ガンダムビルドダイバーズ アナザーテイルズ   作:守次 奏

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ほうじ茶が美味しい季節なので初投稿です。


第十二話「武士道狂想曲(カプリッツィオ)

 GBNにおける異名というのは、ある種ゲームにおける「ネームド」に等しいところがある。

 それも当然そのはずだ。

 アクティブユーザー二千万人という膨大な数を抱える中において、「こいつといえばこれ」と周知されているに等しい二つ名や通り名、通称というのは、例外こそあるが大体は強者の証明に他ならないのだから。

 例えば「ビルドダイバーズのリク」がそうだ。

 リク、という名前はありふれたものではあるが、そこに彼の率いるフォースであり、打ち立てた伝説の旗に刻まれる名前である「BUILD DIVERS」が記されたならば、それはチャンピオンに今最も近い男を指す、畏敬と羨望の篭ったただ一つの名前に変わる。

 他にも色々、「智将」ロンメル、「獄炎のオーガ」、「FOEさん」ことキョウスケなどなど、その実力が広く知られた一角のダイバーには少なからずそうした符丁じみた二つ名がつけられているのだ。

 ならば、本人が返上したがっているとはいえ「赤砂」の二つ名を戴くミワが微妙に怯えの色を見せた、「MS斬りの悪魔」とは何か。

 ソロモン七十二柱、その第八席に位階を置く「鉄血のオルフェンズ」における主人公機から徹底した引き算を施して、特注の太刀と極限まで軽量化を施しながらもパッシブスキルである、「ナノラミネートアーマー」の防御力を殺しきることのないその機体、ガンダム・バルバトス(もののふ)を駆る女性は、張り詰めた闘志を隠すことなく、前衛を務めるリリカへと斬りかかった。

 

「……っ……!」

「リリカちゃん!」

 

 その猛烈な殺意は、大和撫子を体現したような切れ長の瞳に長い黒髪という綺麗な容姿を飾り立てるものではない。

 飽くなき闘争本能、そして強者との戦いを望み、明け暮れた返り血に染まったその機体こそが彼女の──「MS斬りの悪魔」、ダイバーネーム「アズキ」の苛烈にして美しい本性にして本能なのだ。

 だが──それ故に、リリカは初撃を生き延びることができたといえる。

 一切の無駄のない動作から放たれる熟練した剣術は、一種の「型」を感じさせるものであり、侍同士が問答無用のリスキルにログイン天誅ログボ天誅、なんでもありなあの幕末(クソゲー)でも十分に通用しうるものであった。

 恐らくはリアルでも武道の経験があるのだろう。リリカは冷や汗を流しながら推察する。

 そして、リリカのカバーとしてミワはレティクルにバルバトス・武の姿を捉えてスナイパーライフルを放つ。

 だが、相変わらず何をやっているのか本人に解説されてもわからないような、超速の切り払いによって音超えの弾丸は叩き落とされてしまう。

 

『ほう、この初撃を躱すとは……中々見所がある、だが!』

「……っ、お願い、ブランシュ……!」

 

 演舞を披露するが如く、幾つもの型を繋げて連続で繰り出す「MS斬りの悪魔」は、どこか喜悦に口元を歪めながらも決して油断することなく、飛来するミワからの攻撃に対する防御と、リリカに対する攻撃を同時にこなすという離れ業を披露する。

 基礎の型を極めてこそ、武は真髄へと辿り着く。

 アズキはその双眸にAGE-1ブランシュを捉え、仕留めるべく一切の妥協と油断をせず、しかして緊張もせずに平常心を保って、自身が学んできた剣術における一つ一つの型を繋げてゆく。

 演舞のようにループする剣術は、恐らく観戦する側であったのならば熱狂的にリリカもミワも見入っていたであろうほどに美しく、そして隙間なく繋がれていたが、ぶつけられる側としては単なるクソゲーだ。

 それでも、リリカが反撃こそ叶わなくとも攻撃から逃げ続け、ミワにその剣先が向かないように立ち回っているのは、他でもないそのクソゲーからの経験が故だった。

 あの侍同士による問答無用のバトルロワイヤルは、それはもう筆舌に尽くしがたいクソゲーだ。

 ハードコアディメンション・ヴァルガの方が幾分かマシだと言わしめるかの無法地帯においては、あらゆる殺し方が許容される。

 味方だと思っていたプレイヤーに背後から刺された程度では三流にも及ばない。

 屋根の上から刀を抱えて飛びかかってきたり、花火職人の工房ごと相手を爆破したり、NPCとのやりとりをしている隙間を縫ってカチコミをかけてきたりする、武士道など燃えるゴミの日にでも捨ててきた、とでも言わんばかりの光景が日常化しているあのクソゲーにおいても、リリカはただ「狩られる」側であった。

 だが、それは言い換えるなら、あらゆる、正攻法から外道戦術まで、一通りの「殺され方」をその身に刻みつけたということでもある。

 そこにチャンプが目をつけるほどの臆病さ──端的に換言すれば、危険に対する察知力とでもいうべき天性の素質と、そして、AGE-1ブランシュが軽量化を施したビルドであることが合わさって、リリカは奇跡的に、二つ名持ちの強者から逃げおおせているのだ。

 

『その身のこなし、只者ではないな……しかし、ただ避けるだけではどうにもならんぞ!』

「……わ、わかってます……ブランシュ!」

 

 アズキはどこか物足りなさそうに、お前の力を見せてみよ、とばかりに、型を繋げる密度を増した斬撃をリリカのAGE-1ブランシュへと浴びせかける。

 それは一流のスナイパーであるミワですら介入を躊躇うほどの嵐であり、無論、ビームサーベルを抜いて背後から斬りかかったところでテクスチャの塵に還されるというだけなのもわかっていた。

 

「リリカちゃん……」

 

 故にこそ臍を噛んで、あるかどうかわからない攻撃のチャンスに備えることしかミワにはできないのだ。

 だが、一通り、猛烈に吹き荒れる剣撃の嵐から生き残ったことでリリカには見えてきたものがあった。

 それはどんなに美しく繋がろうとも、本質的には別の技である「型」における「継ぎ目」だ。

 完全に、戦いの中でも美しき演舞を熟しているアズキは、一流の剣士であることに間違いはない。

 だが、ここはGBNだ。

 抜き身の刀を生身で振り回すのではなく、思考補助こそあれど操縦桿によるガンプラのコントロールを必要とするのならば、そこには僅かな、一秒にも満たない刹那の継ぎ目が浮き彫りになる。

 柔軟に、相手の姿勢を固める型を凌ぎきり、待ち受けるのはトドメを刺すための剛体の型。

 文字通り「飛ぶ」斬撃により相手の姿勢を打ち固め、守りの太刀を弾き飛ばしてから袈裟懸けに斬るその連携は理想的で、合理的で、理に適っている。

 ──故に。

 故に、直接太刀で自身を剛体の型へと移行する瞬間こそ、一瞬の光明にして、乾坤を賭すべきその瞬間!

 リリカは、あえて右腕を犠牲に連続した斬撃、その最後になる一発を受け止めると、バックラーを前に出す形で、全力のブーストと共にシールドバッシュを繰り出した。

 

「いっ、けええええ……っ……!」

『む……なんと!』

 

 そして、AGE-1ブランシュの左手に接続されているバックラーは、元を辿ればガンダムAGE-3オービタルからコンバートしてきたパーツに当たるものだ。

 AGE-3における特色を訊かれたならば、多くの人はシグマシスライフルであるとか、フォートレス形態の砂漠をガラス化させるほどの出力を伴った砲撃であるとか、オービタル形態の曲がるビーム……つまり射撃火力について答えるのだろうが、リリカが着目したのは、二種類の方法でビームサーベルを発振できる、という格闘戦における特色だった。

 バックラーからビームサーベルを直接出力して、リリカはその目に涙を溜めながらも、果敢に「MS斬りの悪魔」へと斬りかかってゆく。

 その一瞬に、乾坤を賭した一擲を成すべく。

 そして──チィから教わった、「前衛のお仕事」を全うすべく。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 本来「MS斬りの悪魔」をターゲットに据えるはずだったカエデは、歯牙にもかけられなかった屈辱に怒りを煮えたぎらせながらも、チームとしての勝利を優先すべく、本来であればウイングバインダーが接続されていた場所にマウントしていた巨大な剣を振り回して、ワルツを踊るかのような軽快なステップを踏む。

 四対一という戦況は、普通なら殆ど詰みに近いものである。

 相手の構成は、ケルベロスバクゥハウンドが一機、ガンダムヘビーアームズが一機、そして恐らくパーティーを組んで参戦してきたのか、イフリート改と、その色で染められたイフリート・ナハトという、シャフランダム・ロワイヤルを体現するような闇鍋だった。

 

『クソッ、なんで当たらねえ!?』

 

 戦いは数だよ兄貴、と、ジオン軍の勇将が零した通り、基本的に戦闘におけるアドバンテージというのは純粋な物量の差である。

 だからこそ、それに加えて戦艦という巨大な戦力をも抱え込んでいる「GHC」は恐れられているのだし、彼らとの戦いを少数精鋭によって幾度も制してきたロンメルの手管は「智将」という二つ名を冠するほどの偉業として語り継がれているのだ。

 ヘビーアームズを駆っていたダイバー、「ロワト」は、弾切れを気にする必要はないとばかりに、潤沢に弾丸をばら撒いて、カエデの愛機であるアシンメトリーのウイングゼロ(EW版)とプロトゼロのミキシングモデルである、【ガンダムウイングゼロヌーベル】を撃退しようとしていた。

 だが、その偏った推進器の配置から繰り出される不規則な軌道は、ビーム兵器に比べて誘導が良く設定されているミサイルの弾幕砲火も、ビームガトリングの掃射も物ともせず、機体に傷一つ刻むことはない。

 それどころかあのウイングゼロは、自身の弾幕砲火を捌きながら、同時にイフリートコンビを相手にするという芸当まで見せつけている。

 ロワトの焦りが、じわりとこめかみに脂汗を滲ませる。

 

「ごめんあそばせ。悪いですけれど……貴方がたと踊っている時間などないのでしてよ!」

 

 カエデが叫んだその言葉は挑発でもなんでもない。

 ただの事実であったのだが、それはどうやらイフリートコンビの癇に障ったようだった。

 

『なんだと……? おい、アレをやるぞ、ムニバス!』

『うむ、クエリ!』

『馬鹿野郎、そんな見え見えの挑発に──!』

 

 勝ちを焦るというのは時に、優勢を保っていたのだとしても、そこから突き崩される致命の隙を生み出すこととなる。

 盛大に跳躍し、太陽を背にしたクエリのイフリート・ナハトがコールドブレードを振りかざして、真上という死角からの急襲を試みれば、それを囮にする形で、ムニバスはセンサーの死角から両手のヒートサーベルを交差させて突っ込んでいく。

 イフリートコンビがブルーディスティニーコンビを瞬殺へと追い込んだ連携、どちらかを避けようとすればどちらかが突き刺さるその攻撃は、確かに並のダイバーであれば驚異に値するものだったのだろう。

 だが──カエデが回避のマニューバを選択していたのは、ただ逃げ回るためだけではない。

 最低限の動作で、ムニバスからの襲撃を予見していたカエデはウイングゼロヌーベルの身を翻すと、ロワトが放ったフルオープンアタックの射線に、ムニバスを誘導してみせる。

 

『何っ!? うおおおおおっ!』

『馬鹿野郎、だから焦るなって──』

「遅いですわ」

 

 そして、上空からの攻撃というのは、重力下において、回避されれば重大な後隙を生み出すものなのだ。

 刀を思い切り地面に突き立てたクエリを放置すると、カエデは爆散しかけていたムニバスのイフリート改を踏み台にして、大剣の一撃でヘビーアームズを両断、そして一瞬のうちに、三機が戦線を構築していたことで割り込めず、まごまごとしていたケルベロスバクゥハウンドをマシンキャノンの一斉射によってテクスチャの塵へと帰せしめる。

 

「これで一対一、ですわね」

『こ、このアマ……! 上等だ、やってやろうじゃねえかよ!』

 

 最早ジオン兵としてのロールプレイも忘れて、クエリは激昂に突き動かされるがまま、地面に突き刺さったコールドブレードを引き抜くと、いかにもといった直線的なマニューバで、カエデへと斬りかかる。

 正直なところ、クエリがどんなダイバーであろうが相手にしている余裕がないことぐらいカエデもわかっている。

 ここで理性的に振る舞われても、怒りと共に突っ込んできても、勝利のために描いたカエデの方程式と黄金律が崩れることはない。

 チャートを順守することは確かに大事だが、想定外の事態が起きたときのリカバリー力もまた問われる資質である。

 レーダーを見る限り、あのリリカとミワというよく似通った容姿をしている二人は、「MS斬りの悪魔」を相手になんとか持ち堪えているらしい。

 ならば一秒でも早く眼前の敵を始末して、二人に合流すれば数の上での優位を確保することができるということだ。

 カエデは本来であれば「MS斬りの悪魔」相手に温存しようとしていた隠し球を、躊躇いなく披露することを決めて操縦桿のトリガーを押し込む。

 

『なっ、剣が、開いて──』

「なんとかとハサミは……使いようなのでしてよ!」

 

 振り下ろされたコールドブレードの刃ごと、大きく割れるように開かれたカエデの大剣──HGBC「ハイパーガンプラバトルウェポンズ」に付属しているシザーソードはイフリート・ナハトの胴体を両断して、爆散せしめる。

 もっともこれが「MS斬りの悪魔」相手に通用していたかどうかについてもカエデは半信半疑といった風情であるのだが、とにかく、なるべくなら温存していたかったことは確かなのだ。

 

「首を洗って待っているのですわよ、MS斬りの悪魔……!」

 

 そこにイベント戦闘で蘇生アイテムを浪費させられたような無情と落胆を抱きながらも、それに囚われることなく、カエデは闘志の炎が滾る自身の瞳にそのターゲットを映して、片翼の告死天使、ウイングゼロヌーベルを飛翔させるのだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

『なるほど……確かに悪くはない、良い攻撃だ』

 

 一瞬、何が起こっていたのかリリカは理解できなかった。

 だが、今レッドアラートが鳴り響いているコックピットと、機体の状況を示しているコンソールに視線を向ければ、自身の身に降りかかってきたその災厄の正体に察しがつく。

 相手は、「MS斬りの悪魔」は、「ビームサーベルの刃ごとバックラーと、ブランシュの左腕を叩き斬る」という荒技を瞬時に披露していたのである。

 ビームサーベルが折れる、というのも想像できない光景ではあるが、アズキが特注で拵えたその太刀の完成度は一流であり、質実剛健という言葉を体現するように、丁寧に作られたその刀身はエイハブ粒子を纏わずとも、並のビームサーベルであれば斬り飛ばせる完成度を誇っている。

 それでも、リリカは──折れなかった。

 目に溜めていた涙は零れ落ち、振りかざされる一太刀に仮想の死を予見しながらも、最後の一瞬までバルバトス・武をその目に捉えて、膝のニードルガンによる延命を図る。

 悪あがきだ。ナノラミネートアーマーとやらがなんなのかはわからないが、相手に射撃が通じないということはわかりきったことだ。

 だが──リリカは諦めてなどいない。

 チィから教わった、そしてミワが認めてくれた「前衛のお仕事」は、膝をついて倒れるその瞬間まで、体力ゲージが一からゼロに変わるまで、能動的に続いている。

 バルバトス・武が──「MS斬りの悪魔」が繰り出した大上段からの一撃は確かにリリカと、AGE-1ブランシュを両断して、テクスチャの塵へと帰せしめたかもしれない。

 だが、残心をいかに保とうと、僅か一瞬であろうとも、剛の型による一撃には後隙が生まれ出る。

 そして、ミワが一流のスナイパーであるのならば、一秒にも満たないその瞬間が作られただけで、十分だった。

 ミワが操るフリーダムルージュは、リリカのAGE-1ブランシュが撃墜される寸前、手にしていたGNスナイパーライフルを放り投げて、腰部……原型機からオミットせず、アクティブスラスターとして残していた、クスフィアス・レールガンを構えて、その一瞬に、刹那に覗き込んだ照星へと「MS斬りの悪魔」の姿を捉えている。

 

「リリカちゃん、よく頑張ったね……! なら、ミワが……お姉ちゃんが頑張らない道理はどこにもないんだからぁッ!」

『くっ、抜かったか……っ!?』

 

 咆哮と共にフリーダムルージュの腰部から放たれた、電磁砲の弾丸を斬り裂こうと、アズキは太刀を構えなおそうとした。

 だが、深々とAGE-1ブランシュに食い込んだそれは、一瞬であったとしても抜けるのにタイムラグを生じさせていた。

 前衛のお仕事。それは数多いが、自分が火力を出せなくとも、ロックをその身に集めることで後衛を守り切ること、後衛にゲームメイクのチャンスを作り出すこともその一つに他ならない。

 しかし、アズキもまた、紛れもない強者だった。

 避けられないと見るや否や、あくまでも太刀を引き抜くことを優先して、機体にダメージを負うそのリスクを許容する。

 そして、あくまで彼女が晒した後隙は一瞬のものでしかない。

 ナノラミネートアーマーへの対抗打となりうるレールガンの直撃を、リリカがそうしたようにあえて半身で受け止めて、アズキは右手に握った太刀で、本来であれば物理攻撃に対して強い耐性を持つVPS装甲の守りごと、ミワのフリーダムルージュを両断するのだった。

 

『君たちは強かった……尊敬に値する相手だ』

「……どうも〜、負けちゃったけどねぇ」

 

 爆散するその一瞬に、悔しさがなかったかといえば嘘になる。

 だがミワは、それ以上にリリカが最後まで諦めることなく、前衛としての仕事を全うしたことが、二つ名を戴くまでの強者に牙を突き立てんとしていたことが、誇らしかったのだ。

 まだ戦力としてはカエデが残ってこそいるものの、こうしてリリカとミワのシャフランダム・ロワイヤルは終わりを告げる。

 

「リリカちゃん」

「……っく、ぐすっ……なに、お姉ちゃん……?」

「頑張ったねぇ……偉いよぉ、リリカちゃん。それとねそれとね……」

「……うん、大丈夫……楽しかった、よ……」

 

 悔しさに涙を浮かべながらも、にへら、と口元を綻ばせてリリカは笑った。

 確かに自分たちではあの「MS斬りの悪魔」に敵うことはなかったかもしれない。

 それでも、確かにあの瞬間に、そしてこの戦いで、リリカとミワの心は触れ合い、繋がりあっていたのだ。

 ならば、こんなに嬉しいことはない。

 リリカはごしごしとその瞳にに浮かんだ涙を拭うと、モニターに映る、遅れて到着してきたカエデとアズキの激戦を一瞥する。

 コンソールにポップした通信ウィンドウに映る妹の笑顔に、そして──奇しくも同じ考えに至っていたことに、感謝をしながら、まるで神にでも祈りを捧げるように、ミワもにへら、と口元を緩めて、姉妹は二人で微笑み合うのだった。




少しずつ繋がり合う姉妹の絆──!
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