原神の世界に転生したので自由に生きたい   作:ヘルメットのお兄さん

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戦闘描写とも言えない感じですが取り敢えず初戦闘です、もっとカッコ良く書けるようになりたい…


4 聖遺物集め

「力が欲しい……」

 

「突然どうしたんだい?」

 

 エンジェルズシェアの酒場内、悪堕ちでもしそうな俺の言葉に呆れたような声を出すのは自称モンド一の吟遊詩人ウェンティ、なぜこんなことを言ったのか。

 

 話は数日前にさかのぼる、数日前の酒の件以降俺はウェンティに気に入られたのか彼の補佐のようなことをしていた。ウェンティが街中で詩を歌う時に俺が見た目を利用して客寄せをしたり、ウェンティが何か面白い話はないかと言うので地球の童話を少し弄って話したり、お捻りを空間術で保存して酒に変換させないようにしたりとにかく充実していた。しかし昨日ウェンティの詩が終わった後、ウェンティと共にお捻りを集める傍ら俺に慣れてきた子供たちが

 

「ねぇねぇお兄ちゃん」

 

「ん、なんだい?」

 

「お兄ちゃんすっごい大きいよな! どうしたらお兄ちゃんみたいになれるかな!?」

 

「あー……いっぱい食べて元気に運動すれば大きくなれるぞ」

 

「本当!?」

 

 といった感じで子供たちに群がられたのだが

 

「兄ちゃん肩車して!」

 

 こんなことを言う子供が一人現れてからは僕も私も、と一斉に俺の頂上めがけて木登りしてきた、一人だけならまだ余裕だったが二人三人と増えていき全員が俺の上に乗るころにはセス山の標高は290㎝から30㎝ほどになっていた。

 

「つまり重くて潰れちゃったと」

 

「そうなんだよ、その後のがっかりした目で見て来る子供達がトラウマになりそうだ……というかウェンティも見ていただろう」

 

「うん、見てたねー。でもそうだね……体力をつける方法ならあるよ?」

 

「本当か!?」

 

 思わず身を乗り出す俺と素早くリンゴ酒を手に持ち避けるウェンティ。

 

「聖遺物を持てばいいんだよ、西風騎士団や冒険者達も付けているよ?」

 

「聖遺物……」

 

「あ、そっか。まだ聖遺物については教えてなかったね」

 

 そういって聖遺物について教えてくれるウェンティ、実際聖遺物については知っている。秘境と呼ばれるダンジョンの報酬で手に入るものでゲームの中では所謂アクセサリーの枠で装備することで体力──HPを上げたり攻撃力や元素ゲージの回収効率を上げたりするが……

 

「──―といった風に聖遺物についてはまだ全部解明はされていなくて……って聞いてる?」

 

「聞いているよ、しかしそうか、聖遺物か……」

 

 聖遺物の特徴、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。五つの部位の内花と羽はそれぞれ体力、攻撃力固定だが残りの時計、杯、冠は完全にランダムなのだ、攻撃力が欲しいと思って冠を手に入れても付いていた強化はHP……なんてことも当たり前のようにある。

 勿論ゲームの話だが理想の聖遺物を求め日夜プレイヤー達は秘境を巡り続ける……俺はどっちだったのだろう。しかしどちらにせよこの先戦う可能性は0ではないだろう、生憎この世界は平和とは言い難い。

 

「ウェンティ」

 

「うん?」

 

「聖遺物、集めよう」

 

 そんな決意をウェンティに宣言してから翌日、俺はウェンティに連れられて鍛冶屋に来ていた。

 

「聖遺物を集めるにしても戦う術がないと」

 

 とはウェンティの談、確かに俺は武器なんて持っていない、空間術のポケットの中にもあるのは空間術の本とお捻りだけ。そうして鍛冶屋の前に来るとウェンティに質問された。

 

「セスはどんな武器がいい?」

 

 と言うので自分に合った武器を考えてみる。片手剣──武器の定番とも言えるだろうが上手く振れるだろうか、保留。大剣──悪くはないが力のない今は持てないだろう、却下。魔導書──元素使えない、論外。となると長柄武器になるが……

 

「長柄武器がいいな」

 

 結局片手剣と迷ったがこのリーチを十全に生かせるのは槍などの長柄武器だろう。

 ウェンティは店主と交渉するが暫くすると一本の槍を持ってきた。

 

「訓練用の槍だってさ、本当はもっといいのを選んでもいいんだけど……」

 

「こういうのは身の丈に合った武器からがいいって聞くし、それにするよ」

 

 俺が前世から争い慣れしていたならもう少し良い武器を選んだのだろうが生憎戦闘どころか日常の記憶もないのでこれぐらいが丁度良いだろう、ありがたく受け取ることにする。

 店主に礼を言ってモンドの街を出ると俺達は南──ドラゴンズスパインの秘境である銘記の谷に来た。この秘境では下位として奇跡、医者の聖遺物、上位として翠緑の影と愛される少女という聖遺物が手に入るのだが──俺は隣にいるウェンティを見る。

 

「ここが秘境の一つ、銘記の谷だよ。他にも秘境はあるけど一番近いのはここだね」

 

 そう、ここで手に入る翠緑の影はウェンティとの相性が物凄くいい。

 聖遺物には所謂シリーズがあり、同じシリーズで二部位、四部位装備すると専用の強力な効果が発動するのだ。例えばここで同じく手に入る医者の聖遺物、これを二部位集めればHPの回復効果が二割増し、四部位揃えたら元素爆発──必殺技のようなものだ──を使用すると即座にHPを二割回復するというもの。因みに俺は元素爆発が使えないのであまり意味はない。

 そして翠緑の影だが二部位、四部位共に風元素によるダメージや元素反応を増加させるというもの。

 そしてもうわかるだろうがウェンティは風元素を操ることが出来る、ゲームの中ではこれ以上ない程相性が良い聖遺物だったのだ。

 

「それじゃあ入るけど、準備はいいかい?」

 

 正直ここに来る意味は俺よりウェンティの強化の方が良い気もするが本人はそんなこと微塵も思ってないだろう。

 

「ああ、行こう」

 

 そうして銘記の谷に突入するウェンティ、続いて俺も中に入る。

 中に入り気が付くと秘境の中にいた、目の前には巨大な赤い鍵が見える。

 

「これに触れると試練が始まって、試練を突破すれば聖遺物が手に入るんだ」

 

 そう言ってウェンティは弓を取り出す……ゲームでも思っていたがその武器の召喚はどうやっているのだろう、俺の空間術でもない訳だし。

 俺も槍を取り出して構える、力もない上にちゃんとした構えなんて知らないからへっぴり腰だ。

 ウェンティが鍵に触れると鍵は一瞬で消滅し目の前には四人の宝盗団が現れる、ウェンティ曰く試練で現れる敵は本物ではないらしく先手必勝とウェンティが弓で一人の頭を撃ち抜くとあっさりと消えていく。

 

 ここで俺がやることについてだが、銘記の谷に入る前の移動中ウェンティに俺の戦い方について相談した。構えからして素人である俺が入ったら何もできずにやられる可能性は高い、そのことをウェンティと話していたら

「空間術では戦えないのかい?」

 と言われ空間術で出来ることについて考える、今まで使ったことのある術は

 対象を点から点に移動させるテレポート(仮名)。

 別空間を創り出してそこに物を入れて保存するアイテムボックス(仮名)。

 ……あれ、二種類しか使ってないのか? 他に何か出来ないのかとウェンティに言われたので二人でどう戦いに活かすか考えた、その結果出た案が

 敵の中心の空間を捻じ曲げて防御不可の破壊を行う。

 敵をテレポートさせて超高度から落とす。

 後はアイテムボックス(仮名)のように別空間に閉じ込めて一生をそこで過ごしてもらったり空間を圧縮してから衝撃波を生み出したり……

 ……どれも殺傷力が高すぎる気がするが、ウェンティが俺が槍を練習出来てかつ安全に行けそうだと言ったのが空間を区切って疑似的な不可視の障壁を創り出す術。ウェンティの前で実演してみたら「割れないガラスが現れたみたい」と言われた、少し弄ればこちらだけ通れるようにして一方的に攻撃させることもできそうだ。

 

 俺は宝盗団と俺達の丁度中間で空間を区切り壁を創る、それに気付かず敵の一人がこちらに突進してくるがその勢いのまま障壁にぶつかる、それなりに速度が出ていたから衝撃も大きいだろう。ふらつきながらも障壁を切りつけて来るが空間そのものが壁となっているんだ、元素による攻撃でもないのに突破できるわけもない。俺がしっかりと槍を構え胴体を狙うと

 

「シッ……!」

 

 上手く刺さったようで貫かれた敵は消滅する、初めて敵を倒した感覚はウェンティから人形のようなものだと言われたのと実際血が出なかったこともあってあまりショックは無かった。

 その後ウェンティと一緒に安全な試練──試練なのに安全というのもどうかと思うが──を進めていった。後半からは俺も槍と空間術に慣れてきて相手を囲うように区切り閉じ込めたり我流ではあるが槍の使い方もマシになってきた。

 そして最後の敵を俺が貫いて試練を達成することが出来た。

 

「終わったぁ……」

 

「少し休むかい?」

 

 初めての戦闘とも呼べるか怪しい試練に息を切らす俺だがウェンティは軽く息を整えるだけでやはり根本の体力が違うんだなと実感させられる、その後なんとか喋れるまでに回復するとウェンティに連れられ白銀の古樹の前に立つ、地面を見てみると魔法陣の様なものがある。

 

「ここで天然樹脂を注ぎ込めば古樹から聖遺物が生まれるんだ」

 

 そう言ってウェンティが祈るような姿勢を取ると古樹が一瞬輝き地面の魔法陣らしきところから幾つかの聖遺物が生まれる。

 

「ほら、こんな風に結構手に入るんだよ」

 

 ここでふと思い出したのが管理神に頼んだもう一つの特典である樹脂無限、以前黒電話を通して会話したときは特にこれについて言及されなかったが果たして残っているのだろうか。

 ウェンティの見よう見まねで祈るようなポーズを取ると自分の持っている何かが減る感覚がするが、すぐ満たされる。これが特典の無限樹脂なんだろうか、なんて考えていると地面から聖遺物が生まれる、思わず声を出して聖遺物を手に取る。

 

「……」

 

「うん? ……セスー?」

 

「……ない」

 

「? ないって、何が?」

 

「……いや、何でもない」

 

 翠緑の影が一つもなかった……

 ……いや、今は気にする事じゃない、取り敢えず聖遺物を空間術でしまい込みウェンティと共に秘境から出る。

 そして今、最早常連にも顔を覚えられたエンジェルズシェアで聖遺物──奇跡シリーズ一式を装備する。

 俺は奇跡シリーズ一式を装備し終えるとバーテンダーから店で一番重い酒樽が目の前に置かれる。

 ウェンティだけでなく周りの顔見知りとなった客も俺を見守り、俺は酒樽を掴むと

 

「フッ……!!」

 

 という掛け声とともに持ち上げると拍子抜けするほどあっさりと持ち上がった。

 

「うおっとと……持てたぞ!!」

 

 大きく酒樽を掲げて喜ぶとウェンティが拍手をしてくれて、それに続くように店にいる皆が拍手してくれる。傍から見たらただ酒樽を持って喜ぶ巨人だが俺の事情を知っている人からすれば偉大な進歩なのだ、なんせ前まで一番小さい酒樽すら持てなかったからな。

 

「おめでとうセス……早速だけど祝杯にしないかい?」

 

「あぁ、そうしよう。今なら何杯でも持てるぞ!」

 

 バーテンダーもお祝いだ、と言って一杯だけリンゴ酒をサービスしてもらった。ウェンティがこっちを見て来るが俺が貰ったリンゴ酒だ、もう自分で買えるんだし頼みなさい。だけどウェンティのおかげで俺の力不足は解消された、俺一人だったら聖遺物に気づくことすらなかっただろう。

 今日も一日が終わる、この日聖遺物を手に入れた俺はいつもより高い酒をウェンティに奢った。




主人公は元素とか使えないので聖遺物厳選するとしたら攻撃力と会心、会心ダメージ、物理ダメージバフ延ばせば良さそうですね。元素熟知と元素チャージ効率が出たらやり直し。
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