原神の世界に転生したので自由に生きたい   作:ヘルメットのお兄さん

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ちょっと日が空きました。


騎士の詩
18 ごめんなさい


「クロデンワなんか弄って何してるんだ? セス」

 

 俺とダダがモンドへ向けて旅立ってから二日、位置的にはモンドに入った頃だろうか、俺達は近くの木陰で休んでいた。

 

「う~ん……キロの遺産を見つける方法は無いか探してたんだが……」

 

 俺は黒電話を放り投げるとそのまま収納する。

 

「ダメだ、元素の力が見えるわけでもないしそれ以外の力も感じ取れないな……」

 

「やっぱり地道に探すしかないんじゃないか?」

 

 ダダがリンゴを食べながら言ってくる、確かに現状はそれしかないだろう。

 

「せめて分かり易いものであってくれ……と」

 

 立ち上がるとまだリンゴを頬張っているダダを仕舞う。

 

『もういふのは?』

 

「飲み込んでから言ってくれ、そろそろ行かないと夜に到着するからな。それは嫌だ」

 

 地図を見ればアカツキワイナリーと清泉町の丁度間辺りにいる、少し走れば早めに到着できるだろう。

 駆け足で平原を駆け抜けると清泉町が見えてきた頃、何やら騒がしい音が聞こえ始めた。

 

「何だ?」

 

 よく聞くと清泉町から更に先の道で聞こえている、近づくにつれて音の正体が分かってきた。

 

『ヒルチャールだ……あれは好肉族だぞ』

 

「道の真ん中に杭なんか建てて……あれじゃ通行の邪魔だな」

 

 取り敢えず清泉町の住人に話でも聞こうと来た道を戻ろうとするが一瞬岩陰に赤い何かが見えた。

 

「うん?」

 

『どうした、戻らないのか?』

 

「今なんか赤いものが……」

 

 どうしても気になったのでヒルチャールの縄張りを迂回するようにして岩陰に回り込むと

 

「……いつもは町の近くに建てたりしないのに、一度戻って報告するしかないか……」

 

 頭に赤い兎耳の飾りを付け、赤を基調とした西風騎士団の衣装。腰に付けた炎元素の神の目は……

 

「アンバー?」

 

「ひうっ!?」

 

 声を掛けるとびくりと彼女の身体が跳ねゆっくりとこちらに視線を向けると信じられないものを見た表情で固まってしまった。

 

「ア、アンバー?」

 

「……セ」

 

「セ?」

 

「セスだあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

「えっ、あっちょ」

 

 俺が何か言う前に彼女は風の様にモンド城へ走っていってしまった。

 置いてかれた俺は呆然と見送るしかなかった。

 

『セス! ヒルチャール達が!』

 

「げっ……」

 

 ダダに言われ見るとアンバーの叫びに反応したヒルチャール達がこっちを向いて威嚇している、武器に火をつけたり臨戦態勢になっている。

 

「……ダダ、あいつらなんて言ってる?」

 

『化け物扱いしてるな……話を聞いてくれる態勢でもないぞ』

 

「ですよね!」

 

 ~~~~~

 

 それから30分、暴徒までいたせいで思いの外時間がかかってしまった。

 

「疲れた……色々」

 

『アンバー、モンドに向かったよな』

 

「多分。向かうのが怖くなってきたな……」

 

 思い返してみれば過去のモンドに行ったのは西風騎士団との合同任務中だったか、事故として処理されたのか不明だがアンバーの反応を見る限り嫌な予感がする。

 

「……璃月に帰る?」

 

『ダメだろ』

 

 10分くらい渋ったが結局行く事になった、そしてモンド城の門前。

 

「いるな……」

 

『いるなー』

 

 結界を組み合わせて疑似的な望遠鏡を作り木に隠れながら見ているが、予想通りというか、アンバーと一緒にウェンティが居た。それも凄い笑顔で

 

「……あれは歓迎してくれると思うか?」

 

『歓迎してくれるだろうな、悪い意味で』

 

 裏からこっそり入ろうものなら後が怖い、だが今行っても結局怖い。そんなことを考えながら隠れていると

目が合った

 

「ッ!?」

 

 反射的に木に隠れるが背中に走る悪寒は消えない、だがここから門へは200メートルは離れている、尚且つ隠れているのだからバレる筈が

 

『こっちに来てないか?』

 

「何だと……」

 

 更に結界を操作し鏡の様に反射させて完全に隠れながら様子を見る、しかしやはりと言うべきかウェンティは迷わずこちらに向かって来ている。

 

「よし、離れよう今すぐに……」

 

 足音を全力で殺しその場を離れようとするがその瞬間

 

逃げようなんて思わないでよね? 

 

 直後、背後から弓がしなる音がしたかと思うとブラックホールとでも言うべき程の引力が俺を飲み込まんと襲ってくる。

 

「うおぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 咄嗟に木にしがみつくがその木ごと引っこ抜いてしまうと勘違いしそうな程の暴風に腕の力が奪われていく、微かに映った視界にはその暴風の中をまるでそよ風に吹かれながら歩いているかのように落ち着いた足取りでこちらに近づいてくる。

 その足は俺の傍で止まると仮面に貼り付けたような笑顔で必死にしがみついているこちらを見てくる。

 

「やっほー、セス。5年ぶりかな?」

 

 まるで何もなかったかのように気さくに話しかけてくるウェンティ、その声には抑揚が無い。

 

「あの時セスが消えてから大変だったんだ、アンバーは君をずっと探していたし冒険者協会も総出で探してくれていたけど行方不明扱いになって捜索も終了したし……」

 

 その時暴風が消え引力が無くなり俺は地面に倒れこんでしまう、すると即座にウェンティが仰向けになった俺の肩を押さえつけ逃げられなくする。

 

「うごぉ!?」

 

「そうそう、実は3年前に珍しく本を読みに図書室に向かったんだ。そこでこんな本を見つけたんだ」

 

 そう言ってウェンティが取り出した本は古い革張りの本で表紙には「モンドの巨人」と書かれている、俺は全身が警鐘を鳴らしているのを感じながら動こうとするが肩を押さえつけられているせいで何もできない。

 

「結構古い文献でね、正確な事は書いてないしどちらかというと子供向けっぽいけど思い出したことがあるんだ」

 

 本を開くとその内容を読み始める。

 

「『英雄ヴァネッサが悪しき君主に立ち向かう時、風神バルバトスと共にその眷属として天より高い体に、神と英雄を護る屈強な肉体をその身に宿した巨人が現れた』……あははっ、面白いよね。彼は眷属じゃないし天よりも高くない、それにあんまり屈強っぽくなかったなぁ」

 

 ウェンティはその本を仕舞うと俺の喉辺りに指を突き付けて来る。

 

「それで思い出したんだけど、あの時の彼は丁度セスくらいの大きさで、体格もそっくりだったなぁ。……ねぇセス?」

 

「ハイ」

 

「どういうことか教えてくれるかな?」

 

「ハイ……」

 

 哀れ俺はウェンティに完全に屈し、今迄の事を全て話したのだった。

 

「それで璃月に行って、キロの遺産……? を探すことになったの?」

 

「まぁ、大体は、はい」

 

「ふうん……嘘は言ってないみたいだから、許してあげる」

 

 ようやくウェンティが降りてくれると立ち上がる、強く打った背中が痛い。

 

「それで、これからはどうするんだい?」

 

「しばらくはモンドで探すつもりだけど……」

 

「それならこれ、返しておくよ」

 

 ウェンティが放り投げた物を手に取る。

 

「俺の槍じゃないか、見つけてくれたのか?」

 

「まあね、でもやっぱり僕には長すぎて使えないや」

 

 それと、とウェンティが立ち上がると座り込んでいる俺の鼻をつつく。

 

「皆にも謝っといた方がいいよ? 心配していたんだから」

 

「……そうだよなぁ」

 

 特にアンバーや一緒に行った冒険者仲間、偵察騎士達には迷惑をかけただろう、ディルックにも恩がある。

 

「よし、決めた。ちゃんと会って謝るわ」

 

「うん、それがいいよ。それじゃあまず……アンバーからだね」

 

「ひゃっ」

 

 ウェンティが指を振ると風に乗ってアンバーが目の前に飛んでくる。

 

「わっ……セ、セス……久しぶり……」

 

「久しぶり、それとごめん、弓の練習する約束してたのにいなくなって」

 

「う、ううん……セスは悪くないし大丈夫だよ! ちょっと寂しかったけど……」

 

「そうか……ありがとう、アンバーだけじゃなくて、祖父さんにも会わないとな」

 

「あ……」

 

 そう言うとアンバーは悲しそうな顔をする、そのまま震えるように俺に紙を渡す。

 

「これ……おじいちゃんからセスに……」

 

「手紙……?」

 

 封がされた手紙を受け取るとウェンティが代わりに話す。

 

「数か月前……彼女の祖父が失踪したんだ、誰にも言わずに」

 

そう言うウェンティの表情はいつにもなく真剣だった。




最近睡眠不足で瀕死になってます、寝てるのにすぐ起きてしまう…
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