Dies irae 〜 Silverio Godeater 〜 【工事中】 作:フェルゼン
三度目の正直ならぬ、三度目の審判。
いや、或いは
何故なら、バルファ・マータの胴体を
まぐれでも
それはつまり、同じ理屈で女帝を下した冥王でさえ、それこそ再び何度でも、この行動を実現可能だということを、残酷なほどに黄金の
──
当たり前に戦い、当たり前に負ける──
優性と劣勢は、これから永劫逆転することはないのだと。決して
「わ、わた、わたしは·······」
だがしかし──いいや、
「わたしは···
「
冥王の裁きを受けた
まるで、昆虫標本みたいに女帝を地へと
前世の彼女と
全く、何を言い出すかと思えば······
今から事実を教えてしんぜよう──そして、女神の元に
「否、
ましてや、
真の意味で転生してもなお、
むしろ、更に更に、もっともっとと······特別性へと
もはや
「ゆえに──」
未だに成長を拒み続ける女帝の愚かさを、再度悲しいものだと噛み締めながら、
「自覚しろ、卿の魂は芯から腐り果てている。ゆえに、どれだけ特別性に手を伸ばそうとも、その魂が成長することは断じてない」
再び刻み込まれた真実に、
違う、違う······違うから止めてと言い
淡く静かに鳴動していく、心臓の
このまま
やめろ──やめてよ、お願いどうかそれだけはと。
懇願する彼女を見据える、悲哀を
特別性に手を伸ばし過ぎた哀れな者の来世に祝福を──それの代償が死である以上、
慈悲のある一撃が、特別性の代償と共に降り注ぐ。
「さらばだ、
「あ、うっ、あぁぁ·······。
いや、あ、アアアアアアアアアァァァァッッ──」
──そして、容赦なく
輝く翼の手により蘇った絶望に彩られ、冥府の底へと墜落していく。
そして──
「···············」
炎の海に
粉砕した女帝の
そうして彼は、静かに天を
愛するがゆえに壊す、徹底的に、それはなんて──
「···罪深い······」
ポツリと、独り
片翼だけでも守り抜くという言葉に嘘はなく、余人が見れば一人の人間を守り抜けただけでも奇跡であると励ます事は間違いない。だがしかし──いいや、
本音を言えば、コハクとヒユリの二人を守りたかった。眼前で失われていく命を助け、新たに生まれる嘆きを止めてやりたいと。
だと言うのに、ただ見ていることしか許されず、
それは
いくら大義が、理由があろうと、新たな悲しみが生まれる事は許されない。
否、許すことが出来ない。
そんなものは、正しい理屈を
ああ。ならば、答えなど明白で。
私も
淡い燐光に包まれながら、
男の姿が消えると同時に、その中から子供の姿が現れる。
唐突に身体の支えを失い、地面へと倒れそうになったが、
だが──
「げほッ、ぐ、はァッ──ッ」
星辰の解除に伴い、彼は盛大に吐血する。
血の原因は、胃が
他に傷と近い部位にある内蔵と
無論、この怪我は攻撃を受けたからではない。
「くそッ···こんな······ところでッ」
これが反動──
「···親父······ッ」
初期の目的を忘却しかねない激痛を、慣れぬ
バルファ・マータは殺したと語っていたが、この目で確かめないと信じられない。
その真偽を確かめる為にも、コハクは念の為、二つに避けた剣を手にして歩き出した。
同刻──紅い月光と不変の
無理もない。彼の身体は創傷・裂傷・死傷・殺傷・凍傷に
誰がどう見ても紛れもなく瀕死の姿だ。内蔵も壊滅的とあるならば、いよいよもって致命的と言えるだろう。
意識を保つことさえ限界に近い。発狂寸前の激痛が全身を襲っているからか、今ならば子犬にじゃれつかれた衝撃でさえ死亡する決定だと成りうるはず。
「相変わらず···融通の、効かん身体だ······」
にも
次瞬、右腕に走る激痛。反射的に顔を
それを視認し、二度目の舌打ちを鳴らす。
彼が右手首にはめる赤い腕輪が煙を吹き上げているのを
単騎で居住区に侵入した新種と
“
男が地に付している理由。それは
身体の熱が失せる、感覚が途絶える、魂が燃え尽きていく。
命の終焉は近い。そして同時に、
それだけは避けねばならない。自滅の趣味は持ち合わせていないが、かと言って、
ふと、その時──
「······親···父······?」
大地を踏みしめる足音と、動揺するように声を掛けてくる声に、男は僅かに顔を
二つに引き裂いた黄金と
彼の姿を視認して、男は苦笑気味に口を開く。
「フッ···なんだ、貴様か······」
そして、同時に理解した。
この少年は──コハクは、己や
──最初から分かっていた。
この世界は、どうしようも無く残酷なんだって。
やがて終わるということは、いつ終わってもおかしくないということを。
誰よりも、分かっていたはずなのに──
「──、────」
眼前の光景に、コハクはただ
漸く見つけ出した父である男は、奇跡的にも生きていた。だが、彼の右手首にはまる赤い腕輪は不気味なほど黒い煙が吹き上げ、そこから徐々にその身体を
それが何を意味するのか、なまじ分かるだけに言葉が出てこない。
ほんの僅かな間を置いて、震える口先を必死に動かした。
「···あんたは······」
まるで、確かめるように。
愚問の類だと理解しながら、コハクは父である男に問いを投げ
「あんたは···これから、どうなる······」
「愚問だな······腕輪が壊れた、侵食度も臨界点を突破した、応援を要請した部隊が未到着な今···俺は来るべき末路を迎えるしかあるまい」
「···他に手立ては?」
「無論、あるにはあるさ」
即答され、肩が微かに震えて反応を示した。
黒髪の男は、未だに人の原型を
そして──
「貴様が持つ、その神機で俺を殺せ」
「────ッ」
冷酷なまでの指示を、男は
「なに、を······」
ラピスラズリの如き
無理もない。
まして、神宿コハクという人間は殺害を要請されて、素直に
にも関わらず、黒髪の男は瀕死の状態とは思えないほど、その
「無理だとか、不可能だとか、
だが、
不敵な笑みを浮かべ、誇るように語る男の姿はもはや狂気を通り越し、いっそ清々しく見えた。
恥も悔いもない彼に、嘆きや自省というものは存在しない。
ゆえに、男──神宿アイフェイオンは
「俺を殺せ、バカ息子。この
ならばこそ、彼の言葉に迷いも
むしろ、激しい気迫さえ見せる父の態度に、コハクは奥歯を噛み締める。
アイフェイオンは今、瀕死の状態だ。子供の力でも殺せるだろう。軽く
本音を語れば、他の方法を探したい。
だが、そんな事をしている暇など無いのだ。苦悶の声一つ上げていないが、男の右腕から全身へと広がりつつある
いつ、
「···、······、···············ッ、────···──······」
振り上げた左手の刃が小刻みに震えている。
対するアイフェイオンは、コハクから目を
「ああ──全く···貴様は貴様で難儀なものだな······」
息子の血に濡れ、紅桔梗色の瞳が静かに細まる。
男の瞳に映るコハクの瞳は、決意を固めた色と殺す事に躊躇う色を宿していた。溢れ出した思いの丈は、新たな涙となりて
「自分の感情一つさえ···思い通りに出来ない、腑抜けが──貴様といい、あのアホ娘といい······
それは、罵倒とも愚痴とも受け取れる言葉だった。
共に悪意を意味する概念であり、それを
だが、彼の息子であるコハクは気付いている。
彼の声色には確かに悪意しか宿していないが、そこに刺々しさや突き放すような色が存在しないことを。
続く言葉こそ永遠の
だからこそ。
「────ッ、─────ッッ!!」
叫びたくなる衝動を必死に噛み殺し、コハクは剣を振り下ろす。
右肩から左腹部まで斬り裂く剣筋から決して目を逸らさなかった男は、どこまでも不敵に微笑を浮かべていた。
「では、さらばだ。せいぜい···足掻きながら“生き抜け”······。馬鹿で愚かな···
それを最期の言葉とし、絶命した男は淡い燐光と共に星と神の粒子となりて霧散する。
神機使いの死体は残らない。
その身にアラガミ由来の因子を取り込む事で、
即ち、
ゆえに、人であれ神であれ、殺された神機使いの死体はアストラル粒子を含んだオラクル細胞として、消え去ってしまう。
その代わりにと言わんばかりに、地面に突き刺さるは赤い腕輪。原型を留めているのが不思議に思えるほど故障したそれは、一匹狼気質だった父の生き様を表すかのようだ。
そして──
「···ッ、······どう、して······」
少年の手から剣が抜け落ちた。
「どうして···ッ、
自分にばかり生きる事を望みながら、勝手に消えていく者達に、コハクは
「俺は、他でもない···お前らに······、どこでも良いから···ッ、どこか遠くで······、生きてて欲しかったッ。それなのに、どうして──······ッ」
俺ばかり生きる事を望むのか。
続く言葉は
生きて──と、かつて望まれて。
キミだけでも真っ当に──と、願われて。
その上、父や大切な少女にまで
「ン」族の植物名探してたら、めっちゃ時間かかった(´・∀・`)
GOD EATERの登場人物って、植物かそれに関する動物の名前をモチーフにしているので、「外国語で、最後が“ン”、植物に関連する名前」となると、悲しいかな。ぜんっぜん見つからねぇッ。
コハクの父親の名前の由来は、ハナニラの別名。
花言葉は「悲しい別れ」。別に狙って名付けた名前ではない。
そして、最新話で開示された“零”の時代。
「アムリタ」というワードを見て、うp主は遠い目になった。だって、アムリタはインド神話のソーマと同一視されてるんだもん。しかも、法則が法則なだけに、「うわー、これソーマの奴、もっと自分の名前嫌いになる奴じゃん」と思いながら『黒白のアヴェスター』の最新話を読了。
マグが神座と決別しても、人間の部分は残らないのだけ理解した。そこも含め、マジで煉炭と真逆やな。
まあ、スィリオス兄妹とサタナイルがいる限り、解釈違いの人間部分は存在しそうやけど。
(何だったら、サタナイルさん辺りはマグの人間部分も勝ち取りに行きそう······)
では、今回はここまで。
また次回に会いましょう|・x・)ノシ