ウルトラマンカオス 作:ウルトラマンZZ
光の国にて、ウルトラマンはある事に頭を悩ませていた。その原因と言うのが、彼の前に横たわっている赤い瞳と黒い身体を持ったウルトラマン。その昔、ウルトラの国を襲ったカオスロイドと言う存在がいた。ウルトラ兄弟の長兄であるゾフィーを足止めする為だけに現れたカオスロイドZ、プラズマスパークを狙ったカオスロイドU、ウルトラキーを盗んだカオスロイドS、銀十字軍を襲ったカオスロイドJ、宇宙科学技術局を強襲したカオスロイドA、そしてウルトラベルを取り込んだカオスロイドT。ウルトラ6兄弟の活躍によって倒された彼らであったが、その際に僅かに残った細胞から新たなウルトラマンを作ろうと考えたウルトラの星の技術者の1人が無断で作りあげたのが、今ウルトラマンの前に横たわっている黒いウルトラマンである。偶々それに気付いたウルトラマンが技術者を捕らえたものの、時は既に遅くこの黒いウルトラマンは完成してしまっていた。
「ひとまず、誰かを呼ばなくてはな」
そう言って、ウルトラサインで他の兄弟に収集をかけるウルトラマン。ゾフィーやジャック、Aは仕事があるとウルトラサインが返ってきたが、セブンとタロウはこちらに向かって来る様だ。
「……これは?」
少し経ちやってきたセブンがそう声をかけた。ウルトラマンはその問いにタロウが来てから話すと言い、2人はタロウを待った。タロウは、セブンが来たすぐ後にやってきた。それを確認したウルトラマンは今ここで起こった出来事を話し始める。
「──と言うわけだ。タロウは彼を連行してくれ。曰く、少しでも戦える者は多い方がいいと考えての事だったらしい。こちらは私達が対処しておく」
「分かりました。兄さん!」
去っていくタロウを見送ってから、セブンとウルトラマンは黒いウルトラマンに向き直った。そして、ゆっくりとウルトラマンが口を開く。
「私としては、彼を殺すべきでは無いと考えている。セブン、君はどう思う?」
「私も同感だ。ジードの様に正しい道を選ぶ可能性は十分にある。それに、もし万が一の事があれば、我々が責任を取れば良いさ」
セブンのその言葉に、ウルトラマンは大きく頷いた。
*
時は経ち、黒いウルトラマンはウルトラマンカオスと名付けられ立派な一戦士として成長した。そんな彼はある日、ゾフィーから呼び出しを受け彼の下を訪れていた。
「きたか。カオス」
「呼ばれたからには来ますよ。何か用があるんですか?」
「少し、頼み事があるんだ。それと、いつも通りで構わないよ」
「そうです……いや、そうか。で、内容は?」
「実は、君には地球に行ってもらいたいんだ」
ゾフィーのその発言に、地球と言えば今はゼットが居るはずでは?とカオスは首を傾げた。そんな彼を見て、ゾフィーはゼットが居る地球とは別の宇宙の地球だよと付け加えた。
「これまで怪獣1匹現れなかったその地球に、最近怪獣が出現し始めていると報告があったんだ。だから、君には調査に行ってもらいたい」
「了解したよ。ああ、でも、怖がられるかもな。こんな色合いだし」
「確かに最初は怪しまれるかもしれないが、過去その地球にウルトラ戦士が行った事はない。だから、地球人が初めて見るウルトラ戦士は君なんだ。悪事を働かなければきっと地球人は受け入れてくれる筈さ」
「そんなもんかね?」
飛び立つ準備をしながら適当にゾフィーの言葉を流し、いざ向かおうとした所でゾフィーから待ったがかかった。なんだと振り返るとゾフィーはなにかを投げ渡してきた。
「あ?これってゼットライザーか?色合いが違うが……」
投げ渡されたゼットライザーを見て、カオスは声を発した。彼の知ってるゼットライザーとは違い、青い部分が赤く染まっているその謎のゼットライザーを前に、カオスはゾフィーに疑問を飛ばすしかなかった。
「それは君専用に調整したゼットライザー。ヒカリ曰くカオスライザーだそうだ。このウルトラメダルダークも使える様にしてあるらしい」
そう言って渡される黒い縁のウルトラメダル。ゾフィー曰く、ウルトラメダルダーク。普通のウルトラメダルとは違い邪悪な気配を漂わせるそのメダルには所謂悪側のウルトラマン達が描かれていた。
「ウルトラメダルダークね。まあ、カオスロイドから生まれた俺にはピッタリか。しかし、よくゲネガーグに盗まれなかったな」
「君用に調整する都合上、別の場所に保管してあったんだ。それと、ゼットライザーとウルトラメダルは盗まれた1つしか無かったわけじゃないから、普通のウルトラメダルも持って行くといい」
「良いのか?」
「勿論」
そのゾフィーの言葉にそれじゃあ遠慮なくと返し、渡されたウルトラメダルとウルトラメダルダーク、そしてカオスライザーを持って今度こそカオスは飛び立った。
*
ここ数年で突然現れ始めた怪獣に対して新たに作られた組織『怪獣自衛隊』の1人冬空ソラは民間人を逃しながら、迫る怪獣を睨みつけていた。その怪獣が現れたのは朝方だった。早朝と言っても過言ではない時刻に出現した為、殆どの人間は眠っていたのだ。運良く起きていた人や、早起きの人をまず逃し、その後住宅に踏み込んで寝ている人々を起こし逃げる様に促す。
「これじゃあ間に合わないぞ」
寝起き故上手く逃げれてない人や眠りが深くすぐに起こせない人がいると考えると、ソラの発言は間違っていなかった。ならばとその場を他の隊員に任せて、彼は怪獣へと走り出す。
「これでも喰らいやがれ!」
そう言って装備品の一つであるエナジーランチャーを発砲。打ち出されたエネルギーの塊は、怪獣に付着し小規模の爆発を起こし、目論見通り怪獣は進行方向にある住宅街からソラへと標的を変えた。少しでも人のいない場所へと逃げるソラとそれを追う怪獣。一歩の歩幅が圧倒的に違う両者の距離は当然の様に縮まっていく。そして、ある程度距離が詰まると怪獣が歩くたびに揺れがソラを襲い、数度目の揺れで遂に体勢を崩しその場に倒れ込んでしまった。
「ここまでか……?」
明らかに立ち直るより早く怪獣の足が自身を潰す方が早いと理解してしまったソラ。しかし、怪獣がソラを踏み潰すより早くそこに黒い光が彼方より飛来した。
*
『おい、地球人。無事か?』
「あんたは……?」
気付くとソラは真っ暗な場所におり、目の前には赤い目の黒い巨人が立っていた。先の怪獣に近い何かかと警戒しながら、ソラはその黒い巨人と話し始める。
『俺か?俺はカオス。ウルトラマンカオス。こんな名前だが、お前達に分かりやすく言うなら正義のヒーロだぜ?』
「ウルトラマン?超人って事か?それに、混沌が正義を語るのか」
『まあ、それは俺の名付け親にでも言ってくれ。さて、ここでは時間の流れが違うからこうやって駄弁ってても良いんだが──お前あの怪獣を倒したくないか?』
「!!倒せるのか!?」
カオスと名乗ったその巨人は、ソラの言葉に大きく頷いた。今まで撤退に追い込む事はあれど撃破した事は一度もない怪獣を倒せるとなれば、それは良い事この上ない。
『まあ、条件はあるがな』
「条件?」
『ああ、俺達ウルトラ戦士は基本的に3分しか地球で戦うことが出来ない。そこで、地球に留まるために人間の身体を借りたりするんだよ。誰でも良かったんだが、レッドキングの気を引いて他人を助けようしたお前に感動してな』
「レッドキング?」
『さっきの怪獣の名前だよ。で、どうする?断っても助けてはやるが』
「……分かった。力を貸してくれ!カオス!!」
『その言葉を待ってたぜ。カオスライザー……いや、まずはアクセスカード作るのが先か』
カオスのその言葉と共に、ソラの目の前には現れる黒いカード。それをソラが掴むと、そこに彼の顔が浮かび上がった。カオスはそれを見て何度か頷いた後、カオスライザーを手渡した。
『それのトリガーを押せ』
「こ、こうか?」
トリガーを押すとともに現れた紫色のゲートを潜ると、その先は赤黒い世界が広がっていた。カオスと会ってから、黒や赤と言った不安を煽る色しか見ていない為、一株の不安を覚えながらソラはカオスの指示通りカオスライザーを操作していく。
「こんなにゆっくりで大丈夫なのか?」
『さっきも言ったが、ここは時間の流れが違う。ここの1分が外の1秒だからな。何も問題はねーよ。さっきのカードをカオスライザーにセットしな』
「おう」
【SORA Access Granter】
カオスライザーから鳴り響く承認の音。それと共に腰に突然現れた赤いホルダーを不思議に思いながら、ソラはカオスが投げ渡してきたものを掴む。
「これは……メダル?」
『ああ、俺はそれが無くとも戦えるが一応な。他にもあるが今お前に渡したのは、カオスロイドU、カオスロイドS、カオスロイドTのウルトラメダルダーク、それをライザーにセットしてスキャンしな』
「カオスロイドにダークってますます正義とは程遠いじゃないか」
【U!S!T!】
『文句言うな。んで、後はトリガーをもう一度押せば完了だ。俺の名は呼びたけりゃ呼べば良い』
「そうか。……カオス!!!」
気合を入れる意味も込めて、カオス名を呼びトリガーを押す。三度鳴り響く金属音、カオスとソラを包む紫の光。
【ULTRAMAN CHAOS Glory Shadow】
その音と共に、彼はカオスとの融合を果たした。
*
『ゼァア!』
怪獣──レッドキングの足を押し上げながら現れたウルトラマンカオスは、手始めにレッドキングに飛びかかり住宅街から更に離れる様に投げ飛ばした。
『◼️◼️◼️──!!』
「すげえな」
『だろ?』
怒り狂うレッドキングを前に、インナースペースでそんな会話をするカオスとソラ。怒りのあまりいつも以上に大振りになっているレッドキングの攻撃を避けるのは容易く、逆に怒りで視野が狭まっている為かこちらの攻撃は面白い様に当たっていた。
『◼️◼️◼️──!!』
『ジュワ!!』
大振りの右腕を避け、回し蹴りを叩き込み怯んだ所にすかさず追い討ちをかける。頭部をヘッドロックの要領で掴み拳を食らわせ、あえて力を緩めレッドキングが抜け出したのに合わせて渾身のアッパーを叩き込む。
『シェヤ!』
『これがメダルの力か。悪くない』
渾身の蹴りを放ち蹴飛ばした後、カオスは漲るパワーにそう感想を抱く。オリジナルの状態でも普通に強いカオスではあるが、メダルの力と言うのも侮れないものであった。
『じゃあ、そろそろ終わらせるとするか』
「終わらせるってどうやって?」
『まあ任せな』
ゆっくりと腰を落としながら、カオスはそう答えた。次いで、腕を十字に構える。腕に集まる紫色のエネルギーが、十字に組んだ瞬間弾けた。
『カオシウム光線!!』
そして放たれる紫の光線は、レッドキングに直撃し大爆発を起こす。それを見届けたカオスは腕にへばりつく様に残った紫の光の粒子を払い取り、そのまま空へと飛び去った。
ゾフィー、ジャック、Aのカオスロイドは本作オリジナルです。FERのストーリーの裏で彼らも戦っていたと補完しておいてください。以下、用語説明的な物
怪獣自衛隊
怪獣専門の自衛隊。追い返した経歴はあれど倒した事はない。
エナジーランチャー
怪獣自衛隊の武器の一つ。太陽光をエネルギー源とする為、太陽さえ出ていれば無限に発砲出来る。小型の筒の様な形をしており、小規模の爆発を起こすエネルギー弾を放つ
ウルトラマンカオス グローリーシャドウ
カオスの形態の一つ。カオスロイドU、カオスロイドS、カオスロイドTのウルトラメダルダークを使用する。