原神の世界に転生したので自由に生きたい   作:ヘルメットのお兄さん

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趙引けました。


18 キロの遺産

 神を管理する立場でありまた俺を転生させてくれた恩神、管理神に今までの出来事を伝えた。

 

『……成程、その外の神については心当たり、というよりはあいつしかいないだろう』

 

「知っているんですか?」

 

『その前に……受話器を耳から離してくれ』

 

 言われた通りに受話器から耳を外し机に置く、ふと周りをみると皆怪奇に遭遇したような目で俺を見る。すると

 

『やあ、初めまして』

 

「うぎゃあ!? 喋った!?」

 

 受話器がスピーカーの様に音量が大きくなった、皆固まってしまったしダダに至ってはひっくり返ってしまった。

 

「……セス様、その得体の知れない道具から聞こえる声は何者なのですか?」

 

「えっと、この人は……」

 

『私から話そう、私は……そうだな、官吏と呼んでほしい。私の世界の神々を管理している』

 

「神々を管理ぃ?」

 

 復活したダダが訝しむ、確かに突然神を管理だとか言われても意味が分からないだろう。

 

『ああ、そのままの意味だ。私は神々の行動を管理している』

 

「それは……いくら何でも荒唐無稽が過ぎるのではないでしょうか?」

 

 翠雨が警戒の目を持って管理神……官吏が話している受話器を見る、鍾離は目を伏せ黙ったままだ。

 

『確かに証拠を出せと言われても難しいが……証拠を出してくれる者ならいる』

 

「え?」

 

『君は翠雨……だったかな? 君にとって最も大切な人間が証人だ』

 

 そう官吏が言うと翠雨は信じられないといった顔でこちらを見て来る、それに対し俺は何もせず傍観する。

 

『セス、構わないだろう?』

 

「ええ、いいですけど」

 

「……セス様……?」

 

 翠雨の呼びかけに俺は何も言わず官吏の言葉を待つ。

 

『彼には前世が存在している、生まれ変わりとも言うな。外の神は彼の前世の世界にいる神だ』

 

「前世……?」

 

『ああ、何せ私が彼をここに転生させたのだ。それを奴に邪魔されたのだがな』

 

「……邪魔、とは」

 

 翠雨の声が震えている、俺が何か反応をするよりも先に官吏が言葉を続ける。

 

『詳しくは後で話すが前世の彼は神のせいで死んだも同然なのだ、その為の償い、というよりはエゴに近いが……転生をさせたのだ』

 

「転生……」

 

『……本来彼にはこの世で不自由なく暮らせる才能を与えようとした、だが生まれ変わらせている最中に君達が言う外の神が彼の器を壊してしまった。そのままでは壊れた器に入り込んだ彼の魂まで影響が出かねない、だから応急的に器を直したのだが……』

 

「その代償に体格がおかしくなったんですよね」

 

 俺が口をはさむと官吏は受話器の向こうで頷いた。

 

『ああ、そして神の目を授かる才能、それどころか元素の力を操る事も出来なくなってしまっていた』

 

 今考えたらこの前の邪眼が使えなかったのもそのせいだろう、そう考えていると腹部に軽い衝撃が走り、見て見ると翠雨が俺にぶつかっていた。

 

「……翠雨?」

 

「本当なのですか」

 

「本当って……?」

 

「貴方様が前世の記憶を持っていて、そのお体が外の神のせいだという事です」

 

「ちょっと違う、前世の知識はあるけど記憶はない。経験はあるけど思い出がないんだ」

 

「……憎くは無いのですか」

 

「憎いって……?」

 

「私は憎いです……」

 

「……」

 

「貴方様は本来なら神の目も貰え、恵まれた才能も手に入ったでしょう……? 貴方様には何の罪もないのにそれを奪われて……思い出まで壊されて……ッ」

 

「……憎くは無いな」

 

「……」

 

「そりゃあ……神の目は欲しかったなぁとか、もうちょっと背が低くなりたいなぁとかはあるさ」

 

「でしたら……!」

 

「でも、翠雨に会えたから別にいいかなって」

 

「え……?」

 

「もちろんダダも、鍾離も瑪瑙も……モンドの皆とも。この体じゃなきゃ会えなかったと思う、そんな事無いって思われるかもしれないけど俺はこの体で、巨人だなんだと言われるこの体だからこそ皆と会えたんだと思ってる」

 

 翠雨の頭をそっと撫でると彼女の瞳が俺を写す。

 

「だから辛いとかそんな考えは一切ないし、むしろこの体で良かったよ」

 

「セス様……」

 

『あー、水を差すようで悪いがそろそろいいか?』

 

「あ……すいません……」

 

 ~~~~~

 

『話を戻すが、その信者達が言っている外の神は確実にセス、そして私が知っている神だろうな』

 

「なあ、その外の神って名前とかないのか?」

 

 ダダがそんなことを言う、確かにずっと外の神というのは面倒くさい。

 

『無いな、あいつは神ではあるが人間の元に一度も降臨せず、すぐ他の神と争い、また神同士で争っている所に介入するような奴だ。人の元に現れないが故に神話にも書かれていないし名前もない』

 

「そうかー……でも呼びづらいな」

 

『ふむ……通称、というよりはあだ名として私達が呼んでいる名ならあるな、よし……次からキロとでも呼ぼうか』

 

「何故にキロなので?」

 

『……ロキには何度も悪戯をされているからな』

 

 そう言って笑っているが、今さらっとロキって言った?

 

『さて、それではキロだが……あいつは悪戯というより破壊なんかを好む。神同士を誑かし戦争を起こさせたりもした困ったやつだ』

 

「困ったやつって」

 

 その一言で片付けるのは神クオリティーとでも言えばいいのだろうか……? 

 

『それであいつの目的だが……今のところはわからないが何をしているのかはわかる、神の遺産だ』

 

「その神の遺産とは何なのですか?」

 

 立ち直った翠雨が官吏に聞く。

 

『遺産などと言っているが違うな、キロは自身の力を分割してそれを物に宿し世界に散りばめたのだろう』

 

「なんでそんな回りくどい事を……」

 

『神が直接人界に降臨などすれば目立つことこの上ない、即座に他の神が突っ込んでくるのを恐れて力を分けてバレないようにしようとしたのだろう』

 

 実際私も気づけなかったと官吏は言う。

 

「その……キロとかいうのは強い神なのか?」

 

 ダダが聞くと官吏は即座に答えた。

 

『いや、奴は直接的な力は大体の神に劣る。それでも普通の人間では比べ物にならないがな、だが奴の本領は戦闘より話術だ。おそらくその信者も洗脳したのだろう、神の力ではなく純粋な話術で』

 

 もしそうだとしたら恐ろしい話だ、キロは相手と会話するだけで自分の領分に引き込める……心理戦などしようものなら勝てないだろう。

 

『脱線したな……神の遺産と呼ぶが恐らく見た目はセスがわかるだろう』

 

「俺ですか?」

 

『ああ、キロがこの世界を選んだのもセスとの縁だろう。そして自身の信者達に探させるにしても力を宿した道具がその辺りにあるような剣や道具では見つけられないだろうな、なら宿した物は……』

 

「……俺の前世にあった物?」

 

『だろうな、ならその黒電話も遺産の一つだろう』

 

 そういえば自然に話していたがこれも本来この世界にはないものだ、モンドでは手紙や伝言で会話をしていた気がする。

 

「だが、なら何故この遺産を敵とも言えるセスが使えているんだ? キロという神は敵に力を貸すほど馬鹿ではあるまい」

 

「鍾離、起きてたのか」

 

「少し考えていただけだ」

 

 鍾離の問いに官吏は少し考えると

 

『それに関してはキロの油断だろう、力を宿す上で奴はセスの世界の物を拠り所にした。ならば必然的に遺産はセスとの繋がりが出来る、繋がりが出来たせいでセスは奴の力を使えるんだろう』

 

「繋がり?」

 

 俺が思わず聞き返すと官吏は(恐らく)頷いて

 

『縁とも言う、神々も自身の神話がその土地に浸透していれば強い力を発揮できる、それは人々の信仰という縁によるものだ』

 

「……ん? でもキロってオレ達は初めて知ったよな、というかテイワットにキロを信仰する奴なんているのか?」

 

『いない……といいたいが奴は既に信者を作り出していたのだろう?』

 

「あっ……」

 

『ほんの微々たるものではあるがこの世界でも奴には繋がりが生まれてしまっている、仮に遺産を全て集められ、信仰も広がりきってしまえばテイワットに限定すれば奴に勝てる者はこちら側でも殆どいなくなってしまう』

 

「そんな……」

 

『そこでセス、君だ』

 

「は、はい」

 

『君はその世界で唯一といっていい、キロの遺産を使うことが出来る。奴の遺産を君が集めてしまえば奴の力を奪い倒す事も出来るだろう、それに君に教えただろう?』

 

「そうか、空間術……」

 

『私直伝の空間術だ、そう簡単に破る事は出来ないし君の空間を通して私が危険な遺産を回収する事も出来る』

 

 あった場合だが、官吏がそう言い、翠雨が立ち上がると

 

「なら、私達のやる事は決まりましたね、瑪瑙?」

 

「は、はいっ!」

 

 敬礼する瑪瑙を手で止めさせると俺の方を向く。

 

「セス様……貴方様はこれから遺産を集めるのでしょう?」

 

「お、おう。そうなる……かな」

 

「私達は仕事があるので共に行くことは叶いませんが翠雨堂が全面的に貴方様を支えます、それだけは忘れないで下さい」

 

「……そうだな、ありがとう」

 

「セス、少しいいだろうか」

 

 鍾離が俺の前に立つと何かを手渡してきた、これは……

 

「手紙?」

 

「璃月で何かあったら俺の所にも来るといい、公平な契約であれば俺はお前に協力することを約束しよう」

 

「……わかった、頼りにするよ」

 

 このモラは大切に仕舞っておくとしよう、俺は受話器を手に取り官吏に声をかける。

 

「ありがとうございました、力になってくれて」

 

『構わない、むしろこちらの問題なのに任せてしまってすまない』

 

「そんなこと」

 

『あるさ、それと黒電話は持っておいてくれ。もし何か協力できることがあれば私からも連絡しよう』

 

「わかりました」

 

『最後に、キロの遺産だが空間術で仕舞うのはいいが一度に取り出すのは一つにしておいてくれ、複数の遺産が一か所に集まっているとキロに気付かれるかもしれないからな』

 

 そう言うと通話は切れ受話器から音が消えた。

 

「セス、行くか?」

 

「ああ、行こうか」

 

 ダダと黒電話を部屋に仕舞い鍾離、瑪瑙と翠雨に別れを告げるとそのまま俺は璃月を出ることにした。

 

『モンドに遺産はあると思うのか?』

 

「わからない、けど元から帰るつもりでいたんだ。なかったとしても進路を変える理由にはならないよ」

 

 この問題は俺が大きく関っている、それを無視してのんびり生きる事など無理だろう。

 

「帰ろう、モンドに」

 

 この先の俺には多くの苦難があるだろうが、それだけではないという予感があった。




感想にあったのですけど、確かに原神の世界で「もしもし」って言われたら違和感というか色々凄いですね



追記 誤字修正しました、報告ありがとうございます。
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