「がァッ、ぐぅぅ······ッ!」
幾百の氷壁ごと、女帝が斬光に斬り伏せられる。
間一髪のところで致命を回避し、宙に飛散する己が血液を視界に収めながら、彼女は男を凝視していた。
その口から紡がれた言葉の真意、それを余さず理解して──
「なんだ、それは···ふざけるな······ふざけるなよ、貴様ッ!」
再び怒りによる活性。
自壊した左側の翼が治癒していく。振り下ろされた斬撃が、再生した刃物状の翼により弾かれた。
二度目の活性化を果たしたことで、女帝の身体を構成するオラクル細胞が励起したのだろう。余剰分のエネルギーが、本来ならば成し得られぬ部位再生を成功させたのだ。
「人類種など、たかが我らの喰い残しではないか! あの御方の意志に抗い、神を喰らう者などというものを生み出して、我らに仇なす不届き者···そのような劣悪種になりたいと、貴様は言うのか!?」
「そうだと言ったが?」
問いに、男は何の衒いもなく即答する。
恥じることも、悔いることもない。むしろ、誇るように己は愚鈍で鈍間な人間で構わないのだと、男は雄々しく宣言する。
自分とは違う高みに達したかのような口ぶりが癪に障り、女帝は奥歯を噛み締めた。
「赦さない···断じて貴様らの存在を赦しはしないッ! 卑賤に穢れ、尊き血の誇りを踏み躙る蛭児が······今すぐ地獄の釜へと流されるが良いッ!!」
殺意と共に轟くは、幾百にも及ぶ絶対零度の凍結魔弾。
その一発一発は、紛うことなき全身全霊の威力を帯びており、もはや麗しの女帝はカナエ・淡・アマツでも無ければ、第一世代型の人造惑星でもない。取り返しのつかない領域まで踏み込んで、人間であることを捨てた、氷河女王の完全上位互換として相応しい氷塊弾が飛翔する。
大気温度を零下に落としながら、光の壁を爆砕して接近する驚異、逃げる余暇は既にない。
よしんば回避することが出来たとしても、それは無意味な抵抗だろう。凝縮した凍気の塊は着弾と同時に全方位へ萌芽、この居住区の一部を覆い尽くし、大輪の華を咲かせるのだ。
よって回避は無駄、防御も不可能。
荒神と化した魔星と同じ原理で強化方法を行使しようと、人間であり続けることを是とする輝翼でさえ、これに耐えうる自信を持ちえない。
「ふむ···、どうやら頭は回るようだな」
暴走した星辰光の熱で体表面に接近する氷槍を分解してしまうならば──分解する暇が無くなるまで攻撃を続ければ良い。
一見して暴論に見える理論だが、当たらねば無駄な攻撃も、数打てばあたあるというもの。事実、降り注ぐ砲氷を輝翼は躱し続けている。理由は勿論、そうせざるを得ないから。
確かに、突出した才能は、時に状況を大きく覆す場合もある。だがそれも、所詮は局所的なもの。最終的な勝敗を握るのは、総合能力値の優れた大軍だ。それを補う仲間や部下がいない孤立無援の単騎では、既に決した趨勢までは覆せない。
大は小を兼ねるという言葉があるように、大は小を圧倒する。勝利を手にするのは常に圧倒的な数の暴力を保有できた強者であり、物語の中で起こるような逆転劇など、それこそ女子供が夢見る幻想に過ぎないのだ。
ならばこそ──
「···あまり、使いたく無いのだが······」
致し方あるまい、と心底からの本音を独り言ちた刹那、剣身に亀裂が走る。
剣身の中心部に突如として生じたそれは、誰がどう見ても外側の衝撃により刻まれた亀裂ではない。
むしろ、その逆。雛が卵の殻を破るかの如く、内側からの衝撃により発生した亀裂だった。
再び迫る幾千の氷槍。
一寸の隙間なく降り注ぐ氷槍弾雨は、もはや絨毯爆撃と表現するには生易しい弾幕と化している。
それが男に着弾する、その時──。
剣身の中央部に走った亀裂が、柄頭から二股に別れた切先まで、さながら一筋の雷に貫かれたかの如く、一気に長剣全体へと走り抜ける。
次瞬、男は何の躊躇いもなく、黄金と黒鋼の拵えから成る長剣を真っ二つに引き裂いた。
◆ ◆ ◆
「なッ!?」
これには流石の女帝も驚愕に瞠目する。なまじ、男が手にしていた長剣の価値が分かるからこそ、なんということを······という衝撃が止まらない。
何故ならば、あの長剣はたとえ、どれほど高度な文明を築き上げようと、決して“創れない”とされる一品だ。
それを何の感慨もなく二つに引き裂くだけでは飽き足らず、刀剣として最低限の加工が施されたとあれば、驚愕するの当然というものだろう。
神機だからこそ出来る無茶無謀だがしかし──恐らく、もう二度と同じ形には戻せまい。
両の手にそれぞれに握られる二刀。迎撃手段に選んだのは、二刀同時の斬り払いと斬り下ろし──抜いた二つの刃で風を裂き、音速の域で降り注いでくる幾千・幾万の氷槍弾頭を中空で両断する。
咲かず散り逝く氷結華。斬撃と同時に放たれた黒銀の剣閃が、二分された女帝の星光が煌びやかに消滅させた。
僅かただ一振りで、蒼き荒神の連射攻撃は霞のように消え失せる。
それは続く第二、第三、第四射であろうと変わらない。
圧殺され、両断し、世界の一部を蹴り上げ、踏み台にし、攻撃を防ぎながら突き崩しつつ、叩き落として、駆け抜ける。
虚空を鞘に見立て、剣を突き刺し、抜刀の応用で流し斬り、穿ち抜いて、斬り払い、返し斬る。
刺突を放ち、たまに後退、転身して兜割り、十文字に斬り捨て、袈裟斬り、空間を割って裂きながら、避け駆け抜ける。
次元の位相ごと斬り躱し、突き穿ち、薙ぎ払うと共に斬り上げて、前進し、徐々に距離を縮めて来て、い、る──?
「卿の殺意は素直だな。結構なことだよ。だが──視える殺意に意味などあるまい」
冗談みたいな光景。
相対する敵手は、魔弾の洗礼を正面から捩じ伏せる。
出力差は未だに女帝が一枚上だが、そんな要素が何になろうか。素粒子に頼る限り、万物流転の異星法則下からは逃げられない。
かつてない不条理にして、自然界に厳然と横たわる理。森羅万象が円環と流転を繰り返す以上、そのような星に選ばれた存在と純粋な数値勝負で優劣を語ること自体が誤りであり、自然は人間に支配されるべきものと定義するのに等しい行為だ。
よって、輝翼の攻勢は止まらない。単騎からすれば無限に見える弾幕を前に、ありとあらゆる常識、相性を駆使しながら覆して、互角以上に渡り合う。
女帝の中にある理屈の全てを踏破し、引き起こされる異常事態の数々。どのような理屈に当てはめようと、黄金の天駆翔──それを担う双翼を定義することは出来ない。
誰よりも早く、何よりも速く。そして一直線に迷いなく。
半壊した建物の屋上を跳躍しながら、恐るべき速度をもって迫り来る。その様はさながら動くこと雷霆の如し、凍結や寒波といった女帝の攻撃をものともせず、しかもこちらを討伐すべく黒銀の光を纏いて彼我の距離を縮めてきていた。
そのたびに、女帝は異常な消耗に見舞われながら、かつて刻み込まれた恐怖と嫌悪に囚われていく。
男が近づく······ただそれだけで、感応している星辰体が悲鳴を上げることなく消滅して、連鎖的にオラクル細胞が突然消えた構成物質に戸惑いを見せるのだ。
敵手の周囲に渦巻く黒銀の光、既視感のある現象を引き起こす原因の正体こそを看破して──
「調子に乗るなよ、貴様ァァァァアアァァッ」
女帝の憤怒に呼応し、刃物状の翼にオラクルで巨大化させ、敵の首目掛けて刃を振りかぶる。 全身全霊、全力で、迎撃すべく咄嗟に放った一撃も狙いは完璧。
それは本来ならば輝翼の頚椎へと直撃し、為す術なく斬首させる一撃であったが──
◆ ◆ ◆
直撃したまさに刹那、響いたのは骨肉を断つ音ではなく、鋼と鋼が鍔迫り合う叫喚。
「─────ッ!?」
男の間隙を縫い、確かに頚椎を捉えた刃は皮一枚どころか、髪の毛一本も断ち切ることさえ出来ないまま、何の痛痒も与えられていない。
未だかつて無い不条理を目の当たりにして、女帝はただただ絶句する。
彼女の眼前にいるのは、耐えられないほど戦慄せしめる度外れた何か。
バルファ・マータの前世であり、第一世代型の人造惑星が一人・ウラヌスの素体となった女は、本来は戦いなどした事もない御令嬢である。
よって魔星となった前世に於いて、戦闘技術の一切をこれといって有しておらず、備わり宿す星の力に彼女は完全に依存していた。
となれば、荒神として転生した現在とて然もあらん。
前世を体験した現世の生を受けてなお、与えられた力を磨こうという意志など、当然欠片も有していない。
己は優性で、ゆえに勝つ。などという大上段から踏み躙ってこその貴種という肥大化した選民思想──この場合は、前世からの悪癖を素体より悪化した状態で継承していた。
よって、敵意を隠蔽する、或いはわざと全方位へと星光を散らす等して、本命を覆い隠す、そんな小技を知りもしないし使えない。身に着けたいとも思わない。
だからとても実直に、己が心の赴くまま、しかし人間には不可能な力強さで殺意を放っている訳であり······
「どうした暴帝、なぜ止まる」
同時にそれは、理性など吹き飛ばした獣の精神をバルファ・マータは有していない証左である。
ゆえに、彼女は眼前の存在にただ愕然と固まるのだ。
「あ、あ、あ···あ······」
人としてではない、荒神としての本能が告げる。この男は普通ではない。勝ち負けの領域で語れるような次元の存在ではないのだと。
「なんだお前は、なんだこれは······一体どこまで不条理なのだッ」
だからこそ、女帝はこの馬鹿げた現実を前に絶叫する。
消えろ、消えろ、消えてしまえと呪いながら■■の使徒は魔砲を放つが、効果はない。
すべからく、無意味。
なんてふざけた事態だろう、眩暈がして仕方がない。
「使命も、力も、全ての優位に意味などないと罵るのかッ。価値の指針は総じて心、胆力だけだと突きつけるのか化け物め──狂っているのはどちらだ!
道理を外れた矛盾の使徒が、貴様もまた在ってはならん異分子だろうが!」
■■■の意志と恩恵、指名の優劣という格差など、容易に超えうる程度のものだと、黄金の天駆翔は双翼揃って証明する。その快挙は、総じて彼女の抱く誇りを全否定しにかかっていた。
先天性優位という氷麗女帝が今生に至るまで支え続けたプライドは、もはや陥落寸前。
翻弄され、攻撃を受けるたびに深い亀裂が走り、訣別と共に捨てたはずの古傷が今度こそ完全に蘇った。
「ああ、そんな貴様が何故、■■として産まれたのだ。なぜ私が、こんな穢れた怪物共と出会わなければならないの?
貴様はいつまで、いつまで、いつまで、不遜にも私の前へと立ちはだかるのだ······ヴァルゼライドッッ!」
「私は、そんな大層な名ではない。今更だが名乗ろう、樹氷に住まう女帝よ。私は輝翼──英翼と共に今、この時を生きている、ただの人間だよ」
憤怒の嘆きごと、首に当たる刃を優しく掴み、輝く翼は女帝を見据えた。
その、無空のような黄金の瞳。目を合わせるだけで力を根こそぎ無にされそうで······力が、意志が砕かれる。
まるで、必殺の魔眼に直視されても生存するような出鱈目を現実にされ、女帝はただただ戦慄く他にない。
あれほど誇らしかったはずの力が、身体が──どうしてこんな、いつも。
「ふざけるな、こんなところで······私はッ。
聖戦まであと少しなのだ。その時こそ、根源から歪んだ道理を必ずこの手で正すのだと──」
「決めたのかな? それは結構なことだよ。閃奏、滅奏、烈奏、界奏が黄昏の守護者として迎え入れられているのを承知の上での発言ならば、尚のことな」
「────、──」
開帳された真実の一端に、女帝は息を呑んだ。
心の奥底で理解していたはずの敗北感を再び指摘しながら、たじろく女帝を心の底から慈しむ。
滅奏より成長していれば良いなと、無気力・無感動に告げて揺るがない。
「哀れな。彼の英雄と冥王の講釈を受けながら、尚も己が敗北を恥じて認められずにいるのかな、氷河姫よ。
後悔とは、同じ刻に縛り付ける呪いの鎖だ。卿が敗北を認めてなお、尊き血の誇りは変わらないと信じて立ち向かわぬ限り、卿の鎖は決して断ち切れん」
過去から目を逸らし、現在に満足できないからと、神に頼った愛を知らぬ哀しき女の末路へ、男は自分なりの持論を展開する。
別に、導きたいわけでも過ちに気づいて欲しいわけでもない。
人間性と訣別を果たした時点で、彼女は既にその機会を逸してしまっている。
ゆえに、講釈はこれにて終わり。
そして取り返しのつかない領域まで突入している以上、前世の縛鎖を断ち切る方法はただ一つしかなく······まずは手始めに、女帝が耳と目を覆いたくなる事態を引き起こした。
「私は総てを愛している。たとえ基本法則から逸脱した者であろうと、関係なく」
音で鼓膜を蝕み、映像で目を抉り掛かる。
巨大化したオラクルの刃を掴む手に少し力を籠めれば、その刃は容易く罅割れた。
やめろやめろ、何をする気だ──この化け物が、貴様みたいな人間がいてたまるか、という言葉を浴びながらも、輝翼は刃を掴む手を緩めない。
「遍く総て、いつの間にか破壊という形でしか愛せないのが悔やまれるが······ああ、今この時を迎えて漸く理解できたよ。
私達が愛する日常···その破壊者たる卿らは、世界の何処へ行こうと憎まれ、恨まれ、疎まれる。ならば、せめて私だけでも卿らを壊そう。その来世が祝福に満ちていることを祈りながら······」
ビキリ──と巨大化した刃に深い亀裂が走った。
女帝を、彼女を、壊す最初の一手を打ち込んでいく。
その光景に耐えられず、女帝は拒絶を籠めて喉が張り裂けるほど叫んだ。
「やめろおおおォォォッ──!!」
絶叫は、しかし何の意味も成さずに虚しく響き渡り、次の刹那、それは起こる。
禍神体で形成された露草色の刃を素手で粉々に砕き割ると同時、電光石火の速度で輝翼は左手に握る刀剣を振り上げた。
呆然としながらも、生存本能が生命の危機を察知したのだろう。咄嗟に後ろへと飛び退き、距離を取ろうとする女帝。
忘我の状態から現実へと意識を戻した彼女は、増幅した憎悪を剥き出しにする。
「貴様、よくも私の身体をッ!」
後退しながらも、即座に女帝が再び砲身を形成。力を過剰供給供給させ、かつてと同じく自爆させる。
そして生まれる大寒波は、彼女の左翼を犠牲にすることなく、以前の三倍近い規模で周囲の世界を呑み込んだ。二振りの剣身では決して断てない氷点下の烈風を、全方位へと容赦なく撒き散らす。
瞬く間に凍結していく瓦礫、死骸、建造物······。
生命体が活動できない絶対零度の死界が誕生した。
「往生際が悪い」
されど、極寒地獄に一切怯まず、男は躍り出る。
燃焼し続ける己の星で女帝の星を上塗りして、一筋の雷の如く絶対零度の星を纏いながら突き進み──そして。
「───ぐぁッ、がァ! ば、かな······ッ」
相手の意識の外から隙をねじ込むかのような斬撃が、女帝の爆発に紛れて飛んでくる。
左斜め上から右斜め下に振り下ろす袈裟懸けから、横一文字で両翼を解体した。
更に開いた間隙を捩じ込み、残影が消えた刹那に女帝の間合いに苦もなく肉迫。スゥッ、と刃を通らせる。
まず、右肩を断ち砕いた。
次いで、即座に左肩を断ち砕き──乳房を斬り落とす。
流れるように、胴体を薙ぎ砕くと、すかさず女帝が男を噛み付かんと牙を剥くが、彼はそれを正面から迎撃。ただの頭突きで彼女の顔を打ち砕き、血反吐を吐いて仰け反る体へ更に追撃、蹴りを容赦なく叩き込んだ。
輝翼は右手の刀剣を握り直し、黒銀の光を纏わせながら刃を振り被り、圧倒的な膂力でもって投擲した直後──その剣先が女帝の胴体を穿ち貫く。
翼を失い、空中にあった彼女の体は流星の如き勢いで弾き飛ばされ、遥か60メートル先にある地面へと叩き堕とされた。
「がふッ──うぁ···、ぁ············」
浅薄な誇りの追求者は、硝子細工のような何かの破片を撒き散らしながら、二つに引き裂かれた剣で地面へと磔にされる。
その口から漏れるのは苦悶の呻き声、冗談のような出鱈目にもはや言葉さえ出ない。
しかし、殺意は衰えていないのか。それと同時に、全方位から氷槍乱舞が輝翼へ殺到する。
重力に従い降りてくる相手の立場を利用し、斬り裂かれた翼に代わり、左腕に形成した砲身を空中へ向けて突きつけて、果敢にも迎え撃とうとしていた。
「···こ、今度こそ······ッ、───ッ!」
この一帯ごと、残らず氷柩で覆ってくれると。
「然り、卿の最期だよ」
爆発する殺意と砲の大解放を前にして、男もまた黒銀と化した光の刃を雷火の如く引き抜いた。
激突する魔氷と光芒。正面衝突する二つの星が、破壊の音色を未だかつて無い域で轟かせ、世界を大きく激震させる。
純粋な破壊力と手数による、正面からの競い合い。
紛うことなき全力を余すことなくぶつけ合った、その結果は──
「カハッ、ぅぐ······ひ、ぅぁ、ぁぁ、ぁ······」
······女帝の喉を貫いた煌めく刃が証明する。
寒波と共に霧散する咲き乱れていた凍気の華々。金の鍔と鎺を持つ第三の刀が残る左腕を地に縫い付け、抵抗の術を奪い尽くして串刺しにした獲物に対し、静かな光を瞳に携えた輝翼が君臨していた。
あれほどの大質量による飽和攻撃を彼は如何に捌き切ったのか······その理屈は簡単だ。単純に相手の星光を己の星光の支配下に上塗りしながら、理想的な動きと邪道的な動きを使い分けて対処しきっただけである。
自らに着弾する攻撃を、順番通りに見抜いた上で。
必要な分の力を、無駄なく刀剣へ纏わせ、使い分けながら。
最大限、効率的に隙を捩じ込みつつ巻き込み、上塗りして迎え撃つ。
それら全てを一瞬かつ同時進行で行ったことにより、蒸発させても構わないものだけを取捨選択して徹底的に破壊した。
その度に、女帝は狂ったように悲鳴を上げていたのは、偏に彼女の体を貫き穿つ剣と、輝翼が握る剣が連動しているからである。
彼の握る剣が星辰を猛させれば、女帝の体を穿つ剣の星辰もまた力を振るい、黒銀の光が猛威を振るうと言った具合に。
星と共に壊して壊して、壊して壊して壊して、壊して壊して壊して壊して壊して、壊して壊して壊して壊して壊して、壊し尽くす。
彼女の何もかもを破壊するために。
卿が塵でも構わないのだと、徹底的に教授する。
「············ぅ、あ······ぁ──」
結果、一頻り蹂躙され、男が地上に降り立つ頃には、彼女は既に輝翼の支配下に置かれた己の星光と彼の星光で体の内部を破壊し尽くされ、惨めにも瀕死の体を晒していた。