無限を操る教師   作:星天さん

10 / 36
第五話 五条翔によるプチ裁判

朱乃が展開してくれた廃教会行きの魔法陣に乗り、一誠達が戦っている廃教会へと転移した。転移した先では一誠の姿は無く、複数のエクソシスト達が地面に倒れ、祐斗と小猫が肩で息をしていた。

祐斗と小猫が交戦していた場所の上では、三つの気配と自力で廃教会に来るようにと言った堕天使達の気配を察知した。

 

「五条先生…」

 

「お疲れサマンサ!二人とも大分苦戦した様だね」

 

僕は小猫、祐斗の二人にそれぞれ労いの言葉をかけた。複数のエクソシスト達を二人だけで倒しきった二人の為に、この場で少しだけ休憩をとる事にした。祐斗は一誠の増援に駆けつけたいと志願をした。一誠への増援には行かせないと祐斗に言おうとしたら、僕より先にリアスが祐斗を止めた。

 

「この戦いは一誠の戦いよ。私達が何でもかんでも手助けしたら、一誠の成長に繋がらないわ」

 

「僕もリアスと同じだよ。事故とはいえ、裏の世界に入ったからには危険が伴う…。一誠には、きちんと裏の世界に入った事を自覚させる良い機会だ。それに…仲間なら一誠を信じて見守ってあげなよ」

 

祐斗は僕とリアスが言った、一誠の増援に向かわせない言い分に渋々だけど頷いてくれた。祐斗と小猫の体力が元に戻り、通常の呼吸に変わった。二人の体力が元に戻り、廃教会に来る様にと伝えた堕天使三人が、あと少ししたら廃教会へと到着するのを察知した。

 

「小猫と祐斗の体力が回復したみたいだし、上に行って一誠の戦いを見守るわよ!」

 

「「「はい!部長!」」」

 

リアスを先頭に、朱乃、小猫、祐斗、僕の順に上に上がる階段を登った。階段を登り続けてしばらくすると、怒鳴り声に近い一誠の声が聞こえてきた。長かった階段を登りきると、一誠が悪魔の羽を生やし、右腕にはドラゴンの手の様な篭手を着け、堕天使に殴り掛かろうとしていた。

 

「わ、私は至高の──「吹っ飛べクソ堕天使!!」」

 

一誠の右ストレートは綺麗に堕天使の顔を完璧に捕え、廃教会の外へと殴り飛ばした。廃教会の外に殴り飛ばされた堕天使をリアスは、小猫に持ってきてもらうようにと頼んでいた。

堕天使を殴り飛ばした直後、戦いでのダメージや緊張の糸が切れた一誠は前のめりで倒れ始めた。一誠が倒れる前に僕は一誠の元へ行き、倒れそうになっている一誠の体を支えた。

 

「お疲れ様一誠」

 

「五条先生…。アーシアを…アーシアを助けられなかった…」

 

一誠は涙を流しながら、アーシアを助けられなかった事を悔やんでいた。一誠の願いで、僕は廃教会の長椅子で息を引き取って横たわっているアーシアの元に一誠を連れて行った。安らかに眠っているアーシアの横で、一誠はひたすら懺悔の言葉を口にしていた。

 

「持ってきました…」

 

「ありがとう小猫」

 

小猫は廃教会の外に殴り飛ばされた堕天使を引きずりながら、リアスの前まで運んだ。小猫がリアスの元に堕天使を雑に置いてから、長椅子に座っている僕の元にやって来て、僕の膝を枕にして横になった。

 

「小猫?」

 

「疲れたので、五条先生の膝で休ませてもらいます…」

 

「小猫ちゃん、狡いですわ!! 私も翔兄様の膝で休みたいのに!」

 

小猫と朱乃とやり取りを聞き流していると、ドーナシーク達が廃教会に到着した。祐斗、小猫、一誠の三人は、気絶している堕天使の増援と思って戦闘態勢に入った。戦闘態勢に入っている三人に、ドーナシーク達は今の所は敵では無いと説明した。

 

 

 

「ちゃんと来たね、えらい♪えらい♪」

 

五条翔はドーナシーク達が言いつけ通りに、ちゃんと廃教会に来た事を褒めていた。ドーナシーク達は五条翔のテンションについていけず、顔を引き攣らせながら頭を下げていた。

 

「さて、役者が全員揃ったしプチ裁判を始めようか…」

 

────反転術式[翠]

 

五条翔はこの場に居る怪我人、アーシア、一誠、レイナーレ、祐斗、小猫の怪我を反転術式[翠]を発動させ傷を一瞬で治療した。怪我人達の傷が治療終わると、気を失っていたレイナーレは目を覚ました。目を覚ましたレイナーレは、自分の周りをリアス達が囲み、仲間であるドーナシーク、カラワーナ、ミッテルトが自分の側で大人しく正座をしている姿を見て、全てを察した。

 

「君がレイナーレだよね?起きて直ぐに悪いんだけど、アーシアの神器(セイクリッド・ギア)を返してくれないか?」

 

「誰よアンタ…。気配から察するに人間よね?何で「レイナーレ様!!」何よドーナシーク」

 

「レイナーレ様、この御方は五条翔様で御座います」

 

「!? な、生意気な物言いをしてしまい申し訳ございません!!」

 

レイナーレはドーナシーク達同様に正座になり、地面に頭を擦り付けながら五条翔に謝罪をした。五条翔は気にしてないと、レイナーレに伝えた。五条翔が改めてアーシアの神器(セイクリッド・ギア)を渡す様に言うと、レイナーレは直ぐに奪った神器(セイクリッド・ギア)を差し出した。

 

「五条先生…アーシアの神器(セイクリッド・ギア)をどうするんですか?」

 

「どうするって…アーシアに戻すけど?」

 

「アーシアに戻しても生き返らないんですよ!!」

 

胸倉を掴んできながらそう叫ぶ一誠を強引に引きがしてから、五条翔はリアスを自分の元に呼んだ。五条翔に呼ばれたリアスは、五条翔が自分に何をさせるつもりなのかを察した。

 

「本気ですか?」

 

「本気だよ。此処でこの子を死なせるのは惜しいからね」

 

「五条先生と部長は何の話をしてるんですか」

 

「アーシアを生き返らせる話をしてるんだよ一誠 」

 

感情が昂り思考が正常に働いていない一誠は自分が死んだ時、どうやって生き返ったのかを忘れていた。五条翔は一誠にレイナーレに殺された時、どうやって生き返ったのかを尋ねた。

 

「俺は…た、確か、部長の持っていた悪魔の駒で──!?」

 

自分が生き返った方法を思い出した一誠は、自分を生き返らせてくれたリアスに、アーシアの蘇生を頼み込んだ。リアスは五条翔との話で、アーシアを自分の眷属にする事を決めていた為、一誠に頼まれてから直ぐにアーシアを眷属にする儀式を始めた。リアスはポケットから僧侶の駒を出し、アーシアの体に押し付けると、僧侶の駒はアーシアの体の中に入っていった。

 

「あれ…?ここは…」

 

僧侶の駒が体に吸収されてから数分してアーシアの閉じていた目が開き、体をゆっくりと起こして自分が何処に居るのかを確認していた。

 

「アーシア!!」

 

「一誠さん?」

 

アーシアが目覚めて直ぐに一誠は目に涙を浮かべてアーシアを強く抱きしめ生き返った事に喜んでいた。感動的な場面で、五条翔はわざと大きめに喉を鳴らした。

 

「さて、無事に今回の事件の被害者が生き返った事で──始めようか、今回の事件のプチ裁判を…」

 

五条翔の言葉にレイナーレ達に緊張が走った。




読んでいただきありがとうございます!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。