Dies irae 〜 Silverio Godeater 〜 【工事中】 作:フェルゼン
彼我の力量差は歴然。
勝ち目があるなどと思う方が馬鹿げている。
現在にした所で、何とか相手の意識を
踏みしめる足が地面を
空振った一撃の風圧が、咲き誇る樹氷林を砕く。
嘆きの琴も
倉庫の外装から引き
何故、倉庫の壁が剥がされたのかさえ理解できない。恐らく、その建造物に程近い虚空で、コハクの長剣が女帝の
「ハァァァァァアアッ──」
この世界の物理法則にあるまじき異星法則だと言うのに、既存世界の大気は悲鳴一つ上げていない。
一陣の
それはまさに、有り得べからざる奇跡の具現。
だが、死体を内包した氷の
相手が自分の攻撃を躱す事さえ頭の
言葉にすれば簡単だが、いざ行動に移すとなれば、隔絶した戦闘技術が必要になるのは語るまでもない。
しかし、
正体、目的、一切不明? だからどうした、関係ない。
独りでは不可能でも、二人で力を合わせれば活路を開けるかもしれないのならば、他者の力を頼れば良いだけだ。
頭の中で思考を巡らせながら、ふと、コハクは
“······おかしい”
追撃を繰り替えす中、コハクは徐々に女帝の
“このアラガミ···まさか、
だからこそ、疑問に思わずにはいられない。
彼女は確かに他の
その証拠に、女帝の異能に
たとえば──この女帝は“拡散性”を主体にしながら、他も
少なくとも、特化型と呼ばれる者のような
加え、上空の大気を
これで“操縦性”まで高ければ、間違いなく手が付けられないのは語るまでもなかった。
「ああ···なるほど······」
そこまで思考を巡らせ、ようやく理解する。相手の異能の本質は、自分と同じであることを。
何も
ならば、後は語るまでもない。
「全く、めんどくせぇ······だが···」
だからと言って、逃げる訳にも行かないと──続く言葉を飲み込んで、都合三度目となる踏み込みを敢行する。
肉迫と同時に振り下ろす長剣。だが、その剣戟は女帝の
もう30合ばかりも打ち合いながら、コハクはただの一度も相手を己の
刺突を繰り出し、
それでも、大型武器の宿命として、連撃の合間にはしばしば隙を見せてしまうのだが、虚を
「相変わらず、
「·········」
身の丈に合わない武器を駆使しているのもあるのか、重心の移動がバラバラで、時に長剣の重心に
心·技·体の内、心と技は補えても、体までは満たせない。人間として身体的に成長したのならばいざ知らず、まだ成長期に突入しているのかさえ定かではない子供では、
かと言って
たとえ、誰の目から見ても
何が大事かは人が勝手に決める事だ。本人が本気で打ち込んでいるのであれば、そこに上も下もないと言うのが
彼固有の異星法則の
両手に関しては更に凄惨だ。
現在進行形で彼自身と
時に反動で
にも
“何とまた、澄んだ瞳をしているのか······”
恋は盲目というように、人は
怒りを抱いているだろうに。
当たり前の日常を
嘆きも抱いているだろうに。
姉も父も
なのに、それら二つの感情に囚われず、
女帝が初手から今に至るまで、コハクを不用意に近付けさせないよう逃げ散らすのに精一杯なのは、つまりそういうことだった。コハク自身の挙動から太刀筋を読み取る程度の事は出来ても、その為には真っ直ぐと己を見据えてくる相手と目を合わせなければならない。
そして、女帝は彼の瞳を
光速で繰り出される剣捌きが圧倒的に見えるのは上辺だけの話である。
果たして、この
“まさか···”
ふと、頭に
もし仮に、“そう”だとしたら、この戦い、今のコハクでは荷が重すぎると予見して、
「─────」
執拗な追撃に耐えきれなくなったか、極寒の
取るに足りない下等生物風情に付き
「事ここに至り、なお身の程知らずな言葉を
その巡りの悪さ、
心胆寒からしめるその声音に
「我欲に囚われ、近視眼的にしか事象を捉えられないとは······
これ以上我等の手を
ついでと言わんばかりに──しかし無拍子で放たれる氷杭の砲撃を、コハクは間一髪のところで間合いを取りながら
自分と
コハクが攻め切れずにいるのは、剣の下手さだけでなく、そう言った事情も複雑に絡んでいた。何より、まだ
「卑小な妄執、見るに堪えん。
何、心配せずともお前はもはや逃げられん。ゆえに、先の言葉をそのまま返そう。いい加減に、邪魔だ。
「────ッ!?」
刹那、足元から無尽蔵に次々と生えてくる樹氷──
逆説的に言えば、コハクを敵だとさえ認識していないのだ。取るに足らない、眼前に転がってきた
戦闘と呼ぶには余りに雑だが、それでも膨大な出力は
結果として、今度はコハクが手も足も出せなくなった。いくら決意と共に
あくまで無造作、片手間で放たれたはずの攻撃でさえ致命の撃となる。こちらの全力など軽く圧倒され、突破口すら見当たらぬまま──
「くそったれが、ッ──」
続け様に襲い来る氷弾を全て弾くことで死こそ避けられるものの、肝心の要である女帝との距離についてはいつまで経っても離れたままだ。このままでは、ただ
加え、自己を中心に空間凍結を維持し続けながら攻撃を仕掛けてくるため、始末に負えなかった。
降り注ぐ氷杭、そして着弾点から花吹く氷華。
それは戦場でありながらも美しく、どこか目を
まるで、地獄へと誘う悪魔の
ああ、そして──。
「気に入らねえ······」
醜悪だから、せめて煌びやかに散華しろ──
その一念が読み取れるゆえ、思わずコハクは
それは、その
氷結とは、時間の停止や永遠と同義語なのだ。大切なモノが、永遠に美しいままでいて欲しい、と、誰もが一度は胸に
刹那に過ぎ去る命だからこそ、堪らないほど愛おしく尊いのだと──成長と共に無意識の内に、人は自然と理解していく。
だが、この女帝の庭園は違った。
一見すると、確かに彼女の庭園は美しい。だが、そこに宿る本質は、他者に対する侮蔑と嫌悪だけ。
自分以外の生命体は醜く哀れで無様だから、己の美しさを引き立てる飾りと化せ──そんな、祈りを前提とした氷結庭園の
だからこそ、コハクは気に入らないと、口にした。
そんなコハクの心情に、
「ああ、私も同意見だよ。だが、文句を吐いた所で
言わば、
陸には陸の王者がいて、空には空の王者がいるように、その自然に適した王者が存在する。
「何か対抗策は?」
女帝の攻撃を上手く躱し、弾いて、薙ぎ払いながら、コハクは
そこに、
「愚問だな。卿の
「なッ──」
思わず、コハクは息を
その間隙を狙う氷杭の嵐は、
「驚くほどでもあるまい。卿の
「んなわけあるかッ」
問いを否定しつつ、襲い来る氷弾氷柱を器用に躱す。
まるで、猫のような回避方法は生来の勘によるものだ。その手の才は有していないものの、生き残ると意味の才は他の
「解決策があるのなら、あんたがやれば良いだろ。俺達が使う
「さてな、接近までならば活路を開くことは可能だが、刃圏に捉えるとなると話は別だよ。必中の間合いをわざわざ
それに──私独りでは、たとえ攻撃が当たろうと、卿の神機がアレに耐えられんよ。斬り掛かっておいて、武器が壊されたでは話にならん」
確かに、
斬れば凍る、女帝の恐ろしさは守備面にまで及んでいた。
絶対零度に等しい凍気を、
しかも、その凍結は人体の表面だけではない。
全てを凍らせる極低音は肺の中まで及び、それで動きが少しでも
のみならず、それだけでは終わらない。
軽い攻撃を当てた所で、
そして今は、己の勘と
端的に言って、手詰まりだ。まともに取り合わないことくらいしか生き残る術がない。
その中で選ぶべきなのは、恐らく逃げの一手であり、一旦この場を退き、対抗策を考えるのだが──
「そうも、言ってられねえのがな······」
何故、コハクが女帝と対面出来ているかと言うと、それは
支配領域が広いことにより、獲物を狙う他の
“逃亡”を選ぼうにも、現在進行形で街区に侵入した荒神が庭園に侵入して来ている為、彼らを
かと言って、潔く“敗北”を受け入れる事も出来ない。
つまる所、結局は
そんな、ろくでなしになるしか道はない。
さして賢くもない頭を高速回転させ、光明を見出そうとしていた時、ふと声が問い掛けてくる。
「なってしまえば良いだろう。その、ろくでなしとやらに。
ならば、全ての
これは私の持論だが、
結局の所、大切なのは自分の心で決めなくてはならない。
何を信じるのか、どのような道を進むのかも皆全て、自分の心が知っている。もし、その心を信じずに、大切なものを選べなければ、また同じ後悔をするのだ。
自分には心底から"やりたい"と決めたことがある。
なら、成すべきことなど唯一つ。こんな所で迷っている場合ではない。
もう二度と、同じ後悔はしたくないのだ。あんな思いはもう嫌だから、さあ──
「いいぜ、なってやるよ」
敵は不沈で、味方は即席。状況は全く見通せない。倒せたとしても、他に荒神が居ることも念頭におけば、かなり高レートな博打であるのは明白である。
ならば、これを今から正面から押し通るのみ。たとえそれが、大概
何故ならば──
「恥じるな。悔いるな。■■■■───」
もはや、この手に正誤の秤など無いのだから。
決意と同時に、解放されるはコハクの持つ高い感応性。
それは一種の自己暗示であり、自分の心へ捧げられる新たな形をした
鼓動はどこまでも加速して、
破壊の神威たる黄金の光と、
己の身など
心肺機能が限界を超えて加速。止まらぬ血流により全身が発熱を帯びて、まるで溶鉱炉に投げ込まれた鋼の気分だ。
そして──
「
不利な状況からの形勢逆転を目指し、蒼の
他のアラガミが割り込んで来ない理由。
序章の舞台設定が、『GOD EATER プロモーションアニメ』の5年前に位置するから。
凄いですよ、このアニメ。
ゲームのアーカイブで見た時、初陣のソーマと入隊四年目なリンドウさんが、ボルグやサリエルなどの大型アラガミを一撃で撃破。
挙句、オラクル細胞を塗布しただけの弾丸でザイゴードを討伐する、かなりトンチキな軍人さんまでいる。
それを考慮すると、原作本編より弱くせざるを得なくなったのが原因です。
※余談※
実は、この『プロモーションアニメ』で核融合炉が爆発するんだけど…
ツバキさんもリンドウさんもソーマも、爆心地の目と鼻の先にいたのに、何故か無傷でピンピンしてるんだが?
支部長曰く、一人一人の戦力は一個大隊に相当するとか。
つまり『Dies irae』で言うと、ツバキ&リンドウ&ソーマの強さは、大隊長三騎士クラスということに…
いや、強すぎひんか?
だってこいつら、原作だと異能も渇望もクソもない。ただオラクル細胞ぶち込まれただけの人間なんだぜ?
(若干一名、GEオリジナルだけど)
で、それに平然とついていける1主たちへぇ。
特に1主なんて、某サイトで「人類の天敵の天敵」なんてわけわかめなタグ付いてるし。
第一部隊の一般人代表であるコウタとアリサも、言うてアッシュ君とかと良い勝負してるし。
何ならロミオ先輩の方が人間臭いし。
これらを考慮して、格付けすると。
大隊長三騎士=リンドウ、ソーマ、ツバキ、1主。
コウタとアリサは、ベア子と万年失恋吸血鬼辺りか?
アリサは一度、
(※原作GEのままの評価)
こりゃ、第一部隊全体を指して化け物クラスと言われるのも頷けるわ。ぶっちゃけ、『神座シリーズ』にいてもおかしくない強さ持ってやがる。
しかも神機って、冷静に考えたら特級の聖遺物では?
討伐対象が討伐対象だし、魂の質とか量とか普通にヤバそう……(小並感)