超特急論破 前編   作:鳶子

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(非)日常編2

✧ ✧ ✧

 

3階は誰かの研究教室があり、そこを通り過ぎて更に廊下を進んだ突き当たりには、娯楽室と書かれている教室があった。

「空いてるじゃないか!ヨシ、中に入ってみよう!レッツラゴー!」

切ヶ谷さんが勢いよくドアを開けたのに続いて部屋の中に入ってみると、そこは娯楽室と言うよりも、学校の中とは思えないゲームセンターのような場所だった。

 

チェスや将棋のようなボードゲームが置いてあるテーブルもあるけど、奥の方にはUFOキャッチャーにメダルゲーム、パチンコ台のようなものまで置いてある。

「あれ?お2人でデートなんて、おアツいわね〜」

声のした方を振り向くと、シューティングゲームの筐体の前に妄崎さんがいた。

「おアツい?どういうこと?(゜▽゜)」

「で、デートなんかじゃないよ…!」

 

切ヶ谷さんがきょとんと首を傾げるので慌てて否定すると、お姉さんに話したくなったらいつでも言ってね〜、と言いながら妄崎さんはゲームに戻っていった。表示されてる高いスコアと素早い手さばきからして、思ったよりも真剣にプレイしているみたいだ。

僕達も各々好きなゲームのところへ分かれると、モノケンが僕の前にひょこっと現れた。

 

「うぷぷぷ…女のコと2人でお出かけなんて、うらやましいですな〜」

「だから、そんなんじゃないって…何の用?」

「実は、ここにあるゲームはたくさんクリアすると素敵な特典がもらえるチャンスがあるんだよ」

「素敵な特典?」

モノケンが言うと何となく、というかものすごく嫌な予感しかしないけれど…。

 

「やだなあ、そんな不審そうな顔しないでよ!ちゃあんといいヤツだよ」

「いいやつ…?」

「ここにあるゲームのクリアボーナスを集めると…じゃじゃーん!このスペシャルな鍵がもらえるんだ!」

そう言ってモノケンが取り出したのは、上部にピンク色のハートの宝石が象られた、小さな鍵だった。

「今回は初回限定ボーナスとして、なんと!出血大サービスで宗形クンに無料で1個差し上げましょう!」

 

「ありがとう…でもこれ、何に使うの?」

「寄宿舎の2階がさっき解放されたから、そこの鍵穴に差し込むと使えるよ!何が起こるかはやってみてのお楽しみだけどね、うぷぷぷ…」

そう言ったあとモノケンはUFOキャッチャーのブースに行った。あのぬいぐるみみたいな手でレバーをうまく操作できるんだろうか…?

 

 

僕達がゲームを終えて部屋を出ていこうとすると、妄崎さんがまた声をかけてきた。

「そうそう、今日の夜、みんなで寄宿舎のどこかの部屋に集まろうと思うんだけど、君たちもどう?」

「えっ、ナニナニ!?行きたーい!」

切ヶ谷さんが目を輝かせて反応した。

 

「みんなで集まって何をするの?」

「それは、来てからのオタノシミ♡男女問わずみんなに声掛けてるから、ドキドキしながら夜時間まで待っててね〜。あ、お2人で夜の営みをするならお姉さんは止めないけどね?」

そう言うと妄崎さんがニヤリと不敵に笑った。…何となく嫌な予感がするな…。

 

 

娯楽室を出てみんなで昼ご飯を食べたあと、切ヶ谷さんは芥原さんのパトロールに付き合う予定になっていたそうで、彼女とは一旦お別れして僕は1人で校内を歩いていた。

すると、大量の段ボール箱を抱えた月詠くんと野々熊さんの2人に廊下でばったり出会った。

「おっす、こむぎ!」

「やあ、こむぎくん」

「すごい荷物だね…何してるの?」

 

僕が尋ねると、2人は打ち合わせたように顔を合わせてにこにこと笑って話し始める。

「コロシアイが始まってから結構経つけど…いろんな怖いことがあったでしょ?だからひろちゃんと一緒に、みんなを励ますために人形劇をすることにしたんだ」

「そうだぞお!今日の夜に準備して、明日見たいやつらを呼んで会議室で上演する予定だ!ふふん、いいアイデアだろ〜」

「へえ…!おもしろそうだね!」

 

でも、今日の夜って妄崎さんがみんなを呼び出すんじゃなかったかな?月詠くんたちに言った方がいいんだろうか…。

それとも、前も妄崎さんから逃げてたし、もしかしたら月詠くんは妄崎さんのことが苦手なのかもしれないから、言わない方がいいのかもしれない…。人形劇の準備をするのも大変そうだしなあ。

 

──いや、やっぱりみんなを集めるって言ってたし、一応言っておいた方がいいだろう。

「月詠くん、妄崎さんが今日の夜みんなで集まるって言ってたよ」

「えっ、そうなの?じゃあひろちゃん、準備は明日の朝やろっか」

「ん!そうだな!何するんだろうなっ、楽しみだぜ!」

 

2人はわくわくとした表情を見せている。よかった、勇気を出して言ってみて…。僕も明日の劇の手伝いをさせてほしいと告げると、2人ともとても喜んでくれた。

夕ご飯の前まで野々熊さんの研究教室で、2人の人形劇の準備の手伝いをした…。

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