Dies irae 〜 Silverio Godeater 〜 【工事中】 作:フェルゼン
第一話 神を喰らう者/God Eater 前編
──そして現在。
新西暦2071年、1月13日──極東、
AM11:28···
光源の異なる二つの太陽が、建ち並ぶビル群を薄く照らしていた。
静寂に包まれた空間に
街の
その代わりと言わんばかりに、人がいなくなった街を我が物顔で
荒れ果てた神の家の前には、巨大な
血の匂いを
無防備に
我先にと言わんばかりに捕食する姿から、余程の空腹状態だったのが
無我夢中で血肉を漁る姿は神と言うよりも、もはや悪魔だ。およそ、神聖さなど感じられない。
だがしかし──いいや、だからこそだろう。
ノソノソと、明らかに小型恐竜よりも重量のある足音が響き、彼らの元に近付いていると言うのに、彼らの誰一匹としてその音に気付かない。
「────!」
次瞬、一匹の小型恐竜が異変を察知して背後を振り返るが、もはや時すでに遅し。死骸を晒す個体と同種族の獣が猛々しい咆哮と共に、小型恐竜の群れへと襲い
そして──
虎のような容姿を持つ大型アラガミは、
神の家の前で行われた、文字通りの弱肉強食。
弱きモノの肉は、強きモノの食物であると言わんばかりの光景は、適者生存を前提とする自然の摂理さえ無視していると言って構わない。
ある種、冒涜的と言える捕食行動に
むしろ、小型恐竜よりも更に小柄な人間である。
彼らの手には
いや、実際に狩人なのだろう。
大虎の
「────っ」
穴の左側に身を隠していた黒髪の男が、赤いチェーンソーを思わせる長刀を肩に
試合開始のゴングが鳴り響いたかのように、それに続くは穴のに右側に身を隠していたフードの青年。
すると、己に襲い掛かる敵の存在を察知したのか。大虎は死骸を漁るのを止め、
常人ならば間違いなく恐怖に腰砕け、弱い者なら卒倒しかねない殺意の発露を前にしかし、二人の年代の違う男は決して
武装の特徴ゆえに、青年よりも速く肉迫しつつある黒髪の男に、大虎は右の凶腕を振り上げるがしかし──
「させないわッ」
喝破と共に轟く銃声。空を裂く狙撃弾が、振り上げられた大虎の凶腕を恐るべき命中度で
それは、男二人に遅れて広場に躍り出た焦げ茶髪の女の手によるものだった。
彼女の手には、やはり身の丈以上のスナイパーライフルが握られている。
黒を基調とした
──が、この程度で大虎が倒れる訳もなく。
「グオオォォォォオオオッ──!!」
女の援護射撃を
マントを帯電させ、雷球を乱射する大虎。三人の男女が、その雷球を回避したことで
それでも三人は慌てず、怯まず、冷静に。
視界が悪化するという状況は、一見すると人間の方が不利に見えるがしかし──彼らの視界には帯電したマントが描く軌道を捉えていた。
ゆえに──
「大人しく──」
男と左右に別れた直後、空中に
「しやがれッ!」
空中から大地に
ただ闇雲に砂塵の中を突進し続ける大虎を正確に捉えた一撃が、その顔面を情け容赦なく破壊した。
「があぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
顔面を砕かれ、血を
「おーらよッ!」
が、
直撃の瞬間まで引き寄せてから、おっとと間抜けた声と共に、ヒラリと
彼を標的とした飛び掛かりを華麗に躱し、代わりに大虎の着地点に居るのは、フードを目深く被った青年だった。
「ふっ───!」
巨大な装甲を開いて大虎の飛び掛かりを防ぎ、勢いをそのままに黒い大剣を振り上げるカウンター攻撃が大虎に叩き込まれる。
この三人の中で随一の切断力と破砕力を備えた青年の大剣は、そのカウンター攻撃だけで大虎の顔面のみならず、腕の
「···
「壊れたな」
呆れ気味に確認する青年に対し、男は
そのまま追撃をしようと大剣を構え直す青年に、銃撃で援護する女、そんな二人に負けじと男が
「ぐるる······ぐおぉぉぉぉぉおおおぉぉッッ!」
刹那、天に轟けと言わんばかりに轟く咆哮。
同時に大虎の半径5m以内に発生した雷撃が、追撃しようとしていた青年は
後者は自分の足で急ブレーキを掛けながら、
「クソッ!」
前者は装甲の大きさゆえか、防御が間に合わず直撃を受けてしまう。攻撃の威力でにより、フードを被る青年が後方に吹き飛ばされた。
が、ただで地を
受け身を取り、足先で地面を
黒髪の男と焦げ茶髪の女が彼の事を心配しなかったのは、
「ガアァァァアアッ!」
「うおッ!?」
直後、続けざまの飛び掛かり。着地と同時に発生する衝撃波の重さに、男は踏ん張り続ける事が出来ずに後退させられる。
気付けば、大虎は宙返りしながら後ろに飛び
「げッ──」
それを目視した男は、嫌そうな声を上げ──
「ヴァジュラ砲、来るぞッ! 全員、死ぬ気で
瞬時に危険を仲間に知らせ、
刹那、ヴァジュラと呼ばれた
再び舞い上がる砂塵の煙幕。
地面に着地したヴァジュラが、砂の向こう側にいる三人の獲物に威嚇した。
──
まるで、勝ち誇るかのような威嚇だった。
弱肉強食・適者生存──
自然の摂理を表す正規の言葉がどちらであろうと、決して忘れてはならない事実がある。
それは──
「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおッ!」
自然界の中で最もしぶとい生物とは、“人間”であるという事だ。
気合の喝破を轟かせ、砂塵の中を突き抜けてきたのは、漆黒の髪を持つ男──ヴァジュラが一斉掃射した雷球の射線上にいた張本人である。
彼の装甲では開いた所で意味はなく、圧倒的な物量差による雷球斉射に耐え切れずに吹き飛ばされるのが関の山だ。
後ろに飛び退いても結果は同じこと。
地面に着弾した雷球はコンマ一秒以内に連鎖爆発を起こし、男はそれの巻き添えを無防備に喰らうしかない。
直撃するかしないか──そんな些細な違いに過ぎない攻撃網の中で彼が選択したのが、雷球の弾幕を
「創生せよ、天に描いた
迷う事も
「強大な敵と戦い続けて
局所的な優勢は勝ち取れど、全体の優位に立てたことは一度もなく、運命は
対するヴァジュラは、男を迎撃しようと身を
刹那、それを許さぬとばかりに砂塵の煙幕から飛び出す一つの影があった。
「悪いけど、頭上注意よ!!」
身の丈以上はあるスナイパーライフルを苦もなく片手で構えた女が、切り揃えた焦げ茶色の髪を風に
放たれた狙撃弾がそれと同時に、三つのレーザー弾に分裂。目で追える速度で敵手を追尾しながら、正確に相手の弱点である顔周辺を撃ち抜いた。
傷口に塩を塗るかのように、レーザと言う名の熱線で破壊された
その間に
「ならばこそ、我は
しかしそれは、かつて旧イングランド領に存在した
仮に
「強敵を囲め、視点を変えろ、死を
諸行無常・盛者必衰──生の
それは、肉体強化とも違う異能の具現。
「さあ
刹那、異変を感じた獣神が二人の支援攻撃さえ振り切り、
「リンドウッ!」
「ちッ」
悲鳴じみた声をあげる女に対し、青年は忌々しげに舌を打って
しかしそれは、すぐに
「
超新星と同時に、爆裂するは雷光氷嵐。
飛びかかった獣神は、
否、すり抜けると言うには
「おいおい、
獣神の背後を取るリンドウの姿。
そう、ヴァジュラが飛びかかった相手は、星光を輝照した状態で移動した際に副産物として生まれた残像に過ぎない。
「オラァッ、小っ恥ずかしい詠唱唱えさせたお返しだァッ!!」
ヴァジュラが振り返る瞬間、長刀を横一文字に薙ぎ払いながら、その側面に回り込む。
「ソーマッ」
「言われなくともッ!」
同時、入れ替わるようにソーマと呼ばれた青年が黒い大剣を振りかざした。
迎撃しようとする獣神を、女の銃撃が許さない。
「くたばれッ!」
罵倒と共に振り落とされた剣撃が、ヴァジュラの尻尾ごと躯体を斬り裂かんと猛威を振るう。
次瞬、リンドウの斬撃によって獣神の体内に残留していた氷の粒が刺激され、内部から雷による連鎖爆発を引き起こした。
「グウウ、ガアアァァァァァァッ!」
苦悶とは別の咆哮を上げながら、高々と空に飛び上がるヴァジュラ。
帯電させたマントを広げ、再び空中から雷球を降り注ごうとする。
「
言ってリンドウは、あろう事か力強く地を蹴り上げ、空高く
そして──
「あの野郎······」
男の無謀に、地上にいる青年は苛立ちを隠せずにいた。
このままヴァジュラに追い縋った所で、リンドウが濃厚密度な雷球に撃ち
無論、そんな事ぐらい
その上で欠かせないのは、目深くフードを
無謀な行動に出たのは、彼の援護を有無を言わさず引き出す為である。
その意図を理解してしまい、青年は舌を打ちながら大剣を振り被った。
「手間かけさせやがって······この、確信犯がッ!!」
斬撃と共に放たれたのは、蒼黒の爆熱火球。
ヴァジュラが撃ち下ろした雷球と同等の量で放たれたそれらは、
雷球と蒼黒火球が激突した瞬間、耳を
「ガギャッ!?」
唐突な光に、空中にいる獣神は
ヴァジュラ種は怒りで活性化している間、視覚の悪さに反比例して突発的な閃光に弱い傾向にある。
結果、致命的な隙が獣神に生じ──
「そーらッ、これで
その間に肉迫していたリンドウが、追い越しざまに長刀を大きく横一文字の斬り払い、
「ギッ···、ガッ······」
致命の傷を刻み込まれ、勢い良く地面に叩き付けられた獣神は苦悶の声を漏らす。
先の別個体のヴァジュラ同様、神の家の前で倒れ伏した獣神を、破損したステンドグラスが静かに見下ろしていた。
ようやく本編に突入!
あー、長かった。リンドウさんの詠唱のタイミングをどうしようかと、悩みに悩んだ結果、リメイク前と変わらぬ事に······( ̄▽ ̄;)
まあ一応、候補としては「VSウロヴォロス戦」でも良かったんですけど、ラグナロクを除いた新西暦サーガにはある種の法則性がありまして。
主人公は主要メンバーに見られていないケースが多い(ゼファーは言わずもがな。アッシュは他の仲間の同行が書かれていないので不明。多分、気絶して見られてない?)。
対して、主要メンバーが
これらを吟味した際、「あ、リンドウさん無理だ」と速攻で判断。主人公いないけど、主要メンバーが揃う今しかねえと思い、リメイク前と変えない事に決定。
後、リンドウさんの場合、詠唱が二パターンありそうと言うのもある。
(ヒント:BURST編後のリンドウ氏の身体)
日曜日はとにかく執筆関係で忙しいのです。
それでは| ・∇・)ノシ♪