アキレウス絶対殺すウーマンの力を貰ったけど戦闘する機会がねぇ!?なのでサッカーします 作:ユフたんマン
暗い、明るい、狭い、広い、高い、低い。そんな不可思議な空間にたった一人、俺は立ち竦んでいた。
キョロキョロと周りを見渡していると、俺の視界に一つ、神々しく輝く、球体の何かが入り込んだ。それは徐々に姿を変えていき、人型へと変貌する。
「ようこそ、死後の世界へ」
唐突に年齢も性別も曖昧な人物が俺に告げた。
「死後の世界…ということは俺は死んだ…ということか?」
わからない、何故自分は死んだのか、というか本当に俺は死んだのか?ひとまずそれは置いといてコイツは誰だ?
「アンタ誰だ?」
「私かい?私は君達のいう神様って存在さ」
ヘラヘラと軽い口調で神を名乗る人物…
いや、うん。これは夢だ。そうだ、こんな胡散臭い奴が神様な筈がない。それに俺に死んだ記憶などない。
「おやすみ」
「おやすみ〜…じゃなくて寝ないで!」
何故か虚空から現れた布団に潜り込んだが自称神に剥ぎ取られてしまった。酷い、この人でなし!
「人じゃないけどね。というか自称って何さ。私は正真正銘神様さ!」
「胡散臭い…」
「酷いッ!?」
オヨヨ…と泣き真似を始めたので再度虚空から布団を取り出し潜り込む。だがすぐに剥ぎ取られてしまった。やめろよ、早くこんな夢から覚めたいのに。
「すぐ寝ようとしない!というかこれは夢でも何でもない現実なんだよ。ほら、これが現実の君の葬式の様子さ。見てごらん」
目の前に映し出されるホログラム。すげぇ、流石夢の世界だ。何でも出来るんだな。
「だから夢じゃないって。…あぁもう夢でいいよ。話が進まないから。けどちゃんと説明を聞いておきなよ?」
やっぱり夢だ。認めたぞこの自称神様。
「うるさい!ともかく君は死んだ、そしてここに来た。Do you understand?」
仕方ない、自称神様の茶番に付き合ってやろう。無視してもどうせ起きれないだろうし…
「理解したぞ」
「君はほんとに一言多いね…まぁいいや、ここはさっきも言った通り死後の世界、死者の魂を輪廻に送るその転生の場だよ」
来た、なろうだなろう。なろう展開だ。ひとまずチートが欲しい。時間を止めたりとか魔法適正最高とかドラゴンボール並みの身体能力だとかIQ600とか世界で二人目の男性適合者とか魔眼とかetc
「へー、じゃあ俺ってどっかに転生でもするのか?どうでもいいけど」
「いや、興味津々なの丸分かりだよ…まぁ君の予想通り、君には転生してもらうんだけどね。これから君には三つの選択肢がある。一つ目は記憶を無くして今までいた世界に転生する、二つ目は記憶を無くして違う世界に転生する、そして三つ目が記憶を持ったまま違う世界へ…」
「三つ目でよろしく」
「そ、即決だねぇ…」
うだうだ言わずさっさとして欲しい。夢なんて毎回こういったどうでもいい場で長々と話したり準備したりして本番ってとこで目が覚めるんだ。自称神様ならさっさと行き先を決めて送って欲しいものだ。
「……………」
自称神様の額に血管が浮かぶ。怒っているのだろうか、だとしたらカルシウムが足りてないな。まったく、神様とやらが栄養バランスをキッチリしてないから人間には生活習慣病ってのがあるんだよ。まったく、神の振り見て我がふり直せだな。起きたらちゃんと栄養バランスの整った食事をしよう。
「………ブチッ」
うわ、口で血管破れた音出しちゃってる…
「…これ押して」
突然俺の目の前に現れた機械。赤いボタンが手元に付いてあり、上部には画面があり、そこには何かが高速で回り続けている。
「何だこれ?」
「いいから早く押して」
自称神様に急かされボタンを押すと、高速で回っていた何かがピタリと止まる。画面に文字が浮かび上がる。
「イナズマイレブン?」
「もう一回押して」
「俺に命令するな」
ボタンを再度押すと、また画面内で何かが動き出す。そうか、これはルーレットか!ということはこれで転生先とチートというか能力が決まるわけか!?
気づいたのは少し遅かった。俺は既にこの機械のボタンに触れている!!
そして浮かび上がった文字は『ペンテシレイア(Fate)』だった。
「決まったね?その心決まってるね?じゃあ…さっさと逝けぇえ!!」
「うぉおおおお!?」
俺の背中に衝撃走る。蹴られた、そう理解したが時既に遅し。俺は地面に開いた大きな穴に蹴り落とされたのだ。
「テメッ!!覚えてろよこの自称神の不審者がぁああ!!」
自称神様は興味なさそうに俺を一瞥しそのまま姿を消した。それと同時に俺の意識は途絶えた。
▽▽▽
目を覚ますと赤ん坊だった。シンジラレナーイ!まさか俺が死んだことが事実だったなんて…!マズいぞ、多分あの自称神様、本当に神様だったんじゃないか?結構失礼なこと言った覚えあるし、それに今思えば心の中で思っていたことも普通に返答してきていたな…こりゃあマズい。
まぁそれはまた死んでから考えるとして今は…
「バブゥ……」
「あら?お腹空いてないのかしら…」
この羞恥プレイをどう乗り越えるか…だ。
美味しくいただきました。空腹には抗えなかったよ…
▽▽▽
さて、現在俺は3歳、既にオムツは卒業して一人前の男を目指し日々成長中である。
ひとまずこの3年間でわかったことはここがイナズマイレブンという超次元サッカーとかいう物理法則などを無視した競技が蔓延る魔境の世界だということだ。転生前にルーレットで出ていた通りの世界だ。特典は恐らくFateのペンテシレイアの能力?だと思う。
ペンテシレイアはアプリゲーム、FGOに登場するバーサーカーだ。ネタバレになりそうなので詳細は伏せるがアキレウスに深く因縁のある英霊だ。俺の特典がよくわかっていないのも使う機会が一切なく、該当するのが見た目だけだったからだ。
といっても髪は透き通るような美しい銀髪、そして琥珀色の瞳、現在該当するのはこれぐらいなものだが…あとはチョピッと力が強いぐらいだ。性別は前世と変わらず男。これはとても安心した。なんだ生理って…男の玉を握り潰される程の痛みってなんだよ、比較対象の物が物なだけに想像しづらくて逆におっかないんだよ!
テレビで超次元サッカーを視聴する。様々な技が交錯し、スタジアムは歓声に包まれている。その中でもこの帝国学園…人気投票一位の五条さんが将来所属する無敗の学校。相手は必殺技を使っているというのに、帝国学園の選手は軽くそれを飛び越えシュートを放つ。ペンギンを添えたボールは地を抉り、吸い込まれるかのようにゴールネットへ。技術もさることながらその威力、キーパーごとゴールへ押し込んでいる。
強い…強いな…俺も…かのような強者と相見えたい…血が騒ぐ…!!
無意識に俺の口角は上がっていた。沸々と体の奥底から何かが湧き上がるかのような感覚。この平和な時代、神から得た力を使う機会などないと思っていたが全然ありそうじゃないか。
だが今の俺では彼らのような人間と同じ土俵に立てない。訓練しなくては、特訓しなくてはならない。
思い立ったが吉日、少しずつ体を鍛えるために駄々をこね、様々な競技を経験することにした。サッカーをする前にまずは1番大切な体力、そして筋肉を付けていこうと思う。筋肉さえあれば全て解決するからな。
▽▽▽
あれから数年経ち、今日から中学生だ。進学先は雷門中学校だ。他の競技で芳しい成績を残してしまったせいかやけに様々な中学へ推薦されたが、それを全て蹴りこの中学へと進学した。入学式の際、配られたパンフレットを見るにまだサッカー部は設立されていない。一瞬、主人公である円堂守と年が違うのでは?と今更ながら気づき焦ったものの、職員室から聞き覚えのある叫び声が聞こえたため安堵する。
正直、俺は原作を曖昧にしか知らない。ゼウスだとかエイリアだとかそういった最終戦以外、その過程を知らないのだ。見たのがかなり昔であることもあり、それさえも朧げになっている。
そんな俺がイナズマイレブンのメンバーに入るということは即ち原作をブレイクしてしまう可能性があるということ。そして或いは最低の結末に持ち込んでしまう可能性もある。
しかしそれは俺がサッカーをしないという理由にはならない。この世界では大抵のことがサッカーで決まる。学校の取り壊しや部活の解散など。ならばエイリアや異国の選手よりも強い猛者が確実に世界には存在している。そんな選手達と真剣勝負で戦いたい。
この身体になってから強者と闘うことを本能的に求め気が荒ぶってしまう。そして前世では苦手だった筋トレといった鍛錬が楽しくてしょうがない。
そんなだからだろうか、そのような迷いで原作に関わらないというのは逃げではないか…と感じてしまい、俺と魂に植え付けられたペンテシレイアのプライドがそれを許さない。
だから俺は彼に声をかけた。
「サッカー部を設立する気か?なら俺も入部させてもらおう。構わないか?」
彼は満面の笑みで応えた。
「おう!もちろんだ!一緒にサッカーやろうぜ!」
神様が提示した選択肢。
一つ目は記憶を無くして、さらに同じ世界に転生する。それに加えて生涯、順風満帆に暮らせる。
二つ目は記憶を無くして、別の世界に転生する。記憶は消えるが行き先と能力を自由に決められる。
三つ目は記憶を所持したまま別世界へ転生する。記憶は残るが行き先と能力どちらもランダム。
貴方はどれを選びますか?