「旅に出よう!」
「遂に頭がおかしくなりましたか主様」
到底主様に言う言葉ではない罵倒を放ったその少女は、煌びやかな蒼い眼に黒と青の綺麗なグラデーションの髪を纏い、一言で華麗と言わしめる雰囲気を醸し出していた。
典型的な美少女というものだが、どことなく機械的な雰囲気があり、人間かアンドロイドか見分けがつかない程無表情を貫いている。
「あーはっはっは! 一言目からドストレートだねサファイアちゃん!」
機械的な少女とは対象的に、その男性はとても陽気で人間味に溢れていた
主様と言われた男が豪快に笑う
「失礼しました、頭がおかしいのは何時もの事でしたね」
「言うね〜、まぁそういう直球な所が好きなんだけどね!」
「やめてください好きだなんて気持ち悪過ぎて死んでしまいます」
(凸凹コンビってこういう感じのことを言うのかな?)
はたしてこの関係性をコンビと言えるかは不確かである
浅いため息をひとつ吐いた後、サファイアは真っ直ぐ主様に体を向けた
「さて、くだらない戯言は置いておいて話を戻しますが.....」
「戯言って言った?君主様に向かってすごない?」
「旅...ですか? てっきり主様は面倒ごとはお嫌いかに存じ上げましたが」
昔から主様はトラブルや面倒ごとは嫌な顔をしながらはっきりと嫌と言うタイプである。冷淡な人では無く、むしろ優しい分類の人ではあるが、意外と億劫な性格の持ち主のため、あまり外の世界や事情については関心が無い事が多かった。
そんな主様なので余計旅だなんて冗談でも驚いています。
何時も機械的な反応していたサファイアにとっても、動揺を隠せない、また興奮をも隠せない発言である
「あぁ、この世界の書類整理も終わって休みでも取ろうかなと思ってたんだけど、せっかくなら色々な世界の事も知っておけば後々仕事も楽できるからね〜」
「やはりゲスはゲスでしたか期待して損しました」
「あれ〜?なんか落胆はやくなぁーい?」
機械的な反応から一気に人間のような不機嫌な顔になった
「旅の思いつきなんてそんなものだよ」
男性は笑顔を崩さず椅子をクルクルと回転させながら話す
「.....私はいかなる事であっても主様の決定に従いますので」
いつもと変わらない無表情な筈のサファイアの蒼い目の奥から寂しさや悲しさが映った気がした
それを見た男性は陽気な笑顔とは違う子供をあやすかの様に微笑みながら
「ごめんなサファイア、寂しい思いさせちゃうけど」
そう言って主はサファイアの頭にポンッと優しく手のひらを置いた
たくましい男性の手の温かさが頭部頂点から体全体へ流れる
...こういう所で男っぽさをしれっと出してくるのでムカつきます。
見た目には変化は現れないが、機械的な少女の心の中は色とりどりな模様で広がっていた
「しっかり帰って来てください。その間私も仕事しませんからね」
「わかった」
男性は目尻を下げやさしく微笑みかける
特別な準備もしないまま、主様と言われる男性の周りに光が集まっていく
足元には奇妙な幾何学紋章が浮き出ており、次第に光が強くなっていく
「ほんじゃ、行ってくる!」
そう笑顔で返事したあと後に白く強い光が体から放たれ、サファイアの周りを純白な白に一瞬で埋め尽くしていった
ゆっくりと目を開けると、主様と言われた男の姿が瞬く間に消えていた
「...仕方の無い人です...幸運をお祈りしております」
そう呟きサファイアは、背中側の扉へと歩を進めた
「親愛なる我が主、D様」
のんびり投稿していきます
ちなみに主はDynamix歴5年です
まぁまぁランカーです