原神の世界に転生したので自由に生きたい 作:ヘルメットのお兄さん
昨夜、夢の中でウェンティにしばかれたのでモンドへ戻る事を決意した。
「あら……? セス様、おはようございます」
「あぁ、おはよう翠雨……ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そして朝、俺がテーブルに置かれている茶を飲み干し翠雨にモンドに帰りたいという旨を話すと彼女は複雑な顔をした。
「それならモンドへの馬車があります……けれど今はどこも止まっていて…」
「止まって? それはまたどうして……」
「不審な集団が各地の馬車を襲っているらしいのです、特にモンドへ向かう馬車は今期に渡ってほぼ全て襲われているようでして……」
何者かがわからないが何故そんなことを……?
「……凝光はこの事を知っているのか?」
「ええ、彼女も頭を悩ませていて、一度不審な点があった商店やファデュイ達の拠点である北国銀行側を調査してもシロだったようで……」
「いよいよどの組織かわからないと」
「そのようです、彼女でも炙り出せないとなると私でも無理でしょうし」
今思ったが俺には空間術がある、距離があるから細かい座標はずれるだろうが普通にモンドには帰れる……
「……だけどこれを解決してからだよな」
「え?」
「なんでもない……それよりそのはた迷惑な奴ら、俺が何とかしてみたいんだけど」
何者かを探すのが無理ならあっちから来てもらえばいいのだ。
「駄目です、貴方様を危険な目に遭わせるわけにはいきませんから」
「いや、別に危険なことをしに行く訳じゃ……」
「貴方様の事です、馬車に乗って件の相手に襲われてから返り討ちに合わせるのでしょう?」
人聞きの悪い……だけど正解だから反論が出来ない。
「うっ……でもこのままだと皆が困るんだろ?」
「そうですが……」
なおも渋り行く、行かせないの応酬が続いていたがやがて翠雨が溜息をつくと
「わかりました……馬車の件はお願いします」
「ありがとう、それじゃ」
「ただし!」
翠雨は座る俺に顔を近づけると額に指をつけてくる。
「私もついていきます、貴方様を手放すわけにはいかないので!」
「わ……わかった」
昼、モンドから来たという行商人に会いに行くため璃月を歩いているのだが……
「翠雨様! お久しぶりです!」
「あら翠雨様、お元気ですかえ?」
「すいうさまだー」「ねーまたかいぞくごっこしよー!」
「……すごい人気だな」
「
老若男女に声をかけられているこの光景を見ると確かに本当なんだと思わせられる、誰もが翠雨を見てってあれは……
「セス様?」
「なぁ、あそこにいる男って……」
「あの男? ……あら、鍾離先生をご存じなのですか?」
やっぱり鍾離だ、何やら壺の前で考え事をしているようだが……
「いや、知らない。でもなんか雰囲気が違ったから気になった」
「鍾離先生は葬儀屋である往生堂の客卿ですね、何度か翠雨堂にもいらっしゃったことがあります」
「……? 周りが騒がしいと思ったら君だったのか、翠雨」
翠雨が鍾離について説明をしていると気づいた彼はこちらに向かってくる。
「こんにちは、鍾離先生? 今日は公子とは一緒でないので?」
「俺は常に彼といる訳ではない、それとそちらの……御仁はどちらかな」
「あー、セスって言います。よろしくお願いします」
「セス……? 君が彼女の言っていた『大切な人』か」
「ちょ、ちょっと鍾離先生? 私の事はいいですから……」
翠雨が顔を赤くしているが鍾離は気にしていない……というかわかっていないのか?
「ふむ……所で君達は何か予定があるのか? この後翠雨堂に寄ろうかと考えていたのだが」
「それなんですが実は……」
翠雨が馬車と不審な集団について話すと鍾離は何か考え込む。
「成程、不審な集団か……」
「今から会ってお話でもしようかと思っているんだ」
「ですので申し訳ないですが今日は支店の方を利用していただ……」
「俺も同行しよう」
翠雨と顔を見合わせる、申し出はありがたいが……
「いいのか? 正直……加担するメリットとかも鍾離先生にはないだろ?」
「鍾離でいい、何、少し気になる事があったからな。それと彼女には借りがある」
「借り?」
「(…ええと、恐らく以前私が彼の代金を肩代わりした事でしょうか……?)」
小声で翠雨から心当たりを聞かされる……本当にそれが借りなのか?
「それでは行こう、俺も多少心得がある。邪魔はしないさ」
そういう訳で鍾離が同行してくれる事になった、彼を連れて行商人に会いに来たがやはり二人は有名人らしい。
「これはこれは鍾離様……に翠雨様まで!? きょ、今日はどういった商品をお探しですか?」
「こんにちは、パドラーさん? 今日はお願いがあってここに来たの」
翠雨が旨を話すとパドラーと呼ばれた商人は顔を渋くする。
「あの噂のチンピラ共ですか……私も商品が補充出来なくて困っているんです、ですがお二人があいつらを懲らしめてくれるんですかい?」
「ああ、とはいえ話が通じるならそれに越したことがないが」
「……わかりました、お二人には何度も買ってもらった身ですし私も協力しましょう」
という事で彼の協力の下馬車に乗せてもらう事になったのだが……
「いだだだだだ!! 無理だって入らないって!」
「セス様! もう少し首を前に……そうです、そのまま腕を畳んでください!」
「……この大きな方はお二人の護衛ですか?」
「いや、彼女曰く大切な人らしい」
……何とか馬車に入れたがなんというか小さな箱に無理やり詰め込んだ人形みたいになってしまった、身体中がとても痛い。
それから移動中、鍾離と話をしていたのだがこれが面白い、博学多才だという言葉があるが正に彼に向けた言葉だろう。
「──―そしてその海灯祭の起源は璃月が戦をしていた頃、戦地へと赴いていた人々が故郷に帰る方向と自分の初心を見失わない様、人々が夜に提灯を飛ばしたんだ」
「へぇ、知らなかったな」
「鍾離先生は相変わらず博学ですね、私もそれなりに生きていますがこの知識には敵いません」
翠雨がそう言うと彼は苦笑いをする。
「なに、ただ少し記憶力がいいだけだ」
「それでも十分だろうけどな、その記憶力なら……」
「そういえばセス、君は何故モンドに帰ろうとしているんだ?」
「ああ、ちょっとモンドに世話になった……世話をした? とにかく吟遊詩人がいるんだ。俺が仕事中に事故って璃月に流れ着いて、何も言わずにいなくなったから早く帰らないといけないんだ」
そう言うと鍾離は一瞬眉をひそめたがすぐにその表情は消えた。
「そうか、ならその男の為にも早く戻らないといけないな」
「その為にもまず、この件をどうにかしないとな」
「おおお御三方! 来ましたよ例の集団が!」
「!」
パドラーの焦った声に鍾離と翠雨が素早く馬車を出ていく、俺もそれに倣い流れるように馬車を
「がぐっ!? あっ出れねぇ!?」
~~~~~
「貴方達が噂の不審な集団ですね」
翠雨が前に出ると仮面やフードで顔を隠した集団が馬車を取り囲む、鍾離も相手を観察するがその出で立ちに統一性は無く共通するマークも見られない。
「お前達の目的はなんだ? 何故馬車を襲う」
集団はその言葉に答えを出さずただ武器を構える、その武器でさえ剣、斧、槍とバラバラで、装飾を見たところ作られた国でさえ統一性が見えない。
翠雨が水晶のような法器を、鍾離が槍を出現させると相手は襲い掛かる。
顔全体を覆う仮面をつけた男が短剣を持ち喉を貫かんと翠雨に向けて振るう。
「話を聞かない男は持てませんよ」
突き出される短剣を身を引くことで躱し返す様に法器を振るうとローブに身を包んだ男の服に草が生い茂る。突然の事に困惑している男へ翠雨が加工された木を取り出すとそれを擦り火がつく。
「話を聞く相手は……一人もいれば十分でしょう」
これから起こる事に草塗れの男が察するより早く、燃えた木を放ると男は数える間もなく火の鎧を身に纏う。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」
「セス様の手を煩わせるまでもありません……あら、セス様?」
「む、彼は何処に?」
「がぁっ!?」
鍾離が槍を革の鎧に守られた男の足に突き刺すとそのまま槍ごと蹴り飛ばす、吹き飛ばされる男だが槍は不思議と途中で回転しながら主の元へ戻っていく。
流れるように二人を戦闘不能に追い込ませたがそれでも相手の戦意は衰えているように見えない。
「後何人いるのかしら?」
「そうだな、見た所後十……待て、馬車の方に数人!」
鍾離に言われ翠雨が馬車に振り向くと数人が馬車に向かって斧や剣を振るっている。
「させません……くっ!」
翠雨が水晶を構えるがそれを妨害するように複数の男達が取り囲む。
斧を何度も振るわれ馬車の扉がいよいよ壊れそうになった時
「よっしゃあ!」
「!?」
横なぎに振るわれた大剣が屈強な男を数mほど吹き飛ばすとそのまま周囲にいた男たちも巻き込まれ倒れる。
「セス様! どちらへ行っていたのですか!?」
「ごめん、馬車に引っかかってた……転移できるの忘れてたし恥ずかしい……」
セスは大剣を杖のように突き立てると足元に見える男達を一瞥する。
「遅れた詫びだ、こっちは任せろ」
「わかった、任せる」
「気をつけてくださいね」
鍾離が任せ背を向けると目の前の男たちと対峙する、翠雨もこの場を主に任せ目の前の剣使いを相手取る。
「さて……狭い馬車にずっといてて体凝ってるんだ、こっから暴れてやるよ!」
~~~~~
「オラァ!」
「グハッ!?」
俺が目の前の短剣を持った男を蹴り飛ばすと背後から斧を持った大男が横なぎに振りかぶってくる。
「わかってんだよ!」
「がッ……!」
斧を上から被せる様に踏みつけると大剣の横っ腹で上から叩き潰す、大男は強い衝撃に意識を奪われたのかしたのか昏倒している。
「次はどいつ……」
そうつぶやいた瞬間俺の胴を高速で飛来する何かが通り過ぎていった。
「じ、銃!?…てうわっ!?」
咄嗟に傍にあった木を盾にして観察する、よく見たらそれはゲームでもよく見たファデュイ先遣隊が使っている元素を撃ちだす銃だった。
「なんであいつらが……とにかく倒さねぇと」
銃を使っている男が新たに木ごと撃ち抜こうと構えるが木の隙間からはもう俺の姿は見えない、思わず構えを解いた男が油断した瞬間、背後から突然現れた俺が男の頭部を掴む。
「お前ファデュイと繋がってんのか? なんでそんなもん持ってる」
「~~~!!!」
アイアンクローをされながら宙に浮き悲鳴を上げる男、手を離すと息を荒くしながらも即座に銃をこちらに向けた来た。
「言う気は無いか!」
膝で銃を蹴りとばすとまた頭を掴む、そのまま目の前に板状にした透明の結界を作ると壁に見立てて男を叩きつける。
「ッッッッッッ!!」
「俺の結界は結構融通が利くんだよ、簡単に言えば硬さや厚さなんかをある程度弄れる。つまり……」
俺が少し力を入れるとピシピシとヒビが入る音がする。
「こんな風にガラスっぽくする事も出来るらしい、さっさとお前達の目的を言わないと全身がガラス片に刺されるぞ」
別にガラスではないか、と言うと男は掴まれている首を全力で縦に振ろうとしているのを感じ取った俺は手を放して解放してやる、念の為に服を使って体を縛り武器も隠していないか確認する。
「セス様、ご無事ですか?」
「無事だったようだな、しかし神の目無しでそれ程の実力があるとはな」
どうやら二人も終わったらしい、男達が茨の縄に拘束されている。
謎の集団との戦闘は俺達の圧勝で終わった。
私の推しはウェンティなんですが、ウェンティに素材を注ぎ込みすぎたせいで最近火力不足で死んでます。というか星5が甘雨とタルタリヤで弓ばかりなんですが。