Dies irae 〜 Silverio Godeater 〜 【工事中】 作:フェルゼン
「嘘だろ······っ」
『────馬鹿な』
冷酷な女神像の顔を持つ
コハクの第六感が予見し、
「散りばめられた星々は、銀河を彩る天の河。
ならばこそ、大地の
地の底から響くようなその
それは無論のこと怯えなどという感情ではない。覚悟を決めた今、戦場で向けられる殺気に
ましてや必殺の局面、この刃を振り上げるだけで勝利が確定するという絶好機である。
しかし──しかし。
そんな理性よりも更に深奥に存在する生物としての本能······それを根底から凍らせるかの如き呪詛の響きに、コハクは思わず反応してしまった。
引き金となった感情は明確、憤怒。
己の存在意義と定めし宿業、その激情こそが、彼女を本領に近づけている。
即ち、
弱く、無能で、醜怪である──ゆえに存在を許さない。
宇宙を着こなす天空神は、地上に
「ゆえに、奈落へ追放しよう──雨の恵みは
巡れ、昼光の女神。巡れ、闇夜の女王。
死の宣告は女帝なりの慈悲なのだろう。生命を氷結させ、華と化せば、せめて美しく散華するはずだから。
全宇宙を統べる天こそ絶対。
神を彩り煌めく銀河、その星屑の一欠片となれ。
「
惑星規模の超新星爆発──刹那、天王星が弾け飛ぶ。
かつて、欧州で猛威を
「──
短く、されど絶大な殺意を宿した一言が世界を変える。
地面から一気に乱立する樹氷の大森林。まるで、空間そのものが悲鳴を上げているかのように絶頂しながら、
「く、っ······!」
必殺の一撃はそれに阻まれ、避ける、
禍々しく星光を吐き散らす女帝は、その様を静かに
明確な、
「地を
呪わしいが、一つだけ感謝はしてやろう。貴様は私に、原初の衝動と
それは底冷えする静かな口調。怒りこそ感じられるものの、判断力を奪う類の激情に
伝わって来るのは、ただ眼前の相手の命を奪うという単純な殺意と憎悪。そこに揺らぎは
漆黒に塗り潰された憎しみを
マントを広げ、星と神の粒子を渦巻く様は極刑の通達。
羊飼いの頭上に巨大な氷塊を創造する──その規模は、先程までの優に十倍。
『ふむ······、これはいかんな』
「んなこと言ってる場合かよッ!」
他人事のように
避けた所で
「──ッ!?」
そう、思考して氷塊を斬り裂いた刹那、四方八方から伸びる氷柱。抵抗する島もなく、その人体は斬られ、刺され、抉られ、破壊されていく。
近付くだけでも体温を一瞬で奪い、細胞を端から壊死させる鋭利な棘と花弁嵐を前に、もはや
「大小の差はあれ、貴様は
不条理など必要ない。劣等はそれらしく、
「──よく···、言うぜ······。自分から···──、神様に、頭下げて······、その···──ッ──······、不条理の塊に···なった······くせに···」
「────」
指摘した瞬間、次に放たれたのは連撃。大地を
それを、コハクは矢継ぎ早に乱撃を放つことで、氷の木々を次々に切断していくものの······しかし、それは焼石に水を浴びせるような行為だ。
対処法としては下策中の下策であり、それを証明するかのように結晶華は
断ち切った枝葉が中空で新たに発芽した氷華に脇腹を
二つの星光の火力なら完全に蒸発させることも可能だが、軽々に連発すれば直ぐに
拡散性と維持性に優れるため、広範囲に長時間の展開を可能とし、更に掲げる星光は氷や凍結という普遍的な現象だ。さらに干渉性も低いという訳ではなく、ならばこそ彼女の攻撃は決して一度では終わらない。
斬られ、砕かれた瞬間にその残滓へと再干渉──さながら、破片を樹氷の種子と見立てる事で再び力を行使する。
最低でも一撃から三手、四手は派生しながら続行するのは当たり前。七手で終わればまだ良い方だ。酷い時は十数回、砕いたはずの氷柱が棘となり枝となり砲弾となり活性化して、執念深くコハクへ牙を
そして、それを躱せば刺さった大地が凍土と化して女帝の領土に早変わり。ならばと刃で断ち切れば、攻撃の基点として数を増やし再起動する訳で······
結果、戦えば戦うほど女帝の支配領域が拡大し、逃げ場ばかりが覆われていく。
武装を握る腕は攻撃を防ぎ続けた事により、凍傷を負ってしまった。コハクがこの攻撃の嵐を真の意味で打ち破るには、文字通りこの一帯を焦土に変える意外にない。
そして、その
少しづつ、そして確実に追い詰められていくコハク。
人間と魔星──両者に横たわる残酷な
蒼の
それが何度も、何度も何度も連続するという絶望の光景。
死以外の可能性など微塵も想定できない状況で、それでもなお立ち上がろうと、足掻き続ける。
「っ、あァァッ──く、ッ!」
四方八方からの攻撃が放たれる度、その身は
奥歯を噛み締め、半ば一方的に嬲られているような状況下にも関わらずに、ただ真っ直ぐと。
それは、愛おしい“過去”があるからこそ、大切な少女と共に想いを
先ほど女帝の知らない所で発言した通り、どうか些細な幸せを積み上げていく普通の生活に戻りたいことを願いながら。
近視眼的な動機で道を歩もうとするそれは、かつての死闘に
「貴様は、ああ、どこまで──!」
それが、その在り方が、女帝には
ああ、この子供は、何と巧みに自分を苛立たせるのだろうか。
相対する敵種の瞳は己を確かに映していること。まるで何もかも見透かされるような瞳に、彼女の憎悪が
視線はこちらを捉えているし、一挙一動を
未来しか見据えている訳でも、過去を愛するがゆえに侮蔑している訳でもない。
神宿コハクが向き合っているのは、
まずは目先。そこにある小さな問題と一つずつ向き合い片付けて、些細な幸福や結果を積み上げて歩むからこそ、対比としてどうしても
しかも、この度相手取るのは、かつて
三生に渡り虚栄と怨嗟に支配された女帝にとっては、内心での評価が下されていない分、真っ直ぐと見据えてくるコハクの視線に耐えられない。
出なくば、やはり貴様の魂は根底から腐っていたことになるぞと、言われている気分に襲われる。
先天的な才の優劣、
若さゆえに、人の情熱は時に世界の
なぜなら、女帝は個の情熱が世界の不条理を超える様を三度に渡り目撃した。彼ら彼女らの奇跡は、本質的に本質的に想いの強さがあったからこそ成し得たものだと、彼女は知っているはずなのに。
「
それでも、女帝は英雄や逆襲の担い手、調停者や探索者の信奉する
許すことも認めることも到底できない。
「心一つで何でも出来る? 愛する者がいれば、不可能なことも成し遂げられる? 相も変わらず馬鹿げた理屈だ······
相手の貴賤も考慮に入れず噛み付き続ける狂犬め。掃き溜めから産まれた
死後に見せられた恥辱、敗北、嫌悪に殺意。
「
激昴と共に大噴火したその瞬間、再び
スィリオォス──ッ!!
一週間遅れて更新された、『
うp主自身、『シルヴァリオトリニティ』の「ミステル・バレンタイン」や『黒白のアヴェスター』の「スィリオス」のような「大きな目標よりも、まず目先」って考え方が凄い好きなんですよ。
理由が初めてプレイした王道RPG『テイルズオブシンフォニア』の主人公、「ロイド・アーヴィング」の「目の前の人も助けられずに、世界再生なんてしてられるかよ!」という名言が、うp主の心の底に根差しているからです。
結果、『トリニティ』では見事、ミステル√に突入して、「アッシュ君」と「ブラザー」というWパンチを見事に喰らい、無事に涙腺が崩壊しました。
だから、「スィリオス」の愛がきちんと「ナーキッド」に届いていた事が純粋に嬉しかった次第。でも、本編での二人の関係って、「ワルフラーン」抜きでは成り立たない伏線も張られているので、それらを含めても感無量です。
ただただ、良かったな〜と。
もしかして、「マグ」が「蓮たん」の異能を一発で見抜いたのって、「蓮たん」の大切にしていることが「スィリオス」と似通っているから見当が着いたんだろうか?
だとすると、意外に仲良くなれそうだな、「スィリオス」と「蓮たん」。「マグ」が「マグ」だから、最初は警戒しそうだけど。
さて、話を戻そうか。
本作の「カナエ」殿は、「ヴァルゼライド」閣下の徹底講義と、「ゼファー」さん手痛い授業を叩き込まれている上、「アッシュ」君の結末も見た上で、「神祖」共の末路を「彩模様おばさん☆ラブ」な人に教えられたので、原作よりもヒステリックで、自分で墓穴を掘りに行くキャラになってます。
まあ、「ヴァルゼライド」閣下の特別授業と、「ゼファー」さんの特別受講だけでも、「カナエ」殿からすれば地獄ですから、是非もないよネ!
それから、更新がやや遅れ気味な理由について。
無事に研修期間を開け、午前中に仕事に出る機会が多くなったからです。少し更新が遅めになると思いますが、これからもよろしくお願いします。
それでは今回も、