第一話 婚約騒動!?
レイナーレ達が駒王学園に馴染んできた頃…。
僕が駒王学園に出勤している時は何時も籠っている生徒指導室に、珍しいお客がやって来た。僕の所に来たお客は、ここ最近になって関わる様になったリアスが来ていた。リアスにソファーへと座ってもらい、僕は来客用のお茶と茶菓子を用意していた。
「はい、お茶と茶菓子。朱乃よりは美味しくないけど我慢してね」
「いえ、お気遣いありがとうございます」
リアスに温かいお茶と茶菓子のカステラを出してから、リアスとは反対のソファーに座った。自分用にも煎れた茶で一息つき、生徒指導室に来てからずっと暗い表情をしているリアスに此処に来た理由を尋ねた。リアスは政略結婚について、どう思うのかを聞いてきた。
「政略結婚か…」
「はい、政略結婚について五条先生が思う事を聞かせて頂けませんか?」
「う〜ん、一言で言うと最悪だね」
僕が五歳の頃…。
五大宗家の上層部の連中、一族の繁栄を願う五条家の連中が、俺と同じ存在、もしくは俺を超える存在を生み出そうと、20歳も歳が離れている色んな女達とお見合いをさせようとしてきたのを思い出した。上層部の連中に[お前は種馬]と遠回しに言われている事に腹が立ち、五大宗家の屋敷を半壊させる事件を引き起こし、見合い話を無くさせた。当時の事をリアスに伝えた。
「僅か五歳の五条先生に…」
「僕はね、お見合いで出会った女性の事は嫌いでは無かったんだよ? ただ、彼女達には想い人が居たんだ…だから、僕はそんな彼女達を解放して上げようと事件を引き起こしたんだ」
「私…今夜、オカルト研究部で政略結婚についての話し合いが行われるんです」
リアスは政略結婚に納得できないと、不満を口にした。リアスの将来理想は、好きな人と結ばれて幸せな家庭を築く事だと言った。純血悪魔の減少は理解しているけど、それでも好きな人と結ばれたいと力強く言った。
「まあ、それは自分で考えな。僕とリアスは、立場は同じだけど考え方は違う。こういうのは自分でじっくり考えて答えを出した方が良い。誰かに言われた事を実行しようとするのは自分の意志じゃないからね♪」
「分かりました…。話を聞いて下さりありがとうございました」
「あまり力にはなれなかったけど、また相談しにおいで」
丁度、昼休み終了前の予鈴が鳴った。僕はそのまま生徒指導室に残り、リアスは自分の教室へと戻って行った。リアスが出て行き、生徒指導室で一人になった僕は少し考え事をして、今夜行われるという政略結婚の話し合いを見に行く事に決めた。
〇
授業が終わってから俺は木場、アーシア、夕麻ちゃんと共にオカルト研究部に向かっていた。昨晩、思い詰めた部長を見てから一睡も出来ず、何であんな顔をしていたのかを考えていた。木場に聞いてみても分からないらしく、部長の懐刀である朱乃さんに聞いた方が早いと言われ、部長に聞けなかったら朱乃さんに聞こうと思った。
今日もいつも通りに部活に参加したら、昨日の夜に会った部長の家に仕えている銀髪美人姉妹のメイドのレイラさんとグレイフィアさんが部室に居た。
暗い表情をしている部長が部活を始めようとした時、婚約者と名乗るライザー・フェニックスと言うイケ好かない奴が現れた。ライザーは現れてから、夕麻ちゃんとミッテルトちゃんを見た瞬間に穢らわしい堕天使と暴言を吐いたり、二人の容姿が良いからハーレムに加われと言ったりして、ムカついていた。
ライザーは、政略結婚を嫌がっている部長に無理矢理させようとしていた。レイラさんとグレイフィアさんから、政略結婚を白紙にするにはレーティングゲームをするしか方法が無いと言われ、ライザーと部長の政略結婚についての話は、レーティングゲームで白黒決める事で話は終わったんだが...何故かあいつは俺達を小馬鹿にした様な目で見てきやがる。
「なあ、リアス。まさか、ここにいるメンツがキミの下僕なのか?」
「だとしたらどうなの?」
ライザーの質問に部長が答えたら、あいつは面白可笑しそうに笑いだした。何に笑ってんのか気になっていると、笑っている理由を話し出した。
「これじゃ、話にならないんじゃないか?キミの女王である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗出来そうにないな」
そう言いながら、ライザーが指をパチンと鳴らすと、部室内の魔法陣が光り出した。そして魔法陣の光から続々と人影が出現していき──部室内は一瞬にして美少女だらけになった。
「と、まあ、これが俺のかわいい下僕たちだ」
「お、おい、リアス・・・・。この下僕くん、俺を見て号泣しているのだが」
〇
一誠は号泣していた…。
絶望的な戦力差で泣いている訳ではなく──ライザーが美少女ばかりのハーレム眷属を作っている事に羨ましくて泣いていた。そんな一誠にリアスや同じ眷属仲間である木場達は困り顔で、一誠の号泣姿を見ていた。
「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔達を見て感動したんだと思うわ」
突然泣きだした一誠に引いていたライザーにリアスは一誠が急に泣き出した理由を説明すると、ライザー眷属全員が主であるライザーと密着した。
「きもーい」
「ライザーさまー、この人、気持ち悪ーい」
「そう言うな俺の可愛いお前達...。上級階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賎な輩の常さ、アイツらに俺とお前達の熱々な所を見せつけてやろう」
ライザーは眷属悪魔の1人と濃厚なディープキスをし始めた。
その光景に一応婚約者のリアスは呆れ顔、話し合いの仲介役として来ていたルキフグス姉妹、朱乃、レイナーレは冷やかな目をして見ていた。アーシアと小猫にはまだ早い光景の為、木場が小猫、一誠がアーシアの目と耳を塞いだ。
「お前じゃ、こんな事一生出来まい。下級悪魔くん」
ディープキスをやり終えたライザーは一誠に向かってそう言った。ライザーの発言に一誠は怒りだし、
『
この
○
一誠は赤龍帝の篭手を顕現させ、ライザーに拳を向けて怒鳴りつけ始めた。
「お前みたいな女ったらしと部長は不釣り合いだ!」
「は?お前、その女ったらしの俺に憧れているんだろう?」
「うっ!」
怒鳴りつけたは良いが...怒鳴りつけた傍から論破され、言葉に詰まっている一誠を見て、木場達は悲しい気持ちになっていた。論破されたにも関わらずに、一誠は開き直り、ライザーに向かってまた言い始めた。
「う、うるせぇ!それと部長の事は別だ!部長と結婚した後もほかの女とイチャイチャしまくるんだろう?」
一誠の開き直りように、部員全員が頭を抱えていると今度はライザーの方が口を開き始めた。
「英雄、色を好む。確か、人間界のことわざだよな?いい言葉だ!」
「何が英雄だ!!てめぇは焼き鳥だろ!」
ライザーは一誠に向かって分かりやすい挑発をし始めたのだが、一誠はライザーから受けた安い挑発の仕返しとして、ライザーに向かって焼き鳥と呼んだ。プライドが高いライザーは、焼き鳥呼ばわりされ怒りに震えて、一誠を睨んでいた。
「焼き鳥野郎!!てめぇなんざ、俺のブーステッド・ギアでぶっ倒してやる!」
『Boost!!』
1回の倍加が済み、一誠はライザーに殴りかかろうと接近した。リアス、夕麻が止まるように声をかけたが、制止を聞かず猪の様に止まりそうに無い一誠の行動に、ライザーは嘆息しながら眷属悪魔の1人に命令を下した。
「ゲームなんざ必要ねぇさ!俺がこの場で全員倒してやらぁ!」
「ミラ。やれ」
「はい、ライザーさま」
ミラはライザーの命を受け、手に持っていた棍をクルクルと回しながら一誠の前に立ち塞がった。一誠は命令で立ち塞がったミラに一瞬だけ困惑したが直ぐに立て直し、棍を叩き落として無力化をしようと動いた。
だが、一誠がやろうとしていた事は失敗に終わり、ミラの棍が一誠は腹に突き刺さる瞬間…。
「はいは〜い! 狭い室内の中で暴れないでね〜」
誰にも気配を悟らせずに、オカルト研究部の部室に入った五条翔によって止められた。
〇
少し中の様子を見ていたら、一誠がレイナーレとリアスの制止を振り切り、
「ご、五条先生」
「ちょっとお仕置きね♪」
僕は少し呪力を込めた張り手で一誠の体を押すと、一誠はくの字に吹っ飛びオカルト研究部の壁にくい込んだ。少しやりすぎたかも知れないけど、相手の力量を測れずに無鉄砲に突っ込んだ一誠への罰だ。
〇
「家の教え子がごめんなさいね。どうか、此処は僕の顔に免じて許してくれないか?」
「誰だ貴様?見るからに人間だが、気安く「ライザー様」グ、グレイフィア殿?」
「あの方は、退魔師…いえ、世界最強と謳われている五条翔様でございます(な、生、五条翔様が目の前に!!)」
「そ、それは本当なのですか!」
グレイフィアの内心は久しぶりに見る五条翔に、テンションが上がっていた。内心はテンションが上がっているが、クールな表情を保ったまま、ライザーの質問に答えた。ライザーは、今目の前に居るのが五条翔だと知ると、ソファーから立ち上がり、眷属の前で五条翔に土下座をして謝罪をした。
「土下座なんてしなくていいよ。別に怒ってないし」
「は、はい!」
強気だったライザーが下手に出ている光景に、リアスは五条翔の影響力の凄まじさを改めて実感した。
「あ、あの!!五条翔様!」
「えっと…君は?」
「レイヴェル・フェニックスと申しますわ!」
レイヴェルは五条翔に名乗ると、サイン色紙とスマホを取り出し、サインを書いてもらうのと写真を一緒に撮って欲しいと頼み込んだ。五条翔は願い通りに、サインと記念撮影を行った。
(わ、私だって五条翔様と写真撮りたいのに!! 小娘に先を越されるとは!!)
(このサイン色紙は家宝にして…ツーショット写真は、まず待ち受け画像に設定してから、大きく現像して大きな額縁に入れて部屋に飾りましょう!)
グレイフィアとレイヴェルの両名は、五条翔の前では平静を保っているが、内心は五条翔でいっぱいになっていた。
レイヴェルへのファンサービスを終え、五条翔は脱線させてしまった話を元に戻そうとライザーに話を進めるように促した。
「リアス、レーティングゲームは10日後に行う。今の君達では俺の眷属には勝てない、だから与えた10日間で修行をするといい」
「分かったわ、貴方が与えた10日間で強くなるわ!」
「楽しみにしている」
「五条翔様!今度お時間があればお茶をして頂けませんか?甘い物がお好きと聞いた事がありまして、手作りケーキ等をご用意致しますわ!」
「良いよ〜。連絡取れるように交換する?」
「是非!!」
レイヴェルは五条翔と茶会をする事を約束して、連絡先の交換をした。レイヴェルを待っていたライザーは、レイヴェルの用事を済ませたことを確認すると魔法陣を展開させ、オカルト研究部の部室から去って行った。
〇
「話し合いも終わった事だし…。改めて、久しぶりだねレイラ、グレイフィア」
「お久しぶりです五条翔様(私の事覚えてくれてた!!くぅ〜、嬉しすぎて昇天してしまいそう!)」
「お久しぶりですね、サーゼクス様も五条翔様に会いたがって居ましたよ?」
「シスコン野郎は元気なんだ」
約10年振りに会ったレイラ、グレイフィアと少しだけ雑談をして、俺は家に帰る事にした。オカルト研究部室から出て、廊下を歩いていると、グレイフィアから必死な形相で写真を撮って欲しいと頼まれた。グレイフィアのスマホで写真を撮ったのだが、えげつない連写音が聞こえた。写真を撮り終わり、連絡先の交換もして欲しいと頼まれ連絡先の交換もした。
「ありがとうございます!」
「いいよ、それじゃ僕は帰るから」
僕は再び廊下を歩くと、後ろから鼻歌が聞こえてきた。後ろを振り返ると、クールな印象のグレイフィアが鼻歌を歌いながらスキップしている光景が目に入った…。意外な一面を目に焼き付けて、旧校舎を後にした。
読んでいただきありがとうございます!