達にも貝殻くれたの」

 

 

 

 

貝殻って言ったらお昼休みに突然渡されたアレか。というか何個持ってるんだよあの子。貝殻拾ったって言っても普通は2つ3つが限度じゃないか?まぁ確かに綺麗だったけども。あれか、向こうではお金と等しいくらいに価値のあるものだったりするのか。だとするならばタダで貰ったのに罪悪感を覚えるくらいだ。いくらお礼とは言えお金と張り合える価値のある物を貰うのは少し気が引ける。

 

 

 

 

「後でもう一回お礼しに行くか」

 

「うん」

 

「一つ一つ形や色合いが違うんだな」

 

「でもこれで絢斗とお揃いだね」

 

 

 

 

貝殻を持って嬉しそうに笑みを浮かべる響子に一瞬意識を奪われる。......あれ、俺の幼馴染ってこんなに可愛かったっけ。多分これが幼馴染じゃなくて普通の人だったら"君の方が綺麗だよベイビー"とか言って告白して振られてその夜に枕を濡らすんだろうな。自分で言っといてあれだけど気持ち悪いな。

 

 

 

 

国語の先生覚えておいて下さいね。これが本当の大和撫子っていうやつですよ。響子は綺麗だし言葉遣いもそんなに悪くないし、親父とか俺の事も貶す事なく立ててくれるし。あらやだ、こんなにも身近に完璧な大和撫子がいるなんて。というか意識したら顔を直視出来なくなりそうだからやめておこう。

 

 

 

 

「その理論でいくなら貝殻貰った全員とお揃いだけどな」

 

「それでも良いじゃん。なんか仲間って感じする」

 

「青春してんねぇ」

 

「絢斗もその内の一人だからね」

 

 

 

 

嬉しい事を言ってくれるのはありがたいのだが、いかんせんあまり素直に受け取れるような性格を持ち合わせていないので少しむず痒い。こういう事をパッと言えるのは響子らしいのだろう。それに俺だけでなく他のピキピキメンツや天音だって助けられてきた部分は少なくない。

 

 

 

 

「そろそろ始まるから席戻るわ」

 

「今度はサボっちゃ駄目だからね」

 

「分かってるよ」

 

 

 

 

さっき寝たから大丈夫だと思いたい。だが残念ながら次の授業は俺にとって死の宣告も同然の数学。5時間目の国語じゃなくて6時間目の数学サボるべきだったかもな。

 

 

 

 

 

 

~放課後~

 

 

 

 

 

皆さんにとって"心地の良い"という言葉は何を指し示すのだろうか。

 

 

それは人によって様々なものである。ある人にとって心地の良い空間とは、部屋いっぱいにお人形があって囲まれているだとか。また他の人にとって心地の良い食感とは、外はカリッと中はトロトロの食べ物だとか。例に漏れずこの私にもそんな"心地の良い"というものは存在するわけで。

 

 

 

「絢斗〜。もう授業終わってるよ〜」

 

「......んぁ」zzz

 

「これは駄目だね」

「だったらこれならどうかな」ムニュ

「んなっ!?ちょっと由香何してんの!」

「え〜、これぐらいしないと絢斗起きないと思って」

 

 

 

 

ふと鼻腔をくすぐる様な甘い香りが漂ってくる。それと同時に何やら柔らかい感触も。まるでつきたてのお餅の様な柔らかさだが、割としっかりと弾力もある様に思えるそれは、段々と重くのしかかってきていた。だがしかし、悲しきかな男の性よ。これには逆らえないのが本能的に分かってしまう。

 

 

 

 

そう、何故ならこれは紛れもなくおっp──

 

 

 

 

バシンッ!!

 

 

 

「いってぇ!!ちょ!今さっき俺の頭叩いたの誰!?」

 

「ア、アンタが早く起きないからでしょ!」

 

「それにしてももう少しマシな起こし方なかった?」イテテ

 

「フルスイングの方が良かった?」

 

「トンデモゴザイマセン」

 

 

 

 

 

数学の教科書を丸めてバシバシいわせてるしのぶ。こういう時は素直に従っておくのが吉。女の子って怒るとチョー怖いからね(n回目)

 

 

 

しのぶを宥める由香にそれを見て笑う響子。そういえば絵空は保健室だったか。というか結局数学の最後の方でギブアップして寝てたのか。......ふむふむ、周りのメンツを見るにさっきの心地の良い感じの正体は由香だな。にしてもどういう状況だったのか説明を求む。妄想じみたことしてたけど半分寝てた様なもんだから誰か詳細プリーズ。

 

 

 

 

「皆さんの今日のご予定は?」

 

「絢斗こそどうなのよ」

 

「ん〜、後のことは絵空迎えに行ってから考える」

 

「絵空体調は大丈夫?」

 

「5.6時間目保健室だったから大丈夫だろ、知らんけど」

 

 

 

 

由香とかしのぶは真面目に心配してくれてるみたいだが残念だ。絵空の今日のラブリー欠乏症は演技だという事が既に発覚している。まぁ"ベッドで休んでたから大丈夫♪"とか言えば誤魔化せるんだろうけども。秘密にする代わりに、最近家の近くに出来たクレープ屋で絶品と噂のダブルクレープでも奢ってもらうとするか。

 

 

 

 

「てことで俺は絵空迎えに行ってくる」

 

「ついて行こうか?」

 

「いや、響子達は先に帰っててくれ」

 

「何かあったら連絡してねー」

 

 

 

 

そこで三人とは別れて保健室へ向かう。

 

 

 

 

ガラガラ

 

 

「失礼しまーす」

 

「あら、こんな放課後に何か用事?」

 

「絵空......ツインテの可愛らしい子ってまだ居ます?」

 

「向こうのベッドよ。貴方が話に聞いてた彼氏かしら」

 

「誰に聞いたか大体予想がつきますけど間違ってますよ」

 

 

 

 

お昼の時とは違って保健室のドアを開けると、保健の先生が忙しなくPCと睨めっこしていた。いつの間にか俺が絵空の彼氏認定を受けているが、これは多分絵空本人の仕業だろう。保健の先生とかって生徒の相談係も兼任しているのも相まって、そういった話題については生徒達より詳しかったりするんだよな。今回に限って言えば完全に絵空の仕業だけど。大切な事なので2回言いました。

 

 

 

「おーい。絵空迎えに来たぞ〜」

 

「......スヤスヤ」zzz

 

「寝てるんだったら先に帰るわ」

 

「あらおはよう絢斗。来てたのに気付かなかったわ」

 

「それは俺の影が薄いって言いたいのか」

 

 

 

狸寝入りしてたのは見たらすぐ分かったけど反応早すぎません?普通に冗談のつもりだったけど、俺が振り向く前に腕掴まれたんだけど。サラッとディスっぽいこと言うのもやめてほしい。影が薄いのとか若干気にしてるんだからな。圧倒的人気のピキピキの横に並ぶと小物感凄いし。最近は変な方向で悪目立ちしてる気がせんこともないけども。

 

 

 

「それで、体調は良くなったのか?」

 

「もうバッチリよ♪」

 

「だったら一人で帰れるよな」

 

「あぁ急に目眩が......」

 

「お前最早騙す気ゼロだよな」

 

 

 

起き上がってたのにベッドに倒れ込むフリをする絵空。何故かは知らんが体操服に着替えてるのもあってか、今の体勢だと思春期男子高校生には少々刺激が強い。おへそもチラ見えしてるし。多分ワザとなんだろうけど。そこに自動的に視線が向けられるのも仕方ないよね、男の子なんだもん!

 

 

 

「はぁ......しゃーねぇか。ウチの近所のクレープでも食べに行くか?」

 

「おんぶして♪」

 

「それは流石に歩けよ」

 

「絢斗のケチ」

 

 

 

だから何でそれだけでケチ呼ばわりするんだよ。それもう本日2回目なんだけどな。せっかく奢ってやろうと思ってたのに。いやまぁ奢りは奢りで確定なんですけどね。絵空達にお金払わせたりなんかすれば何故か親父が怒るし。響子に至っては天音が払わせた分俺の財布からお金抜き取るし。というか払わせたとか言っても響子が奢るよって言ってくれた時だけなんだよなぁ。理不尽な世界である。

 

 

 

 

「ほら、遅くなると親御さんに悪いから行くぞ」

 

「は〜い」

 

「藤咲君」

 

「ん?」

 

 

 

絵空の手を引いて保健室から出ようという時に先生に引き留められる。別に下校中の買い食いくらい見逃して欲しいんだけどな。お金の貸し借りの件なら自分のは自分のお金で買うって言っとけば大丈夫だし。

 

 

 

「ちゃんとゴムはつけなさいよ」

 

「だから違うっての」

 

「やん♪絢斗は私を何処に連れて行くのかしら?」

 

「うっぜぇ......」

 

 

 

 

 

そんなこんなで陽葉学園での楽しい一日が過ぎ去っていく。最初はピキピキメンツだけだったけど、最近は愛本さんや明石さん、それに直近の出来事だと咲姫達PhotonMaidenの件もあるからな。これからも楽しい日々が過ごせると良いな。

 

 

 

 

 

この日の帰り道、クレープ屋でバッタリ響子達と出会って全員分のクレープを奢ったのはまた別のお話である。

 

 

 

 

 

 

 

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これを機にR-15もタグに付け加えておきます。
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