原神の世界に転生したので自由に生きたい   作:ヘルメットのお兄さん

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29日ですが大晦日じゃないのでクリスマスです。
幕間というか外伝として好きに書いたので時間は相当先の事です。


幕間 ある時のクリスマス

 世間は冬、ここモンドではあまり雪は降らないらしいが今年は異常気象なのかどこを見ても真っ白、そんな寒い日にもかかわらず俺は仕事に駆り出されていた。

 

「あ、セスー!」

 

 鹿狩りでの依頼を終わらせた後、そのまま朝食をとっていたのだがアンバーに見つかってしまった。

 

「どうしたアンバー、というか仕事はないのか?」

 

「今日はお休みにしてもらってるの! って、もしかしてセスは今日が何の日かわかってない?」

 

「今日……? あぁ、クリスマスか」

 

「そうだよ! それに今年はすっごい雪が降ってるんだよ! もう、それなのにセスは朝から仕事ばっかり!」

 

 ビシッと俺に指をさしてくるアンバー、まぁ確かに仕事人間なのも否定はしないが

 

「こういう日こそ仕事をする人間が必要なんだよ、例えばアンバーが今仕事を休んでいるのなら代わりに埋め合わせとして仕事をしている西風騎士団の誰かがいるってことだろ?」

 

「う……」

 

「……まぁ、今日は後いくつか依頼を受けたら終わる事にするよ」

 

 そういうとアンバーはしなしなになっていたリボンと顔が明るくなって

 

「それじゃあセス、今日の夜エンジェルズシェアに来てね!」

 

 そういうとアンバーは走り去ってしまった、寒いのにいつもの格好で頑張るな。

 さて……アンバーに言った手前仕事はあと二つだけにしよう、それまでは夜まで待機だな。

 

 ~~~~~~~

 

「あ! セスおじさん!」

 

 仕事を終えて広場のベンチでくつろいでいた俺を呼んだのは……クレーとベネットだ。

 

「よう、クレーにベネット、また冒険に行ってきたのか?」

 

「さっきまで冒険してたらクレーが湖の魚を獲ろうとした時巻き込まれたけど、怪我はそれだけだったよ」

 

「今日はたっくさんお宝を手に入れたんだよ! それにね……今日はベネットお兄ちゃんもお宝を見つけたんだよ!」

 

「マジでか、良かったなベネット」

 

「あはは……クレーよりは少ないけどな……オヤジ、これ」

 

 そう言ってベネットは俺に羽根を渡してくる、俺が不思議な顔をするとベネットは少し恥ずかしそうに

 

「オヤジは聖遺物集めてただろ……? それは俺が見つけたお宝の一つなんだ……だからオヤジにあげるよ」

 

「いや……でもこれはお前が見つけたものだろ? わざわざ俺に渡さなくても……」

 

「いつもオヤジ達には世話になってるしさ、これくらい返させてくれよ! それに俺が持ってても失くしそうだしな!」

 

 ベネット……なんていい子なんだ……思わず俺の目から涙が零れ落ちて来る

 

「わわっ、セスおじさん泣いてるの?」

 

「いや……小さい頃から見てきたベネットがこんなに大きくなるなんてなぁ……いつの間にか立派に」

 

「いやいや! そんなんじゃねぇって! 俺はただオヤジ達の恩返しをしたいだけだ……って」

 

「クレー」

 

 俺達がベンチで話していたら静かに怒の籠った声がすぐ傍から聞こえる、涙を引っ込めてそちらを見ると

 

「ジン……団長……」

 

「先程冒険者協会から連絡が来たんだ、湖の魚の全滅、近辺のクレーター、森林の火災騒ぎ……どうなるかわかっているな?」

 

「あうぅ……」

 

 クレーが涙目でこっちを見て来るがいつもの事なので俺はスルーする。

 

「今日はクリスマスだから大目に見るが、それでも少しは反省室だからな」

 

 ジンがクレーを抱えると俺にお辞儀をしてから行ってしまった、ベネットは苦笑いしながらクレーに手を振っている。

 

「それじゃあオヤジ、俺は他のオヤジ達にもお宝を渡してくるよ」

 

「ああ、気を付けてな」

 

「大丈夫だよ! ……あ、オヤジ夜空いてるか?」

 

「お前の場合大丈夫じゃないから心配なんだが……で、夜? 何かあるのか?」

 

「旅人がエンジェルズシェアでクリスマスパーティーをしたいって言ってたんだよ、オヤジ達にも誘ったんだけど仕事があるって言って駄目だったんだ」

 

 エンジェルズシェア……これは多分アンバーの言ってたのと同じものだろうか

 

「あぁ、いいよ……というかさっきアンバーにも誘われたよ」

 

「そうだったのか、それじゃあ夜にまた!」

 

 ベネットが行ったので俺はベンチで考える、旅人、栄誉騎士が誘ってるってことは多分フィッシュルやモナも来るだろう、かなり盛大なものになるだろうし俺も誘っても問題ないだろう。そう思っていたら向こうからやってきた

 

「あ、セス!」

 

「噂をすればパイモンに蛍、どうしたんだ?」

 

「姿を見つけたから、誘いに来たの」

 

「あぁ、クリスマスパーティーの話だろ?」

 

「あれっ、もう知ってたのか?」

 

「あぁ、さっきベネットやアンバーにも誘われたよ」

 

「それじゃあお前も来るんだな!」

 

「あぁ、行かせてもらうよ。他にも誰か誘ってるのか?」

 

「えっと、ジン団長にガイアにモナに……香菱と……あ、吟遊野郎も誘おうとしたんだけどいなかったんだ」

 

 ウェンティの居場所なら知っている、というか原因も知っている。

 

「それなら俺が誘っておくよ、あいつ大量に飲むから酒は沢山用意しといた方がいいぞ?」

 

「それはディルックの旦那がなんとかするから任せろ!」

 

「……ディルックに任せるよ」

 

 そう言って俺は転移する、さて、転移した先だがあの二人が見逃すと言ったらここだろう。

 

「あ、セス……おはよう……」

 

「もう昼だが」

 

 いつもの宿の一室である、昨日は簡単な勝負で負けた俺が奢ることになったせいで完全に酔いつぶれてた。十年の仲だが偶には遠慮を知ってほしい。

 

「ほら起きろ、せっかく雪降ってるんだからもう少しテンション上げろー」

 

「えー……起こして」

 

「……はぁ、わかったよ」

 

 俺はウェンティを抱えると俵持ちをする、扉は低いから慎重に扉をくぐる

 

「……ねぇセス、せめてもうちょっと優しい運び方とか……」

 

「やだ、酒臭い」

 

「酷いっ! それにこの姿勢揺れるから……あ」

 

「落としていいか?」

 

「待って待って、せめて落とすくらいなら降ろして!」

 

 仕方がないのでそっと降ろす、ウェンティはふらっとしながらもなんとか立っている。

 

「うう、容赦ないなぁ……」

 

「全く……飲みすぎなんだよ、もうちょっと落ち着いて飲めばいいものを……」

 

「僕は未来も大事だと思うけど今を最高に生きるのが大事だと思うんだ」

 

「きりっとした顔で言っても無駄だぞ、それより話があるんだが」

 

 ウェンティに遅い朝食、俺は昼食を取ると夜の事について話す。

 

「エンジェルズシェアでパーティーを?」

 

「蛍が皆を誘ってたんだがお前が見つからなかったから代わりに俺が誘いに来たんだよ」

 

「そうだったんだ」

 

「それで行くのか?」

 

「勿論! それに新しい詩も思いついたしね、披露するにはピッタリでしょ」

 

「そうか、それじゃあ夜にエンジェルズシェア集合な」

 

 そう言って俺は席を立つ、多分ウェンティはこの後雪合戦でもしに行くのだろうし夜までどうやって暇をつぶしていよう。そうやってふと空を見上げると

 

「あ」

 

「あ」

 

 ……風車に生えているマッシュルームを採取しているモナと目があった、聡明な俺はそっと目を伏せその場を

 

「待って下さい違うんですこれはそう町中に生えていて景観を損なっているマッシュルームを採取する事で美しいモンドにしようというボランティア活動の一環で決して貧困極まってそこらに生えているマッシュルームを獲って飢えをしのごうとかそういう訳ではないんで待って、なんでそんなに離れるんですか私の話はまだ終わってませんよちょっとセスさん? セスさん!?」

 

「……アストローギスト・モナ・メギストスさん、貴女はこの前収入が入ったと喜んでいましたがそのモラはどうしたんですか?」

 

「なんでフルネームで呼ぶんですか、……いえ、確かに給料は貰いましたが前から欲しかったプラネタリウムの残金に学術雑誌の注文代、それに器具の修繕費に家賃を払ったら全部消えてしまいまして……」

 

 後先考えてないんじゃないかこの占星術師。しかしこのまま放っておいたらミイラになってるんじゃないか? ……

 

「なぁモナ、バイトしないか?」

 

「バイトですか? 言っときますけど、占星術を使ったものは……」

 

「違う違う、今日はまだ日課をやってなかったからそれの手伝いだよ」

 

「日課? ……いいですけど、あんまり低賃金だと私も拒否権が」

 

 ドンッ

 

「……あの、この袋は」

 

「十万モラ」

 

「じゅっ……」

 

「これに仕事次第で更に上乗せする、どうだ?」

 

「仕方ないですねぇ! 私の力が必要ならば助けるのが占星術師としての使命です!」

 

「よし、言質取ったぞ。行こうか」

 

「……え?」

 

 俺はモナの手を取ると最高の笑顔を貼り付けながら転移した。

 

 ~~~~~

 

「し……死ぬかと思いました」

 

 モナが今にも死にそうな顔で倒れている、約束の夜まではまだ一時間ほどあるが回復するだろうか。

 

「大丈夫か?」

 

 そう言うとモナはガバっと起き上がり

 

「大丈夫だと思うんですかこれが!? まさか日課が聖遺物集めだとは思いませんでしたよ! それに一切休憩なし! 急凍樹を倒しては爆炎樹を倒し、急凍樹爆炎樹急凍樹爆炎樹……ああ体がおかしくなりそうです……」

 

「悪かったって、つい普段のペースでやっちゃっただけで……」

 

「え……普段このペースでやってるんですか……モンドの巨人ってそういう意味ですか」

 

「待ってそれどういう」

 

「さぁ! そんなことより報酬を下さい! 私頑張りましたよ!」

 

「わかってるよ」

 

 俺はモラの入った袋を渡すがモナの動きが固まる。

 

「あの……これ幾ら入れたんです? いくらなんでも重すぎませんか」

 

「五十万」

 

「ごっ……」

 

 石化した、鍾離先生の天星を食らった訳でもないのに。

 

「モナ?」

 

「はっ……あの、本当にいいんですか? こんなに貰って」

 

「いいって、というか半端な額渡しても悪いしな」

 

 その後モナは爆弾でも抱えてるのかと言う顔で家に帰っていった。

 

 さて、モナに暇つぶしに付き合ってもらったこともあってエンジェルズシェアに行くのにちょうどいい時間帯になった。

 取り敢えず宿からパーティーに良さそうな服を探して着ていく事にしようと思い宿に戻ると

 

「じゃーん、セス、これどうかな?」

 

 ウェンティがサンタ服に身を包んで待っていた。

 

「おお、似合ってるぞ。でもどこで買ったんだ?」

 

「えっとね、ノエルから貰ったんだ。さっき偶然会った時に思わず「やっぱりクリスマスらしい格好の方がいいかな」って言ったらこの服を渡してきたんだ。しかもサイズぴったり」

 

「……ノエルか」

 

 相変わらずの世話好きというか、今日くらいはさぼってもいいと思うんだがな。

 

「あ、セスの分もあるよ」

 

 ……サイズぴったりだ。

 

 

 ~~~~~

 

 俺とウェンティがエンジェルズシェアに行くと既にほぼ全員が集まっていた。

 

「お、来たな、二人共!」

 

「あ、二人共サンタさんなんだね」

 

 パイモンと蛍が出迎えてくれる、蛍は帽子だけサンタになってるようで、なかなかに楽しんでいるらしい。

 

「パイモンはトナカイか」

 

「おう! オイラのこの鼻、似合ってるだろ!」

 

「トナカイのお肉って食べれるのかな?」

 

「おい吟遊野郎! だからオイラは非常食じゃないぞ! 大体トナカイを食べようとするな!」

 

 二人の声を横に置いて周囲を見る、アンバーにジンにリサ、ガイア……あっちは騎士団組だな、奥の席にいるのがベネットディオナクレー……子供組。あっちで料理を運んでいるのがノエルと香菱で、その傍には……

 俺は思わずその席に近づいた。

 

「まさかモンドに来るとは思わなかったぞ……璃月組」

 

「おや? セスじゃないか、今から俺と勝負するかい?」

 

「いや俺パーティーしに来たから、タルタリヤさんと戦う気はないんですよ……というか三人で何してんだ?」

 

「私が持ってきた璃月千年で勝負をしているのよ、負けた方が勝った方の指示を一つ聞くの」

 

「わざわざ持ってきたのかよ……というか商売はいいのか?」

 

「私だって一日くらい休むことはあるわよ? それに商売には人脈も不可欠……モンドの商売人と繋がるのも戦略の一つよ」

 

「あぁそうですか……で、絶賛タルタリヤ君を蹂躙している富豪鍾離先生はどうしてこっちに?」

 

「俺は旅人に誘われたんだ、今日は珍しく会合や仕事も無かったからこうして来たんだ」

 

 そう言って鍾離はふと目線を動かすと苦い顔をした、彼の目線を追うとサンタ服のウェンティが……もう飲んだくれてる。

 

「……君はあの詩人と付き合っていて大丈夫なのか?」

 

「大丈夫ではないな」

 

 即答する、俺が定期的に地脈で金策するようになったのは大体あいつのせいだしな。

 

「……迷いなく答えたな」

 

「まぁ昨日も酒代馬鹿みたいに払わされたけど、それでも十年も居たら慣れるんだよ」

 

「そうか……あの吞兵衛は昔からああでな、昔あれが初めて璃月に来た時俺は困りごとがあって助けを求めてきたのかと思った。そして出迎えの準備をしたときなんと言ったと思う」

 

「んん……『璃月のお酒はどんな味かな?』とか?」

 

「少し違う、あいつは俺に酒を渡すと『これはモンドの酒だけど、君も飲んでみる?』と言った」

 

「変わらないんだな、昔から」

 

「そうだな、あいつはそれからも何度も訪れ、俺に酒と璃月の質問をぶつけてきた。……あぁ、そういえばそれから始まったのだったな」

 

「?」

 

「いや、忘れてくれ。……と、これで上がりだ」

 

「なっ……」

 

 鍾離のコマがゴールに到着し、ゲームが終了する。ルールはわからないがどうやらタルタリヤは負けたようだ。凝光が柏手を打つと

 

「さて、これで鍾離先生は彼に何か指示を下せる訳だけど……」

 

「これで三敗か……あまり派手に動かないといけないのはやめてくれよ?」

 

「そうだな……そういえばセスはこの後仕事があるんだったな」

 

「あぁ、確かにあるけど……」

 

「それなら公子、彼の仕事を手伝ってやってくれ」

 

「俺は構わないけど、何をするんだい?」

 

「いいのか? 二人の勝負事に俺を入れて」

 

「ああ、お前には世話になったしな、それに公子にとっても悪くない仕事だと思う」

 

「へぇ……それなら喜んで同行しようかな。よろしく、相棒?」

 

 相棒は蛍にでも言ってやってくれ……俺は璃月組の席から離れカウンターに座ると無言でグラスが置かれる、俺はそれを一息で飲むとグラスを渡した人物に向けてグラスを振る。

 

「これアップルサイダーじゃねぇか……リンゴ酒はないのか? ディルック」

 

「それなら君の相棒が飲み尽くしたよ、それに僕が君に酒を渡すとでも?」

 

「ウェンティめ……わかったよ、じゃあブドウジュース一つ。それとつまみも」

 

「あぁ」

 

 目の前に置かれる赤ワインの様な輝きを放つブドウジュース、それを一口飲むと溜息を吐く。

 

「やけに疲れてるじゃないか」

 

「いや……変わったなぁって」

 

「……十年も経ったんだ、誰だって少しは変わるだろう」

 

「お前はその中でもとびきりだけどな」

 

「……」

 

「顔が厳しいぜ、闇夜の英雄さん」

 

「……君はガイアみたいになったな、モンドの巨人」

 

「俺はあいつ程仕事熱心じゃないさ」

 

 俺が半分ほど飲むと枝豆が置かれる。

 

「……いや、酒ならわかるけどジュースに豆は……」

 

「好き嫌いは身体に悪いぞ」

 

「もう十分悪いわ」

 

 枝豆を食べ終え寛いでいるとディルックがチェスを目の前に置く。

 

「……久しぶりに出したな、それ」

 

「執事以外の人とチェスをする機会はそうそうないんだ、それに君ともずいぶんやっていない。せっかく時間があるんだ、一局どうかな」

 

「いいぜ、今日こそは一勝貰うとしよう」

 

 ~~~~~

 

 夜も更けてモンドの子供達も寝静まる時間、クレーやベネット達子供組も寝ぼけ始めてきたのでそれぞれ家に送り返す。俺はタルタリヤ、蛍、ディルックと共にエンジェルズシェアの片付けをしていた。

 

「……ふう、終わったね」

 

「あぁ、酒樽が何故か全部軽かったから運ぶのも楽だったな」

 

「……なんかすまん」

 

「そういえば、君の仕事って結局何なんだい? 荒事なら君達でも出来るだろう?」

 

「あぁ、そうだったな。ディルック?」

 

「あぁ、予備はしっかり用意している、君も着るといい」

 

 そう言ってタルタリヤにサンタ服を渡すディルック。

 

「……これは?」

 

「俺たちの仕事はこれから子供達にプレゼントを配る事だ、袋もちゃんとあるぞ」

 

 タルタリヤが蛍とディルックを見ると二人は既に着替えていた。

 

「成程ね……でもそれなら鍾離先生はどうして俺に向いてるって……」

 

「璃月一のおもちゃ屋さんだからじゃない?」

 

「初耳だ、君はおもちゃ屋も経営していたのか?」

 

「ディルック真に受けるな、ほら皆来たから」

 

 扉を開ける音がするとジン、ガイア、ウェンティがサンタ服を着て来ている。

 

「うぅ……頭痛い」

 

「あれだけ飲むからだろ」

 

「それじゃあ皆、時間は四時まで、それまでに子供達に配り終えるぞ」

 

 ジンの一言で袋を持ち七人がそれぞれ扉を出る、俺は最初に書かれている場所へ向かった。

 

 ~~~~~

 

「最初は……クレーか」

 

 西風騎士団の本部に行きクレーの部屋に行く、起こさないように枕元にある紙を取って確認する。

 

『すっごい大きな爆弾をください!』

 

「……いや……これは……」

 

 仕方がないので花火玉のレシピを書いて枕元に置く、空に飛ばす様に書いたし多分大丈夫と信じたい。

 

「次はモナ……」

 

 モナが借りている家に行く……がモナはまだ起きていた。ん……? 何か言ってるな

 

「うぅ……まさか原稿が水でダメになるなんて……明日締め切りなのに……今ばかりは水が恨めしいです……」

 

「……てい」

 

「うっ……」

 

 どさりと気絶したモナを寝かせて俺は原稿を見る、確かに水で濡れてはいるが大部分はまだ読める。俺は空間術を使って原稿の水分を剥離させる乾いた原稿を元に書き直す。枚数は多いが完成品があるんだ、五分もあれば終わらせられる。後は痕跡を消してモナの欲しがっていた古本を枕元に置く。

 

 次はベネットだ、こっそり部屋に行き枕元を見る。

 

『オヤジ達が元気でいられますように』

 

「ベネット……」

 

 思わず涙ぐむがどちらかと言えばこれは七夕の願い事だ、俺は代わりに涙目で風鷹剣をそっと置いた。

 

「さて……皆はどうかな」

 

 俺はジンの所に転送すると様子を見る……ジンはバーバラの前で狼狽えていた

 

「何してるんだ……」

 

「うっ……セスか……いや、問題ない」

 

 きりっとした顔をしているが枕元の紙を見ると

 

『もっとお姉ちゃんみたいになりたい』

 

「……バーバラもか」

 

「も、とは?」

 

「さっきベネットも似たようなこと書いてたからな……」

 

「こういう時はどうすればいいのだろうか……」

 

「お前が一番だと思うものを渡せばいいよ、俺はそうした」

 

「そうか……そうだな」

 

 納得したようなので俺は今度は蛍の所へ行く、見るとパイモンが寝ている……悩んでるのか? 

 

「様子はどうだ」

 

「あ、セス……それが」

 

 蛍に渡された紙を読むと

 

『テイワット一美味しい食べ物が欲しい!』

 

 と書いている。さっきの二人に比べると分かりやすいが……

 

「テイワット一おいしい料理ってなんだろう……」

 

「さぁ、でもこれなら一つだろ」

 

「え?」

 

 俺はパイモンの紙を畳むと枕元に戻す

 

「お前が一番得意な料理を渡せばいいさ、それが一番だろ」

 

「そっか……ありがとう」

 

「あぁ、もうすぐ時間だから急げよ」

 

 それから俺達はモンドの皆全員にプレゼントを配り終えた。

 

「皆、よく頑張ってくれた。おかげで朝までに配り終えることが出来た」

 

 全員の袋の中身は空っぽになっていた

 

「これでようやく寝られるわけだ……」

 

「私はパイモンが起きる前に戻るよ」

 

「俺も騎士団の仕事があるんでな、先に戻らせてもらうぜ」

 

「僕も戻る」

 

 蛍、ガイア、ディルックが帰っていく、ジンもやることがあると言って帰ってしまった。残るは俺、ウェンティとタルタリヤだが

 

「タルタリヤはどうするんだ? このまま帰るのか?」

 

「俺はここに泊まるよ、ゲーテホテルもあるしそこに行くことにしようかな」

 

 そう言ってタルタリヤもホテルへ向かっていった、残った俺とウェンティもそのまま宿に帰ることにした。

 宿に帰るとウェンティは即座に寝静まる、俺はこっそり眠ったウェンティの傍に璃月の最高酒を置いてやる。元からウェンティには渡すつもりだったのだ、プレゼントとして渡すのもいいだろう。俺は最後の仕事が出来た満足感を持って眠りについた。

 

 翌日、酒を手に喜んでいるウェンティの声で目を覚ます。俺も思わず笑みが浮かび身を起こすと枕元に見慣れぬ箱があることに気づく。

 

「……ウェンティ?」

 

「うん? それ僕じゃないよ?」

 

「え?」

 

 おそるおそる開けてみると服が入っていた。

 

「セス、服が欲しかったの? ……あれ、でも初めて見るデザインだ……」

 

 ……なんとなくサンタの正体が読めた気がして俺は雪の止んだ空を見上げた。

 

 ~~~~~

 

「せっかくの聖夜なんだ、彼にもプレゼントがあってもいいだろう? 私からの地球の思い出……大事にしてくれよ」




気付いたら29日なのは大体良ゲーが多いからなので反省してます。
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