アキレウス絶対殺すウーマンの力を貰ったけど戦闘する機会がねぇ!?なのでサッカーします   作:ユフたんマン

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練習試合

「フンッ!!」

「ゴッドハンドッ!!」

 

円堂は右手を突き出し、橙色に輝く巨大な手で俺が放ったボールを掴み取る。すこし後退りしていたが大方これで問題ない。これなら並大抵のシュートでは破ることは不可能だろう。

 

入部してから一年、あっという間に過ぎた。染岡、半田が入部してくれたはいいものの、他の生徒は既に部活が決まっており、帰宅部にも入ってくれそうなヤツはいなかった。なので規定数が足りず大会に出られていない。しかしこの1年間、何もしてこなかったというわけではない。サボろうとする染岡と半田をオンボロ部室から引っ張り出し河川敷で練習三昧。本来、校外での部活動は禁止されているため、サッカー部はすぐに練習を終え、部活外練習として河川敷を利用している。勿論サッカー部の備品を使わず自宅から持ち込んだサッカーボールを使用している。結構グレーゾーンだが今のところは何とかなっている。 

四人しかいない為、大きな試合は出来なかったが2対2のミニゲームやPK練習、基礎の反復練習を続け、今では全員が少なからず一つ必殺技が使えるまでになった。

 

こうして必殺技が普通にある環境で鍛錬に勤しんでいれば、より自分の異質さが極まってくる。ペンテシレイアの力があるため、何もしなくても必殺技に対抗出来るのだ。先程でも、円堂に向かって本気のシュートを放てば、止められるだろうがかなり押し込める。それまでに俺の肉体は人外のものなのだ。

まぁコイツらは一切そんなこと気にしてなさそうだが…

 

今年は豊作、栗松に壁山、宍戸に少林寺が入部してくれた。これで練習の質を上げることが出来る。それにまだまだ部活が決まっていない一年生も多いだろう。今年こそはサッカーの祭典、フットボールフロンティアに出場してみたいものだ。

 

「みんなおつかれー!そろそろ休憩にしましょう!」

 

マネージャーとして入部した木野がスポーツドリンクを抱え俺たちに呼びかける。

 

「うひー、疲れたっス…」

「ちょっぴし先輩たちはスパルタでやんすよねぇ…特に…」

 

木野からスポーツドリンクを受け取り飲んでいると、壁山と栗松から視線を感じる。

 

「どうした?まだ練習したりないか?なら休憩後みっちり練習に付き合ってやろう」

「ゲー!?それは勘弁して欲しい(っスぅう!!)やんすぅう!!」

 

ニヤリと笑いながらそう言うと、栗松と壁山は逃げるように俺から離れていった。

まったくこれしきの練習で情け無い奴らだ。残っていたスポーツドリンクを全て飲み干し練習に戻る。

 

「さぁ、各自休息が取れたら各自休息に戻るように。練習再開だ。円堂、シュート練習に付き合ってくれ」

「おう、任せろ!!」 

 

 

 

 

練習は空が赤くなり沈みかけるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

「えぇぇえええッ!?一週間後にあの帝国学園と練習試合をすることなっただって!?しかも負けたら廃部!?」

「えぇ、その通りです。因みに拒否権はありませんのでご了承を。弱小部に回す予算はありません」

 

唐突にこの雷門中の理事の娘であり、運営を任されているスーパー中学生の雷門に告げられる。負ければ廃部…負ければ…ウッ、頭が…!!レジスタンスが作った某18禁ゲーを思い出してしまった。

 

しかしついに来たか…帝国学園が来たということはこの前転校してきた豪炎寺が狙いだろう。原作ではたしかボロボロになったイナズマイレブンを見て目金が逃げて、そして参入する流れだったはずだ。

 

 

ん…あれ?もう既に原作崩壊してない?ちょっと強化したから下手したら豪炎寺が入部しないかもしれない…マズいぞ、豪炎寺は世界でも通用する原作最強格の一人だ。もし入らなければこの先苦しいし何より俺が楽しめない。世界に通用するほどのポテンシャルを持っている彼を燻らせるのはどうにも惜しい。

しかしだからといって豪炎寺を誘うには一筋縄ではいかない。…まぁここらへんのことは円堂に任せよう。そういうことは苦手だ。

 

「あら、何か考え事ですか?それとも何か私に言いたいことでもあるのかしら、勅使河原(てしがわら)麗士(れいじ)くん?」

 

勅使河原麗士…俺の名を呼んだ雷門。サッカー部の皆に難癖を付けられ少し顔を歪めている。機嫌が悪そうだ。

 

「いや、何もない。雷門の言うことにも一理ある。俺が雷門と同じ立場ならそう判断を下している」

「せ、先輩!?」

「おい勅使河原ッ!!」

 

円堂たちが驚いたように俺を見るが今は無視する。

 

「そう、わかってるようで何よりです。では」

 

雷門は満足そうな顔をして部室から出て行った。そして次の瞬間には皆から取り囲まれる。

 

「どういうことだよ勅使河原!!負ければ廃部だってアイツは言ってんだぞ!?それでいいのか!?」

「そうでやんすよ!相手は無敗の帝国学園、勝てるわけが無いでやんすよぉ…!!」

「それに試合できる人数にもなってませんよ!?無謀ですって!!」

 

皆からの非難が飛び交う中、円堂が声を張り上げる。

 

「皆、今までの練習を忘れたのか!?闘う前から諦めてどうすんだよ!!やってやろうぜ!俺たちのサッカー部を廃部になんかさせない!!」

 

円堂の鶴の一声で皆が覚悟を決めていく。さすがは円堂教の教祖だ。

 

「では各自、そうと決まればサッカー部に入ってくれそうな生徒を勧誘しに行ってくれ!!人数が揃わなければ始まらんからな…」

「「「「「ハイッ!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで練習試合当日。

無事に風丸、松野ことマックス、影野、そして目金が入部してくれたことで11人揃わせることが出来た俺たちは帝国学園と対峙する。壁山が緊張の余り逃げ出したりもあったが無事に呼び戻すことが出来た。

 

「ちょっと!!納得いきませんよ!何故僕がベンチなんですか!?」

 

眼鏡をかけた小柄な目金が騒ぐ。元々11人目に颯爽と現れ弱小サッカー部を勝利に導いた選手としてチヤホヤされたいという理由で入部したヤツだ。人数が足りずやむを得ず11人目に迎えたがすぐにもう一人入部したため彼はベンチである。

 

「そもそも練習に参加しない者が試合に出れると思うな」

「…フンッ!!いいんですか?この僕をベンチなんかで燻らせておいて、後悔しますよ?」

「……ピンチになれば秘密兵器として使ってやろう。決して逃げるなよ?」

「秘密兵器…いいですねその響き…任せておいて下さい!この僕が弱小サッカー部を勝利に導いてやろうじゃありませんか!」

 

上機嫌になった目金からこっそりと距離を離れる。まったく、これまでに何もしなかった奴が帝国学園に勝てるわけがないだろ!いい加減にしろ!まぁ普通に練習してても勝てる学校なんて殆どないんだけどね。

 

「これより、帝国学園対雷門中学の練習試合を始めます」

 

審判の声の後に礼をする。先攻か後攻、コイントスで決めるところだが帝国学園のキャプテン、鬼道は俺たちに先攻を譲る。

 

「これは舐められているな…」

「ちっ…ふざけた奴らだぜ…!」

 

試合開始のホイッスルと同時にキックオフ。さっそく染岡がドリブルしながら相手陣地へと上がっていく。

 

「オラッ!!」

 

帝国学園のディフェンスがスライディングで襲い掛かるも染岡は跳躍で回避しバックパスでマックスにボールを回す。そしてマックスはダイレクトで半田へとパスを出し、逆サイドにいる俺へとボールを回す。そして少し高めにセンタリング。先程よりも高く跳躍した染岡がシュート態勢に入る。

 

「ドラゴンクラッシュッ!!」

 

染岡の背後に青い龍が現れ、ボールと共にキーパーに襲い掛かる。帝国学園のキーパーはそれに少し驚いた顔をしたがすぐに跳び上がり地面に拳を叩きつける。

 

「パワーシールドッ!!」

 

叩きつけられたことで発生した衝撃波で染岡のシュートを軽々弾き、その手に納める。

やはり強い。口角が自然に吊り上がる。楽しい、強敵と合間見えることが出来るこの高揚感、まるでいけない薬のようだ。

 

「鬼道、俺の仕事はここまでだ」

「あぁ、始めよう…帝国のサッカーを」

 

鬼道はキーパーからボールを受け取り、その場からゴールへ向けてシュートを放つ。ロングシュートだ。

 

 

 

 

あぁ…舐められている…いや、当然のことだ。相手は天下の帝国学園、こちらはつい先日揃ったばかりの弱小サッカー部。逆の立場であれば確実に俺たちは少なからず油断するだろう。だが俺が味わいたいのは全力と全力がぶつかり合う真剣勝負。だから円堂達には悪いが…

 

「奴らに本気を出させる…ッ!!」

 

体の筋肉を全力で酷使し鬼道のシュートに追いつく。そしてそれをトラップで受け止めシュート態勢に入る。

地面を力一杯踏み込み地を揺るがす。

俺の頭に流れ込んでくるは彼女のものである憎悪。ある男へと、英雄へと向けた瞋恚。それを全て俺の体を経由させボールに流し込む。白目であった部分は黒色に変色する。

 

「アア……ウァァァ…コロス…コロス、コロス…ッ!!…ッ、アキレウスゥゥウウッ!!」

 

必死に狂気に呑まれそうになるのを耐え、ひたすら宙へ浮くボールを蹴り続ける。蹴るたびに凄まじい衝撃波が発生し敵味方関係無しに近寄らせない。今この時、この場は俺の独壇場だ。

憎悪と瞋恚を内包し、赤黒いオーラを纏ったボールを前に押し出すかのように蹴る。そして叫ぶ、吼える。

 

我が瞋恚にて果てよ英雄(アウトレイジ・アマゾーン)ッ!!」

 

それはまるで黒き流星のように、血飛沫のように弾け、赤い軌跡を描き衝撃波を放ちながらゴールへと直進する。

 

「これは…!?マズい…!!」

 

鬼道はディフェンスにシュートブロックの指示を出す。

 

「「サイクロンッ!!」」

 

鬼道の指示で大きな竜巻を生み出し、二人がかりでシュートブロックを試みるが、あっさりと弾き飛ばされる。

 

「止めろ源田ッ!!」

「ちっ、任せろッ!!パワーシールドッ!!」

 

キーパーは跳び上がり、先程と同じように地に拳を叩きつけ衝撃波を発生させる。

しかし…

 

「グァァアアアッ!!?」

 

シュートは拮抗する間もなくパワーシールドは破れ去りゴールネットへと突き刺さる。シュートの勢いはそれでも収まらずネットを貫通し、帝国学園の乗って来た装甲バスの一角にぶつかり一部を破壊する。

 

先制点、弱小サッカー部である我らがもぎ取った。雷門の皆が歓喜に包まれる中、帝国学園の選手たちは沈黙に包まれる。そんな中、俺の声が響き渡る。

 

「本気で来い…来ねば俺が貴様らを喰らい尽くす」

 

驚愕する鬼道、否、帝国学園の選手達に宣戦布告する。舐めてかかれば死ぬぞ…と。

 

「…まさかこんな中学にこれ程の奴がいるとは…面白い…!!お望み通り、本気でやってやろう…!!」

 

まだまだ試合は始まったばかりだ。

 

 

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