超特急論破 前編   作:鳶子

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3章 地獄の沙汰も愛次第
(非)日常編1


✧ ✧ ✧

 

2回目の裁判が終わった翌日。僕は切ヶ谷さんと一緒に月詠くんの代わりに朝ご飯を作って、食卓に着いた。起床アナウンスを聞いてからしばらくすると、起きたばかりなのに疲れの溜まった顔をした面々が食堂に現れ、みんなでご飯を食べ始める。

 

僕は自分で作ったおにぎりを食べながら考え事を始めた。昨日の裁判後の陰崎さんの態度を見てから、僕には1つの確信のようなものがあった。

 

──やっぱり笑至くんは、照翠くんを殺していないんじゃないか。

 

改めて、そう強く感じるようになった。罪を認めた上で、僕たちに励ましの言葉を送ってくれた陰崎さんとは違い、彼は最後まで自分の罪を認めずに抵抗していた。もし本当に彼がクロなら、そんなことをする必要はないはずなのに…。

 

 

やはり彼の死には、このコロシアイの根本に関わる何かが隠されているんじゃないだろうか。笑至くんはこのゲームの真相に肉薄してしまったから、濡れ衣を着せられた…?

 

仮説を裏付けるには証拠が必要だ、と彼ならきっと言うだろう。そう思って、僕はあの事件をもう一度調べ直してみることにした。何か証拠が掴めれば、このコロシアイを終わらせるヒントになるかもしれない…!

 

僕がそんな風に思っていた時、突然食堂の扉が開いた。ゆっくりと入ってきたのは……

 

 

「ごめんね。心配かけちゃったかな」

前回の事件で頭を打って保健室に運ばれていた、月詠くんだった。

 

「月詠くん!よかった、体はもう大丈夫…?」

「へー、生きてたんだ。久しぶり」

「月詠さんがご無事で何より!これであの絶品牛乳寒天が再び…!」

「ぶ、無事でよかったです!このまま月詠さんまで亡くなってしまったらどうしようって、ずっと、ずっと…!」

「おにいちゃん…もこ、うれしい……」

 

「おにーさんも、みんなとまた会えて嬉しいよ。モノケンが言うには手術は成功したらしいからもう心配ないよ。大丈夫、今日からまた元気に動けるってさ」

 

月詠くんはそう言って、柔らかに笑った。仲間が1人戻ってきたからか、食堂は途端に活気に溢れ、僕達は会話に花を咲かせた…。

 

 

✧ ✧ ✧

 

 

食事の片付けは月詠くんが手伝ってくれた。話を聞いてみると、僕の推理は正しかったらしい。

 

「ひろちゃんもひめかちゃんも助けられなくて…情けないね、おにーさんは」

 

事件に関してはそう言ったきりだったけど、彼の口調には明らかに悲しみと悔しさと、コロシアイに対する静かな怒りが感じられた。

 

今の彼を最初の事件の調査に付き合わせるのは申し訳なかったので、片付けを終えて近くの廊下にいた切ヶ谷さんと荒川さんに協力してもらい、僕は笑至くんの研究教室を調べてみることにした。

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